神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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希少種

タミネキ村の村長

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 リーンは、カムイの運転する馬車に乗り、マークとスバルとロキと共に『宿り木』の元に向かった。
 ロキの弟ロイは療養所の留守番だ。
 いつ薬が欲しいと患者が来るか分からないからだ。
 一緒に住み始め、村人にも助手として認知されているから不安なことはないと、スバルは言っていた。
 スバルにも安心して任せれる人が出来た事が嬉しい。
 途中、村長の家に寄り、あらかたの説明をするため、スバルも同行していた。
 羽の生えた木霊の状態を見て、もしかしたらカザンナ王国の介入が起こるかもしれないので、領主との話し合いに参加してもらわなくてはいけないからだ。
 ある程度、順序立てておかないと、後で村長は知らなかったでは、済まされなくなってしまう。
 馬車に揺られながらスバルが思い出したように笑う。
「今の村長は、結界騒動の時の息子だ」
 以前、ジンとこの村に来たとき、山の上に有るお堂の結界石を取り出し、狼獣人によって『呪いの魔法』受けた三人の内の一人の事だ。
 その『呪いの魔法』をかけたのは、ココにいる狼獣人のロキ達だし、村人は心を入れ替え今は彼らと交流して『宿り木』を守ってくれていた。
「今は真面目に村の事を思って仕事をしている」
 村の為に何をしなくてはいけないのか、しっかりと見極められるようになったなら良かった。
 まあ、あれから二十年近くすぎて、成長したと言うことだろう…。
 村の風景はのどかで、記憶の中にあるより住宅が少し増えている気がする。
 町に行っていた若い者達が帰ってきて、ここで暮らしているのだろうか…。
 しばらく馬車に揺られて村の中を進んでいくと、ちらほらと家から人が出てきて様子を見ている。
 そして馬車が村長の家の前に止まると、家の中からワラワラと人が出てきた。
 スバルが事前に村長宅に連絡をいれていたらしい。
 急に来られても惑うだろうから…と。
 リーンが馬車を降りると、ざわめきが起こった。
「『森の管理者』様…」
「変わらぬお姿だ…」
 村の中心になっている者だろう、者達が集まっていた。
 その中心に現在の村長が現れ、頭を下げると、村人達が頭を下げる。
「ようこそ、おいでくださいました『森の管理者』様」
 リーンは苦笑いしてスバルを見る。
 スバルも苦笑いして言う。
「村長。中で落ち着いて話をしよう」
「そうですね。こちらへ…」
 村長に促され、家の方に向くと、村人がサッと左右に別れ道をあける。
 …なんか変な感じ…。
 ロキを見ると肩をすくめ、マークとスバルは苦笑いしている。
 リーンはロキとマークとスバルと共に、村長の家に入っていった。

 スバルを間に挟み、村長と村の住人、リーン達は羽の生えた木霊の話をした。
 村人達の中にも、見たものがいて、気のせいかと思っていたらしい…。
 そして木霊の状況により、もしかしたらカザンナ王国が介入して保護する事になるだろうし、間に入って、領主の方の説明をして欲しいと願い出た。
 村長は承諾し、同行して良いかと聞いてきたので、了承した。
 やはり目の前で見てみないと、現実味がないからだ。
 村長達は荷馬車を一台用意し、村人五人が乗り込んだ。
 リーン達と同じ馬車にと、言ったが、遠慮されてしまった。
 リーン達は再び馬車に乗り、羽の生えた木霊のいる『宿り木』に向かった。
 


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