神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
上 下
309 / 462
新たなる命

名前

しおりを挟む
 三つ子はミルクを飲んで、眠って、また、ミルクを飲んで、眠って…。
 繰り返す内に、少し大きくなった気がした。
 時折、目を開けて、何かを探すみたいに手を伸ばす。
 …もしかして、無意識にリーンを探しているのか…?
 そう思えるほどに…。

 名前が決まった。
 金髪の女の子の一人は、リーンと同じ緑色の瞳のミーナ。
 もう一人の女の子は、俺と同じ青色の瞳のニーナ。
 黒髪の男の子は、リーンと同じ緑色の瞳のキース。
 …三卵生の三つ子だ。
 …事情を分かっている俺とリーンは、ミーナが魔女王とリーンの子供だとすぐにわかった。
 …ニーナの青色の瞳は俺からの遺伝だ。
 …それに執事が言うには、キースはどちらかと言うと、小さい頃の俺に似ているらしい…。
 …そうか…。

 子供達はまだ、保護結界の中から出られない。
 リーンの体内から早く取り出した為、一般的な赤子の重さより軽く、もうしばらく保護結界の中から出して、抱き上げることは出来ないそうだ。
 だが、リーンだけは保護結界の中に入れてもらい、赤子をそっと抱き上げて見せてくれた。
 …嬉しそうに抱き上げてるリーンを見ているだけで、こちらも幸せになってくる…。
 
 リーンの髪が少し伸びた。
 今までは肩に付かないほどの長さだったが、後ろで結べるくらい長くなった。
 一度、髪が邪魔だからと、切ろうとしていたのを止めた。
 折角、伸びてきたのだし、触れた髪の毛がサラサラとして気持ちよく、切るのが勿体なかったからだ。
 …髪が伸びて、リーンが色っぽく見えるのは、俺の欲目だからだろうか…。


 学校が休みになり、王都からジーンとユーリが帰ってきた。
 その頃には、保護結界から出しても良くなるほど体重も増え、産まれた時から比べると、一回り近く大きくなった。
 と、言っても標準の大きさだが…。
 大きめのベビーベットに三人寝かせて、囲むようにリーンとジーンとユーリと集まり、三つ子を見下ろす。
 ジーンもユーリも、三つ子を目にしてキラキラと目を輝かせていた。
「小さい手…」
「触っても良い」
 ユーリが聞いてくる。
「ああ。優しく触れよ」
 ユーリは恐る恐るミーナの頬に触れる。
「ぷにぷに…」
 ユーリは目をキラキラと輝かせ、ジーンを見ると、ジーンもそっとミーナの頬に触れる。
「ぷにぷに…」
 ジーンとユーリは顔を見合せ、笑い会う。
「あっ…」
 ユーリが声を上げて、ミーナの方を見ると、ユーリの指をミーナがつかんでいた。
「…小さい指…」
 ミーナはユーリの指を離そうとしない。
「お前達も産まれた時は、これくらい小さかったんだぞ」
「抱っこしてみる?」
 リーンはそう言って、キースを抱き上げ、ジーンに抱き方を説明してそっと渡す。
「ドキドキするよ…」
 ジーンは緊張しながらキースを抱き上げ、ニコニコと笑った。
「かわいい…」
「私も抱っこしたい!」
 ミーナがユーリの指を離したので、リーンがミーナを抱き上げ、ユーリに抱きかたを教えて、緊張しながらユーリがミーナを抱き上げる。
「…うわぁ…ムニムニしている…」
 赤子を抱き上げるジーンとユーリを見て、ルークはニヤニヤと笑いが止まらなかった。
 幸せで、たまらないな…。
 

 ジーンとユーリは休みでカザナにいる間、おしめの替え方、ミルクのあげ方等をリーンや侍女に教えてもらいながら、奮闘するのだった。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義

大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。 帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか? 国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

処理中です...