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希少種
ジェスの祖父
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馬車から降りた、ジェスの祖父がゆっくりと『世界樹』のもとに歩いて来る。
マークとカムイが不安そうに、家から顔を覗かせこちらを見ている。
ジェスの祖父が『世界樹』の側に来ると、何かを探るように、その場に立っていたリーンをじっと見てくる。
そして、フゥ…と息を吐くと、話しかけてきた。
「…『森の聖域』のリーン様…ですな…」
リーンはそう言われて一瞬ドキッとする。
『森の聖域』と呼ぶものは…人族の中では少ない。
『森の聖域』には、魔力が強くなければ、たどり着けないし、獣人達の街を越えないと行けないので、人族でたどり着けるのは、ほとんど居ない…。
「昔、グオルクの友人に連れて行ってもらったことがある。…お変わり無いようで…」
そう言われてリーンは苦笑いした。
「…ごめん。覚えていない…」
「そうでしょうな…。五十年以上前の事ですから…」
獣人の町グオルクの友人…。
それなら強い魔力や保護の魔法を使えれば、人族でも『森の聖域』にたどり着ける。
けれど、さすがにそれだけ時間がたっていると、『森の聖域』に来た人族の者も多い。
よっぽど印象に残っていなければ、忘れてしまっているだろう…。
「…貴方様がこちらに、いらっしゃって、安心いたしました」
そう言ってジェスの祖父は、少しジェスに似た顔にシワをよせて微笑んだ。
リーンはその様子に苦笑いして言う。
「…『世界樹』は、まだ幼い…。この地を守れるだけの魔力は無い…」
「…我らが一族で守りましょう。タミネキ村の住人と神殿と協力して…」
「そうしてくれると助かる」
リーンがそう言うと、家の方にいたマークが意を決して、声をかけてきた。
「…こちらでお話しませんか。今後の事も有るだろうし…」
…そうだな。
落ち着いて話をしなくてはいけない。
「ありがとう、マーク。…家の方へ…」
リーンは微笑んで促した。
ジェスは頷くと、ジェスの祖父と一緒に、ゆっくりと家に向かってあるきだした。
…そうだ。
ロキも呼んだ方が良いだろう。
『世界樹』は、狼の獣人の里と、タミネキ村の住人で守ってきたもの…。
タミネキ村の管轄である領主と、獣人の里のロキも、顔合わせをしておいた方が良いだろう。
リーンは、ロキが上っていく山の方を向くと声をかけた。
「ロキ」
返事はない。
だが、ロキの仲間がこの周辺を警護しているはず…。
リーンはもう一度声をかけた。
「ロキを呼んできてくれないか」
そう言うと、山の奥の方で、ガサガサと草が擦れる音がして遠ざかって行った。
ロキを呼びに行ってくれたのだろう。
リーンが再び家の方に向くと、ジェスがチラリとこちらを見て、家の中に入るところだった。
ジェス達には話しておいた方が良いだろう。
ヤマツカ町は獣人を多くの雇用している町だ。
理解してくれるはず。
マークやカムイ、そしてロキの事を話して…。
そしてリーンは、ふと思った。
ジェスは祖父に、どこまで話してあるのか後で確認しなくてはいけない。
私とルークとの関係が知れわたると、話がややこしくなってしまいそうだからだ。
リーンはジェスの後を追って、家の中に入った。
マークとカムイが不安そうに、家から顔を覗かせこちらを見ている。
ジェスの祖父が『世界樹』の側に来ると、何かを探るように、その場に立っていたリーンをじっと見てくる。
そして、フゥ…と息を吐くと、話しかけてきた。
「…『森の聖域』のリーン様…ですな…」
リーンはそう言われて一瞬ドキッとする。
『森の聖域』と呼ぶものは…人族の中では少ない。
『森の聖域』には、魔力が強くなければ、たどり着けないし、獣人達の街を越えないと行けないので、人族でたどり着けるのは、ほとんど居ない…。
「昔、グオルクの友人に連れて行ってもらったことがある。…お変わり無いようで…」
そう言われてリーンは苦笑いした。
「…ごめん。覚えていない…」
「そうでしょうな…。五十年以上前の事ですから…」
獣人の町グオルクの友人…。
それなら強い魔力や保護の魔法を使えれば、人族でも『森の聖域』にたどり着ける。
けれど、さすがにそれだけ時間がたっていると、『森の聖域』に来た人族の者も多い。
よっぽど印象に残っていなければ、忘れてしまっているだろう…。
「…貴方様がこちらに、いらっしゃって、安心いたしました」
そう言ってジェスの祖父は、少しジェスに似た顔にシワをよせて微笑んだ。
リーンはその様子に苦笑いして言う。
「…『世界樹』は、まだ幼い…。この地を守れるだけの魔力は無い…」
「…我らが一族で守りましょう。タミネキ村の住人と神殿と協力して…」
「そうしてくれると助かる」
リーンがそう言うと、家の方にいたマークが意を決して、声をかけてきた。
「…こちらでお話しませんか。今後の事も有るだろうし…」
…そうだな。
落ち着いて話をしなくてはいけない。
「ありがとう、マーク。…家の方へ…」
リーンは微笑んで促した。
ジェスは頷くと、ジェスの祖父と一緒に、ゆっくりと家に向かってあるきだした。
…そうだ。
ロキも呼んだ方が良いだろう。
『世界樹』は、狼の獣人の里と、タミネキ村の住人で守ってきたもの…。
タミネキ村の管轄である領主と、獣人の里のロキも、顔合わせをしておいた方が良いだろう。
リーンは、ロキが上っていく山の方を向くと声をかけた。
「ロキ」
返事はない。
だが、ロキの仲間がこの周辺を警護しているはず…。
リーンはもう一度声をかけた。
「ロキを呼んできてくれないか」
そう言うと、山の奥の方で、ガサガサと草が擦れる音がして遠ざかって行った。
ロキを呼びに行ってくれたのだろう。
リーンが再び家の方に向くと、ジェスがチラリとこちらを見て、家の中に入るところだった。
ジェス達には話しておいた方が良いだろう。
ヤマツカ町は獣人を多くの雇用している町だ。
理解してくれるはず。
マークやカムイ、そしてロキの事を話して…。
そしてリーンは、ふと思った。
ジェスは祖父に、どこまで話してあるのか後で確認しなくてはいけない。
私とルークとの関係が知れわたると、話がややこしくなってしまいそうだからだ。
リーンはジェスの後を追って、家の中に入った。
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