313 / 462
森の聖域 1
再来
しおりを挟む
ソフィアが再び『魔女の抜け道』を使ってミーナに会いに来たとき、ニーナとキースもお昼寝から目覚めたときだった。
ニーナとキースは、突然開いた『魔女の抜け道』にビックリして、リーンにしがみついていた。
ミーナは二回目なのもあって、自らソフィアの方に歩いて行き、ソフィアを見上げて言った。
「こっちに来ないの?」
ソフィアは微笑んで答える。
「いろいろ制約があって、ココから出れないのよ」
ソフィアは『魔女の森シラミネ』の魔女王だ。
魔女の森の結界を常に展開しているから、森から出ることは出来ない。
唯一、外に出れる方法が『魔女の抜け道』だ。
これは空間を操り、『魔女の森』に居ながら、外界との交流をするために作られた魔法。
どこにでも行けるわけではなく、誰かの魔力を感知して、その場所に開くものだ。
なので一時、『魔女の森』にいたリーンの元に『魔女の抜け道』を作ることは、ソフィアにとって造作もないこと…。
「…ミーナが行くの、ダメ?」
「…。」
…そう来たか…。
「それはリーンに聞いてね」
ソフィアは苦笑いして、ニーナとキースにしがみつかれたままのリーンの方を見ると、ミーナもリーンの方を見た。
「ソヒアの所、行きたい」
…どうするかな…。
「そこには、誰もいない?」
「ええ、私一人よ」
それなら…危険はないだろう…。
リーンがそう思ったら、部屋にキリトが入ってきて、ため息をついた。
きっと内心で『またか…』って思ってるよね。
「おいで」
キリトがそう言って両手を広げると、ニーナとキースがキリトの方に向かって駆け寄りしがみつき、ソフィアの方を見ている。
リーンは立ち上がり、ミーナに近づき抱き上げ、『魔女の抜け道』から覗くソフィアの側に来ると、ミーナが手を伸ばした。
「…ミーナはカザンナ王国の、第三王子の子供だと言うことを忘れないで欲しい」
リーンがそう言うと、ソフィアは微笑んでミーナを受け取る。
「分かっているわ。争いの種にはしたくないもの」
ミーナはニコニコと笑い、ソフィアの腕の中でソフィアの髪の毛や頬に触れて遊んでいる。
リーンはため息を付いて、ソフィアとミーナの側を離れ、ニーナとキースの側に行き、しゃがみこんで微笑んだ。
不安そうにキリトにしがみついて、ミーナを見ている。
「大丈夫だよ。お友達だから…」
リーンはそう言ってニーナとキースの頭を撫でる。
「「…。」」
それでも二人はキリトから離れない。
仕方ない…。
子供達は戸惑っているのだろう…。
自分達とは少し違う、ミーナと同じ魔力を持つ彼女に…。
ニーナとキースはキリトにしがみついたまま、しばらくじっとソフィアとミーナを見ていた。
キリトは苦笑いして動けず、どうしたものかと、思っていると、キースがキリトからゆっくりと手を離した。
そして、ミーナがニコニコしているのに警戒心を解いたのか、ふわりと身体を浮かし、ゆっくりとソフィアに近づき始めた。
…この距離くらい、歩いて欲しいんどけど…。
リーンはため息をついて頭を押さえた。
そして近づいてくるキースに気が付いたソフィアがキースの方を見ると、動きがピタリと止まった。
ソフィアが視線をミーナに向けるとまた動き出して、再びソフィアがキースを見ると動きが止まった。
…まるで遊んでいるみたいに…。
なんか、そんな遊びがあったよな…。
キースはそれを繰り返している…。
ニーナはキリトにしがみついたまま…。
「おいで」
キリトが手を伸ばすと、ニーナは両手を上げてキリトに抱き上げられて、キリトにしがみついている。
…ニーナは警戒心や受感性が強く、ソフィアの…魔女の強い魔力を感知しているのかもしれない…。
…慣れかもしれないが…。
キースはソフィアの側にたどり着いて、じっとソフィアを見上げている。
「…ミーナと同じ」
…キースも気が付いているのか…。
ソフィアは答えず微笑むだけ。
「キースはダメだよ」
ミーナがキースに向かって言うと、キースは首を傾げた。
「何がダメ?」
「ソヒアはミーナのもの!リーンと同じくらい気持ちいいの!」
「…ボクも…」
「こらこら喧嘩しないの。キースだったかしら、来てみる?」
ソフィアが手を伸ばすと、キースがふわりと浮いて、ソフィアの腕の中に収まった。
「…ココ…魔法使えない…身体が重い…」
キースがそう言って泣きそうな顔になる。
「リーン…」
ソフィアが不安そうに呼んだので、リーンがソフィア達に近づくと、キースがリーンに向かって手を伸ばしてきて、リーンは泣きそうなキースを受け取り、キースに微笑んだ。
「普段から歩いていないからだよ」
「…もしかして、いつも浮遊魔法を使っているの?」
ソフィアは驚いてキースを見る。
「そうなんだ…。無意識みたいなんだけどね。足腰が弱くなるから歩いて欲しいんだけど…」
リーンが苦笑いすると、ソフィアが言う。
「…泳ぎ方を教えると良いわ。水中はを歩くだけでも負荷がかかって鍛えられる…」
「今度やってみるよ…」
リーンがそう言うとソフィアは苦笑いして言う。
「…どうしようか迷ったんだけど…本当はね、リーンに教えに来たの…。リーンの魔力の戻し方が分かったかもしれないって…」
ニーナとキースは、突然開いた『魔女の抜け道』にビックリして、リーンにしがみついていた。
ミーナは二回目なのもあって、自らソフィアの方に歩いて行き、ソフィアを見上げて言った。
「こっちに来ないの?」
ソフィアは微笑んで答える。
「いろいろ制約があって、ココから出れないのよ」
ソフィアは『魔女の森シラミネ』の魔女王だ。
魔女の森の結界を常に展開しているから、森から出ることは出来ない。
唯一、外に出れる方法が『魔女の抜け道』だ。
これは空間を操り、『魔女の森』に居ながら、外界との交流をするために作られた魔法。
どこにでも行けるわけではなく、誰かの魔力を感知して、その場所に開くものだ。
なので一時、『魔女の森』にいたリーンの元に『魔女の抜け道』を作ることは、ソフィアにとって造作もないこと…。
「…ミーナが行くの、ダメ?」
「…。」
…そう来たか…。
「それはリーンに聞いてね」
ソフィアは苦笑いして、ニーナとキースにしがみつかれたままのリーンの方を見ると、ミーナもリーンの方を見た。
「ソヒアの所、行きたい」
…どうするかな…。
「そこには、誰もいない?」
「ええ、私一人よ」
それなら…危険はないだろう…。
リーンがそう思ったら、部屋にキリトが入ってきて、ため息をついた。
きっと内心で『またか…』って思ってるよね。
「おいで」
キリトがそう言って両手を広げると、ニーナとキースがキリトの方に向かって駆け寄りしがみつき、ソフィアの方を見ている。
リーンは立ち上がり、ミーナに近づき抱き上げ、『魔女の抜け道』から覗くソフィアの側に来ると、ミーナが手を伸ばした。
「…ミーナはカザンナ王国の、第三王子の子供だと言うことを忘れないで欲しい」
リーンがそう言うと、ソフィアは微笑んでミーナを受け取る。
「分かっているわ。争いの種にはしたくないもの」
ミーナはニコニコと笑い、ソフィアの腕の中でソフィアの髪の毛や頬に触れて遊んでいる。
リーンはため息を付いて、ソフィアとミーナの側を離れ、ニーナとキースの側に行き、しゃがみこんで微笑んだ。
不安そうにキリトにしがみついて、ミーナを見ている。
「大丈夫だよ。お友達だから…」
リーンはそう言ってニーナとキースの頭を撫でる。
「「…。」」
それでも二人はキリトから離れない。
仕方ない…。
子供達は戸惑っているのだろう…。
自分達とは少し違う、ミーナと同じ魔力を持つ彼女に…。
ニーナとキースはキリトにしがみついたまま、しばらくじっとソフィアとミーナを見ていた。
キリトは苦笑いして動けず、どうしたものかと、思っていると、キースがキリトからゆっくりと手を離した。
そして、ミーナがニコニコしているのに警戒心を解いたのか、ふわりと身体を浮かし、ゆっくりとソフィアに近づき始めた。
…この距離くらい、歩いて欲しいんどけど…。
リーンはため息をついて頭を押さえた。
そして近づいてくるキースに気が付いたソフィアがキースの方を見ると、動きがピタリと止まった。
ソフィアが視線をミーナに向けるとまた動き出して、再びソフィアがキースを見ると動きが止まった。
…まるで遊んでいるみたいに…。
なんか、そんな遊びがあったよな…。
キースはそれを繰り返している…。
ニーナはキリトにしがみついたまま…。
「おいで」
キリトが手を伸ばすと、ニーナは両手を上げてキリトに抱き上げられて、キリトにしがみついている。
…ニーナは警戒心や受感性が強く、ソフィアの…魔女の強い魔力を感知しているのかもしれない…。
…慣れかもしれないが…。
キースはソフィアの側にたどり着いて、じっとソフィアを見上げている。
「…ミーナと同じ」
…キースも気が付いているのか…。
ソフィアは答えず微笑むだけ。
「キースはダメだよ」
ミーナがキースに向かって言うと、キースは首を傾げた。
「何がダメ?」
「ソヒアはミーナのもの!リーンと同じくらい気持ちいいの!」
「…ボクも…」
「こらこら喧嘩しないの。キースだったかしら、来てみる?」
ソフィアが手を伸ばすと、キースがふわりと浮いて、ソフィアの腕の中に収まった。
「…ココ…魔法使えない…身体が重い…」
キースがそう言って泣きそうな顔になる。
「リーン…」
ソフィアが不安そうに呼んだので、リーンがソフィア達に近づくと、キースがリーンに向かって手を伸ばしてきて、リーンは泣きそうなキースを受け取り、キースに微笑んだ。
「普段から歩いていないからだよ」
「…もしかして、いつも浮遊魔法を使っているの?」
ソフィアは驚いてキースを見る。
「そうなんだ…。無意識みたいなんだけどね。足腰が弱くなるから歩いて欲しいんだけど…」
リーンが苦笑いすると、ソフィアが言う。
「…泳ぎ方を教えると良いわ。水中はを歩くだけでも負荷がかかって鍛えられる…」
「今度やってみるよ…」
リーンがそう言うとソフィアは苦笑いして言う。
「…どうしようか迷ったんだけど…本当はね、リーンに教えに来たの…。リーンの魔力の戻し方が分かったかもしれないって…」
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる