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森の聖域 2
市場の散策
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翌日の朝食後、リーンはルークと子供達と一緒に市場を歩き、カザナとは違う野菜や果物を見て回って、果物のジュースを買い市場の端の方に有るベンチで休暇した。
ジーンとユーリは慣れていて、あそこが美味しいとか、ココは量が多いとか、歩きながら解説してくれる。
三つ子のキースはルークと手を繋ぎ、ミーナはユーリと手を繋ぎ、ニーナはリーンと手を繋いで歩いていた。
それも、誰と手を繋ぐか言い合いになって、じゃんけんで勝った者から選ぶことになり、ニーナ、ミーナ、キースの順番で選んだらこうなった。
選ばれなかったジーンはしょんぼりして、荷物持ちになっていた。
「あれ、なあに?」
オレンジのジュースを飲みながら、ミーナが座ったベンチから見えるのは、薄く生地を伸ばして焼いたモノで、果物やクリームを縦長に包んだもの。
「あれはクレープよ。クリームと果物が包んであって、好きな果物を選んで包んでもらうの」
ユーリは食べたことが有るのか、そう言って微笑む。
「甘くて美味しいの」
三つ子達は目を輝かせて店を見て、こちらを振り返って見る。
…食べてみたいんだな…。
「ユーリ、一人で一つ食べれそう?」
「…ちょっと多いかも。でも、残ったら私が食べるわよ」
ユーリは食べる気満々だ。
リーンはお金をユーリに渡し、三人を…四人を連れていった。
ジーンも食べるんだ…。
まあ、良いけどね。
三つ子達は珍しいものを見て、興奮気味に目を輝かせて散策をしながら市場を歩き、ルークが予約していた個室の店で昼食を食べた。
一応、王族だし、ゆっくりと食べるなら、その方が良いだろと、言うことみたいだ。
昼食を食べ、メジノの屋敷に戻ってくると、はしゃぎ疲れたのか、三つ子達は広間でお昼寝し始めた。
バラバラな場所で眠る子供達に毛布をかけてあげて、ジーンとユーリを呼んだ。
ジーンもユーリも大きくなったし、三つ子達がお昼寝をしている間に、これからの事を話して、理解して欲しいと思ったからだ。
ユーリがソファーに座るリーンの横にちょこんと座り、寄りかかってきた。
「何、リーン?」
その反対側に、ジーンが座る。
「この後の事について、話しておこうと思ったんだ」
リーンがそう言うと、ジーンとユーリの顔が曇る。
「…どこかに行くの…?」
やはり気がついていたか…。
「そうだよ。…しばらく帰れない…」
「…。」
二人は口を閉ざす。
「…ルークと一緒に『森の聖域』と呼ばれる私が育った場所に行く。だから、しばらく帰れない。それで、キースとミーナとニーナの事を少し気にかけてあげて欲しい。寂しがると思うから…」
リーンがそう言うと、ユーリがギュッとしがみついてくる。
「…私も…寂しい…」
リーンはユーリの頭を撫でてあげる。
「…僕も…寂しい…」
ジーンもギュッとリーンにしがみついてくる。
「うん。分かってる…」
リーンはジーンの頭も撫でてあげる。
「二人は学校にも行かなくてはいけないし、やりたい事がたくさん有るだろ?だから、連れていくわけには行かないし、連れていけない…」
ジーンもユーリも分かってはいるのだ。
一緒に行けないことも…。
「キースとミーナとニーナは、始めての王都だし始めての学校だから、ドキドキしていると思う。二人も初めはそうだっただろう…」
ユーリとジーンが頷く。
リーンはクスっと笑って言う。
「あの時は、キリトが居たけど今はいない。変わりに、産まれたときから見ててくれた、侍女のイサミが今日の夕方には着く。…イサキ君の事があるから、少し遅れての到着だけどね」
イサキは侍女のイサミの息子で、カザナの装飾の勉強をしながら作品を販売している。
ジーンとユーリの友達だ。
なかなか会えないので、手紙のやり取りをしているのは知っている。
「可愛い弟と妹…キースとミーナとニーナの事をよろしくね」
リーンはそう言って、二人を抱き寄せた。
二人は黙っているけれど、ギュッと抱きついて、返事をしてくれる。
帰ってきたら、たくさん甘えさせてあげよう…。
一緒に買い物をして、お昼寝して、勉強をして…。
奇跡みたいに、私から産まれた大切な子供達…。
ジーンとユーリは慣れていて、あそこが美味しいとか、ココは量が多いとか、歩きながら解説してくれる。
三つ子のキースはルークと手を繋ぎ、ミーナはユーリと手を繋ぎ、ニーナはリーンと手を繋いで歩いていた。
それも、誰と手を繋ぐか言い合いになって、じゃんけんで勝った者から選ぶことになり、ニーナ、ミーナ、キースの順番で選んだらこうなった。
選ばれなかったジーンはしょんぼりして、荷物持ちになっていた。
「あれ、なあに?」
オレンジのジュースを飲みながら、ミーナが座ったベンチから見えるのは、薄く生地を伸ばして焼いたモノで、果物やクリームを縦長に包んだもの。
「あれはクレープよ。クリームと果物が包んであって、好きな果物を選んで包んでもらうの」
ユーリは食べたことが有るのか、そう言って微笑む。
「甘くて美味しいの」
三つ子達は目を輝かせて店を見て、こちらを振り返って見る。
…食べてみたいんだな…。
「ユーリ、一人で一つ食べれそう?」
「…ちょっと多いかも。でも、残ったら私が食べるわよ」
ユーリは食べる気満々だ。
リーンはお金をユーリに渡し、三人を…四人を連れていった。
ジーンも食べるんだ…。
まあ、良いけどね。
三つ子達は珍しいものを見て、興奮気味に目を輝かせて散策をしながら市場を歩き、ルークが予約していた個室の店で昼食を食べた。
一応、王族だし、ゆっくりと食べるなら、その方が良いだろと、言うことみたいだ。
昼食を食べ、メジノの屋敷に戻ってくると、はしゃぎ疲れたのか、三つ子達は広間でお昼寝し始めた。
バラバラな場所で眠る子供達に毛布をかけてあげて、ジーンとユーリを呼んだ。
ジーンもユーリも大きくなったし、三つ子達がお昼寝をしている間に、これからの事を話して、理解して欲しいと思ったからだ。
ユーリがソファーに座るリーンの横にちょこんと座り、寄りかかってきた。
「何、リーン?」
その反対側に、ジーンが座る。
「この後の事について、話しておこうと思ったんだ」
リーンがそう言うと、ジーンとユーリの顔が曇る。
「…どこかに行くの…?」
やはり気がついていたか…。
「そうだよ。…しばらく帰れない…」
「…。」
二人は口を閉ざす。
「…ルークと一緒に『森の聖域』と呼ばれる私が育った場所に行く。だから、しばらく帰れない。それで、キースとミーナとニーナの事を少し気にかけてあげて欲しい。寂しがると思うから…」
リーンがそう言うと、ユーリがギュッとしがみついてくる。
「…私も…寂しい…」
リーンはユーリの頭を撫でてあげる。
「…僕も…寂しい…」
ジーンもギュッとリーンにしがみついてくる。
「うん。分かってる…」
リーンはジーンの頭も撫でてあげる。
「二人は学校にも行かなくてはいけないし、やりたい事がたくさん有るだろ?だから、連れていくわけには行かないし、連れていけない…」
ジーンもユーリも分かってはいるのだ。
一緒に行けないことも…。
「キースとミーナとニーナは、始めての王都だし始めての学校だから、ドキドキしていると思う。二人も初めはそうだっただろう…」
ユーリとジーンが頷く。
リーンはクスっと笑って言う。
「あの時は、キリトが居たけど今はいない。変わりに、産まれたときから見ててくれた、侍女のイサミが今日の夕方には着く。…イサキ君の事があるから、少し遅れての到着だけどね」
イサキは侍女のイサミの息子で、カザナの装飾の勉強をしながら作品を販売している。
ジーンとユーリの友達だ。
なかなか会えないので、手紙のやり取りをしているのは知っている。
「可愛い弟と妹…キースとミーナとニーナの事をよろしくね」
リーンはそう言って、二人を抱き寄せた。
二人は黙っているけれど、ギュッと抱きついて、返事をしてくれる。
帰ってきたら、たくさん甘えさせてあげよう…。
一緒に買い物をして、お昼寝して、勉強をして…。
奇跡みたいに、私から産まれた大切な子供達…。
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