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二人の約束 ~ジーンの初恋~(番外編)
ルベア 1
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最近、ジーン様が可愛くなった。
もともと可愛らしい方だったが、タミネキ村に『世界樹』が出現し、アミュール様と視察に出向いて行って、帰ってきてからくらいだろうか。
時折ぼんやりとして、何かを思い出して頬を染めている。
回りの同級生達は気がついていないみたいだが、一緒に勉強をしている僕にとっては、『何かあった』と、思ってしまう。
ジーン様はこの国、カザンナ王国の第三王子ルーク様のご子息。
アミュール様に連れられて神殿に来た時、見習い神官はザワついた。
金色の髪に、優しげな顔立ち、少女に間違われるのではないかと思うくらい、可愛らしいかった。
仲良くなれば、もしかして側に仕える事になるかも…。
王族に仕えることになれば、大出世だ。
なのでしばらく、ジーン様の回りは騒がしかった。
それがうっとうしかったのだろう…。
ジーン様は直ぐに神殿の図書館に駆け込み、静かに本を読んでいた。
ジーン様は学校に通っている為、来るのは週末だけ…。
みんなと一緒に朝の御勤めを終えると、図書館に行き、本を読んだり、何かを書き写したり…。
しだいにジーン様の回りは静になり、中庭で本を読んでる姿を見かけるようになった。
僕は年の離れた双子の弟たちが、高等科まで学校に通って勉強出来るように、見習い神官になった。
もともと勉強が好きだったわけでは無いので…。
小等科を卒業さえしていれば、見習い神官になることは出来き、衣食住が保証され、神官の手伝いとして出先の催し物に出張すれば、ほんの少しだが、おこづかいがもらえる。
それを貯めて、少しでも家族の足しにしたかった。
なので僕は、神官の手伝いに明け暮れていたから、姿を見かけても、ジーン様とは話をしたこともなかった。
ただ、本当に本を読むのが好きな方なのだな…そう思っていた。
ジーン様が神殿に来るようになって、一年が過ぎる頃、アミュール様。神官長候補のシノアス様の補佐官様に呼ばれて行った先に、ジーン様がいた。
見習い神官として手伝いに連れていくため、僕も一緒に行って、不足があれば教えて手伝って欲しいとの事。
もらえる費用もいつもより多かったので、即座に了承した。
近くで見るジーン様は確かに可愛かった。
それから何度もアミュール様に呼ばれて、ジーン様と一緒に手伝いに行くようになった。
回りからは『何でお前が』と、言われたが、僕だって分からない。
しいて言うなら僕が、ジーン様にたいして普通の友達のように話せるからかもしれない…。
…時々、ジーン様が王族だって忘れてしまうくらい、普通の男の子だったからだ。
しだいに、ジーン様の方から声をかけてくれるようになり、友人…くらいには、なれているだろうか…。
今は神官になるための試験を受けるため、ジーン様に教えてもらいながら一緒に勉強をしている。
まさか神殿で勉強をする事になるとは思わなかった。
ジーン様は、神官になる試験を受けるのを迷っているらしい。
けれど僕に付き合って、解らないところを見てくれる。
僕は神官になって、安定した給料を貰うぞ!と、意気込んでいるが、暗記するのが苦手だ。
ジーン様は子供の頃から神殿の物語として聞いていたから、なんとなく覚えているそうで、確認と復習を兼ねているそうだ。
子供の頃から物語を読みながら覚えているんだ…。
そう言うときは、育った環境の違いを思い出させる。
話をすれば、どこにでもいそうな、おとなしい男の子なんだよな…。
ジーン様は何を迷っているのだろう。
僕のように、目的があって神官になろうとしているわけではなく、高等科を卒業して、別の道を選ぼうか、迷っているのかもしれない。
ジーン様の相談に乗れなくて、ごめんね…。
ジーン様が、アミュール様とヤマツカ町へと行き、帰ってきてから数日、ジーン様の様子が少しおかしかった。
本を開いているのに、ぼんやりと眺めているだけ…。
そんな姿は始めて見た。
声をかけると驚いて、ホッとため息をつくなんて、どうしたんだろう…。
気にはなるが、さすがに聞けなかった。
アミュール様に呼ばれて、ジーン様がもう一度、『世界樹』の有るタミネキ村へ行くことになった。
神殿の建築状況を視察するために行くらしい。
でも、ジーン様は何故かソワソワしていた。
…『世界樹』の事以外に、タミネキ村に何があるのだろう…。
気になってしまうが、さすがに聞けないよな…。
ルベアはそう思いながら一緒に勉強をしていた。
