336 / 462
森の聖域 2
クルーラ 2
しおりを挟む
クルーラの村の入り口とは反対側の、小屋の扉から外に出ると、曲がりくねった一本道の両サイドに、大きな家が木を挟んで密集して並んでいる。
そして村の外から家が見えないように、木々が立ち並び、結界の役割を果たし、一つの村を作っている。
この村の家は奥に長く、誰でも入れるのが一つ目の部屋。
入り口で登録したのが、一つ目の部屋に入るカギなのだ。
目に見える範囲では、本当に小さな村にしかし見えないが、実際は空間を使ったり、地下に実験場を作ったりしているので、かなり広いし、貯蔵庫もいろんなモノで充実している。
彼らのほとんどは、作ることに情熱を燃やし、認められれば満足して、また新しいものに取りかかるので、試作品やら完成など、各家に無造作に並んでいる。
その中から、他の地域で役立ちそうなモノを探して、交渉するのがヒイロ達一族の役目でもあった。
リーンは見知った道をテクテクと歩いて奥へと進んでいく。
そうだ、ルークにクルーラの決まりと言うか、ルールを話しおかなくてはいけない。
そう思って振り向くと、ヒイロがルークに話しかけて説明しているみたいだ。
ヒイロの説明の方が分かるだろう。
リーンは再び前を向いて、村長の家に向かって歩き出した。
クルーラの家の一つ目の部屋には、カギを持っているので誰でも扉を開けて入ることが出来る。
一つ目の部屋には、その家主が作った商品が無造作に置かれていて…物置になっていると、言った方が良いか…そこから、興味の有ったものを選んで購入することが出来る。
ただ、一つ目の部屋に誰も居ないことの方が多いので、その家族を探したり、手紙を置いて置いて、後日購入する。
どうしても直ぐ欲しい場合は、村の入り口の小屋のチトセに言って、前金を払い、後日残金を払う事も出来るが、価格が付いていないので、時には高額な請求をされる場合も有る。
なので、直ぐには手に入らない事がほとんどだ。
時間の概念も無い者達ばかりなので、余裕をもって滞在しなくてはいけない。
それに気を付けないといけないのが、二つ目の作業部屋の時間の歪みが、一つ目の部屋まで来ていて、フラりと見て出てくるだけで、二日ぐらい経過してしまう事…。
あれは、怖かった…。
ヒイロが側にいれば、歪みに気が付くだろう…。
私としては、魔法薬を作っている家に寄っていきたい。
何か新しいものが出来ていないか気になるのだ。
…まあ、これから『森の聖域』で、しばらく眠りにつくから、必要は無いのだが…。
それよりも、眠って記憶を無くす方が不安だ。
…大切な家族の事を覚えていられるだろうか…。
ヒイロは、その為の魔法道具を村長に依頼したと言っていた。
長年、『森の聖域』に関わっている者だからこそ、出来る魔法道具なのだろう。
道の一番奥に有る、村長の家にたどり着くと、入り口でジーンくらいの少年が待っていた。
「ヒナキ」
「リーン。久しぶり」
そう言って微笑む少年はクルーラの村長のヒナキ。
魔女王ソフィアと同じ、長寿の一族で、身体が青年になる前に止まってしまったそうだ。
そして私の二つ前、『ピット』の事も知っている唯一の人であり、この村を作った人物でも有る。
「悪いなヒナキ」
ヒイロがそう言うと、ヒナキが微笑む。
「いいえ。役に立てて何より」
そう言って家の中へ、商品が並ぶ一つ目の部屋の奥へと案内された。
「注文の魔法道具は出来る。…だけど、何処まで対応できるのかわからない」
一つ目の部屋でテーブルを囲んで三人が座り、ヒナキが立ったまま言い出した。
「ああ、わかってる」
ヒイロがそう言うと、ヒナキは二つ目の部屋へ向かい、部屋の中から小さな木箱を一つ持ってきて、ヒイロに差し出した。
