308 / 462
新たなる命
三つ子
しおりを挟む
三つ子が産まれた。
リーンのお腹の膨らみがハッキリと出だした頃、人族の予定としては、とても早いらしいが、三つ子が共に魔力をまとい初め、リーンが魔力酔いをお越し、体調不良の日々が続き始めた。
魔力の無いリーンにはかなりの負担が掛かっていたため、子供が小さい内にリーンのお腹から取り出した方が、子供のためにも、リーンの為にも良いだろうと言われた。
そして、リーンの体力がある内に…、そう言われて急遽取り出す事になった。
小さいまま産まれる子供達のために、産まれてからの設備を屋敷内に作り、万全の準備が整えられ、リーンは出産した。
麻酔で眠った状態で出産したリーンは、ぐったりと青ざめていて、今にも消えてしまいそうだった。
ルークは少しづつリーンに魔力を送り、治癒魔法をかけ、リーンを癒した。
すぐ側からは赤子の、か細い泣き声が聞こえて来て、取り出してすぐに、設備を整えた部屋に連れて行き、保護魔法をかけられたベットに寝かされている。
しばらくは、誰かが付きっきりで赤子達の様子を見て、ミルクを与え、健康状態を監視していく予定だ。
リーンはしばらく、休憩だな…。
ルークは無事に三人産まれた事にホッとして、眠るリーンの髪を撫でた。
…お疲れ様…。
リーンの容態が落ち着き、ルークは保護魔法の結界越しに、産まれたばかりの子供達を覗き見た。
金髪の女の子が二人に、黒髪の男の子が一人。
金髪の女の子の一人は、二人よりも少し大きくて、それがソフィアの子供なのだろうと思ったが、口にはしなかった。
主治医が言うには、体内でいた場所によって、多少生育が違うらしい。
それも三つ子なのだからだそうだ。
成長していけば、ソレほどの差は出てこなくなると言う…。
…小さいな…。
ルークはまじまじと子供達を眺めた。
ジーンとユーリの時は、産まれてから多少の時間が経っていて、それでも恐る恐る抱き上げたのを思い出す。
ソレよりも小さい…。
時折、モゾモゾと口許を動かして、手足を動かして、三人とも今は眠っている…。
…いつまでも眺めていられる…。
「…ルーク様」
不意に背後からアオに声をかけられ、ルークは振り向いた。
「…まずは、無事に産まれて、おめでとうございます」
「ああ。ありがとう」
「申し訳ないですが、そろそろ時間です」
「うっ…」
この後、カザナの有力者が集まる会議なのだ。
町の老朽化している公共の建物を、修繕するか建て直しをするか、論議しているところだ。
絶対に顔を出して、話し合わなくてはいけない…。
「子供達が可愛いのは分かりますが、そろそろ行かないと、約束の時間に間に合いませんよ」
「…。」
ルークはがっくりと肩を落とし、子供達を眺め見る。
「ココは医療スタッフが万全の態勢で見てくれますから、安心して会議に出席しましょうね」
アオがそう言って、心残りの有るルークを引っ張って、馬車が待っている玄関に向かった。
リーンのお腹の膨らみがハッキリと出だした頃、人族の予定としては、とても早いらしいが、三つ子が共に魔力をまとい初め、リーンが魔力酔いをお越し、体調不良の日々が続き始めた。
魔力の無いリーンにはかなりの負担が掛かっていたため、子供が小さい内にリーンのお腹から取り出した方が、子供のためにも、リーンの為にも良いだろうと言われた。
そして、リーンの体力がある内に…、そう言われて急遽取り出す事になった。
小さいまま産まれる子供達のために、産まれてからの設備を屋敷内に作り、万全の準備が整えられ、リーンは出産した。
麻酔で眠った状態で出産したリーンは、ぐったりと青ざめていて、今にも消えてしまいそうだった。
ルークは少しづつリーンに魔力を送り、治癒魔法をかけ、リーンを癒した。
すぐ側からは赤子の、か細い泣き声が聞こえて来て、取り出してすぐに、設備を整えた部屋に連れて行き、保護魔法をかけられたベットに寝かされている。
しばらくは、誰かが付きっきりで赤子達の様子を見て、ミルクを与え、健康状態を監視していく予定だ。
リーンはしばらく、休憩だな…。
ルークは無事に三人産まれた事にホッとして、眠るリーンの髪を撫でた。
…お疲れ様…。
リーンの容態が落ち着き、ルークは保護魔法の結界越しに、産まれたばかりの子供達を覗き見た。
金髪の女の子が二人に、黒髪の男の子が一人。
金髪の女の子の一人は、二人よりも少し大きくて、それがソフィアの子供なのだろうと思ったが、口にはしなかった。
主治医が言うには、体内でいた場所によって、多少生育が違うらしい。
それも三つ子なのだからだそうだ。
成長していけば、ソレほどの差は出てこなくなると言う…。
…小さいな…。
ルークはまじまじと子供達を眺めた。
ジーンとユーリの時は、産まれてから多少の時間が経っていて、それでも恐る恐る抱き上げたのを思い出す。
ソレよりも小さい…。
時折、モゾモゾと口許を動かして、手足を動かして、三人とも今は眠っている…。
…いつまでも眺めていられる…。
「…ルーク様」
不意に背後からアオに声をかけられ、ルークは振り向いた。
「…まずは、無事に産まれて、おめでとうございます」
「ああ。ありがとう」
「申し訳ないですが、そろそろ時間です」
「うっ…」
この後、カザナの有力者が集まる会議なのだ。
町の老朽化している公共の建物を、修繕するか建て直しをするか、論議しているところだ。
絶対に顔を出して、話し合わなくてはいけない…。
「子供達が可愛いのは分かりますが、そろそろ行かないと、約束の時間に間に合いませんよ」
「…。」
ルークはがっくりと肩を落とし、子供達を眺め見る。
「ココは医療スタッフが万全の態勢で見てくれますから、安心して会議に出席しましょうね」
アオがそう言って、心残りの有るルークを引っ張って、馬車が待っている玄関に向かった。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる