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新たなる命
つわり
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カザナのルークのお屋敷にたどり着くと、リーンをベッドに寝かせ、ルーク達は作戦会議を始めた。
魔力の無いリーンに、魔女王の子供が宿っている。
それに、もしかして、自分の子供も…。
魔女王は『実を結ぶ』と言っていた。
リーンに、ジーンとユーリが宿ったときもそう言われていたからだ。
魔女王の子供も、ルークの子供として育てる。
それは決定事項だ。
第一、産まれてきたときに、分かるわけ無いだろう…。
ルークも魔女王も金髪だし、瞳の色までは分からないが…。
リーンには以前のように、このままカザナで生活してもらって、出産と育児をしてもらう…。
ただ、以前のように魔力が無いため、どういう状態になるかわからない…。
確か前は…半年くらいで産まれていたような気がするが…。
ルークは遠征に行っていて、産まれるまで気が付かなかったから、後から仲間や執事達に聞いたので、はっきりとは覚えていない…。
「魔力が無いので、普通の人族と同じ様に、成長する可能性があります」
アオはそう言ってルークを見る。
「…そう言えば、リーンの髪が少し伸びていた…」
今までは、適度にカットしているのかと思っていたが、時間が緩やかに流れているので、髪も伸びないと言っていたことを思い出す。
「…人族に近くなっているのかも、しれないですね…」
「ああ。その可能性が高い」
と、言うことは、成長速度も人族に近いものなのかもしれない…。
「執事のロバートさんを呼んできて、話に加わってもらった方が、良いような気がしますが…」
ガズキにそう言われて、三人は顔を見合せ頷いた。
「呼んできてくれ」
「はい」
ガズキは席を立ち、執事を呼びに行った。
「…とは言え、確実に宿ったとは言い難いが…」
ルークは苦笑いする。
魔女王に言われたので、そう確信するが、現実味は無い…。
「直ぐに現実味を持ちますよ」
アオがそう言って笑う。
「…今のリーンさんの状態は『つわり』のような気がしますが…」
「…そうかもしれない…」
『魔女の森』からカザナへ帰る途中、リーンは何度も目覚めて、吐き気を催し、しばらく落ち着くまで、街道の端に馬車を停めていたのだ。
リーンの身体に魔女王の『移植転移』の魔法が馴染まないから…と思っていたが、『つわり』か…。
だがそれは魔女王の子供の方であって、俺の子供が宿っている確証ではないが…。
「…それこそ人族と同じ状態だな…」
側に誰か侍女を付けて、様子を見てもらった方が良いのかもしれない。
それに、確実に宿っていることが分かれば、ジーンやユーリにも伝えなくてはいけないし、王城にも連絡しなくてはいけない。
「しばらくは…屋敷内だけの秘密にしておこう」
「…そうですね。リーンさんの容態が落ち着いて来たらでも大丈夫かと…。分かれば回りが騒がしくなりますからね」
アオがそう言って苦笑いする。
「…だよな…」
ルークも苦笑いして、眠るリーンを見る。
無事に産まれてくるまで、そっとしておいて欲しいが、そんなわけにはいかないだろう。
ルークはカザンナ王国の第三王子。
ジーンとユーリの時は、自分も知らなかったとは言え、家族には事後報告だったので、後から兄上達に叱られた。
それも顔見せを、二人がよちよち歩けるようになってからだったので尚更だ。
「…確定したら、王城に報告をする」
「はい。」
そんな話をアオとしていると、ガズキと執事のロバートが部屋に入ってきて、今後の話をし始めた。
…リーン。
今度は俺も側にいるから…。
一緒に育てていこうな…。
魔力の無いリーンに、魔女王の子供が宿っている。
それに、もしかして、自分の子供も…。
魔女王は『実を結ぶ』と言っていた。
リーンに、ジーンとユーリが宿ったときもそう言われていたからだ。
魔女王の子供も、ルークの子供として育てる。
それは決定事項だ。
第一、産まれてきたときに、分かるわけ無いだろう…。
ルークも魔女王も金髪だし、瞳の色までは分からないが…。
リーンには以前のように、このままカザナで生活してもらって、出産と育児をしてもらう…。
ただ、以前のように魔力が無いため、どういう状態になるかわからない…。
確か前は…半年くらいで産まれていたような気がするが…。
ルークは遠征に行っていて、産まれるまで気が付かなかったから、後から仲間や執事達に聞いたので、はっきりとは覚えていない…。
「魔力が無いので、普通の人族と同じ様に、成長する可能性があります」
アオはそう言ってルークを見る。
「…そう言えば、リーンの髪が少し伸びていた…」
今までは、適度にカットしているのかと思っていたが、時間が緩やかに流れているので、髪も伸びないと言っていたことを思い出す。
「…人族に近くなっているのかも、しれないですね…」
「ああ。その可能性が高い」
と、言うことは、成長速度も人族に近いものなのかもしれない…。
「執事のロバートさんを呼んできて、話に加わってもらった方が、良いような気がしますが…」
ガズキにそう言われて、三人は顔を見合せ頷いた。
「呼んできてくれ」
「はい」
ガズキは席を立ち、執事を呼びに行った。
「…とは言え、確実に宿ったとは言い難いが…」
ルークは苦笑いする。
魔女王に言われたので、そう確信するが、現実味は無い…。
「直ぐに現実味を持ちますよ」
アオがそう言って笑う。
「…今のリーンさんの状態は『つわり』のような気がしますが…」
「…そうかもしれない…」
『魔女の森』からカザナへ帰る途中、リーンは何度も目覚めて、吐き気を催し、しばらく落ち着くまで、街道の端に馬車を停めていたのだ。
リーンの身体に魔女王の『移植転移』の魔法が馴染まないから…と思っていたが、『つわり』か…。
だがそれは魔女王の子供の方であって、俺の子供が宿っている確証ではないが…。
「…それこそ人族と同じ状態だな…」
側に誰か侍女を付けて、様子を見てもらった方が良いのかもしれない。
それに、確実に宿っていることが分かれば、ジーンやユーリにも伝えなくてはいけないし、王城にも連絡しなくてはいけない。
「しばらくは…屋敷内だけの秘密にしておこう」
「…そうですね。リーンさんの容態が落ち着いて来たらでも大丈夫かと…。分かれば回りが騒がしくなりますからね」
アオがそう言って苦笑いする。
「…だよな…」
ルークも苦笑いして、眠るリーンを見る。
無事に産まれてくるまで、そっとしておいて欲しいが、そんなわけにはいかないだろう。
ルークはカザンナ王国の第三王子。
ジーンとユーリの時は、自分も知らなかったとは言え、家族には事後報告だったので、後から兄上達に叱られた。
それも顔見せを、二人がよちよち歩けるようになってからだったので尚更だ。
「…確定したら、王城に報告をする」
「はい。」
そんな話をアオとしていると、ガズキと執事のロバートが部屋に入ってきて、今後の話をし始めた。
…リーン。
今度は俺も側にいるから…。
一緒に育てていこうな…。
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