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希少種
通信魔道具
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リーンはその夜、ルークにもらった通信用の魔法道具を使い、ルークに連絡を取った。
通信用の魔道具は試作品で、魔道具に魔力を込めるとどこにいても繋がるらしく、現在はルークとリーンにしか繋がらない為、秘密の話をするには便利だ。
使い方としては簡単で、魔道具に個人の魔力を登録して、魔力同士を繋げるらしい…。
いずれ一つの魔道具で、何人もの魔力を登録して使えるように研究されているとの事。
そうなれば、固定の通信鏡を使わなくても連絡が取れるので、僻地や山間の村の非常用の連絡に重宝するだろう。
まだ先の話だが…。
そしてルークには、タミネキ村の『世界樹』の事を説明した。
今日、ルークは登城していたらしく、夕方、王城がバタついていたのを目にしていて、納得していた。
明日には正式に報告が上がってくるだろう…と。
すぐさま港街の神殿に連絡がいくだろうし、派遣される者が王城に挨拶に来て、先行団体がヤマツカ町を拠点にタミネキ村へと出向くことになるだろう。
そして、先行団体に転移魔法を使えるものが同行し、『転移』で神官長及び、神官が行き、今後の事を話することになるだろう…と。
神殿の先行団体が馬車で移動してくるなら、来るのは五日後。
もしくは、早馬だけを送ってくるなら、三日か四日…。
大体の流れだけを教えてもらっておくと、対応に困らないから助かる。
「…俺も行きたいが、多分、シノアスとレオン兄上が『転移』するだろうから、俺まで動いたら大事になる」
ルークが悔しそうに呟くのが聞こえて、リーンは思わず笑ってしまった。
シノアスとは、港街の神官で、次期神官長候補となっていて、ルークの二番目の兄、カザンナ王国第二王子レオンの幼馴染みでもあり、多分、レオン王子の大切な人…。
昔、シノアスが誘拐され、護衛で神殿の警備隊長のレオン王子が荒れ狂い、捕らえられていた屋敷を吹っ飛ばしたと言われている。
…まあ、私も昔、屋敷を吹っ飛ばした事があるから…、レオン王子はそれくらい、やってのけるだけの魔力は持っているので、真実だろう…。
レオン王子が怒りを押さえきれないくらい、大切な人だと周囲に知らしめた事件でもあった。
「…ルークまで、王都から離れるわけにはいかないだろうし、この件が終わったら…」
私の大切な人が眠る場所に案内しよう…。
「…そうだな」
ルークはそう言ってしばらく無言でいると、楽しそうに声をかけてきた。
「みんなで行こう。…ジーンとユーリと、キースとミーナとニーナと」
「えっ」
驚くリーンを置いて、ルークは閃いたとばかりに、楽しそうな声だ。
「子供達の学校が長期休暇になったとき、旅行がてらそっちに向かう。本当は俺達も『転移』して行けば直ぐだが、子供達にもいろんな町と風景を見せてやりたいしな」
そう言って、ルークが父親らしく子供達の見聞を広げれる環境を作ってくれる。
私達に馬車に揺られて長距離を移動する機会は、あまりない。
どうしても私やルークが一緒だと、『転移』魔法や『魔法陣』などを使って、遠く離れたグオルクやリオナスへ、すぐにたどり着いてしまうからだ。
子供達にも、本来の長距離移動を経験する良い機会になるだろう…。
リーンは嬉しくて、ムズムズしてルークに会いたくなってしまった。
でも今は…。
「うん。楽しみに待ってるよ」
リーンはそう答えて、通信を切った。
…以前の約束を覚えているのだろうか…。
いつか、ジーンの名前の由来になった、リーンの大切な人に会いに行こうと、約束した…。
それが、今、なのだろうか…。
…それとも、『世界樹』とは関係なく、何か重要な事が、起ころうとしているのだろうか…。
…しばらく考えたが、悩んでも仕方ないので、今、リーンができる事をしようと思った。
通信用の魔道具は試作品で、魔道具に魔力を込めるとどこにいても繋がるらしく、現在はルークとリーンにしか繋がらない為、秘密の話をするには便利だ。
使い方としては簡単で、魔道具に個人の魔力を登録して、魔力同士を繋げるらしい…。
いずれ一つの魔道具で、何人もの魔力を登録して使えるように研究されているとの事。
そうなれば、固定の通信鏡を使わなくても連絡が取れるので、僻地や山間の村の非常用の連絡に重宝するだろう。
まだ先の話だが…。
そしてルークには、タミネキ村の『世界樹』の事を説明した。
今日、ルークは登城していたらしく、夕方、王城がバタついていたのを目にしていて、納得していた。
明日には正式に報告が上がってくるだろう…と。
すぐさま港街の神殿に連絡がいくだろうし、派遣される者が王城に挨拶に来て、先行団体がヤマツカ町を拠点にタミネキ村へと出向くことになるだろう。
そして、先行団体に転移魔法を使えるものが同行し、『転移』で神官長及び、神官が行き、今後の事を話することになるだろう…と。
神殿の先行団体が馬車で移動してくるなら、来るのは五日後。
もしくは、早馬だけを送ってくるなら、三日か四日…。
大体の流れだけを教えてもらっておくと、対応に困らないから助かる。
「…俺も行きたいが、多分、シノアスとレオン兄上が『転移』するだろうから、俺まで動いたら大事になる」
ルークが悔しそうに呟くのが聞こえて、リーンは思わず笑ってしまった。
シノアスとは、港街の神官で、次期神官長候補となっていて、ルークの二番目の兄、カザンナ王国第二王子レオンの幼馴染みでもあり、多分、レオン王子の大切な人…。
昔、シノアスが誘拐され、護衛で神殿の警備隊長のレオン王子が荒れ狂い、捕らえられていた屋敷を吹っ飛ばしたと言われている。
…まあ、私も昔、屋敷を吹っ飛ばした事があるから…、レオン王子はそれくらい、やってのけるだけの魔力は持っているので、真実だろう…。
レオン王子が怒りを押さえきれないくらい、大切な人だと周囲に知らしめた事件でもあった。
「…ルークまで、王都から離れるわけにはいかないだろうし、この件が終わったら…」
私の大切な人が眠る場所に案内しよう…。
「…そうだな」
ルークはそう言ってしばらく無言でいると、楽しそうに声をかけてきた。
「みんなで行こう。…ジーンとユーリと、キースとミーナとニーナと」
「えっ」
驚くリーンを置いて、ルークは閃いたとばかりに、楽しそうな声だ。
「子供達の学校が長期休暇になったとき、旅行がてらそっちに向かう。本当は俺達も『転移』して行けば直ぐだが、子供達にもいろんな町と風景を見せてやりたいしな」
そう言って、ルークが父親らしく子供達の見聞を広げれる環境を作ってくれる。
私達に馬車に揺られて長距離を移動する機会は、あまりない。
どうしても私やルークが一緒だと、『転移』魔法や『魔法陣』などを使って、遠く離れたグオルクやリオナスへ、すぐにたどり着いてしまうからだ。
子供達にも、本来の長距離移動を経験する良い機会になるだろう…。
リーンは嬉しくて、ムズムズしてルークに会いたくなってしまった。
でも今は…。
「うん。楽しみに待ってるよ」
リーンはそう答えて、通信を切った。
…以前の約束を覚えているのだろうか…。
いつか、ジーンの名前の由来になった、リーンの大切な人に会いに行こうと、約束した…。
それが、今、なのだろうか…。
…それとも、『世界樹』とは関係なく、何か重要な事が、起ころうとしているのだろうか…。
…しばらく考えたが、悩んでも仕方ないので、今、リーンができる事をしようと思った。
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