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新たなる命
侍女のイサミ
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リーンの『つわり』が終わり、リーンは侍女を連れて屋敷内にある、リーンの小屋に向かって歩いていた。
侍女は以前、リーンが王都でジーンとユーリにプレゼントするため装飾品を買い、出会った少年イサキの母親イサミ。
二人でカザナに移住してきて、イサキは学校に通いながら、装飾品の勉強をしている。
以前その母親が倒れ、検査の結果、栄養失調と疲労だったので、安静にしてもらった後、カザナのお屋敷で下働きをしてもらっていた。
しかし今回のリーンの妊娠で、リーンに侍女を付けるときに、顔見知りの方が良いだろうと言うことで、彼女がリーンの側で世話をしてくれるようになった。
実際、彼女もイサキを出産しているので、多少なり状況を把握出きると言うのもあったからだ。
リーンにしても十年以上前に、ジーンとユーリを産んではいるが、あの時は魔力が有ったし、自己回復能力が有ったからか、『つわり』も、身体が重くだるいと言うことも経験していない。
これが子供を宿すと言うことか…。
リーンはそんな風に思っていた。
小屋にたどり着くとキリトがリビングで、森で採集してきたシュの実の種を取って、保存食を作る準備をしていた。
シュの実は中に大きな種子が入っているので取り除き、回りの果実だけを一口サイズにカットして乾燥させて作る。
少しカリカリとして甘味があるので、ジーンとユーリが来たときの、おやつとしても食べられている。
…キリトは非常食ではなく、二人のおやつとして、作っているのだ。
この時期に採集される、かご一杯に入ったシュの実は、今朝、キリトが採取してきて用意したものだ。
「…リーン。今日の体調は大丈夫なんですか」
作業している手を止めて、キリトが聞いてくる。
「大丈夫だよ。動いていないと落ち着かなくて…」
リーンは苦笑いして椅子に座り、キリトの作業を手伝う。
「私もお手伝いいたします」
そう言って侍女のイサミも小型のナイフを手に取り、慣れた手付きでキリトとリーンと同じ作業を始めた。
「…なれてるよね」
「はい。王都では、食堂の下働きで、野菜や果実の皮をむいていましたから…」
「…それは頼もしい」
リーンとキリトは顔を見合わせて微笑んだ。
かご一杯に有ったシュの実は、三人いたのであっという間にした処理が終わり、キリトがお湯を沸かし始めた。
さっとお湯に潜らせて、天日で一旦干すのだ。
侍女のイサミもキリトに教えてもらいながら、用意されていた日当たりの良い場所に、ザルを設置している。
リーンも手伝おうとしたらイサミに止められて、おとなしくソファーに座って二人の作業を眺めていた。
二人がパタパタと動く足音が心地よくて…。
…柔らかい風がリーンの髪を揺らす。
なんか良いな…。
リーンは微笑みながら、作業する二人を見ている…。
のんびりと、ゆっくりと時間が流れていく…。
今までに無いくらい、のんびりと…。
リーンは眠くなり、ウトウトとそのまま眠ってしまった。
侍女は以前、リーンが王都でジーンとユーリにプレゼントするため装飾品を買い、出会った少年イサキの母親イサミ。
二人でカザナに移住してきて、イサキは学校に通いながら、装飾品の勉強をしている。
以前その母親が倒れ、検査の結果、栄養失調と疲労だったので、安静にしてもらった後、カザナのお屋敷で下働きをしてもらっていた。
しかし今回のリーンの妊娠で、リーンに侍女を付けるときに、顔見知りの方が良いだろうと言うことで、彼女がリーンの側で世話をしてくれるようになった。
実際、彼女もイサキを出産しているので、多少なり状況を把握出きると言うのもあったからだ。
リーンにしても十年以上前に、ジーンとユーリを産んではいるが、あの時は魔力が有ったし、自己回復能力が有ったからか、『つわり』も、身体が重くだるいと言うことも経験していない。
これが子供を宿すと言うことか…。
リーンはそんな風に思っていた。
小屋にたどり着くとキリトがリビングで、森で採集してきたシュの実の種を取って、保存食を作る準備をしていた。
シュの実は中に大きな種子が入っているので取り除き、回りの果実だけを一口サイズにカットして乾燥させて作る。
少しカリカリとして甘味があるので、ジーンとユーリが来たときの、おやつとしても食べられている。
…キリトは非常食ではなく、二人のおやつとして、作っているのだ。
この時期に採集される、かご一杯に入ったシュの実は、今朝、キリトが採取してきて用意したものだ。
「…リーン。今日の体調は大丈夫なんですか」
作業している手を止めて、キリトが聞いてくる。
「大丈夫だよ。動いていないと落ち着かなくて…」
リーンは苦笑いして椅子に座り、キリトの作業を手伝う。
「私もお手伝いいたします」
そう言って侍女のイサミも小型のナイフを手に取り、慣れた手付きでキリトとリーンと同じ作業を始めた。
「…なれてるよね」
「はい。王都では、食堂の下働きで、野菜や果実の皮をむいていましたから…」
「…それは頼もしい」
リーンとキリトは顔を見合わせて微笑んだ。
かご一杯に有ったシュの実は、三人いたのであっという間にした処理が終わり、キリトがお湯を沸かし始めた。
さっとお湯に潜らせて、天日で一旦干すのだ。
侍女のイサミもキリトに教えてもらいながら、用意されていた日当たりの良い場所に、ザルを設置している。
リーンも手伝おうとしたらイサミに止められて、おとなしくソファーに座って二人の作業を眺めていた。
二人がパタパタと動く足音が心地よくて…。
…柔らかい風がリーンの髪を揺らす。
なんか良いな…。
リーンは微笑みながら、作業する二人を見ている…。
のんびりと、ゆっくりと時間が流れていく…。
今までに無いくらい、のんびりと…。
リーンは眠くなり、ウトウトとそのまま眠ってしまった。
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