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森の聖域 1
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三つ子も三才になると、それぞれ個性がハッキリと現れ始めた。
ルークに似た黒髪の緑の瞳のキースは、風を使えるようになり、低空だがフワフワと飛べるようになっていた。
少しめんどくさがりやで、なるべく足で歩くように言っても、フワフワと身体を浮かせて歩かずに移動する。
そこそこ魔力をもっているので、困ったもんだ…。
足腰が弱くなってしまうから、歩いて欲しいのだが、ほんの少しの魔力で浮くことが出来てしまったため、最近は歩いてくれない…。
あまり使いたくないが、魔力封じを使かうか、魔力が使えない場所で訓練するか、迷うところ…。
リーンに似た、金髪の青い瞳の女の子ニーナは、とてもおとなしく、あまりしゃべらない。
ジーンと良く似ていて、本が好きだ。
いつも読んで欲しいときだけ、絵本を持ってきて『読んで』と話すくらい…。
その分、リーンに似た、金髪の緑の瞳のミーナは、よくしゃべるし活発に動き、三人の中で魔力も大きい…。
まあ、ソフィアの子供だからな…。
とは、言え、三人ともリーンの子供でもあるのだから、風が扱える。
良いのか悪いのか…使い方を間違えないように、教えていかなくてはいけない…。
そんな三人がリーンの部屋でお昼寝をしている時、屋敷の結界が一瞬ビリっと振動した。
今までに無いことだ。
リーンは緊張した。
今のリーンに魔力は無い。
この状況で、子供達を守れるのか?!
そう思ったら、その振動に気がついたキリトとルークが、リーンの部屋へ駆け込んできた。
「リーン!」
二人が眠る子供達の側に来ると、リーンの側に『魔女の抜け道』が突然出現して、そこから魔女王ソフィアが顔を覗かせた。
「なかなか連れて来てくれないから、来ちゃった」
ソフィアはそんな軽い感じて、微笑んできたので、リーンとルークとキリトは呆然として、ため息をついた。
「…よく、宿り木ミーネが結界内に入れてくれたな…」
ルークがそう言うと、ソフィアは微笑んで言った。
「…子供に会いたいと、言ったら入れてくれたわよ。…気づいているんじゃないかしら」
…そうだな。
リーンのお腹に宿ったとき、ミーネはその光を見ている。
それが、リーンとルークだけでなく、ソフィアの魔力を帯びている事に気がついていたのだろう…。
キリトだけが、少し首を傾げる。
今さらだが、キリトには説明しておいた方が良いのかもしれない。
今後の子供達の事もあるし、成長するにつれて、ソフィアと同じ能力を持つかもしれないからだ。
と、もぞりとお昼眠している子供が動いた。
ミーナが目を覚ました。
ミーナはリーンとソフィアの子供…。
ソフィアの気配に気が付いて、目覚めたのか…?
眠そうに目をこすり、身体を起こす。
そんなミーナを見守っていると、目を開けて、リーンを見て、その横にいる『魔女の抜け道』から覗くソフィアを見た。
「…だれ…」
何か感じるものが有るのか、ミーナはソフィアから目を離さない…。
「ソフィアよ」
「ソヒ…ア…」
上手く発音できないミーナはそう言って首をかしげる。
リーンはミーナの側に行って、ミーナを抱き上げると、ソフィアに近づいた。
ミーナはじっとソフィアを見ている。
「リーンにそっくりね」
「髪の毛の色が金髪な所は違うけどね」
リーンはそう言って微笑んだ。
ミーナは、時間が緩やかに進むソフィアの中で、十年以上存在していた。
それだけ、ソフィアの魔力の影響を受けているだろうし、今は、人族と同じ時間を過ごしているが、いつか緩やかに変化するのかも知れなかった。
ミーナがソフィアに向かって手を伸ばした。
…抱っこして欲しいのだ。
チラリとソフィアを見ると、少し驚いて、微笑んで手を伸ばし、ミーナをリーンから受け取った。
「…そうやって見ると、親子にしか見えない」
リーンはそう言って苦笑いした。
実際、ミーナを作っている母子なのだから、当たり前の事だ。
ミーナはペタペタとソフィアの頬に触れ、ニタリと笑う。
「…ソヒア…」
「なあに…」
ソフィアがミーナに答えると、ミーナが言った。
「…同じ…」
…同じ…?
