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森の聖域 2
長寿の実
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リーンとルークとヒナキは顔を見合せ、情報の確認をした。
リーンは世界樹の中での事を話した。
時間の流れはほとんど感じられず、精神体…というか、意識だけがそこに有る感じだった。
そして出会った、髪の長い木霊の話をした。
一人で寂しいと言って、ずっと旅の話や、子供達の話をしているうちに、時間だと言われて、身体に魔力が充満するのを感じて目が覚めたのだと…。
新緑に包まれた不思議な場所だったと話した。
そしてルークに聞く。
「『長寿の実』を食べなかったって、言ってたけど…」
ルークとヒナキは顔を見合せ、苦笑いして答えた。
「『物質保管庫』に入れてある。…あれは本当に、長生き出来ると言われる果実なのか?」
「私は見たこと無いから、なんとも言えないけれど…」
リーンは視線をヒナキに向ける。
ヒナキには分かるはず…。
ヒナキは苦笑いして答えてくれた。
「…本当だよ。…あの後、他の獣人達が居たから話してないけど…僕は食べたから…」
リーンはやっぱり、と思ったが、ルークが驚いて目を丸くしている。
「…食べたのか…?」
ルークは戸惑いを見せる。
「だから、長い時間生きてるよ。…ただ、食べた時の、この姿のまま、あまり変化がないのは困っているけれど」
ヒナキはそう言って苦笑いする。
どういう理由でヒナキが『長寿の実』を食べたのか分からないが、ルークがもらったのは間違いなく『長寿の実』なのだ。
「…どうしたら良いか、迷っている…」
ルークは素直にそう答えた。
食べたら間違いなく、私やヒナキのように、今の時間から取り残されてしまう…。
「…急いで決めなくて良いよ。『物質保管庫』は時間がほとんど止まっている。傷むことは無いと思うから」
リーンはそう言って微笑んだ。
今のルークには、背負っているものがたくさん有る。
それを置き去りにするわけにはいかないし、そんなのはルークらしく無いと思うから…。
でもね、長い時間、一人で旅をしてきたから、隣にルークが居てくれたら、きっと楽しいだろうな…そう思うのは許して…。
リーンの体調が落ち着くまで、もうしばらく『森の聖域』に滞在する事になった。
リーンはルークに抱き上げられ移動し、家の横にできた小さな森の公園を見て笑い、楽しそうに遊ぶ木霊や土霊、風霊達を見て微笑んだ。
「そうだ。ココに大きめの、リーンも乗れるブランコも作ろうか」
ルークはそう言い微笑む。
「一緒に遊べるだろ」
「作るのを見学させてもらうよ」
リーンはそう言って微笑んだ。
膝の上に木霊達を乗せて、子供達と遊んだ時のようにブランコで遊ぶのも楽しかもしれない。
ルークは遊んでいる木霊の側に行って、自分の身長位の木を四本と、丈夫そうな木の蔓を、明日取りに行きたいから、見つけておいて欲しいと頼んでいる。
木霊達は頷いて、何人か森の方に向かって歩いていった。
木霊にお願い出来るくらい、ココに馴染んだんだな…。
リーンはそんな風に思いながら、微笑ましくその光景を見ていた。
ルークには歩くと言ったのだが、抱き上げられたまま、水辺まで連れていかれ、水車と滑り台で遊ぶ水霊を見て微笑んだ。
まさか水霊達にまで遊具を作っているとは思わなかった。
みんな楽しそうで、リーンは嬉しかった。
私を待っている間に、ルークはこの地に住む子達と仲良くなって、一人寂しく待っている訳では無かったことに、ホッとした。
世界樹の木霊も姿を表して、この子達と一緒に遊べば、少しは寂しいと思う気持ちが、どこかへ行ってしまうのに…。
楽しそうに笑う水霊達の姿を見ながらリーンは、このままもうしばらく、こうして二人で居たいと思った…。
リーンは世界樹の中での事を話した。
時間の流れはほとんど感じられず、精神体…というか、意識だけがそこに有る感じだった。
そして出会った、髪の長い木霊の話をした。
一人で寂しいと言って、ずっと旅の話や、子供達の話をしているうちに、時間だと言われて、身体に魔力が充満するのを感じて目が覚めたのだと…。
新緑に包まれた不思議な場所だったと話した。
そしてルークに聞く。
「『長寿の実』を食べなかったって、言ってたけど…」
ルークとヒナキは顔を見合せ、苦笑いして答えた。
「『物質保管庫』に入れてある。…あれは本当に、長生き出来ると言われる果実なのか?」
「私は見たこと無いから、なんとも言えないけれど…」
リーンは視線をヒナキに向ける。
ヒナキには分かるはず…。
ヒナキは苦笑いして答えてくれた。
「…本当だよ。…あの後、他の獣人達が居たから話してないけど…僕は食べたから…」
リーンはやっぱり、と思ったが、ルークが驚いて目を丸くしている。
「…食べたのか…?」
ルークは戸惑いを見せる。
「だから、長い時間生きてるよ。…ただ、食べた時の、この姿のまま、あまり変化がないのは困っているけれど」
ヒナキはそう言って苦笑いする。
どういう理由でヒナキが『長寿の実』を食べたのか分からないが、ルークがもらったのは間違いなく『長寿の実』なのだ。
「…どうしたら良いか、迷っている…」
ルークは素直にそう答えた。
食べたら間違いなく、私やヒナキのように、今の時間から取り残されてしまう…。
「…急いで決めなくて良いよ。『物質保管庫』は時間がほとんど止まっている。傷むことは無いと思うから」
リーンはそう言って微笑んだ。
今のルークには、背負っているものがたくさん有る。
それを置き去りにするわけにはいかないし、そんなのはルークらしく無いと思うから…。
でもね、長い時間、一人で旅をしてきたから、隣にルークが居てくれたら、きっと楽しいだろうな…そう思うのは許して…。
リーンの体調が落ち着くまで、もうしばらく『森の聖域』に滞在する事になった。
リーンはルークに抱き上げられ移動し、家の横にできた小さな森の公園を見て笑い、楽しそうに遊ぶ木霊や土霊、風霊達を見て微笑んだ。
「そうだ。ココに大きめの、リーンも乗れるブランコも作ろうか」
ルークはそう言い微笑む。
「一緒に遊べるだろ」
「作るのを見学させてもらうよ」
リーンはそう言って微笑んだ。
膝の上に木霊達を乗せて、子供達と遊んだ時のようにブランコで遊ぶのも楽しかもしれない。
ルークは遊んでいる木霊の側に行って、自分の身長位の木を四本と、丈夫そうな木の蔓を、明日取りに行きたいから、見つけておいて欲しいと頼んでいる。
木霊達は頷いて、何人か森の方に向かって歩いていった。
木霊にお願い出来るくらい、ココに馴染んだんだな…。
リーンはそんな風に思いながら、微笑ましくその光景を見ていた。
ルークには歩くと言ったのだが、抱き上げられたまま、水辺まで連れていかれ、水車と滑り台で遊ぶ水霊を見て微笑んだ。
まさか水霊達にまで遊具を作っているとは思わなかった。
みんな楽しそうで、リーンは嬉しかった。
私を待っている間に、ルークはこの地に住む子達と仲良くなって、一人寂しく待っている訳では無かったことに、ホッとした。
世界樹の木霊も姿を表して、この子達と一緒に遊べば、少しは寂しいと思う気持ちが、どこかへ行ってしまうのに…。
楽しそうに笑う水霊達の姿を見ながらリーンは、このままもうしばらく、こうして二人で居たいと思った…。
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