話を聞くくらいしか僕には出来ないけれど、ジーン様がいつか僕に相談してくれたら嬉しいのに…。
もともと可愛らしい方だったが、タミネキ村に『世界樹』が出現し、アミュール様と視察に出向いて行って、帰ってきてからくらいだろうか。
時折ぼんやりとして、何かを思い出して頬を染めている。
回りの同級生達は気がついていないみたいだが、一緒に勉強をしている僕にとっては、『何かあった』と、思ってしまう。
ジーン様はこの国、カザンナ王国の第三王子ルーク様のご子息。
アミュール様に連れられて神殿に来た時、見習い神官はザワついた。
金色の髪に、優しげな顔立ち、少女に間違われるのではないかと思うくらい、可愛らしいかった。
仲良くなれば、もしかして側に仕える事になるかも…。
王族に仕えることになれば、大出世だ。
なのでしばらく、ジーン様の回りは騒がしかった。
それがうっとうしかったのだろう…。
ジーン様は直ぐに神殿の図書館に駆け込み、静かに本を読んでいた。
ジーン様は学校に通っている為、来るのは週末だけ…。
みんなと一緒に朝の御勤めを終えると、図書館に行き、本を読んだり、何かを書き写したり…。
しだいにジーン様の回りは静になり、中庭で本を読んでる姿を見かけるようになった。
僕は年の離れた双子の弟たちが、高等科まで学校に通って勉強出来るように、見習い神官になった。
もともと勉強が好きだったわけでは無いので…。
小等科を卒業さえしていれば、見習い神官になることは出来き、衣食住が保証され、神官の手伝いとして出先の催し物に出張すれば、ほんの少しだが、おこづかいがもらえる。
それを貯めて、少しでも家族の足しにしたかった。
なので僕は、神官の手伝いに明け暮れていたから、姿を見かけても、ジーン様とは話をしたこともなかった。
ただ、本当に本を読むのが好きな方なのだな…そう思っていた。
ジーン様が神殿に来るようになって、一年が過ぎる頃、アミュール様。神官長候補のシノアス様の補佐官様に呼ばれて行った先に、ジーン様がいた。
見習い神官として手伝いに連れていくため、僕も一緒に行って、不足があれば教えて手伝って欲しいとの事。
もらえる費用もいつもより多かったので、即座に了承した。
近くで見るジーン様は確かに可愛かった。
それから何度もアミュール様に呼ばれて、ジーン様と一緒に手伝いに行くようになった。
回りからは『何でお前が』と、言われたが、僕だって分からない。
しいて言うなら僕が、ジーン様にたいして普通の友達のように話せるからかもしれない…。
…時々、ジーン様が王族だって忘れてしまうくらい、普通の男の子だったからだ。
しだいに、ジーン様の方から声をかけてくれるようになり、友人…くらいには、なれているだろうか…。
今は神官になるための試験を受けるため、ジーン様に教えてもらいながら一緒に勉強をしている。
まさか神殿で勉強をする事になるとは思わなかった。
ジーン様は、神官になる試験を受けるのを迷っているらしい。
けれど僕に付き合って、解らないところを見てくれる。
僕は神官になって、安定した給料を貰うぞ!と、意気込んでいるが、暗記するのが苦手だ。
ジーン様は子供の頃から神殿の物語として聞いていたから、なんとなく覚えているそうで、確認と復習を兼ねているそうだ。
子供の頃から物語を読みながら覚えているんだ…。
そう言うときは、育った環境の違いを思い出させる。
話をすれば、どこにでもいそうな、おとなしい男の子なんだよな…。
ジーン様は何を迷っているのだろう。
僕のように、目的があって神官になろうとしているわけではなく、高等科を卒業して、別の道を選ぼうか、迷っているのかもしれない。
ジーン様の相談に乗れなくて、ごめんね…。
ジーン様が、アミュール様とヤマツカ町へと行き、帰ってきてから数日、ジーン様の様子が少しおかしかった。
本を開いているのに、ぼんやりと眺めているだけ…。
そんな姿は始めて見た。
声をかけると驚いて、ホッとため息をつくなんて、どうしたんだろう…。
気にはなるが、さすがに聞けなかった。
アミュール様に呼ばれて、ジーン様がもう一度、『世界樹』の有るタミネキ村へ行くことになった。
神殿の建築状況を視察するために行くらしい。
でも、ジーン様は何故かソワソワしていた。
…『世界樹』の事以外に、タミネキ村に何があるのだろう…。
気になってしまうが、さすがに聞けないよな…。
ルベアはそう思いながら一緒に勉強をしていた。
話を聞くくらいしか僕には出来ないけれど、ジーン様がいつか僕に相談してくれたら嬉しいのに…。
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