329 / 462
森の聖域 2
月日が流れ…。
しおりを挟む
あれから…三年の月日が流れていた。
キースとミーナとニーナは、いよいよ王都の小等科に通うことになり、三人が住むことになる屋敷は、ジーンとユーリも暮らしていたメジノの屋敷だ。
側にいて、少し甘やかしてしまったから心配だ。
それでも成長していく子供達を見ているのはとても楽しい。
キースが、グオルクのヒイロ達の家に泊まってから、少し変わった。
ちゃんと歩くし…今までめんどくさいと、魔法を使ってフワフワ移動していたのも無くなり、手で物を掴むし…風魔法を使って物を取り寄せていたのも無くなり…ミーナやニーナと同じ様に地に足がついた生活をしている。
キースはどうもルナの事が気に入ったみたいで、ルナの言うことは、ちゃんと聞くようになっていた。
時々グオルクに行くと、ルナに甘えて膝の上に乗ったり、膝枕してもらっている。
ルナは面倒見が良いから、かわいい弟が出来たみたいに、接してくれている。
何がきっかけで、変わるのか分からないが、そうして大人になっていくのだろう…。
ミーナは魔女の魔力を時々見せるようになった。
魔女との接点がある私だから気が付いたのかもしれない…。
普段は普通の子供なのだが、時々夢の中で『少し先の未来』を見ていることに気がついた。
ミーナは『夢見』の力があるのかもしれない。
だから、ミーナには「不思議な夢を見たら、教えてね」と、伝えてある。
今は些細な事だが、いずれソフィアのように魔女の魔力が解放されると、どうなるのかわからない。
それまでには、ソフィアの元に預けることになるのかもしれない…と、少し寂しさを思う時がある。
ニーナはジーンと一緒で、おとなしく本を読むのが好きだ。
ジーンが置いていった図鑑は、ニーナにとって分厚い絵本のようで、文字は読めないが、楽しそうに見ている。
そして時々『読んで』と、本を持ってきて、文字を読み解説してあげると喜んで、覚えているようだ。
文字は少ししか読めないし、意味も分かっていないだろうが、私が言ったことを覚えていて話してくれる。
それが徐々に身の有る言葉になっていくのだろう…。
先に王都で暮らしていたユーリは、十五歳の時に屋敷を出て、王都の騎士寮に入り、十七歳になった今は、見習い騎士として女子を率いて王城の任務に当たっている。
ユーリは、リーンと同じ黒髪を長く伸ばし、ポニーテールにして、俊敏な動きで剣と魔法を使う。
女の子の憧れの魔法剣士だそうだ。
…ユーリがね…。
訓練で傷を作る事など当たり前で、よくジーンに薬を調合してもらっているらしい…。
無茶だけはしないで欲しい…。
ジーンはこの屋敷から高等科に通い、薬草の調合、採取、栽培を勉強している。
…私の影響も有るようだ。
もともと本が好きだったのもあり、カザナに置いてある図鑑をニーナの様に絵本がわりに見ていたのもあり、知識としては学園一だろう…。
ただ実物を見たり、よく似た薬草の区別は、経験を積まなくては覚えられないので勉強中だ。
それと週末は、王都の隣に有る港街の神殿に通っている。
ルークの真ん中の兄がレオン王子が警備する、カザンナ王国の神殿で見習いを始めた。
目的の半分は、神殿に有る書物らしいが…。
ジーンは…神官になるのかもしれない…。
ルークの兄の幼馴染みであり、現在の神官長である方と意気投合してしまい、学校の無い週末に通っているのだ。
…何が起こるか分からないものだ…。
ルークと出会って、もうすぐ二十年になる。
そのうちの何年間は眠っていたから、それだけ時間が経過した様に思えないが…。
これほど長く一つの場所にとどまっている事は始めてだ。
ルークは年齢を重ね、鍛えられた身体を維持しながら四十歳を迎えた。
私は…魔力のあまり無い状態が、六年間続いていた…。
不安もあったけど、ルークや子供達との時間をゆっくりと取れて、幸せだった。
けれど、その六年間と眠っていた時間を合わせても、十年近く森の中を歩いていない…。
カザンナ王国や獣人の町などでとれる対策はとって、自然の驚異を乗り越えてきた。
それでも自然現象は土砂崩れを起こし、水害を起こしている。
だから、地形も多少なり変化し、今まで大丈夫だった場所が、危険地帯になっている場合もあった。
…私が森にいて、気が付けば被害は押さえられたのに…。
何度もそう思う事態が起き、ルークは現地に人の手配をしていた。
…もうすぐ『森の聖域』に向かう。
三つ子達を王都に送り届け、学校が始まったらしばらくは会えないだろう…。
それまでは…。
『森の聖域』向かう時間は迫っていた。
キースとミーナとニーナは、いよいよ王都の小等科に通うことになり、三人が住むことになる屋敷は、ジーンとユーリも暮らしていたメジノの屋敷だ。
側にいて、少し甘やかしてしまったから心配だ。
それでも成長していく子供達を見ているのはとても楽しい。
キースが、グオルクのヒイロ達の家に泊まってから、少し変わった。
ちゃんと歩くし…今までめんどくさいと、魔法を使ってフワフワ移動していたのも無くなり、手で物を掴むし…風魔法を使って物を取り寄せていたのも無くなり…ミーナやニーナと同じ様に地に足がついた生活をしている。
キースはどうもルナの事が気に入ったみたいで、ルナの言うことは、ちゃんと聞くようになっていた。
時々グオルクに行くと、ルナに甘えて膝の上に乗ったり、膝枕してもらっている。
ルナは面倒見が良いから、かわいい弟が出来たみたいに、接してくれている。
何がきっかけで、変わるのか分からないが、そうして大人になっていくのだろう…。
ミーナは魔女の魔力を時々見せるようになった。
魔女との接点がある私だから気が付いたのかもしれない…。
普段は普通の子供なのだが、時々夢の中で『少し先の未来』を見ていることに気がついた。
ミーナは『夢見』の力があるのかもしれない。
だから、ミーナには「不思議な夢を見たら、教えてね」と、伝えてある。
今は些細な事だが、いずれソフィアのように魔女の魔力が解放されると、どうなるのかわからない。
それまでには、ソフィアの元に預けることになるのかもしれない…と、少し寂しさを思う時がある。
ニーナはジーンと一緒で、おとなしく本を読むのが好きだ。
ジーンが置いていった図鑑は、ニーナにとって分厚い絵本のようで、文字は読めないが、楽しそうに見ている。
そして時々『読んで』と、本を持ってきて、文字を読み解説してあげると喜んで、覚えているようだ。
文字は少ししか読めないし、意味も分かっていないだろうが、私が言ったことを覚えていて話してくれる。
それが徐々に身の有る言葉になっていくのだろう…。
先に王都で暮らしていたユーリは、十五歳の時に屋敷を出て、王都の騎士寮に入り、十七歳になった今は、見習い騎士として女子を率いて王城の任務に当たっている。
ユーリは、リーンと同じ黒髪を長く伸ばし、ポニーテールにして、俊敏な動きで剣と魔法を使う。
女の子の憧れの魔法剣士だそうだ。
…ユーリがね…。
訓練で傷を作る事など当たり前で、よくジーンに薬を調合してもらっているらしい…。
無茶だけはしないで欲しい…。
ジーンはこの屋敷から高等科に通い、薬草の調合、採取、栽培を勉強している。
…私の影響も有るようだ。
もともと本が好きだったのもあり、カザナに置いてある図鑑をニーナの様に絵本がわりに見ていたのもあり、知識としては学園一だろう…。
ただ実物を見たり、よく似た薬草の区別は、経験を積まなくては覚えられないので勉強中だ。
それと週末は、王都の隣に有る港街の神殿に通っている。
ルークの真ん中の兄がレオン王子が警備する、カザンナ王国の神殿で見習いを始めた。
目的の半分は、神殿に有る書物らしいが…。
ジーンは…神官になるのかもしれない…。
ルークの兄の幼馴染みであり、現在の神官長である方と意気投合してしまい、学校の無い週末に通っているのだ。
…何が起こるか分からないものだ…。
ルークと出会って、もうすぐ二十年になる。
そのうちの何年間は眠っていたから、それだけ時間が経過した様に思えないが…。
これほど長く一つの場所にとどまっている事は始めてだ。
ルークは年齢を重ね、鍛えられた身体を維持しながら四十歳を迎えた。
私は…魔力のあまり無い状態が、六年間続いていた…。
不安もあったけど、ルークや子供達との時間をゆっくりと取れて、幸せだった。
けれど、その六年間と眠っていた時間を合わせても、十年近く森の中を歩いていない…。
カザンナ王国や獣人の町などでとれる対策はとって、自然の驚異を乗り越えてきた。
それでも自然現象は土砂崩れを起こし、水害を起こしている。
だから、地形も多少なり変化し、今まで大丈夫だった場所が、危険地帯になっている場合もあった。
…私が森にいて、気が付けば被害は押さえられたのに…。
何度もそう思う事態が起き、ルークは現地に人の手配をしていた。
…もうすぐ『森の聖域』に向かう。
三つ子達を王都に送り届け、学校が始まったらしばらくは会えないだろう…。
それまでは…。
『森の聖域』向かう時間は迫っていた。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる