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名前を呼んで…。(番外編) その後のヒナキとユグの話
会えない…。
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ヒナキはクルーラに戻ると、寝室に入り、ベッドの上にパタンとうつぶせに寝転がった。
まだ、顔が暑い…。
日が沈みかけ、薄暗くなってきたから分からなかっただろうが、ヒナキは真っ赤な顔をして、帰ってきたのだ。
ヒナキはゴロリと仰向けになる。
…何かおかしい…。
僕も…ユグも…。
リーンとルークの仲良さげな様子に当てられたのか…?
と言うか、ユグが見ているなかで、ヤってたのか…?
ヒナキは頬に赤みがさした。
…ユグが覗いていたのかも知れない…。
…ただ、ユグがそれを望んだとしても、僕ではどうしようも無いのだ…。
ヒナキはユグの行動と自分のとった行動を思い浮かべては、頬を染め、どう接したらいいのかグルグルと迷っている内に眠ってしまった。
翌朝。
ヒナキは『森の聖域』の世界樹ユグの元に向かった。
なんかユグの事を拒絶したみたいで、でも、どうしたら良いのか分からなくて、取りあえずユグに会って話をしたかった。
脇道を抜け、世界樹の元に来るとヒナキは手を触れさせ声をかけた。
「ユグ。…昨日はごめん。なんか…混乱して…」
ヒナキが話しかけるが姿を表さない。
「ユグ」
ヒナキが何度も声をかけるが返答はなく、他の木霊達が近付いてきた。
…僕の事を心配して来てくれたのだ。
「大丈夫だから…」
ヒナキは苦笑いして、木霊の頭を撫でてあげると、ニコニコ笑って公園の方に向かって行った。
「…ユグ」
ヒナキは毎日、世界樹の元に訪れ、世界樹に寄りかかり木霊達に絵本を読んであげたり、一緒に昼寝をしたりしていたが、ユグは姿を見せてくれなかった。
時折、世界樹を見上げて、ユグが顔を覗かせていないか見るが、そんな気配すらない…。
ユグ…。
研究や『魔素の解放』で、長い時間、会えないことは何度も有ったが、これだけ側にいて会ってくれないのは始めてだ。
ユグ…。
ヒナキの体調が悪くなったのは、ユグが姿を見せてくれなくなり、一月ほど経った頃だった。
はじめは食欲不振。
…食欲が無くなった。
今まで疲労とか、魔力切れとかで倒れたことは有ったが、食べれなくなる事は無かった。
…あまり良くないな…。
そう思っている内に、血の気が引いて、貧血で倒れた。
あまりにも僕の様子がおかしいと、門番のチトセが豹の獣人ヒイロを呼んだ。
ヒイロはリーンと一緒に遊んだ友達であり、僕達の事情を良く分かっていて、昔から『森の聖域』を守る一族の者だ。
体調を崩してベッドに横たわっていた僕は、ヒイロの顔を見るなり泣いていた。
体調が優れないのと、情緒不安定なのも有るのか、何故か涙が止まらなかった。
ヒイロは黙って僕の頭を撫でて、落ち着くまで側にいてくれ、そして眠ってしまった。
まだ、顔が暑い…。
日が沈みかけ、薄暗くなってきたから分からなかっただろうが、ヒナキは真っ赤な顔をして、帰ってきたのだ。
ヒナキはゴロリと仰向けになる。
…何かおかしい…。
僕も…ユグも…。
リーンとルークの仲良さげな様子に当てられたのか…?
と言うか、ユグが見ているなかで、ヤってたのか…?
ヒナキは頬に赤みがさした。
…ユグが覗いていたのかも知れない…。
…ただ、ユグがそれを望んだとしても、僕ではどうしようも無いのだ…。
ヒナキはユグの行動と自分のとった行動を思い浮かべては、頬を染め、どう接したらいいのかグルグルと迷っている内に眠ってしまった。
翌朝。
ヒナキは『森の聖域』の世界樹ユグの元に向かった。
なんかユグの事を拒絶したみたいで、でも、どうしたら良いのか分からなくて、取りあえずユグに会って話をしたかった。
脇道を抜け、世界樹の元に来るとヒナキは手を触れさせ声をかけた。
「ユグ。…昨日はごめん。なんか…混乱して…」
ヒナキが話しかけるが姿を表さない。
「ユグ」
ヒナキが何度も声をかけるが返答はなく、他の木霊達が近付いてきた。
…僕の事を心配して来てくれたのだ。
「大丈夫だから…」
ヒナキは苦笑いして、木霊の頭を撫でてあげると、ニコニコ笑って公園の方に向かって行った。
「…ユグ」
ヒナキは毎日、世界樹の元に訪れ、世界樹に寄りかかり木霊達に絵本を読んであげたり、一緒に昼寝をしたりしていたが、ユグは姿を見せてくれなかった。
時折、世界樹を見上げて、ユグが顔を覗かせていないか見るが、そんな気配すらない…。
ユグ…。
研究や『魔素の解放』で、長い時間、会えないことは何度も有ったが、これだけ側にいて会ってくれないのは始めてだ。
ユグ…。
ヒナキの体調が悪くなったのは、ユグが姿を見せてくれなくなり、一月ほど経った頃だった。
はじめは食欲不振。
…食欲が無くなった。
今まで疲労とか、魔力切れとかで倒れたことは有ったが、食べれなくなる事は無かった。
…あまり良くないな…。
そう思っている内に、血の気が引いて、貧血で倒れた。
あまりにも僕の様子がおかしいと、門番のチトセが豹の獣人ヒイロを呼んだ。
ヒイロはリーンと一緒に遊んだ友達であり、僕達の事情を良く分かっていて、昔から『森の聖域』を守る一族の者だ。
体調を崩してベッドに横たわっていた僕は、ヒイロの顔を見るなり泣いていた。
体調が優れないのと、情緒不安定なのも有るのか、何故か涙が止まらなかった。
ヒイロは黙って僕の頭を撫でて、落ち着くまで側にいてくれ、そして眠ってしまった。
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