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森の聖域 2
クルーラ 1
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ヒイロの魔法を使って『森の聖域』の近くに有る村、クルーラにたどり着いた。
相変わらず深い緑の木々に覆われ、濃い魔素が辺りを埋め着くし、慣れていないと魔力酔いを引き起こす。
チラリとルークを見ると、しばらく頭を押さえていたが、直ぐに慣れたようだ。
…さすがだね。
三人は村の入り口に向かって歩き出した。
クルーラの村にはいろんな種族が住んでいる。
人族、獣人族、有翼族…。
それぞれ己の研究を生かして、生活している。
その中でも一番の収入源は、『森の聖域』の果実や薬草などで作られた魔法薬。
魔法薬を傷口にかけて傷を治したり、直接飲んで一時的な魔力回復をしたり…高額なため、ほとんどが治療院の医療として使われている。
それでも定期的に配達しているので、それなりに需要はあるようだ。
村には研究者だけでなく、普通の生活をしている者達もいる。
研究者の家族だったり、食事を配達、提供する場所だったり、疲れを癒す風呂場だったり…。
村全体で一つの家族のような、家のような不思議な村だ。
リーンとヒイロは昔から、たまにココにより、変わった魔法道具や魔法薬をもらったり、グオルクの町で手に入れた見たことの無い植物や果実を提供したり、新しく作った魔法を披露したりして、常に新しいものを作り出そうと互いに協力しあっている。
村の入り口は一件の小屋で出来ていて、ソコを通らないと村には入れない。
小屋の奥に村があるなんて、誰も思わないだろう。
入り口の小屋には門番がいて、中に入る者を確認している。
ヒイロが小屋の扉を開き、中に入ると青年がこちらを見て、微笑んでくる。
「ヒイロ様。リーン様」
「やあ、チトセ。村長は、出てきてる?」
ヒイロが聞くと、チトセは微笑んで答えてくれる。
「はい。昨日、風呂場の方に来られてましたから、大丈夫だと思いますよ」
「良かった」
「こちらは…」
そう言ってチトセはルークの方を見る。
「リーンの番」
「そうでしたか。では、こちらに手を置いてください」
そう言ってチトセは、カウンターになっているテーブルの上の四角い石を指差した。
「なんだあれは」
ルークが不思議そうに聞いてくる。
「クルーラの通行証?カギ?みたいなもの?を登録するんだ。手をかざせば何処にでも入れるようになるから」
リーンがそう言って笑うので、ルークは恐る恐る石に手を置いた。
すると一瞬光っただけで、ルークには仕組みがわからない。
「登録が終わりました。クルーラへようこそ」
チトセがそう言って微笑むと、ヒイロがチトセに問う。
「…なあ、今のリーンに魔力が無いが、カギは使えるのか?」
「そうだった。チトセ、使えるのか?」
リーンもチトセに向かって聞く。
「…魔力が…ですか…」
チトセはしばらく考え、リーンに石に手を置くように言う。
「今の状態でもう一度、登録してみましょう。…さすがに、初めての事ですし…」
そう言われてリーンは、石のプレートに手を置いたが、光りはしない…。
何でだ…?
魔力が無くて反応しないのか?
それとも魔力の有無に関係なく、登録されているので反応しないのか…。
「…もしかして…」
ヒイロはニヤリと笑いリーンに言う。
「昨日、ルークに魔力を分けてもらったのが、まだ身体に充満していて、登録上、変化がないのかも」
…ルークに魔力を分けてもらった…?
