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森の聖域 2
昼寝
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リーンが世界樹から出て来たその日は、ルークと互いの温もりを感じ取って眠った。
しばらく身体を動かしてなかったからか、身体を横たえルークの温を感じなから、すぐに眠ってしまった。
夜中にふと目が覚めても、手を伸ばせば、そこにルークの温もりを感じて、安心して眠りにつける。
いつもの時間に戻ってきている…。
ルークが側にいてくれる…。
リーンはそう思いながら再び目を閉じて、眠りについた。
翌日の朝食後、ルークは木霊達と森に入っていった。
昨日、約束していた木と蔦を取りに行ったのだ。
リーンはまだ回復していないので、世界樹の根元で身体を寄りかからせ、日向ぼっこを兼ねて昼寝をしに来た。
大きく繁った世界樹の下は、程よく木陰ができていて、時折、風霊が様子を見に頬を撫でていく。
心地よく、リーンは眠気に誘われるまま眠りについた。
「…不思議な…人族…」
リーンはその声にハッとして目を開けた。
見渡す限り新緑の葉っぱで囲まれた、つい昨日まで眠っていた場所…。
世界樹の木霊と出会った、現実世界ではない場所…。
辺りを見回すと、枝が見えている場所に世界樹の木霊が、ちょこんと座ってこちらを見ていた。
「…彼にとっては普通の事だよ」
リーンはそう返事する。
「…外の世界では…長生きするために…いろんな魔法を使って…少しでも…長く生きようとする…って聞いたけど…違うね…」
「…人にもよるよ」
動けない…動かない世界樹には、どうしても片寄った知識しかない…。
「ココから外に出たいとは思わない?」
「…。」
答えないと言うことは、気にはなると言う事…。
「『森の聖域』内だけなら、大丈夫だと思うけど…」
一人でフラフラされても困るから…私かヒナキが側にいれば…。
そう言えば、ヒナキに『長寿の実』をあげた経緯を知らない。
聞いても良いだろうか?
「…ヒナキに『長寿の実』をあげた話を聞いても良い?」
世界樹はしばらく黙っていたけれど、答えてくれた。
「…誰も…来なくなったから…近くにいても…来てくれないから…あの子だけが…来てくれたから…あげたの…」
どう理解すれば良いのか分からないが、誰も来なくなった『森の聖域』に唯一来たのがヒナキだった、と言うことか?
『私』は、ココには帰って来なかったのか?
…やはりヒナキに聞くしかない。
「私かヒナキが側にいるときなら、出てきても大丈夫だよ。今、ルークが大きいブランコを作ると言ってきたから、一緒に遊べるよ」
「…。」
世界樹は答えない。
「気が向いたら、出ておいで…」
リーンがそう言うと、誰かに呼ばれて視界が歪んだ。
…目が覚めるのだ…。
リーンがハッとして目を開けると、ヒナキが目の前にいた。
「…ヒナキ…」
リーンがホッとしてヒナキを見ると、ヒナキがスクスクと笑う。
「…リーンの周り、すごいことになってるよ」
ヒナキに言われて周囲を見ると、リーンの周りに土霊やルークと一緒に森に行かなかった木霊達が、身体を横たえて昼寝をしている。
上を見れば、世界樹の枝に風霊達が座ってニコニコと微笑んでいる。
…うん。
すごい状況…。
ヒナキは小声で言う。
「食料を持ってきたから、家の中に置いておいたからね」
「ありがとう」
リーンは微笑んだ。
ルークは出掛けているし、昼寝をしている私に声をかけてきたのだろう。
「ヒナキ。聞いても良い?」
「何を?」
「『長寿の実』を食べた経緯…」
「…良いよ」
ヒナキは苦笑いして、リーンの隣の空いている場所に座った。
「…特に面白くもないけどね…」
ヒナキはそう言って、話し出した。
しばらく身体を動かしてなかったからか、身体を横たえルークの温を感じなから、すぐに眠ってしまった。
夜中にふと目が覚めても、手を伸ばせば、そこにルークの温もりを感じて、安心して眠りにつける。
いつもの時間に戻ってきている…。
ルークが側にいてくれる…。
リーンはそう思いながら再び目を閉じて、眠りについた。
翌日の朝食後、ルークは木霊達と森に入っていった。
昨日、約束していた木と蔦を取りに行ったのだ。
リーンはまだ回復していないので、世界樹の根元で身体を寄りかからせ、日向ぼっこを兼ねて昼寝をしに来た。
大きく繁った世界樹の下は、程よく木陰ができていて、時折、風霊が様子を見に頬を撫でていく。
心地よく、リーンは眠気に誘われるまま眠りについた。
「…不思議な…人族…」
リーンはその声にハッとして目を開けた。
見渡す限り新緑の葉っぱで囲まれた、つい昨日まで眠っていた場所…。
世界樹の木霊と出会った、現実世界ではない場所…。
辺りを見回すと、枝が見えている場所に世界樹の木霊が、ちょこんと座ってこちらを見ていた。
「…彼にとっては普通の事だよ」
リーンはそう返事する。
「…外の世界では…長生きするために…いろんな魔法を使って…少しでも…長く生きようとする…って聞いたけど…違うね…」
「…人にもよるよ」
動けない…動かない世界樹には、どうしても片寄った知識しかない…。
「ココから外に出たいとは思わない?」
「…。」
答えないと言うことは、気にはなると言う事…。
「『森の聖域』内だけなら、大丈夫だと思うけど…」
一人でフラフラされても困るから…私かヒナキが側にいれば…。
そう言えば、ヒナキに『長寿の実』をあげた経緯を知らない。
聞いても良いだろうか?
「…ヒナキに『長寿の実』をあげた話を聞いても良い?」
世界樹はしばらく黙っていたけれど、答えてくれた。
「…誰も…来なくなったから…近くにいても…来てくれないから…あの子だけが…来てくれたから…あげたの…」
どう理解すれば良いのか分からないが、誰も来なくなった『森の聖域』に唯一来たのがヒナキだった、と言うことか?
『私』は、ココには帰って来なかったのか?
…やはりヒナキに聞くしかない。
「私かヒナキが側にいるときなら、出てきても大丈夫だよ。今、ルークが大きいブランコを作ると言ってきたから、一緒に遊べるよ」
「…。」
世界樹は答えない。
「気が向いたら、出ておいで…」
リーンがそう言うと、誰かに呼ばれて視界が歪んだ。
…目が覚めるのだ…。
リーンがハッとして目を開けると、ヒナキが目の前にいた。
「…ヒナキ…」
リーンがホッとしてヒナキを見ると、ヒナキがスクスクと笑う。
「…リーンの周り、すごいことになってるよ」
ヒナキに言われて周囲を見ると、リーンの周りに土霊やルークと一緒に森に行かなかった木霊達が、身体を横たえて昼寝をしている。
上を見れば、世界樹の枝に風霊達が座ってニコニコと微笑んでいる。
…うん。
すごい状況…。
ヒナキは小声で言う。
「食料を持ってきたから、家の中に置いておいたからね」
「ありがとう」
リーンは微笑んだ。
ルークは出掛けているし、昼寝をしている私に声をかけてきたのだろう。
「ヒナキ。聞いても良い?」
「何を?」
「『長寿の実』を食べた経緯…」
「…良いよ」
ヒナキは苦笑いして、リーンの隣の空いている場所に座った。
「…特に面白くもないけどね…」
ヒナキはそう言って、話し出した。
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