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森の聖域 1
再来
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ソフィアが再び『魔女の抜け道』を使ってミーナに会いに来たとき、ニーナとキースもお昼寝から目覚めたときだった。
ニーナとキースは、突然開いた『魔女の抜け道』にビックリして、リーンにしがみついていた。
ミーナは二回目なのもあって、自らソフィアの方に歩いて行き、ソフィアを見上げて言った。
「こっちに来ないの?」
ソフィアは微笑んで答える。
「いろいろ制約があって、ココから出れないのよ」
ソフィアは『魔女の森シラミネ』の魔女王だ。
魔女の森の結界を常に展開しているから、森から出ることは出来ない。
唯一、外に出れる方法が『魔女の抜け道』だ。
これは空間を操り、『魔女の森』に居ながら、外界との交流をするために作られた魔法。
どこにでも行けるわけではなく、誰かの魔力を感知して、その場所に開くものだ。
なので一時、『魔女の森』にいたリーンの元に『魔女の抜け道』を作ることは、ソフィアにとって造作もないこと…。
「…ミーナが行くの、ダメ?」
「…。」
…そう来たか…。
「それはリーンに聞いてね」
ソフィアは苦笑いして、ニーナとキースにしがみつかれたままのリーンの方を見ると、ミーナもリーンの方を見た。
「ソヒアの所、行きたい」
…どうするかな…。
「そこには、誰もいない?」
「ええ、私一人よ」
それなら…危険はないだろう…。
リーンがそう思ったら、部屋にキリトが入ってきて、ため息をついた。
きっと内心で『またか…』って思ってるよね。
「おいで」
キリトがそう言って両手を広げると、ニーナとキースがキリトの方に向かって駆け寄りしがみつき、ソフィアの方を見ている。
リーンは立ち上がり、ミーナに近づき抱き上げ、『魔女の抜け道』から覗くソフィアの側に来ると、ミーナが手を伸ばした。
「…ミーナはカザンナ王国の、第三王子の子供だと言うことを忘れないで欲しい」
リーンがそう言うと、ソフィアは微笑んでミーナを受け取る。
「分かっているわ。争いの種にはしたくないもの」
ミーナはニコニコと笑い、ソフィアの腕の中でソフィアの髪の毛や頬に触れて遊んでいる。
リーンはため息を付いて、ソフィアとミーナの側を離れ、ニーナとキースの側に行き、しゃがみこんで微笑んだ。
不安そうにキリトにしがみついて、ミーナを見ている。
「大丈夫だよ。お友達だから…」
リーンはそう言ってニーナとキースの頭を撫でる。
「「…。」」
それでも二人はキリトから離れない。
仕方ない…。
子供達は戸惑っているのだろう…。
自分達とは少し違う、ミーナと同じ魔力を持つ彼女に…。
ニーナとキースはキリトにしがみついたまま、しばらくじっとソフィアとミーナを見ていた。
キリトは苦笑いして動けず、どうしたものかと、思っていると、キースがキリトからゆっくりと手を離した。
そして、ミーナがニコニコしているのに警戒心を解いたのか、ふわりと身体を浮かし、ゆっくりとソフィアに近づき始めた。
…この距離くらい、歩いて欲しいんどけど…。
リーンはため息をついて頭を押さえた。
そして近づいてくるキースに気が付いたソフィアがキースの方を見ると、動きがピタリと止まった。
ソフィアが視線をミーナに向けるとまた動き出して、再びソフィアがキースを見ると動きが止まった。
…まるで遊んでいるみたいに…。
なんか、そんな遊びがあったよな…。
キースはそれを繰り返している…。
ニーナはキリトにしがみついたまま…。
「おいで」
キリトが手を伸ばすと、ニーナは両手を上げてキリトに抱き上げられて、キリトにしがみついている。
…ニーナは警戒心や受感性が強く、ソフィアの…魔女の強い魔力を感知しているのかもしれない…。
…慣れかもしれないが…。
キースはソフィアの側にたどり着いて、じっとソフィアを見上げている。
「…ミーナと同じ」
…キースも気が付いているのか…。
ソフィアは答えず微笑むだけ。
「キースはダメだよ」
ミーナがキースに向かって言うと、キースは首を傾げた。
「何がダメ?」
「ソヒアはミーナのもの!リーンと同じくらい気持ちいいの!」
「…ボクも…」
「こらこら喧嘩しないの。キースだったかしら、来てみる?」
ソフィアが手を伸ばすと、キースがふわりと浮いて、ソフィアの腕の中に収まった。
「…ココ…魔法使えない…身体が重い…」
キースがそう言って泣きそうな顔になる。
「リーン…」
ソフィアが不安そうに呼んだので、リーンがソフィア達に近づくと、キースがリーンに向かって手を伸ばしてきて、リーンは泣きそうなキースを受け取り、キースに微笑んだ。
「普段から歩いていないからだよ」
「…もしかして、いつも浮遊魔法を使っているの?」
ソフィアは驚いてキースを見る。
「そうなんだ…。無意識みたいなんだけどね。足腰が弱くなるから歩いて欲しいんだけど…」
リーンが苦笑いすると、ソフィアが言う。
「…泳ぎ方を教えると良いわ。水中はを歩くだけでも負荷がかかって鍛えられる…」
「今度やってみるよ…」
リーンがそう言うとソフィアは苦笑いして言う。
「…どうしようか迷ったんだけど…本当はね、リーンに教えに来たの…。リーンの魔力の戻し方が分かったかもしれないって…」
ニーナとキースは、突然開いた『魔女の抜け道』にビックリして、リーンにしがみついていた。
ミーナは二回目なのもあって、自らソフィアの方に歩いて行き、ソフィアを見上げて言った。
「こっちに来ないの?」
ソフィアは微笑んで答える。
「いろいろ制約があって、ココから出れないのよ」
ソフィアは『魔女の森シラミネ』の魔女王だ。
魔女の森の結界を常に展開しているから、森から出ることは出来ない。
唯一、外に出れる方法が『魔女の抜け道』だ。
これは空間を操り、『魔女の森』に居ながら、外界との交流をするために作られた魔法。
どこにでも行けるわけではなく、誰かの魔力を感知して、その場所に開くものだ。
なので一時、『魔女の森』にいたリーンの元に『魔女の抜け道』を作ることは、ソフィアにとって造作もないこと…。
「…ミーナが行くの、ダメ?」
「…。」
…そう来たか…。
「それはリーンに聞いてね」
ソフィアは苦笑いして、ニーナとキースにしがみつかれたままのリーンの方を見ると、ミーナもリーンの方を見た。
「ソヒアの所、行きたい」
…どうするかな…。
「そこには、誰もいない?」
「ええ、私一人よ」
それなら…危険はないだろう…。
リーンがそう思ったら、部屋にキリトが入ってきて、ため息をついた。
きっと内心で『またか…』って思ってるよね。
「おいで」
キリトがそう言って両手を広げると、ニーナとキースがキリトの方に向かって駆け寄りしがみつき、ソフィアの方を見ている。
リーンは立ち上がり、ミーナに近づき抱き上げ、『魔女の抜け道』から覗くソフィアの側に来ると、ミーナが手を伸ばした。
「…ミーナはカザンナ王国の、第三王子の子供だと言うことを忘れないで欲しい」
リーンがそう言うと、ソフィアは微笑んでミーナを受け取る。
「分かっているわ。争いの種にはしたくないもの」
ミーナはニコニコと笑い、ソフィアの腕の中でソフィアの髪の毛や頬に触れて遊んでいる。
リーンはため息を付いて、ソフィアとミーナの側を離れ、ニーナとキースの側に行き、しゃがみこんで微笑んだ。
不安そうにキリトにしがみついて、ミーナを見ている。
「大丈夫だよ。お友達だから…」
リーンはそう言ってニーナとキースの頭を撫でる。
「「…。」」
それでも二人はキリトから離れない。
仕方ない…。
子供達は戸惑っているのだろう…。
自分達とは少し違う、ミーナと同じ魔力を持つ彼女に…。
ニーナとキースはキリトにしがみついたまま、しばらくじっとソフィアとミーナを見ていた。
キリトは苦笑いして動けず、どうしたものかと、思っていると、キースがキリトからゆっくりと手を離した。
そして、ミーナがニコニコしているのに警戒心を解いたのか、ふわりと身体を浮かし、ゆっくりとソフィアに近づき始めた。
…この距離くらい、歩いて欲しいんどけど…。
リーンはため息をついて頭を押さえた。
そして近づいてくるキースに気が付いたソフィアがキースの方を見ると、動きがピタリと止まった。
ソフィアが視線をミーナに向けるとまた動き出して、再びソフィアがキースを見ると動きが止まった。
…まるで遊んでいるみたいに…。
なんか、そんな遊びがあったよな…。
キースはそれを繰り返している…。
ニーナはキリトにしがみついたまま…。
「おいで」
キリトが手を伸ばすと、ニーナは両手を上げてキリトに抱き上げられて、キリトにしがみついている。
…ニーナは警戒心や受感性が強く、ソフィアの…魔女の強い魔力を感知しているのかもしれない…。
…慣れかもしれないが…。
キースはソフィアの側にたどり着いて、じっとソフィアを見上げている。
「…ミーナと同じ」
…キースも気が付いているのか…。
ソフィアは答えず微笑むだけ。
「キースはダメだよ」
ミーナがキースに向かって言うと、キースは首を傾げた。
「何がダメ?」
「ソヒアはミーナのもの!リーンと同じくらい気持ちいいの!」
「…ボクも…」
「こらこら喧嘩しないの。キースだったかしら、来てみる?」
ソフィアが手を伸ばすと、キースがふわりと浮いて、ソフィアの腕の中に収まった。
「…ココ…魔法使えない…身体が重い…」
キースがそう言って泣きそうな顔になる。
「リーン…」
ソフィアが不安そうに呼んだので、リーンがソフィア達に近づくと、キースがリーンに向かって手を伸ばしてきて、リーンは泣きそうなキースを受け取り、キースに微笑んだ。
「普段から歩いていないからだよ」
「…もしかして、いつも浮遊魔法を使っているの?」
ソフィアは驚いてキースを見る。
「そうなんだ…。無意識みたいなんだけどね。足腰が弱くなるから歩いて欲しいんだけど…」
リーンが苦笑いすると、ソフィアが言う。
「…泳ぎ方を教えると良いわ。水中はを歩くだけでも負荷がかかって鍛えられる…」
「今度やってみるよ…」
リーンがそう言うとソフィアは苦笑いして言う。
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