「何が同じなの?」
ソフィアが聞くと、ミーナは「わかんない」と答えた。
やはり何かを感じ取っているのだろう。
それを何と、呼べば良いのかをまだ知らないだけだ。
ソフィアがリーンにミーナを渡してくる。
「また、来て良いかしら」
「良いよ」
リーンに抱えられたミーナが、じっとソフィアを見ている。
「またね」
ソフィアはそう言って、微笑むと『魔女の抜け道』を閉じて姿を消した。
ミーナは驚いて目を丸くして、そして涙目になって泣き出した。
リーンはミーナをあやして、部屋の中を歩いていると、寝ていたニーナとキースも目を覚まし、きょとんとしてミーナを見ている。
同時に泣かなくなっただけ、助かったが、ミーナな泣き止みそうにない。
ルークとキリトが二人を連れて、リーンの部屋を出ていった。
「ミーナ。また会いに来てくれるからね」
いつかは真実を話さなくてはいけないだろうが、今ではない…。
ミーナが泣きつかれて眠るまで、リーンはミーナをあやしながら、そっと抱き締めた。
ルークに似た黒髪の緑の瞳のキースは、風を使えるようになり、低空だがフワフワと飛べるようになっていた。
少しめんどくさがりやで、なるべく足で歩くように言っても、フワフワと身体を浮かせて歩かずに移動する。
そこそこ魔力をもっているので、困ったもんだ…。
足腰が弱くなってしまうから、歩いて欲しいのだが、ほんの少しの魔力で浮くことが出来てしまったため、最近は歩いてくれない…。
あまり使いたくないが、魔力封じを使かうか、魔力が使えない場所で訓練するか、迷うところ…。
リーンに似た、金髪の青い瞳の女の子ニーナは、とてもおとなしく、あまりしゃべらない。
ジーンと良く似ていて、本が好きだ。
いつも読んで欲しいときだけ、絵本を持ってきて『読んで』と話すくらい…。
その分、リーンに似た、金髪の緑の瞳のミーナは、よくしゃべるし活発に動き、三人の中で魔力も大きい…。
まあ、ソフィアの子供だからな…。
とは、言え、三人ともリーンの子供でもあるのだから、風が扱える。
良いのか悪いのか…使い方を間違えないように、教えていかなくてはいけない…。
そんな三人がリーンの部屋でお昼寝をしている時、屋敷の結界が一瞬ビリっと振動した。
今までに無いことだ。
リーンは緊張した。
今のリーンに魔力は無い。
この状況で、子供達を守れるのか?!
そう思ったら、その振動に気がついたキリトとルークが、リーンの部屋へ駆け込んできた。
「リーン!」
二人が眠る子供達の側に来ると、リーンの側に『魔女の抜け道』が突然出現して、そこから魔女王ソフィアが顔を覗かせた。
「なかなか連れて来てくれないから、来ちゃった」
ソフィアはそんな軽い感じて、微笑んできたので、リーンとルークとキリトは呆然として、ため息をついた。
「…よく、宿り木ミーネが結界内に入れてくれたな…」
ルークがそう言うと、ソフィアは微笑んで言った。
「…子供に会いたいと、言ったら入れてくれたわよ。…気づいているんじゃないかしら」
…そうだな。
リーンのお腹に宿ったとき、ミーネはその光を見ている。
それが、リーンとルークだけでなく、ソフィアの魔力を帯びている事に気がついていたのだろう…。
キリトだけが、少し首を傾げる。
今さらだが、キリトには説明しておいた方が良いのかもしれない。
今後の子供達の事もあるし、成長するにつれて、ソフィアと同じ能力を持つかもしれないからだ。
と、もぞりとお昼眠している子供が動いた。
ミーナが目を覚ました。
ミーナはリーンとソフィアの子供…。
ソフィアの気配に気が付いて、目覚めたのか…?
眠そうに目をこすり、身体を起こす。
そんなミーナを見守っていると、目を開けて、リーンを見て、その横にいる『魔女の抜け道』から覗くソフィアを見た。
「…だれ…」
何か感じるものが有るのか、ミーナはソフィアから目を離さない…。
「ソフィアよ」
「ソヒ…ア…」
上手く発音できないミーナはそう言って首をかしげる。
リーンはミーナの側に行って、ミーナを抱き上げると、ソフィアに近づいた。
ミーナはじっとソフィアを見ている。
「リーンにそっくりね」
「髪の毛の色が金髪な所は違うけどね」
リーンはそう言って微笑んだ。
ミーナは、時間が緩やかに進むソフィアの中で、十年以上存在していた。
それだけ、ソフィアの魔力の影響を受けているだろうし、今は、人族と同じ時間を過ごしているが、いつか緩やかに変化するのかも知れなかった。
ミーナがソフィアに向かって手を伸ばした。
…抱っこして欲しいのだ。
チラリとソフィアを見ると、少し驚いて、微笑んで手を伸ばし、ミーナをリーンから受け取った。
「…そうやって見ると、親子にしか見えない」
リーンはそう言って苦笑いした。
実際、ミーナを作っている母子なのだから、当たり前の事だ。
ミーナはペタペタとソフィアの頬に触れ、ニタリと笑う。
「…ソヒア…」
「なあに…」
ソフィアがミーナに答えると、ミーナが言った。
「…同じ…」
…同じ…?
「何が同じなの?」
ソフィアが聞くと、ミーナは「わかんない」と答えた。
やはり何かを感じ取っているのだろう。
それを何と、呼べば良いのかをまだ知らないだけだ。
ソフィアがリーンにミーナを渡してくる。
「また、来て良いかしら」
「良いよ」
リーンに抱えられたミーナが、じっとソフィアを見ている。
「またね」
ソフィアはそう言って、微笑むと『魔女の抜け道』を閉じて姿を消した。
ミーナは驚いて目を丸くして、そして涙目になって泣き出した。
リーンはミーナをあやして、部屋の中を歩いていると、寝ていたニーナとキースも目を覚まし、きょとんとしてミーナを見ている。
同時に泣かなくなっただけ、助かったが、ミーナな泣き止みそうにない。
ルークとキリトが二人を連れて、リーンの部屋を出ていった。
「ミーナ。また会いに来てくれるからね」
いつかは真実を話さなくてはいけないだろうが、今ではない…。
ミーナが泣きつかれて眠るまで、リーンはミーナをあやしながら、そっと抱き締めた。
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