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森の聖域 2
ルークの思い
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リーンが魔力を取り戻し、記憶を失くさないための予防策を考えるのに、あと三年は有る。
キースとミーナとニーナが小等科に通うようになるまでは、リーンは一緒に居ると言う。
ジーンとユーリの時に、側に居れなかった分、居てくれるのだろう。
俺とヒイロは、その三年の間に出来る限りの対策を取ることを約束した。
ヒイロは、『森の聖域』近くに、長寿の魔法道具の研究者がいてその人達に協力を願い出ると言って、出掛けていった。
その人は『森の聖域』の事も調べならが、リーンの存在の事を知り、面白い魔法道具が出来ないか常に研究している変わり者らしい。
戻ってきたヒイロが言うには、材料と対価として希少な魔法石をいくつも準備して欲しいと、言うことだった。
俺達は指名された魔法石を集めた。
今までの出会いで、いろんなツテが出来上がっていたので、各方面に声をかけ、一年をかけて集めた。
その間に、どんな魔法を封じ込めるか、どんな形にしてリーンに身に付けてもらうかを論議し、頭に近い場所に付けるものとして、耳飾りに決まった。
今まで付けていたのだから、違和感がないだろうと言うことも有った。
ソコからは待つしかなかった。
その人が、どれだけ魔法を使うことが出きるのか知らないし、どれだけの技術を持っているのかは、ヒイロしか知らない。
時々、魔法石の追加を求めて来たが、ルークにとって些細なことだった。
それから三年が過ぎ、耳飾りは出来上がったと連絡が来た。
ただ、実験してみることが出来ないし、膨大な魔力を込めて発動しなくてはいけない。
一度だけの…ぶっつけ本番の魔法だそうだ。
それでも、少しでもリーンの記憶を失くさないための、俺達に出きる処置だった。
リーンは子供達に別れを告げ、俺とヒイロと一緒に『森の聖域』の変わり者…クルーラの村長、ヒナキと会った。
見た目が少年なので戸惑ったが、このクルーラを作り、リーンの二つ前の存在を知っていると聞いて驚いた。
見た目だけでは分からないことを、改めて思った。
ヒナキから見せてもらった金色の耳飾りは、ものすごい魔力を秘めていた。
この小さな耳飾りに、どれだけの魔法石と魔法を押し込んだのかと言うくらいに…。
それでも不安は残る。
何処まで効果があるのか…。
「『森の聖域』のリーン様が眠る世界樹の中は、時間が後退していると思う。なので、身体は後退しても記憶だけは後退しないように、魔法をかける。両耳に付けることで、それを促せると思うのだが、憶測でしかない」
「…時間が後退か…」
ヒナキが世界樹の説明をしてくれて、時間が後退するのだと知った。
…時間が巻き戻る…。
「そういえば、親父が昔、眠っているときは大人の身体だったのに、外に出てきたら少年の姿だったと言っていた」
ヒイロがそう話す。
「時間が戻った分だけ、記憶を無くすと言うことか?」
「ハッキリはわからないが、その可能性はある」
時間が戻ると同時に過ごした記憶も消える…。
「…記憶は、『記憶の図書館』に吸収されているのかも…」
リーンはそう言う。
記憶は残っても、体験した事を忘れ去ってしまう…。
だったら…。
「…耳飾りの魔法が効かなければ、そこから早く引き出せば、すべての記憶を無くさない…そう言うことだろ」
ルークがそう言うと、ヒナキは難しそうな顔をして言う。
「そうなる…。だけど、リーン様の魔力を取り戻すには、魔力を持っていた頃にまで後退させなければいけない」
「…つまり…『始まりの宿り木』の頃まで…」
「…。」
それは約十年くらい前まで戻ると言うこと…。
そしてそれは、キースとミーナとニーナを産む前に、戻ると言うこと…。
三人の子達の事を忘れると言うこと…。
それでも…。
「記録は有るんだ。記憶を無くしても、身体が覚えている。もう一度、記憶を乗り越えて覚えていけば良い…」
ルークはそう言って微笑んだ。
もう一度、同じ様に各地を巡って…体験して行けば良い。
そしてどんな思いで、ミーナを移植して産んだのか…。
感じとれば良い…。
「子供達も協力してくれるはずだ」
ルークは確信して言う。
それだけの家族の絆をこれまでに作ってきた…。
「耳飾りの魔法が少しでも効いていれば、そこまで無くさないはず…」
ヒナキはそう言って笑う。
「ありったけの知識と魔法を詰め込んだんだ。全く効いていなかったら泣くよ…」
それもそうだ。
その為に、魔法石を集め、ヒナキのありったけの知識と魔法を詰め込んだのだ。
…大丈夫だ。
リーンはすべての記憶を失くさない!
