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森の聖域 1
頼みごと
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四人でお酒を飲みながら、いろんな話をしているうちに、リーンは眠くなってしまって、ルークに寄りかかった。
お酒が回ったのと眠気で、トロンと目蓋が降りてきた。
「…んっ…」
ルークの体温が暖かくて、気持ちいい…。
ゆっくりと身体が横に倒され、ルークの太ももを枕に目を閉じた。
…ルークの匂い…。
リーンはそのまま眠ってしまった。
*****
リーンが眠そうに寄りかかってきたので、ルークはそっと太ももに誘導して、膝枕をすると、リーンは目を閉じて眠ってしまった。
微かな寝息が聞こえる。
ルークはリーンの髪を撫でた。
向かいのソファーに座るヒイロとチイは、楽しそうに微笑んで、リーンの寝顔を眺めていた。
「…ルークの側だと、リーンは無防備に眠るのね…」
「安全だと感じるから…だな…」
ヒイロは何か思い出したように、苦笑いする。
「…リーンから聞いてないよな。昔、『森の聖域』からグオルクに向かって一人で歩いてきて、途中で昼寝をしたら、悪い奴らに捕まって、魔力を封じられ死にかけたって話…」
「…そう言えば出会った頃、なんか言ってたな…。それで眠っている時、防御魔法を使って…イバラが守っていたような…」
ルークは出会った頃の事を思い出していた。
確か、木の下で眠るリーンに近付くと、イバラが飛び出してきて、リーンを守っていた。
それも、当時の俺達が知らない魔法を使って作っていた…。
「…今は、魔力が無くてもお前がいるし、…長い時間を生きてきたリーンには、幸せで居て欲しい…」
「…だから、幸せそうな寝顔を見れて嬉しい…」
チイが微笑んで言う。
「一応、客室を準備してあるけれど…」
「…このままで良い。いつも子供達に邪魔されるから、たまには抱えて眠るのも…」
チイはクスっと笑った。
「それなら、毛布を持ってくるわ。ルナの様子を見て、私も先に眠るわね」
「ああ」
ヒイロがそう返事すると、チイは毛布を持ってきてくれ、ルナの部屋に入り、しばらくすると出てきて、『お休み』と言って、別の部屋に入っていった。
チイは明日の朝の、食事の準備の事が有るから、先に寝室に入ったのだろう。
そこからは、ヒイロとルークで残りのお酒を分けあい、夜遅くまで語りあった。
そしてヒイロが、思い出したかのように聞いてきた。
「気になったのだが、…ミーナはルークの子供では無いな」
「…。」
ヒイロは気がついたか…。
「魔力の波長が違う」
「…リーンの子供だよ」
ルークは苦笑いした。
ヒイロには話しておいた方が良いのかもしれない。
もし、ミーナが魔女と同じ魔力に目覚めたとき、手助けしてもらえるかも…。
ルークは真剣な表情で、ヒイロに小声で言う。
「…ミーナはリーンと魔女王の子供だ。…魔女王が転移魔法を使って、リーンの腹に移した…」
ヒイロは目を見開き、驚いている。
普通に、驚くだろう…。
「…魔女王の時間の流れが遅くて、十年近く体内で眠ってたらしい。…外に出してあげるには、誰かの腹を借りて、成長させるしかなかった」
ヒイロは口をパクパクさせて何か言いたげだが、言葉に出来ていない…。
「…ミーナはリーンの子供だ。俺はそれで良い…」
ルークは微笑んでヒイロに答えた。
「…良く受け入れたな…」
「そうか?…それでミーナに何かあったら、手助けしてあげて欲しい…」
「…魔女の魔力か…」
ヒイロは首をかしげる。
「覚醒するか分からないが、いずれこの話はしなくてはいけない…」
「…だな。もう少し大きくなったら…」
「ああ。それでもミーナはリーンの子供だ。それは変わらない…。愛しい子供だよ」
ルークはそう言って微笑み、グラスに残っているお酒を飲み干した。
お酒が回ったのと眠気で、トロンと目蓋が降りてきた。
「…んっ…」
ルークの体温が暖かくて、気持ちいい…。
ゆっくりと身体が横に倒され、ルークの太ももを枕に目を閉じた。
…ルークの匂い…。
リーンはそのまま眠ってしまった。
*****
リーンが眠そうに寄りかかってきたので、ルークはそっと太ももに誘導して、膝枕をすると、リーンは目を閉じて眠ってしまった。
微かな寝息が聞こえる。
ルークはリーンの髪を撫でた。
向かいのソファーに座るヒイロとチイは、楽しそうに微笑んで、リーンの寝顔を眺めていた。
「…ルークの側だと、リーンは無防備に眠るのね…」
「安全だと感じるから…だな…」
ヒイロは何か思い出したように、苦笑いする。
「…リーンから聞いてないよな。昔、『森の聖域』からグオルクに向かって一人で歩いてきて、途中で昼寝をしたら、悪い奴らに捕まって、魔力を封じられ死にかけたって話…」
「…そう言えば出会った頃、なんか言ってたな…。それで眠っている時、防御魔法を使って…イバラが守っていたような…」
ルークは出会った頃の事を思い出していた。
確か、木の下で眠るリーンに近付くと、イバラが飛び出してきて、リーンを守っていた。
それも、当時の俺達が知らない魔法を使って作っていた…。
「…今は、魔力が無くてもお前がいるし、…長い時間を生きてきたリーンには、幸せで居て欲しい…」
「…だから、幸せそうな寝顔を見れて嬉しい…」
チイが微笑んで言う。
「一応、客室を準備してあるけれど…」
「…このままで良い。いつも子供達に邪魔されるから、たまには抱えて眠るのも…」
チイはクスっと笑った。
「それなら、毛布を持ってくるわ。ルナの様子を見て、私も先に眠るわね」
「ああ」
ヒイロがそう返事すると、チイは毛布を持ってきてくれ、ルナの部屋に入り、しばらくすると出てきて、『お休み』と言って、別の部屋に入っていった。
チイは明日の朝の、食事の準備の事が有るから、先に寝室に入ったのだろう。
そこからは、ヒイロとルークで残りのお酒を分けあい、夜遅くまで語りあった。
そしてヒイロが、思い出したかのように聞いてきた。
「気になったのだが、…ミーナはルークの子供では無いな」
「…。」
ヒイロは気がついたか…。
「魔力の波長が違う」
「…リーンの子供だよ」
ルークは苦笑いした。
ヒイロには話しておいた方が良いのかもしれない。
もし、ミーナが魔女と同じ魔力に目覚めたとき、手助けしてもらえるかも…。
ルークは真剣な表情で、ヒイロに小声で言う。
「…ミーナはリーンと魔女王の子供だ。…魔女王が転移魔法を使って、リーンの腹に移した…」
ヒイロは目を見開き、驚いている。
普通に、驚くだろう…。
「…魔女王の時間の流れが遅くて、十年近く体内で眠ってたらしい。…外に出してあげるには、誰かの腹を借りて、成長させるしかなかった」
ヒイロは口をパクパクさせて何か言いたげだが、言葉に出来ていない…。
「…ミーナはリーンの子供だ。俺はそれで良い…」
ルークは微笑んでヒイロに答えた。
「…良く受け入れたな…」
「そうか?…それでミーナに何かあったら、手助けしてあげて欲しい…」
「…魔女の魔力か…」
ヒイロは首をかしげる。
「覚醒するか分からないが、いずれこの話はしなくてはいけない…」
「…だな。もう少し大きくなったら…」
「ああ。それでもミーナはリーンの子供だ。それは変わらない…。愛しい子供だよ」
ルークはそう言って微笑み、グラスに残っているお酒を飲み干した。
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