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二人の約束 ~ジーンの初恋~(番外編)
シルシ
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「ジーン。お前は俺の番だ」
ロキが意を決してジーンに言った。
ジーンはキョトンとして、何を言われたか分からなかった。
…えっ?
番って…?
えっと確か、お父様とリーンが魔力の番だと言っていた、番の事?
獣人の…恋人同士と言うか、伴侶と言うか…。
永遠の恋人と言うか…夫婦と言うか…。
僕とロキさんが…番?
ジーンの身体がカアッと熱くなった。
本ばかり読んでいて、恋愛経験の全く無いジーンにとっては、始めての経験で、どうしたら良いのか分からず俯いてしまった。
「…突然で驚くのは分かってる。…でも、また離れるとなると、言っておかないと後悔しそうだからな」
ロキはそう言って苦笑いした。
…番って事は、ロキさんは僕の事が『特別に好き』って事なのか?
ロキさんが僕を好き…。
そう思ったら、胸の中が熱くなって、耳が赤くなって熱を持っているのを感じた。
そんなやり取りをフリクを挟んでしていたものだから、フリクが不思議そうに、ジーンの赤くなった耳に触れてくる。
「…くすぐったいよ」
ジーンはフリクの手を自分の耳から離すと、フリクと目が合った。
…なんか子連れの僕に、求婚されているみたい…。
フリクは僕の子供でもないし、求婚でもないが…。
少し余裕が出てきたジーンは、黙ったままのロキをチラリと見ると、頭を抱えてウロウロと落ち着き無くうごめいているロキを見て、思わず笑ってしまった。
…狼狽えて、なんだかかわいい…。
特に返事が欲しい分けではなく、伝えたかったと、言うことなのだろう…。
ジーンはドキドキしながらロキに言う。
「……番と言うのは分からないけれど、座って話をしようよ…」
ロキの動きがピタリと止まり、嬉しそうにジーンの後ろに座ると、ヒョイとジーンを持ち上げて、ロキの膝の胡座をかいた足の上に座らされた。
…これはこれで恥ずかしい…。
でも、嫌ではないのだ…。
ロキにとっては普通の事かも知れないが、ジーンは背中にロキの体温を感じながら、頬を染めて、さっき出会ったばかりの『桜』のモモの話をした。
しばらくすると、ジーンの腕の中の重みが増し、フリクが眠っていた。
お昼寝の時間だ。
かわいい寝顔にジーンが微笑むと、ロキがジーンの肩越しにフリクを覗いてきて、横にロキの顔が有ると思うとドキドキした。
僕は、ユーリのようにキリトの側にいたくて、強くなるために騎士になり、卒業と共にキリトを追いかけて行く勇気もなく、それだけの思いを胸に宿したことがない。
番だと言うロキさんに、いつかそんな思いを抱くのだろうか…。
ジーンがそんな事を思っていると、首筋に何か暖かいものが触れた。
なに…?
横を見ると、ロキさんが意地悪そうな顔をしてジーンの首筋をペロリと舐めたのだ。
「…なっ?!」
驚くジーンを無視して、ロキは再びジーンの首筋に唇をくっ付けて、チュッと吸い付いた。
「んんんっ…?!」
ロキが吸い付いたところから、ジンジンと熱を持ち始める。
ガッチリとロキの腕の中にフリクごと捕らえられているジーンは身動きが取れず、心臓がバクバクと鳴り始めた。
…えっと…番って事は、そう言うことも含めて…って事だよね…。
取りあえず知識だけは有ったジーンは、ロキがそう言う行為を含めてなのだと理解し、真っ赤になった。
多分、ロキに触れられるのは嫌ではない。
だけど心や気持ちが、現状に置いてかれてしまっている…。
それだけは理解した。
「…待って…」
ジーンが小さく叫ぶと、ロキは唇を放してくれた。
「…いっぱい、いっぱいで…気持ちが…追い付かない…」
ジーンは正直に言った。
「…わかった…」
ロキは少し寂しそうな声で、呟くとジーンの肩にアゴをのせた。
「…もう少し…待つ」
その声に、ジーンの胸がギュッと締め付けられた。
…嫌ではない…。
触られると、気持ちが良い…。
落ち着く、いい匂いがする…。
この人となら、のんびりと暮らせるのかな…。
ジーンはそうな風に感じた。
「だから、早く戻って来い」
ロキにそう言われた。
…戻って来い…。
…王都ではなく、僕の居場所はココなのだと…。
このロキの腕の中なのだと…そう言われた気がした。
…ココに来るために、僕が出きること…。
ロキさんと、ちゃんと向き合うためには…。
もう、それは一つしか、選択肢は残されてなかった。
ロキが意を決してジーンに言った。
ジーンはキョトンとして、何を言われたか分からなかった。
…えっ?
