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二人の約束 ~ジーンの初恋~(番外編)
ルベア 2
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ジーン様が視察から帰って来ると、左手首に腕輪をはめていた。
ジーン様が装飾品を付けるなんて、始めて見た。
それも毎日、必ずはめているのだ。
なのでルベアは、一緒に勉強をしていた休憩時間に、思わず聞いてしまった。
「最近身に付けている腕輪、綺麗ですよね」
ジーン様は驚いて、こちらを見た。
「…今まで装飾品を着けなかったジーン様が、毎日付けてるので珍しくて…」
あまり触れて欲しくない話題だったのかな…と、思いながらルベアは苦笑いしてそう言った。
「…もらったんだ。…お守りに…」
ジーン様が恥ずかしそうに頬を染めている。
これって、もしかして!?
ルベアは『おやっ?』っと思って、必死に声を押さえて聞いた。
「…もしかして、好きな人にプレゼントされたんですか?」
「えっ!?…好きって言うか…よく分からなくて…」
ジーン様はしどろもどろに頬を染めて声を小さくして言う。
初恋している乙女のような仕草にルベアは目を丸くした。
…それって可愛すぎでしょ…。
「…一緒にいると…ドキドキして…何を話せば良いか…分からなくて…」
「…それで」
「…これをもらって…嬉しくて…」
ジーン様は左手首を少し掲げてルベアに見せてくる。
すごく綺麗な漆黒の腕輪…。
結構高価なものだよな…。
「それでそれで」
「…もっと、話がしたい…って思って…」
ジーン様は机に頭を付けて、顔を隠して耳を真っ赤にして言う。
「でも、それが『好き』って言うのか分からなくて…」
耳を真っ赤にして可愛い。
ジーン様は自覚が無いだけで、きっと相手の事が『好き』なんだと思う。
プレゼントをもらって嬉しくて、時々思い出して、頬を染めていたのか…。
…ジーン様をこんな風に、悶えさせる相手を見てみたい。
ジーン様は恥ずかしいのか、頭を机からなかなか上げて来なかった。
「…良いんじゃないですか。『好き』か、分からなくても」
ルベアは微笑んでジーン様に言うと、頭を上げてルベアを見てきた。
「急がなくて良いと思いますよ。その気持ちを少しづつ大切に育てていけば…。いつか突然、分かるから…」
ルベアはジーン様に対して、友人の枠を越えないように気を付けていた。
超えてしまえば、きっと側で笑い会うことが出来ない。
そう思ったからだ。
…良かった。
友人として、ジーン様の事をずっと好きでいよう…。
こんな無防備な姿を見せてくれるくらいには、信頼されているのだと思うと、胸の辺りが温かくなった。
「…分かるのかな…」
不安そうにジーン様が言うので、ルベアは思わずクスクスと笑ってしまった。
…可愛すぎ。
「…ジーン様から恋愛の相談をされるとは思いませんでした」
「…恋愛って…」
ジーン様は真っ赤になって、ルベアを睨み付けてくるが、それもまた、可愛らしい…。
「…もしかして、神官の試験を受ける気になったのも、その方の影響と言うか、きっかけですか?」
「…。」
ジーン様の返事が無く頷いたので、ルベアは再びクスクスと笑って言う。
「ジーン様をその気にさせた方に会ってみたいですね。…いつか、紹介してくださいよ」
「…。」
どんな人なんだろう。
ジーン様より可愛い、知的な女の子かな…。
…もしかして、ジーン様を守ってくれるような、カッコいい女の子なのかな…。
ルベアはジーンの相手を想像してニタニタと笑う。
会うのが楽しみだ。
「ルベア。休憩は終わり!さっきの続きから暗記の確認だぞ!」
「わかってますよ、ジーン様」
ルベアはニコニコとしながらジーン様と答え合わせを始めた。
ジーンの相手が、まさか年上の男の獣人だとは、この時、ルベアは思いもしなかった。
ジーン様が装飾品を付けるなんて、始めて見た。
それも毎日、必ずはめているのだ。
なのでルベアは、一緒に勉強をしていた休憩時間に、思わず聞いてしまった。
「最近身に付けている腕輪、綺麗ですよね」
ジーン様は驚いて、こちらを見た。
「…今まで装飾品を着けなかったジーン様が、毎日付けてるので珍しくて…」
あまり触れて欲しくない話題だったのかな…と、思いながらルベアは苦笑いしてそう言った。
「…もらったんだ。…お守りに…」
ジーン様が恥ずかしそうに頬を染めている。
これって、もしかして!?
ルベアは『おやっ?』っと思って、必死に声を押さえて聞いた。
「…もしかして、好きな人にプレゼントされたんですか?」
「えっ!?…好きって言うか…よく分からなくて…」
ジーン様はしどろもどろに頬を染めて声を小さくして言う。
初恋している乙女のような仕草にルベアは目を丸くした。
…それって可愛すぎでしょ…。
「…一緒にいると…ドキドキして…何を話せば良いか…分からなくて…」
「…それで」
「…これをもらって…嬉しくて…」
ジーン様は左手首を少し掲げてルベアに見せてくる。
すごく綺麗な漆黒の腕輪…。
結構高価なものだよな…。
「それでそれで」
「…もっと、話がしたい…って思って…」
ジーン様は机に頭を付けて、顔を隠して耳を真っ赤にして言う。
「でも、それが『好き』って言うのか分からなくて…」
耳を真っ赤にして可愛い。
ジーン様は自覚が無いだけで、きっと相手の事が『好き』なんだと思う。
プレゼントをもらって嬉しくて、時々思い出して、頬を染めていたのか…。
…ジーン様をこんな風に、悶えさせる相手を見てみたい。
ジーン様は恥ずかしいのか、頭を机からなかなか上げて来なかった。
「…良いんじゃないですか。『好き』か、分からなくても」
ルベアは微笑んでジーン様に言うと、頭を上げてルベアを見てきた。
「急がなくて良いと思いますよ。その気持ちを少しづつ大切に育てていけば…。いつか突然、分かるから…」
ルベアはジーン様に対して、友人の枠を越えないように気を付けていた。
超えてしまえば、きっと側で笑い会うことが出来ない。
そう思ったからだ。
…良かった。
友人として、ジーン様の事をずっと好きでいよう…。
こんな無防備な姿を見せてくれるくらいには、信頼されているのだと思うと、胸の辺りが温かくなった。
「…分かるのかな…」
不安そうにジーン様が言うので、ルベアは思わずクスクスと笑ってしまった。
…可愛すぎ。
「…ジーン様から恋愛の相談をされるとは思いませんでした」
「…恋愛って…」
ジーン様は真っ赤になって、ルベアを睨み付けてくるが、それもまた、可愛らしい…。
「…もしかして、神官の試験を受ける気になったのも、その方の影響と言うか、きっかけですか?」
「…。」
ジーン様の返事が無く頷いたので、ルベアは再びクスクスと笑って言う。
「ジーン様をその気にさせた方に会ってみたいですね。…いつか、紹介してくださいよ」
「…。」
どんな人なんだろう。
ジーン様より可愛い、知的な女の子かな…。
…もしかして、ジーン様を守ってくれるような、カッコいい女の子なのかな…。
ルベアはジーンの相手を想像してニタニタと笑う。
会うのが楽しみだ。
「ルベア。休憩は終わり!さっきの続きから暗記の確認だぞ!」
「わかってますよ、ジーン様」
ルベアはニコニコとしながらジーン様と答え合わせを始めた。
ジーンの相手が、まさか年上の男の獣人だとは、この時、ルベアは思いもしなかった。
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