リーンは昨夜の事を思い出して、頬を染めた。
…そうだ、昨夜は子供達が眠った後、ルークが転移魔法で部屋に来て、子供達に見つからないように、明け方、先にカザナに戻ったのだ…。
チラリとルークを見ると、ルークも思い当たったのか、ニヤリと笑う。
「…確かに、リーンに魔力をあげた」
「…もう、その話しはいいから、行こう!」
リーンは頬を染めたまま、小屋を抜け、クルーラの村に入った。
相変わらず深い緑の木々に覆われ、濃い魔素が辺りを埋め着くし、慣れていないと魔力酔いを引き起こす。
チラリとルークを見ると、しばらく頭を押さえていたが、直ぐに慣れたようだ。
…さすがだね。
三人は村の入り口に向かって歩き出した。
クルーラの村にはいろんな種族が住んでいる。
人族、獣人族、有翼族…。
それぞれ己の研究を生かして、生活している。
その中でも一番の収入源は、『森の聖域』の果実や薬草などで作られた魔法薬。
魔法薬を傷口にかけて傷を治したり、直接飲んで一時的な魔力回復をしたり…高額なため、ほとんどが治療院の医療として使われている。
それでも定期的に配達しているので、それなりに需要はあるようだ。
村には研究者だけでなく、普通の生活をしている者達もいる。
研究者の家族だったり、食事を配達、提供する場所だったり、疲れを癒す風呂場だったり…。
村全体で一つの家族のような、家のような不思議な村だ。
リーンとヒイロは昔から、たまにココにより、変わった魔法道具や魔法薬をもらったり、グオルクの町で手に入れた見たことの無い植物や果実を提供したり、新しく作った魔法を披露したりして、常に新しいものを作り出そうと互いに協力しあっている。
村の入り口は一件の小屋で出来ていて、ソコを通らないと村には入れない。
小屋の奥に村があるなんて、誰も思わないだろう。
入り口の小屋には門番がいて、中に入る者を確認している。
ヒイロが小屋の扉を開き、中に入ると青年がこちらを見て、微笑んでくる。
「ヒイロ様。リーン様」
「やあ、チトセ。村長は、出てきてる?」
ヒイロが聞くと、チトセは微笑んで答えてくれる。
「はい。昨日、風呂場の方に来られてましたから、大丈夫だと思いますよ」
「良かった」
「こちらは…」
そう言ってチトセはルークの方を見る。
「リーンの番」
「そうでしたか。では、こちらに手を置いてください」
そう言ってチトセは、カウンターになっているテーブルの上の四角い石を指差した。
「なんだあれは」
ルークが不思議そうに聞いてくる。
「クルーラの通行証?カギ?みたいなもの?を登録するんだ。手をかざせば何処にでも入れるようになるから」
リーンがそう言って笑うので、ルークは恐る恐る石に手を置いた。
すると一瞬光っただけで、ルークには仕組みがわからない。
「登録が終わりました。クルーラへようこそ」
チトセがそう言って微笑むと、ヒイロがチトセに問う。
「…なあ、今のリーンに魔力が無いが、カギは使えるのか?」
「そうだった。チトセ、使えるのか?」
リーンもチトセに向かって聞く。
「…魔力が…ですか…」
チトセはしばらく考え、リーンに石に手を置くように言う。
「今の状態でもう一度、登録してみましょう。…さすがに、初めての事ですし…」
そう言われてリーンは、石のプレートに手を置いたが、光りはしない…。
何でだ…?
魔力が無くて反応しないのか?
それとも魔力の有無に関係なく、登録されているので反応しないのか…。
「…もしかして…」
ヒイロはニヤリと笑いリーンに言う。
「昨日、ルークに魔力を分けてもらったのが、まだ身体に充満していて、登録上、変化がないのかも」
…ルークに魔力を分けてもらった…?
リーンは昨夜の事を思い出して、頬を染めた。
…そうだ、昨夜は子供達が眠った後、ルークが転移魔法で部屋に来て、子供達に見つからないように、明け方、先にカザナに戻ったのだ…。
チラリとルークを見ると、ルークも思い当たったのか、ニヤリと笑う。
「…確かに、リーンに魔力をあげた」
「…もう、その話しはいいから、行こう!」
リーンは頬を染めたまま、小屋を抜け、クルーラの村に入った。
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