番って…?
えっと確か、お父様とリーンが魔力の番だと言っていた、番の事?
獣人の…恋人同士と言うか、伴侶と言うか…。
永遠の恋人と言うか…夫婦と言うか…。
僕とロキさんが…番?
ジーンの身体がカアッと熱くなった。
本ばかり読んでいて、恋愛経験の全く無いジーンにとっては、始めての経験で、どうしたら良いのか分からず俯いてしまった。
「…突然で驚くのは分かってる。…でも、また離れるとなると、言っておかないと後悔しそうだからな」
ロキはそう言って苦笑いした。
…番って事は、ロキさんは僕の事が『特別に好き』って事なのか?
ロキさんが僕を好き…。
そう思ったら、胸の中が熱くなって、耳が赤くなって熱を持っているのを感じた。
そんなやり取りをフリクを挟んでしていたものだから、フリクが不思議そうに、ジーンの赤くなった耳に触れてくる。
「…くすぐったいよ」
ジーンはフリクの手を自分の耳から離すと、フリクと目が合った。
…なんか子連れの僕に、求婚されているみたい…。
フリクは僕の子供でもないし、求婚でもないが…。
少し余裕が出てきたジーンは、黙ったままのロキをチラリと見ると、頭を抱えてウロウロと落ち着き無くうごめいているロキを見て、思わず笑ってしまった。
…狼狽えて、なんだかかわいい…。
特に返事が欲しい分けではなく、伝えたかったと、言うことなのだろう…。
ジーンはドキドキしながらロキに言う。
「……番と言うのは分からないけれど、座って話をしようよ…」
ロキの動きがピタリと止まり、嬉しそうにジーンの後ろに座ると、ヒョイとジーンを持ち上げて、ロキの膝の胡座をかいた足の上に座らされた。
…これはこれで恥ずかしい…。
でも、嫌ではないのだ…。
ロキにとっては普通の事かも知れないが、ジーンは背中にロキの体温を感じながら、頬を染めて、さっき出会ったばかりの『桜』のモモの話をした。
しばらくすると、ジーンの腕の中の重みが増し、フリクが眠っていた。
お昼寝の時間だ。
かわいい寝顔にジーンが微笑むと、ロキがジーンの肩越しにフリクを覗いてきて、横にロキの顔が有ると思うとドキドキした。
僕は、ユーリのようにキリトの側にいたくて、強くなるために騎士になり、卒業と共にキリトを追いかけて行く勇気もなく、それだけの思いを胸に宿したことがない。
番だと言うロキさんに、いつかそんな思いを抱くのだろうか…。
ジーンがそんな事を思っていると、首筋に何か暖かいものが触れた。
なに…?
横を見ると、ロキさんが意地悪そうな顔をしてジーンの首筋をペロリと舐めたのだ。
「…なっ?!」
驚くジーンを無視して、ロキは再びジーンの首筋に唇をくっ付けて、チュッと吸い付いた。
「んんんっ…?!」
ロキが吸い付いたところから、ジンジンと熱を持ち始める。
ガッチリとロキの腕の中にフリクごと捕らえられているジーンは身動きが取れず、心臓がバクバクと鳴り始めた。
…えっと…番って事は、そう言うことも含めて…って事だよね…。
取りあえず知識だけは有ったジーンは、ロキがそう言う行為を含めてなのだと理解し、真っ赤になった。
多分、ロキに触れられるのは嫌ではない。
だけど心や気持ちが、現状に置いてかれてしまっている…。
それだけは理解した。
「…待って…」
ジーンが小さく叫ぶと、ロキは唇を放してくれた。
「…いっぱい、いっぱいで…気持ちが…追い付かない…」
ジーンは正直に言った。
「…わかった…」
ロキは少し寂しそうな声で、呟くとジーンの肩にアゴをのせた。
「…もう少し…待つ」
その声に、ジーンの胸がギュッと締め付けられた。
…嫌ではない…。
触られると、気持ちが良い…。
落ち着く、いい匂いがする…。
この人となら、のんびりと暮らせるのかな…。
ジーンはそうな風に感じた。
「だから、早く戻って来い」
ロキにそう言われた。
…戻って来い…。
…王都ではなく、僕の居場所はココなのだと…。
このロキの腕の中なのだと…そう言われた気がした。
…ココに来るために、僕が出きること…。
ロキさんと、ちゃんと向き合うためには…。
もう、それは一つしか、選択肢は残されてなかった。
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