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世界樹の実
森の生活
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ヒナキは、彼らが拾ってくれたから死なずにすんだので、『良いよ』と返事した。
そしてヒナキの『森の聖域』での生活が始まった。
ヒナキはピットに水を飲ませたり、食事を食べさせたり、身体を拭いたりして身の回りの事をするようになった。
最初は加減が分からず、もう一人の熊族の男の人…ショウタさんに教えてもらいながら、交代でピットの世話をした。
それはココに残ったのが、ショウタさんと僕だけだったからだ。
僕を助けてくれた熊族の男の人は、魔力酔いを起こした三人を連れて村へ戻ったのだとショウタさんから聞いた。
魔力が多くても、この地に順応するか分からなかったので、候補者四人を連れてきたそうだ。
だからショウタさん曰く、一人でピット様の世話係をすることになりそうだったから、僕がいてくれて助かったと言っていた。
…でも僕は、魔力が強くはないし、何故この森にいたのかも分からないままだった。
それから二日くらいは『森の聖域』にいても、あまり感じなかったが、徐々に頭痛がし始め、目覚めた時にいた『森の聖域』の外の小屋へと戻った。
改めて思うと、小屋はピットの身の回りをする者が宿泊するための小屋で、近くに湧き水が出る場所が有り、そこから飲み水を確保し、少し下流で洗濯や食器を洗った。
そんな生活が一月ほど過ぎた頃、洗濯をしに少し下流に降りていくと、川辺に人が倒れていた。
ヒナキは恐る恐る近づき、息をしているのを確認してショウタさんを呼びに行った。
自分一人ではどうしたら良いのか分からなかったからだ。
ショウタさんと二人で、倒れていた男の人を小屋に連れてきい、意識を取り戻した男の人はマキノと名乗った。
彼は薬師をしていて、珍しい薬草が有ると聞いて森に入り、迷子になってしまったそうだ。
ショウタさんは何か魔法を使って熊族の村に連絡を取り、しばらく様子を見ることになり、食料は魔法陣を使い、時々、熊族の村から送られてきていたので、マキノさんの分も含めて少し多めに送られてきた。
とは言え、調理するのはショウタさんと僕でしかなかったが…。
マキノさんには『森の聖域』とピットの事を秘密にしていたので、どちらかが必ずマキノさんと一緒にいる事にしていたが、数日して、熊族からこの間の男の人…リョウタさんと二人の熊族の男の人が来て、マキノさんと何やら話をして、『森の聖域』に連れていくことになり、マキノさんは『森の聖域』に順応し、珍し薬草を見て興奮していた。
マキノさんはこの地に住むことを決意して、『森の聖域』の外の小屋の側に家を建てて、薬草の研究をすることになった。
ヒナキがそれに気が付いたのは、定期的に外の獣人達も姿を見せ、ピットが寝ている家の隣にある大きな木に、手を触れさせて、何か独り言を言っている人達がいたからだ。
…なんだろう?
『森の聖域』に来て、少しヒナキも慣れてきたのも、余裕が出来てきたのも有るのだろう。
ピットに食事を与え、少し話をして、ピットが眠りに付いたので、ヒナキは外に出てその木に触れた。
初めてココに来たときのように、キラキラ輝く緑色の光が見えた。
ヒナキが、その光は何だろうと不思議そうに見ていると、木から子供が顔を除かせたので、ヒナキは驚いて腰を抜かしてしまい、その場に座り込んでしまった。
「「…。」」
互いに、相手の様子を伺って動かずにいると、遠くからマキノさんが声をかけてきたので、ヒナキはハッとして立ち上がった。
「…ヒナキ君…どうした?」
マキノさんが近付いてきて、一瞬目を離した隙に、木から顔を覗かせていた子供はいなくなっていた。
「…今…ここから子供が…」
ヒナキが木を指差すと、マキノさんは微笑んだ。
「きっと、この木の木霊が姿を現したんだろう。…ヒナキ君。魔法の練習をしよう。君ならこの森の子達と仲良くなれるから」
そう言われた。
…この森の子達?
…誰かいるのだろうか?
その頃は、木霊や水霊、風霊達の存在すら知らなかったので、ヒナキは首をかしげていた。
ヒナキはピットの身の回りの世話をしながら、話し相手になり、マキノさんに魔法を教えてもらうことになったので、とても忙しくなった。
そして気が付けば、拾われてから一年が過ぎ、『森の聖域』の外には家が何軒か建てられ、『森の聖域』より少し魔素の弱いその場所に、ピットは引っ越ししていた。
まだ、ここなら普通に、自分で食事をして生活できる…と。
そして、ヒナキはピットと一緒に、マキノさんの薬草の乾燥をする手伝いをしたり、熊族と一緒に木の実を拾いに行ったり…。
二人は熊族が保護者になり、後に『クルーラ』となる村で生活をすることになった。
そしてそれを少し離れて見ている、世界樹がいた。
そしてヒナキの『森の聖域』での生活が始まった。
ヒナキはピットに水を飲ませたり、食事を食べさせたり、身体を拭いたりして身の回りの事をするようになった。
最初は加減が分からず、もう一人の熊族の男の人…ショウタさんに教えてもらいながら、交代でピットの世話をした。
それはココに残ったのが、ショウタさんと僕だけだったからだ。
僕を助けてくれた熊族の男の人は、魔力酔いを起こした三人を連れて村へ戻ったのだとショウタさんから聞いた。
魔力が多くても、この地に順応するか分からなかったので、候補者四人を連れてきたそうだ。
だからショウタさん曰く、一人でピット様の世話係をすることになりそうだったから、僕がいてくれて助かったと言っていた。
…でも僕は、魔力が強くはないし、何故この森にいたのかも分からないままだった。
それから二日くらいは『森の聖域』にいても、あまり感じなかったが、徐々に頭痛がし始め、目覚めた時にいた『森の聖域』の外の小屋へと戻った。
改めて思うと、小屋はピットの身の回りをする者が宿泊するための小屋で、近くに湧き水が出る場所が有り、そこから飲み水を確保し、少し下流で洗濯や食器を洗った。
そんな生活が一月ほど過ぎた頃、洗濯をしに少し下流に降りていくと、川辺に人が倒れていた。
ヒナキは恐る恐る近づき、息をしているのを確認してショウタさんを呼びに行った。
自分一人ではどうしたら良いのか分からなかったからだ。
ショウタさんと二人で、倒れていた男の人を小屋に連れてきい、意識を取り戻した男の人はマキノと名乗った。
彼は薬師をしていて、珍しい薬草が有ると聞いて森に入り、迷子になってしまったそうだ。
ショウタさんは何か魔法を使って熊族の村に連絡を取り、しばらく様子を見ることになり、食料は魔法陣を使い、時々、熊族の村から送られてきていたので、マキノさんの分も含めて少し多めに送られてきた。
とは言え、調理するのはショウタさんと僕でしかなかったが…。
マキノさんには『森の聖域』とピットの事を秘密にしていたので、どちらかが必ずマキノさんと一緒にいる事にしていたが、数日して、熊族からこの間の男の人…リョウタさんと二人の熊族の男の人が来て、マキノさんと何やら話をして、『森の聖域』に連れていくことになり、マキノさんは『森の聖域』に順応し、珍し薬草を見て興奮していた。
マキノさんはこの地に住むことを決意して、『森の聖域』の外の小屋の側に家を建てて、薬草の研究をすることになった。
ヒナキがそれに気が付いたのは、定期的に外の獣人達も姿を見せ、ピットが寝ている家の隣にある大きな木に、手を触れさせて、何か独り言を言っている人達がいたからだ。
…なんだろう?
『森の聖域』に来て、少しヒナキも慣れてきたのも、余裕が出来てきたのも有るのだろう。
ピットに食事を与え、少し話をして、ピットが眠りに付いたので、ヒナキは外に出てその木に触れた。
初めてココに来たときのように、キラキラ輝く緑色の光が見えた。
ヒナキが、その光は何だろうと不思議そうに見ていると、木から子供が顔を除かせたので、ヒナキは驚いて腰を抜かしてしまい、その場に座り込んでしまった。
「「…。」」
互いに、相手の様子を伺って動かずにいると、遠くからマキノさんが声をかけてきたので、ヒナキはハッとして立ち上がった。
「…ヒナキ君…どうした?」
マキノさんが近付いてきて、一瞬目を離した隙に、木から顔を覗かせていた子供はいなくなっていた。
「…今…ここから子供が…」
ヒナキが木を指差すと、マキノさんは微笑んだ。
「きっと、この木の木霊が姿を現したんだろう。…ヒナキ君。魔法の練習をしよう。君ならこの森の子達と仲良くなれるから」
そう言われた。
…この森の子達?
…誰かいるのだろうか?
その頃は、木霊や水霊、風霊達の存在すら知らなかったので、ヒナキは首をかしげていた。
ヒナキはピットの身の回りの世話をしながら、話し相手になり、マキノさんに魔法を教えてもらうことになったので、とても忙しくなった。
そして気が付けば、拾われてから一年が過ぎ、『森の聖域』の外には家が何軒か建てられ、『森の聖域』より少し魔素の弱いその場所に、ピットは引っ越ししていた。
まだ、ここなら普通に、自分で食事をして生活できる…と。
そして、ヒナキはピットと一緒に、マキノさんの薬草の乾燥をする手伝いをしたり、熊族と一緒に木の実を拾いに行ったり…。
二人は熊族が保護者になり、後に『クルーラ』となる村で生活をすることになった。
そしてそれを少し離れて見ている、世界樹がいた。
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