神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
上 下
289 / 462
神の宿り木~再生 3~

魔女王の策略 4

しおりを挟む
 満月の日の、朝日が登る…。
 魔女王ソフィアは『魔女の森』の結界を解いた。
 今日は『魔女の宴』の日。
 魔女の森では宴の準備が始まった。
 そしてソフィア達も、『魔法石』に魔力を送り始めた。
 『魔法石』に閉じ込めて有る魔力がいくら強力でも、限りが有る。
 ソコへ魔力を送り続ければ、『魔法石』はその魔力を維持して、リーンの魔法に魔力を注ぎ続けることが出来る…。
 予想以上に侵食が進んでいるから、やはりみんなに魔力を送るように協力してもらって正解だ。
 …リーンは気がついている…。
 このまま魔法を使い続ければ、魔力が枯渇し、深い眠りについたら当分目覚めないことを…。
 そしてソフィアは思った。
 …以前、リーンに掛けた魔法が、うまく起動してくれると良いけれど…。
 

 どれだけの時間が過ぎたのか、わからない…。
 辺りは明るくなり、朝を向かえている…。
 『魔法石』の魔力の消失が止まった。
 …リーンの魔法が、終わった…。
 どうなったか知りたいが、まだ、あの一帯は魔力が渦巻いていて、『風霊』達も近づけない…。
 リーンはどうなったの!?
 枯れていく森は、正常な状態に戻ったの!?
 …まだ、『風霊』達は答えてくれない…。
 ソフィアは『魔女の抜け道』をリーンの側に開けようとしたが、リーンの魔力を感じられず、開くことも出来ない!
 …待つしかないのね…。
 ソフィアはため息を付いて、『魔女の宴』の為に、通常通り『魔女の森』の監視を始めた。


 しばらくすると、『風霊』が教えてくれた。
 リーンは眠ったままだが、『森の聖域』には連れていかれず、ルークと共に帰って行った。と…。
 ソフィアはホッとした。
 『森の聖域』に連れて行かれてしまっては、手も足も出ない…。
 カザンナ王国の王子のもとなら、連絡を付けることが出来るし、様子もうかがえる。
 次にリーンが目覚めたら…状態を見て、私の計画に協力してもらわなくては…。
 …今回の対価として…。


*****


 フールシアは海の孤島の浜辺に、竜体の姿でたたずみ、海から魔力を吸い上げ『魔力転移』を使って『水の魔法石』に魔力を送り続けた。
 いくら強力な『水の魔法石』とは言え、しょせん魔力を封じ込めたものだ。
 無限に使えるわけではない…。
 …とは言え、これだけの魔法を使って、リーンは本当に消えてしまわないのか不安でもある。
 あの魔女王が策略して、協力を求めてきたのだから、消えてしまわない確信はあるのだろう…。
 日が昇り、明るくなり、魔力の流動が止まった。
 …終わったのか?
 リーンは無事なのか?
「…。」
 待っていても、誰も答えてはくれない…。
 …後で連絡が来るだろう…。
 協力することで、リーンが助かると言っていた魔女王の言葉を信じてフールシアは海底に潜った。
 魔力を使いすぎて、少し眠い…。
 昼間で眠らせてもらおう…。


*****


 有翼族のシバは、光の塔の最上階から『魔力転移』を使って『風の魔法石』に魔力を送っていた。
 ここからの方が、遠くまで魔力を飛ばせるからだ。
 とは言え、かなりの距離があるし、シバが作った魔法石ではないので、最初は少し戸惑った。
 だが、同じ有翼族が作った『魔法石』だ。
 すぐに魔力が馴染み、魔力を補給し続けている。
 キラはうまく魔力を送れているだろうか?
 炎の竜の元に『魔力転移』を使える者を二人派遣した。
 どれくらいの時間、送り続ければ良いのか分からなかったので、相性の良い双子の兄弟二人で『魔力転移』を作ってもらうことにした。
 キラにとっては初めての事だから、不安かもしれないが、リーンと一緒に温泉に入る為に頑張る。と、言っていたので、できる限りの事はしているだろう…。
 そんな事を思いながら魔力を供給していると、魔力が止まった。
 …終わったのか?
 『風霊』達はまだ、何も答えてくれない。
 …しばらく時間がかかるだろ…。
 シバは側にあったイスにどっしりと座り、ため息をついた。
「…老体をもう少し、いたわってくれ…」
 シバは、そう呟いて苦笑いした。
 ソフィアが聞いたら、笑い飛ばされるだろう…。
 今が、全盛期でしょう。と…。


 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話

屑籠
BL
 サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。  彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。  そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。  さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

けものとこいにおちまして

ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義

大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。 帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか? 国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

処理中です...