ヒイロはそれを受け取り、蓋を開けると、金色の耳飾りが二つ並んでいた。
そして村の外から家が見えないように、木々が立ち並び、結界の役割を果たし、一つの村を作っている。
この村の家は奥に長く、誰でも入れるのが一つ目の部屋。
入り口で登録したのが、一つ目の部屋に入るカギなのだ。
目に見える範囲では、本当に小さな村にしかし見えないが、実際は空間を使ったり、地下に実験場を作ったりしているので、かなり広いし、貯蔵庫もいろんなモノで充実している。
彼らのほとんどは、作ることに情熱を燃やし、認められれば満足して、また新しいものに取りかかるので、試作品やら完成など、各家に無造作に並んでいる。
その中から、他の地域で役立ちそうなモノを探して、交渉するのがヒイロ達一族の役目でもあった。
リーンは見知った道をテクテクと歩いて奥へと進んでいく。
そうだ、ルークにクルーラの決まりと言うか、ルールを話しおかなくてはいけない。
そう思って振り向くと、ヒイロがルークに話しかけて説明しているみたいだ。
ヒイロの説明の方が分かるだろう。
リーンは再び前を向いて、村長の家に向かって歩き出した。
クルーラの家の一つ目の部屋には、カギを持っているので誰でも扉を開けて入ることが出来る。
一つ目の部屋には、その家主が作った商品が無造作に置かれていて…物置になっていると、言った方が良いか…そこから、興味の有ったものを選んで購入することが出来る。
ただ、一つ目の部屋に誰も居ないことの方が多いので、その家族を探したり、手紙を置いて置いて、後日購入する。
どうしても直ぐ欲しい場合は、村の入り口の小屋のチトセに言って、前金を払い、後日残金を払う事も出来るが、価格が付いていないので、時には高額な請求をされる場合も有る。
なので、直ぐには手に入らない事がほとんどだ。
時間の概念も無い者達ばかりなので、余裕をもって滞在しなくてはいけない。
それに気を付けないといけないのが、二つ目の作業部屋の時間の歪みが、一つ目の部屋まで来ていて、フラりと見て出てくるだけで、二日ぐらい経過してしまう事…。
あれは、怖かった…。
ヒイロが側にいれば、歪みに気が付くだろう…。
私としては、魔法薬を作っている家に寄っていきたい。
何か新しいものが出来ていないか気になるのだ。
…まあ、これから『森の聖域』で、しばらく眠りにつくから、必要は無いのだが…。
それよりも、眠って記憶を無くす方が不安だ。
…大切な家族の事を覚えていられるだろうか…。
ヒイロは、その為の魔法道具を村長に依頼したと言っていた。
長年、『森の聖域』に関わっている者だからこそ、出来る魔法道具なのだろう。
道の一番奥に有る、村長の家にたどり着くと、入り口でジーンくらいの少年が待っていた。
「ヒナキ」
「リーン。久しぶり」
そう言って微笑む少年はクルーラの村長のヒナキ。
魔女王ソフィアと同じ、長寿の一族で、身体が青年になる前に止まってしまったそうだ。
そして私の二つ前、『ピット』の事も知っている唯一の人であり、この村を作った人物でも有る。
「悪いなヒナキ」
ヒイロがそう言うと、ヒナキが微笑む。
「いいえ。役に立てて何より」
そう言って家の中へ、商品が並ぶ一つ目の部屋の奥へと案内された。
「注文の魔法道具は出来る。…だけど、何処まで対応できるのかわからない」
一つ目の部屋でテーブルを囲んで三人が座り、ヒナキが立ったまま言い出した。
「ああ、わかってる」
ヒイロがそう言うと、ヒナキは二つ目の部屋へ向かい、部屋の中から小さな木箱を一つ持ってきて、ヒイロに差し出した。
ヒイロはそれを受け取り、蓋を開けると、金色の耳飾りが二つ並んでいた。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる