319 / 462
森の聖域 1
ふわふわフサフサ
しおりを挟む
「うわっ…」
「ふわふわ…」
「フサフサ…」
ヒイロの執務室に出で、子供達が一斉に声を上げた。
…うん?
子供達の視線の先に、チイの揺れる尻尾が有った。
「いらっしゃい。リーン。ルーク」
そう言って動きやすそうなズボン姿の、豹の獣人チイが金色の髪の毛と尻尾を揺らし、耳をピクピクさせて微笑んだ。
「久しぶり。ヒイロは…」
「会議中。もう少しかかりそうよ」
そう言ってチイが苦笑いする。
子供達は見上げて、じっとチイを見ている。
それに気が付いたチイがしゃがんで、視線を子供達に合わせ微笑む。
「こんにちは。私はチイ。リーンの家族よ」
子供達はハッとして、モジモジしながらチイを見ている。
ほら、頑張れ!
練習してきただろうが!
リーンとルークは、黙って応援する。
しばらくすると、意を決して、ミーナがチイの方を見る。
「…カザンナおうこく、…だい三おうじの子。…ミーナです。…こんにちは…」
「こんにちは。ミーナちゃん」
チイがそう言って微笑むと、ミーナはリーンの後ろに隠れてしまった。
よし、頑張った!
次はキースがチイの方を向いた。
「…カザンナおうこく…だい三おうじの子。…キース…です。…こっ…こんにちは…」
「こんにちは。キースくん」
チイがそう言うとキースはルークの後ろに隠れてしまう。
あとは、ニーナ…。
ニーナはうつ向いて、ルークの足にしがみつき、ボソボソと言い出す。
「…カザンナおうこく…だい三おうじの子…ニーナ…です…」
ニーナはそこまで言って、ルークの足にきゅっとしがみつく。
…ニーナはココまでか…。
三人とも、自分から挨拶をすることが無く、挨拶の練習をいっぱいしてきたのだが、初めて会う者と対面すると、やはり緊張してしまうみたいだ。
「こんにちは。ニーナちゃん。…さっきは何に驚いていたの?」
…部屋に来たすぐに、三人とも声を上げて居たことを言っているのだろう。
「…フサフサ…」
ニーナがルークの足元から、チイをチラリと見て顔を引っ込めて言う。
「何がフサフサ?」
「…。」
ニーナはじっと揺れるチイの尻尾を見ている。
「…しっぽ…」
ルークの反対側の足に隠れているキースが、横から言ってくる。
「なるほどね。リーンのところでは、みんな仕舞ってるから…」
屋敷にいる獣人は、人族にまぎれるため、耳も尻尾も隠している。
「まあ、珍しいのかも…」
リーンがそう言うと、チイが微笑んだ。
「少しだけなら触っても良いわよ」
チイがそう言うと、ニーナもキースもミーナも、目がキラキラと輝いた。
「順番にね」
チイがそう言って、一番最初に動いたのがニーナだった。
恥ずかしそうにうつむいたまま、ちょこっとづつチイに近付いて行く姿がまた、可愛らしい…。
チイは微笑んで尻尾を手に取り、『どうぞ』とニーナに向ける。
ニーナは手を伸ばし、少し触れて手を引っ込めて、また手を伸ばすを繰り返し、少し慣れたのか、顔を上げてチイの尻尾に触れる。
「…フサフサ…」
ニーナは少し撫でると、緊張が解けてきたのか、頬を緩めて微かに微笑んでいる。
そこへリーンの後ろに隠れていたミーナも近付いて行った。
「はい。次はミーナちゃん」
チイがそう言うと、ニーナがミーナにチイの尻尾を差し出しミーナが受けとり、ニーナはルークの足元に戻って隠れてしまう。
よく頑張った!ニーナ!
「…ふわふわ…」
ミーナも嬉しそうに撫で撫でしていると、キースがそっと近付いて行く。
「次はキースくん」
ミーナの前にキースが来ると、ミーナがキースにチイの尻尾を手渡し、ミーナもリーンの足元に戻ってくる。
「…うわっ…やわらかい…」
キースは触り心地に感動しているようだ。
しばらく触ってキースが堪能し終わると、キースもルークの足元に戻ってく。
「悪いねチイ」
「良いのよ」
そしてチイは三人に言う。
「触って見たかったら、『触らせてください』って、お願いする事。『ダメ』って、言うことも有るから、きちんと確認するのよ」
三人はコクコクと頷いている。
その様子を見て、チイは微笑み、
「そこに座っていて、おやつを持って来るわね」
そう言って、執務室の横に有るキッキンに向かった。
「ふわふわ…」
「フサフサ…」
ヒイロの執務室に出で、子供達が一斉に声を上げた。
…うん?
