神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
上 下
291 / 462
新たなる命

眠り

しおりを挟む
 魔力の反転が起き、枯れていく森の『始まりの宿り木』のもとで、リーンが『浄化』と『再生』と『成長』の魔法を使い、眠りについた。

 あの後、山小屋『オメガ』の魔法陣が使えるように、仲間達が『新しい宿り木』の元に来てくれた。
 ソレまでの現状を知っている者達は、茫然と集落跡を見て回り、近くの湖にも水が溜まっていたと報告があった。
 各場所に置かれた『魔法石』は、ほんの少しの魔力を残してほのかに輝いていたと言う…。
 …だれかが、『魔法石』に魔力を送ってくれたのだ。
 アレだけの魔法を使えば、本来ならば砕け散っているだろう…。
 と、言うことは…。
 可能性として、『魔法石』を作った本人達…。
 『水の魔法石』を水中都市の竜人フールシア。
 『大地の魔法石』を魔女王ソフィア。
 『炎の魔法石』を炎の竜キラ。
 『風の魔法石』は…誰だ?
 アレク達、有翼族の者達は、『風の魔法石』を作り上げ、さらに魔力を送れる者など、誰かいたのだろうか…。
 何せ、後でお礼を言っておかないと…。
 リーンが目覚めたら、訪問する…だな…。
 何人か集落後に残り、大地の回復具合を調査することになった。
 山小屋『オメガ』が使えるようになったので、夜営用のテントや資材を運び込み、回収した『魔法石』を集落跡地で保管することになった。
 いずれ、ここにも山小屋を建て、『新しい宿り木』が、きちんと機能するかしばらくは監視が必要になってくるだろ…。
 だが、今は…。
 ルークは腕の中で眠るリーンを早く連れて帰りたかった。
 

 ルークは、かろうじて息をしているリーンを、カザンナ王国のカザナのルークのお屋敷に連れて帰ってきた。
 ヒイロが言うには、本来ならば『森の聖域』の強い魔力に満ちた場所でリーンは眠る予定だった。
 ただ、ソコで眠ったら記憶を無くしてしまうので、奪われないようにして、ここに連れてきたのだと言うことを、忘れるな、と、念を押された。
 そして『森の聖域』に一番近い条件の場所で眠るのが良い、と言うのだ。
 その場所が、『宿り木』ミーネがいるこの地の方が、リーンの魔力の回復には良いし、屋敷内に有るリーンの小屋の方が、森の中だし湖も近くに有るので、『風霊』や『水霊』や『木霊』達が自由に出入りでき、魔力を分けてくれると言うのだ。
 …信じられなかった。
 あの子達が魔力を分けてくれるとは…。
 ほんの少しだから、時間はかかるそうだ…。
 そしてヒイロが言うには、『仕事をしろ』…だ、そうだ。
 以前、リーンが眠りについた時とは違って、魔力の枯渇なのだから、一年以上かかると思え。
 …そう言われた。
 …時々、リーンの心音が弱まり、ルークが魔力を注いで、リーンを現実にとどまらせていた。
 側にいて、時折、魔力をリーンに与えて、生きている事にホッとして、ルークは触れる事の出来る場所にいるだけでも幸せだった。
 ルークはリーンの髪を撫でた。
 手の届かない場所で眠られてしまうよりは、寝顔を見ているだけで癒される…。
 …俺だけかもしれないが…。
 ルークは、ただただ、リーンの魔力が回復して、目覚めを待つしかなかった。


 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

淫愛家族

箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。 事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。 二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。 だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話

屑籠
BL
 サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。  彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。  そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。  さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

処理中です...