キースとミーナとニーナが小等科に通うようになるまでは、リーンは一緒に居ると言う。
ジーンとユーリの時に、側に居れなかった分、居てくれるのだろう。
俺とヒイロは、その三年の間に出来る限りの対策を取ることを約束した。
ヒイロは、『森の聖域』近くに、長寿の魔法道具の研究者がいてその人達に協力を願い出ると言って、出掛けていった。
その人は『森の聖域』の事も調べならが、リーンの存在の事を知り、面白い魔法道具が出来ないか常に研究している変わり者らしい。
戻ってきたヒイロが言うには、材料と対価として希少な魔法石をいくつも準備して欲しいと、言うことだった。
俺達は指名された魔法石を集めた。
今までの出会いで、いろんなツテが出来上がっていたので、各方面に声をかけ、一年をかけて集めた。
その間に、どんな魔法を封じ込めるか、どんな形にしてリーンに身に付けてもらうかを論議し、頭に近い場所に付けるものとして、耳飾りに決まった。
今まで付けていたのだから、違和感がないだろうと言うことも有った。
ソコからは待つしかなかった。
その人が、どれだけ魔法を使うことが出きるのか知らないし、どれだけの技術を持っているのかは、ヒイロしか知らない。
時々、魔法石の追加を求めて来たが、ルークにとって些細なことだった。
それから三年が過ぎ、耳飾りは出来上がったと連絡が来た。
ただ、実験してみることが出来ないし、膨大な魔力を込めて発動しなくてはいけない。
一度だけの…ぶっつけ本番の魔法だそうだ。
それでも、少しでもリーンの記憶を失くさないための、俺達に出きる処置だった。
リーンは子供達に別れを告げ、俺とヒイロと一緒に『森の聖域』の変わり者…クルーラの村長、ヒナキと会った。
見た目が少年なので戸惑ったが、このクルーラを作り、リーンの二つ前の存在を知っていると聞いて驚いた。
見た目だけでは分からないことを、改めて思った。
ヒナキから見せてもらった金色の耳飾りは、ものすごい魔力を秘めていた。
この小さな耳飾りに、どれだけの魔法石と魔法を押し込んだのかと言うくらいに…。
それでも不安は残る。
何処まで効果があるのか…。
「『森の聖域』のリーン様が眠る世界樹の中は、時間が後退していると思う。なので、身体は後退しても記憶だけは後退しないように、魔法をかける。両耳に付けることで、それを促せると思うのだが、憶測でしかない」
「…時間が後退か…」
ヒナキが世界樹の説明をしてくれて、時間が後退するのだと知った。
…時間が巻き戻る…。
「そういえば、親父が昔、眠っているときは大人の身体だったのに、外に出てきたら少年の姿だったと言っていた」
ヒイロがそう話す。
「時間が戻った分だけ、記憶を無くすと言うことか?」
「ハッキリはわからないが、その可能性はある」
時間が戻ると同時に過ごした記憶も消える…。
「…記憶は、『記憶の図書館』に吸収されているのかも…」
リーンはそう言う。
記憶は残っても、体験した事を忘れ去ってしまう…。
だったら…。
「…耳飾りの魔法が効かなければ、そこから早く引き出せば、すべての記憶を無くさない…そう言うことだろ」
ルークがそう言うと、ヒナキは難しそうな顔をして言う。
「そうなる…。だけど、リーン様の魔力を取り戻すには、魔力を持っていた頃にまで後退させなければいけない」
「…つまり…『始まりの宿り木』の頃まで…」
「…。」
それは約十年くらい前まで戻ると言うこと…。
そしてそれは、キースとミーナとニーナを産む前に、戻ると言うこと…。
三人の子達の事を忘れると言うこと…。
それでも…。
「記録は有るんだ。記憶を無くしても、身体が覚えている。もう一度、記憶を乗り越えて覚えていけば良い…」
ルークはそう言って微笑んだ。
もう一度、同じ様に各地を巡って…体験して行けば良い。
そしてどんな思いで、ミーナを移植して産んだのか…。
感じとれば良い…。
「子供達も協力してくれるはずだ」
ルークは確信して言う。
それだけの家族の絆をこれまでに作ってきた…。
「耳飾りの魔法が少しでも効いていれば、そこまで無くさないはず…」
ヒナキはそう言って笑う。
「ありったけの知識と魔法を詰め込んだんだ。全く効いていなかったら泣くよ…」
それもそうだ。
その為に、魔法石を集め、ヒナキのありったけの知識と魔法を詰め込んだのだ。
…大丈夫だ。
リーンはすべての記憶を失くさない!
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