子供達の視線の先に、チイの揺れる尻尾が有った。
「いらっしゃい。リーン。ルーク」
そう言って動きやすそうなズボン姿の、豹の獣人チイが金色の髪の毛と尻尾を揺らし、耳をピクピクさせて微笑んだ。
「久しぶり。ヒイロは…」
「会議中。もう少しかかりそうよ」
そう言ってチイが苦笑いする。
子供達は見上げて、じっとチイを見ている。
それに気が付いたチイがしゃがんで、視線を子供達に合わせ微笑む。
「こんにちは。私はチイ。リーンの家族よ」
子供達はハッとして、モジモジしながらチイを見ている。
ほら、頑張れ!
練習してきただろうが!
リーンとルークは、黙って応援する。
しばらくすると、意を決して、ミーナがチイの方を見る。
「…カザンナおうこく、…だい三おうじの子。…ミーナです。…こんにちは…」
「こんにちは。ミーナちゃん」
チイがそう言って微笑むと、ミーナはリーンの後ろに隠れてしまった。
よし、頑張った!
次はキースがチイの方を向いた。
「…カザンナおうこく…だい三おうじの子。…キース…です。…こっ…こんにちは…」
「こんにちは。キースくん」
チイがそう言うとキースはルークの後ろに隠れてしまう。
あとは、ニーナ…。
ニーナはうつ向いて、ルークの足にしがみつき、ボソボソと言い出す。
「…カザンナおうこく…だい三おうじの子…ニーナ…です…」
ニーナはそこまで言って、ルークの足にきゅっとしがみつく。
…ニーナはココまでか…。
三人とも、自分から挨拶をすることが無く、挨拶の練習をいっぱいしてきたのだが、初めて会う者と対面すると、やはり緊張してしまうみたいだ。
「こんにちは。ニーナちゃん。…さっきは何に驚いていたの?」
…部屋に来たすぐに、三人とも声を上げて居たことを言っているのだろう。
「…フサフサ…」
ニーナがルークの足元から、チイをチラリと見て顔を引っ込めて言う。
「何がフサフサ?」
「…。」
ニーナはじっと揺れるチイの尻尾を見ている。
「…しっぽ…」
ルークの反対側の足に隠れているキースが、横から言ってくる。
「なるほどね。リーンのところでは、みんな仕舞ってるから…」
屋敷にいる獣人は、人族にまぎれるため、耳も尻尾も隠している。
「まあ、珍しいのかも…」
リーンがそう言うと、チイが微笑んだ。
「少しだけなら触っても良いわよ」
チイがそう言うと、ニーナもキースもミーナも、目がキラキラと輝いた。
「順番にね」
チイがそう言って、一番最初に動いたのがニーナだった。
恥ずかしそうにうつむいたまま、ちょこっとづつチイに近付いて行く姿がまた、可愛らしい…。
チイは微笑んで尻尾を手に取り、『どうぞ』とニーナに向ける。
ニーナは手を伸ばし、少し触れて手を引っ込めて、また手を伸ばすを繰り返し、少し慣れたのか、顔を上げてチイの尻尾に触れる。
「…フサフサ…」
ニーナは少し撫でると、緊張が解けてきたのか、頬を緩めて微かに微笑んでいる。
そこへリーンの後ろに隠れていたミーナも近付いて行った。
「はい。次はミーナちゃん」
チイがそう言うと、ニーナがミーナにチイの尻尾を差し出しミーナが受けとり、ニーナはルークの足元に戻って隠れてしまう。
よく頑張った!ニーナ!
「…ふわふわ…」
ミーナも嬉しそうに撫で撫でしていると、キースがそっと近付いて行く。
「次はキースくん」
ミーナの前にキースが来ると、ミーナがキースにチイの尻尾を手渡し、ミーナもリーンの足元に戻ってくる。
「…うわっ…やわらかい…」
キースは触り心地に感動しているようだ。
しばらく触ってキースが堪能し終わると、キースもルークの足元に戻ってく。
「悪いねチイ」
「良いのよ」
そしてチイは三人に言う。
「触って見たかったら、『触らせてください』って、お願いする事。『ダメ』って、言うことも有るから、きちんと確認するのよ」
三人はコクコクと頷いている。
その様子を見て、チイは微笑み、
「そこに座っていて、おやつを持って来るわね」
そう言って、執務室の横に有るキッキンに向かった。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる