神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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森の聖域 2

ジーンの気持ち

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 今日は久しぶりに、お父様とリーンとユーリとキースとミーナとニーナとお出かけだ。
 だいたい誰か都合が悪くて…お父様かユーリなのだが、全員で一緒にお出かけすることは無い。
 いつもは、そこまで気にならなかったのだが、すごく目立つ!
 …今更ながらに、それに気が付いただけなのかも知れないが…。
 
 お父様はカザンナ王国の王子なので目立つ!
 普段はカザナに居るから、見知っている人は少ないだろうが、その存在感というか…魔力と言うか…キラキラの金髪が輝いて…そこに居るだけで目立つ!
 さすがお父様…。
 リーンは優しげな穏やかな表情で、僕たちを見ているが、艶やかな黒髪の毛が伸びて、色気が増した…。
 産んでくれたリーンに言うことで無いのだが、時々ドキドキしてしまう…。
 息子である僕がそうなのだから、周囲の人達はもっとドキドキしているだろう。
 だが、お父様がガードしているので、リーンは気が付かないし、そう言うことに無頓着みたいだけれど…目立つ!
 …それが、リーンだから…仕方ないんだけれど…。
 ユーリとは双子だが、全く正反対で、お父様みたいにキリッとしていて、長い黒髪をポニーテールにしてユラユラ揺らしながら歩いている。
 学校では、裏で姫騎士と言われ、密かに女子達に崇拝されているが、怖くてユーリには言ってない…。
 弟妹達には優しい、お姉ちゃんなのだが…。
 市場の端で足を止めて、ユーリを見ている女子がいる。
 …気のせいかも知れないが…憧れの?姫騎士がいたら、目立つだろう!
 ミーナとニーナはリーンに似た容姿で、お父様譲りの金髪をフワフワとなびかせ、リーンとユーリと手を繋いで、楽しそうに歩いている。
 近くで見ないと分からないが、瞳の色だけ違い、性格も僕とユーリみたいに違う。
 ギュッと腕の中に収まるくらい、まだ小さい二人が並んで歩いていると目立つ!
 …可愛らしい双子に見えるから、余計にかもしれないが…。
 キースはお父様に似ているが、黒髪なのでおとなしく見える…と言うか、めんどくさがり…。
 一時に比べればましだが、集中して細かい魔力操作が得意なので、何でも魔力を使ってしまう…。
 どちらかと言えば、ユーリに似ているので、年の離れた姉弟に見えるだろう…。
 …そう、姫騎士の弟…。
 そう見えるだけで目立つ!
 僕はどちらかと言えばリーンに似ていて、金髪だけど、本ばっかり読んでいるから、ひょろひょろで、家族の中でも目立たない方だろう。
 何せ今日は荷物持ち…。
 誰も手を繋いでくれない…。
 …でも、まあ、皆が楽しそうなら良いけどね。
 
 …そのクレープ!僕も食べる!
 荷物をお父様とリーンに預けて、ユーリと三つ子達と一緒にお店に向かった。
 …やっぱりイチゴかな。
 甘いものが好きだけど、男友達はあまり甘いものを食べないので、なかなかクレープを食べる事が出来ない。
 かといって、一人で食べても寂しいから、今日は堂々と食べるぞ!
 ふと見ると、お父様とリーンがニコニコしながら僕たちを見ている。
 そしてその後方に、護衛らしき人が何人か見えた。
 …そうだよね…。
 お父様…この国の王子様だからね…。
 そしてもう一つ気が付いた。
 側にいるおじさん…三つ子が順番にクレープを持ってお父様達の元に向かうのを、ぶつかって転ばないように、そっと人の流れを変えてるお兄さん…。
 …見た事のある人達だ…。
 チラリとユーリを見ると、ユーリも気が付いて居たみたいで、首を横に振った。
 …知らないふりだね…。
 …護衛…ありがとうございます…。
 
 屋敷に帰ると、キースとミーナとニーナは、はしゃぎ疲れたのか眠ってしまった。
 そしてリーンに呼ばれ、『森の聖域』と言うところにお父様と一緒に行くらしく、しばらく帰ってこれないと言われた。
 …やっぱり…それでか…。
 なんとなく、そんな気がしていた。
 今までも、リーンが遠くに行くときは、必ず僕達の所に来て、一緒に買い物をしたり遊んだりしていた。
 僕はリーンにギュッて、抱きついた。
 …寂しい…。
 でも、行かないでとは言えない…。
 僕もお兄ちゃんだからね。
 三つ子達の事、僕とユーリで守るよ。
 非力だけど、なるべく側にいて、寂しい思いをさせないように頑張る!
 …だから、早く帰ってきて…。
 それで、また、皆で買い物に行こうね…。
 
 
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