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新たなる命
独占欲
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満月の日の昼頃。
リーンとルークは森の奥地まで歩き、小川が流れ木製の橋が掛けられ、その奧にバラのアーチが佇む、『魔女の森』の入り口まで来て立ち止まった。
いくら魔女王に呼ばれているとはいえ、多くの魔女に囲まれるのを覚悟の上、『魔女の森』り入らなくてはならない。
同行したアオとカズキは、『魔女の森』へ続く、目立たない細い林道を塞ぐように馬車を止め、待機している。
さすがに二人とも、中に入って出て来れる気がしないからだ。
アオもカズキも、ルークの護衛をしているだけあって、そこそこの魔力を持っているので、魔女達の格好の餌食だ。
魔女達は魔力の強い男を求めて、強い魔力を持つ魔女を産みたいのだ。
「行こうか…」
「ああ。」
ルークが頷き、リーンがルークの手を取り、手を繋いで歩き出す。
以前なら、手を繋いだだけで、取り乱していたのに、今は当たり前になってしまっている。
それも年月と、あの頃とは違うルークのと関係性なのかもしれない。
二人は手を繋いだまま橋を渡り、バラのアーチを潜って『魔女の森』に入った。
「あら、リーンじゃない」
『魔女の森』に入ると、早速、露出が高く、香水の匂いを漂わせた魔女が群がってきた。
「魔女王に会いに来た」
リーンがそう言うと、奥から彼女達とは雰囲気の違う黒髪の魔女が姿を表した。
ソフィアの側近の一人だ。
来ることが分かっていて、きっとココで待ち構えていたのだろう。
「魔女王がお待ちです」
そう言って案内する魔女の後ろを、ルークと手を繋いで付いていくが、他の魔女が行く手を阻むみたいに、群がってくる。
「もしかして、噂のリーンの男?」
「魔力、最高じゃないの!」
そう言ってルークの腕や胸や背中にベタベタと触って、魔力を確かめている。
魔女は魔力の強い者が好きだ。
それは認める。
ルークも苦笑いしながら魔女の手から逃れようと、振り払ってはいるのだが…。
だけどリーンはムカムカして、叫んでいた。
「触るな!」
リーンの叫びに魔女達は驚いてルークから手を離し、リーンは頬を染めてルークを引っ張り、案内の黒髪の魔女の後を付いていった。
「可愛い」
「リーンたら嫉妬しているわよ」
我に返った魔女達が背後で騒ぎ出す。
魔女達がいろいろ言っていることが聞こえてきて、リーンは頬を染めた。
…他の人に…触られたくない。
リーンは足を止め振り向き、ルークと視線が会い、顔を見て何か言いかけて、口を開き、再び閉じて前を向いて歩き出す。
「どうした?」
「なんでもない…」
挙動不審のリーンの行動にルークが首を傾げる。
リーンは顔を赤くして前に進んだ。
今、魔女達に、何を言おうとした?!
『私の男だから、触るな!』
そんなことを叫びそうになった。
…こんな独占欲が生まれているなんて…。
魔力を無くして気持ちが弱くなったのか、欲張りになったのか…。
繋いだ手は離さないまま、ルークはリーンの後を付いてくる。
リーンは改めて認識した。
…ルークは…私の男だ…。
リーンとルークは森の奥地まで歩き、小川が流れ木製の橋が掛けられ、その奧にバラのアーチが佇む、『魔女の森』の入り口まで来て立ち止まった。
いくら魔女王に呼ばれているとはいえ、多くの魔女に囲まれるのを覚悟の上、『魔女の森』り入らなくてはならない。
同行したアオとカズキは、『魔女の森』へ続く、目立たない細い林道を塞ぐように馬車を止め、待機している。
さすがに二人とも、中に入って出て来れる気がしないからだ。
アオもカズキも、ルークの護衛をしているだけあって、そこそこの魔力を持っているので、魔女達の格好の餌食だ。
魔女達は魔力の強い男を求めて、強い魔力を持つ魔女を産みたいのだ。
「行こうか…」
「ああ。」
ルークが頷き、リーンがルークの手を取り、手を繋いで歩き出す。
以前なら、手を繋いだだけで、取り乱していたのに、今は当たり前になってしまっている。
それも年月と、あの頃とは違うルークのと関係性なのかもしれない。
二人は手を繋いだまま橋を渡り、バラのアーチを潜って『魔女の森』に入った。
「あら、リーンじゃない」
『魔女の森』に入ると、早速、露出が高く、香水の匂いを漂わせた魔女が群がってきた。
「魔女王に会いに来た」
リーンがそう言うと、奥から彼女達とは雰囲気の違う黒髪の魔女が姿を表した。
ソフィアの側近の一人だ。
来ることが分かっていて、きっとココで待ち構えていたのだろう。
「魔女王がお待ちです」
そう言って案内する魔女の後ろを、ルークと手を繋いで付いていくが、他の魔女が行く手を阻むみたいに、群がってくる。
「もしかして、噂のリーンの男?」
「魔力、最高じゃないの!」
そう言ってルークの腕や胸や背中にベタベタと触って、魔力を確かめている。
魔女は魔力の強い者が好きだ。
それは認める。
ルークも苦笑いしながら魔女の手から逃れようと、振り払ってはいるのだが…。
だけどリーンはムカムカして、叫んでいた。
「触るな!」
リーンの叫びに魔女達は驚いてルークから手を離し、リーンは頬を染めてルークを引っ張り、案内の黒髪の魔女の後を付いていった。
「可愛い」
「リーンたら嫉妬しているわよ」
我に返った魔女達が背後で騒ぎ出す。
魔女達がいろいろ言っていることが聞こえてきて、リーンは頬を染めた。
…他の人に…触られたくない。
リーンは足を止め振り向き、ルークと視線が会い、顔を見て何か言いかけて、口を開き、再び閉じて前を向いて歩き出す。
「どうした?」
「なんでもない…」
挙動不審のリーンの行動にルークが首を傾げる。
リーンは顔を赤くして前に進んだ。
今、魔女達に、何を言おうとした?!
『私の男だから、触るな!』
そんなことを叫びそうになった。
…こんな独占欲が生まれているなんて…。
魔力を無くして気持ちが弱くなったのか、欲張りになったのか…。
繋いだ手は離さないまま、ルークはリーンの後を付いてくる。
リーンは改めて認識した。
…ルークは…私の男だ…。
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