424 / 462
二人の約束 ~ジーンの初恋~(番外編)
ルベア 1
しおりを挟む
最近、ジーン様が可愛くなった。
もともと可愛らしい方だったが、タミネキ村に『世界樹』が出現し、アミュール様と視察に出向いて行って、帰ってきてからくらいだろうか。
時折ぼんやりとして、何かを思い出して頬を染めている。
回りの同級生達は気がついていないみたいだが、一緒に勉強をしている僕にとっては、『何かあった』と、思ってしまう。
ジーン様はこの国、カザンナ王国の第三王子ルーク様のご子息。
アミュール様に連れられて神殿に来た時、見習い神官はザワついた。
金色の髪に、優しげな顔立ち、少女に間違われるのではないかと思うくらい、可愛らしいかった。
仲良くなれば、もしかして側に仕える事になるかも…。
王族に仕えることになれば、大出世だ。
なのでしばらく、ジーン様の回りは騒がしかった。
それがうっとうしかったのだろう…。
ジーン様は直ぐに神殿の図書館に駆け込み、静かに本を読んでいた。
ジーン様は学校に通っている為、来るのは週末だけ…。
みんなと一緒に朝の御勤めを終えると、図書館に行き、本を読んだり、何かを書き写したり…。
しだいにジーン様の回りは静になり、中庭で本を読んでる姿を見かけるようになった。
僕は年の離れた双子の弟たちが、高等科まで学校に通って勉強出来るように、見習い神官になった。
もともと勉強が好きだったわけでは無いので…。
小等科を卒業さえしていれば、見習い神官になることは出来き、衣食住が保証され、神官の手伝いとして出先の催し物に出張すれば、ほんの少しだが、おこづかいがもらえる。
それを貯めて、少しでも家族の足しにしたかった。
なので僕は、神官の手伝いに明け暮れていたから、姿を見かけても、ジーン様とは話をしたこともなかった。
ただ、本当に本を読むのが好きな方なのだな…そう思っていた。
ジーン様が神殿に来るようになって、一年が過ぎる頃、アミュール様。神官長候補のシノアス様の補佐官様に呼ばれて行った先に、ジーン様がいた。
見習い神官として手伝いに連れていくため、僕も一緒に行って、不足があれば教えて手伝って欲しいとの事。
もらえる費用もいつもより多かったので、即座に了承した。
近くで見るジーン様は確かに可愛かった。
それから何度もアミュール様に呼ばれて、ジーン様と一緒に手伝いに行くようになった。
回りからは『何でお前が』と、言われたが、僕だって分からない。
しいて言うなら僕が、ジーン様にたいして普通の友達のように話せるからかもしれない…。
…時々、ジーン様が王族だって忘れてしまうくらい、普通の男の子だったからだ。
しだいに、ジーン様の方から声をかけてくれるようになり、友人…くらいには、なれているだろうか…。
今は神官になるための試験を受けるため、ジーン様に教えてもらいながら一緒に勉強をしている。
まさか神殿で勉強をする事になるとは思わなかった。
ジーン様は、神官になる試験を受けるのを迷っているらしい。
けれど僕に付き合って、解らないところを見てくれる。
僕は神官になって、安定した給料を貰うぞ!と、意気込んでいるが、暗記するのが苦手だ。
ジーン様は子供の頃から神殿の物語として聞いていたから、なんとなく覚えているそうで、確認と復習を兼ねているそうだ。
子供の頃から物語を読みながら覚えているんだ…。
そう言うときは、育った環境の違いを思い出させる。
話をすれば、どこにでもいそうな、おとなしい男の子なんだよな…。
ジーン様は何を迷っているのだろう。
僕のように、目的があって神官になろうとしているわけではなく、高等科を卒業して、別の道を選ぼうか、迷っているのかもしれない。
ジーン様の相談に乗れなくて、ごめんね…。
ジーン様が、アミュール様とヤマツカ町へと行き、帰ってきてから数日、ジーン様の様子が少しおかしかった。
本を開いているのに、ぼんやりと眺めているだけ…。
そんな姿は始めて見た。
声をかけると驚いて、ホッとため息をつくなんて、どうしたんだろう…。
気にはなるが、さすがに聞けなかった。
アミュール様に呼ばれて、ジーン様がもう一度、『世界樹』の有るタミネキ村へ行くことになった。
神殿の建築状況を視察するために行くらしい。
でも、ジーン様は何故かソワソワしていた。
…『世界樹』の事以外に、タミネキ村に何があるのだろう…。
気になってしまうが、さすがに聞けないよな…。
ルベアはそう思いながら一緒に勉強をしていた。
話を聞くくらいしか僕には出来ないけれど、ジーン様がいつか僕に相談してくれたら嬉しいのに…。
もともと可愛らしい方だったが、タミネキ村に『世界樹』が出現し、アミュール様と視察に出向いて行って、帰ってきてからくらいだろうか。
時折ぼんやりとして、何かを思い出して頬を染めている。
回りの同級生達は気がついていないみたいだが、一緒に勉強をしている僕にとっては、『何かあった』と、思ってしまう。
ジーン様はこの国、カザンナ王国の第三王子ルーク様のご子息。
アミュール様に連れられて神殿に来た時、見習い神官はザワついた。
金色の髪に、優しげな顔立ち、少女に間違われるのではないかと思うくらい、可愛らしいかった。
仲良くなれば、もしかして側に仕える事になるかも…。
王族に仕えることになれば、大出世だ。
なのでしばらく、ジーン様の回りは騒がしかった。
それがうっとうしかったのだろう…。
ジーン様は直ぐに神殿の図書館に駆け込み、静かに本を読んでいた。
ジーン様は学校に通っている為、来るのは週末だけ…。
みんなと一緒に朝の御勤めを終えると、図書館に行き、本を読んだり、何かを書き写したり…。
しだいにジーン様の回りは静になり、中庭で本を読んでる姿を見かけるようになった。
僕は年の離れた双子の弟たちが、高等科まで学校に通って勉強出来るように、見習い神官になった。
もともと勉強が好きだったわけでは無いので…。
小等科を卒業さえしていれば、見習い神官になることは出来き、衣食住が保証され、神官の手伝いとして出先の催し物に出張すれば、ほんの少しだが、おこづかいがもらえる。
それを貯めて、少しでも家族の足しにしたかった。
なので僕は、神官の手伝いに明け暮れていたから、姿を見かけても、ジーン様とは話をしたこともなかった。
ただ、本当に本を読むのが好きな方なのだな…そう思っていた。
ジーン様が神殿に来るようになって、一年が過ぎる頃、アミュール様。神官長候補のシノアス様の補佐官様に呼ばれて行った先に、ジーン様がいた。
見習い神官として手伝いに連れていくため、僕も一緒に行って、不足があれば教えて手伝って欲しいとの事。
もらえる費用もいつもより多かったので、即座に了承した。
近くで見るジーン様は確かに可愛かった。
それから何度もアミュール様に呼ばれて、ジーン様と一緒に手伝いに行くようになった。
回りからは『何でお前が』と、言われたが、僕だって分からない。
しいて言うなら僕が、ジーン様にたいして普通の友達のように話せるからかもしれない…。
…時々、ジーン様が王族だって忘れてしまうくらい、普通の男の子だったからだ。
しだいに、ジーン様の方から声をかけてくれるようになり、友人…くらいには、なれているだろうか…。
今は神官になるための試験を受けるため、ジーン様に教えてもらいながら一緒に勉強をしている。
まさか神殿で勉強をする事になるとは思わなかった。
ジーン様は、神官になる試験を受けるのを迷っているらしい。
けれど僕に付き合って、解らないところを見てくれる。
僕は神官になって、安定した給料を貰うぞ!と、意気込んでいるが、暗記するのが苦手だ。
ジーン様は子供の頃から神殿の物語として聞いていたから、なんとなく覚えているそうで、確認と復習を兼ねているそうだ。
子供の頃から物語を読みながら覚えているんだ…。
そう言うときは、育った環境の違いを思い出させる。
話をすれば、どこにでもいそうな、おとなしい男の子なんだよな…。
ジーン様は何を迷っているのだろう。
僕のように、目的があって神官になろうとしているわけではなく、高等科を卒業して、別の道を選ぼうか、迷っているのかもしれない。
ジーン様の相談に乗れなくて、ごめんね…。
ジーン様が、アミュール様とヤマツカ町へと行き、帰ってきてから数日、ジーン様の様子が少しおかしかった。
本を開いているのに、ぼんやりと眺めているだけ…。
そんな姿は始めて見た。
声をかけると驚いて、ホッとため息をつくなんて、どうしたんだろう…。
気にはなるが、さすがに聞けなかった。
アミュール様に呼ばれて、ジーン様がもう一度、『世界樹』の有るタミネキ村へ行くことになった。
神殿の建築状況を視察するために行くらしい。
でも、ジーン様は何故かソワソワしていた。
…『世界樹』の事以外に、タミネキ村に何があるのだろう…。
気になってしまうが、さすがに聞けないよな…。
ルベアはそう思いながら一緒に勉強をしていた。
話を聞くくらいしか僕には出来ないけれど、ジーン様がいつか僕に相談してくれたら嬉しいのに…。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

けものとこいにおちまして
ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる