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神の宿り木~再生 3~
飛び出したルーク
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ルークは小屋にある、グオルクに繋がっている魔法陣を潜った。
出た先は、グオルクのリーンのシンプルな部屋。
ルークは部屋の扉を開き、リビングを抜けようとして、チイとルナに出会った。
ルナがカバンを肩からかつぎ、今から出掛けるような姿だ。
「…おはよう。朝早くからどうしたの?」
チイがそう聞いてきた。
「…リーンは?」
ルークが青ざめて聞くと、チイはキョトンとして答えた。
「カザナにいないの?」
「…。」
チイも何かを察したのか、表情がこわばる。
チイも『始まりの宿り木』の話しは聞いているはず…。
「…リーンなら、朝、お出掛けしたよ。『行ってらっしゃい』『行ってきます』て、見送ったから…」
今から学校に行くのか、カバンがずり落ちないように手でしっかりと持ったルナが不思議そうにそう言って、二人を見てくる。
「…それはいつ頃?」
チイが膝を付いて、ルナの視線に合わせて聞いてくれる。
「朝、お手洗いに起きたとき…リーンは玄関から出るとこだったよ」
ルークとチイは顔を見合せ、頷き合う。
リーンは一人で向かったのか…?
「…グオルクのヒイロの執務室から、『山小屋』アルファに行けたよな…」
「ええ。」
ルークはリビングを抜け、玄関の外にあるグオルクへの魔法陣を潜った。
ルークが魔法陣を抜けると、グオルクのヒイロの執務室に出た。
ヒイロは机に向かって、書類を読んでいるところだった。
ヒイロの手が止まり、何事だとばかりにこちらを怪訝そうに見てくる。
「…リーンは」
ルークがそう聞くと、ヒイロは青ざめて書類を置いて立ち上がった。
「…居ないのか?…満月は明日なのに…」
「…満月?」
なんだ、その話しは…?
「…『次の満月に』そう言ったんだ。…明日だからと油断した…」
ヒイロは苦笑いしてルークを見る。
「どう言うことだ?」
俺は何も聞いていない…。
「…『再生』の魔法を使って、朽ちるのを止める。全ての『魔法石』は揃ったんだよ…」
ヒイロは苦しげにそう言う。
「『森の管理者』としての仕事だと…『始まりの宿り木』は自分が片付けなくてはいけない問題だと…」
ヒイロは知っていたんだ…。
リーンが『再生』をしに行くことを…。
「一緒に付いていくつもりだったのに…」
ヒイロは悔しげに言う。
なぜ俺に言ってくれない!
「だったら俺も一緒に行った!」
「ダメだ…。ルークは共倒れになる…。リーンと番だから…」
ヒイロが冷静にそう言った。
「…俺は追いかけるぞ!」
ルークが山小屋『アルファ』の魔法陣の前に立つと、ヒイロが「後から行く」と言って、ルークが出てきたヒイロの家の魔法陣を潜って行った。
ルークは山小屋『アルファ』向かった。
ルークが山小屋『アルファ』に出ると、有翼族の青年が驚いて微笑んだ。
「ルーク様。…今日は来客がある日ですね」
「リーンは?」
「今朝方、来られて奥の『山小屋』へ向かいましたよ」
青年がそう言うとルークは次の魔法陣へと、迷わず飛び込んだ。
彼らは知らないのだ…。
ここにとどまり、この地域を調査管理する人員だから…。
リーンが何をしに、『山小屋』へ向かったのかを…。
ルークはいくつもの魔法陣を潜り抜け、山小屋『プサイ』にたどり着いた。
そして、最後の山小屋『オメガ』への魔法陣を潜ろうとして、移動用の魔法陣が消えかかっている事に気がついた。
「…なぜだ…!?」
まだ、ほんのりと魔力の痕跡は有るが、原型をとどめていない…。
…魔力の吸収が山小屋『オメガ』をのみ込んでしまったのか!?
ここから山小屋『オメガ』まではどれくらい時間がかかる!
ルークは山小屋『プサイ』から飛び出そうと入り口に向かい、背後からヒイロに腕を捕まれた。
「落ち着け」
「落ち着いていられるか!?」
ルークはヒイロを睨み付ける。
「…『再生』の魔法は明け方にしか使えない。まだ、時間は有る」
「…。」
落ち着いて冷静なヒイロの様子に、ルークは一呼吸する。
まだ、時間はあるとは言え、山小屋『オメガ』への魔法陣が消えてしまっているのだ。
「…魔法陣が消えた…」
「…想定内だ。今、長距離用の馬獣が来る」
「…。」
ルークは少しづつ、落ち着きを取り戻していた。
「…その服装。それにここから半日はかかるから、食料や水もいるだろう」
「…。」
…そうだった。
寝起きのままミーネのもとへ行き、カザナを飛び出して来たのだ…。
今の寝巻きの姿では、長距離移動するような姿ではない…。
「…そこにシャワールームが有るから、少し頭を冷やせ」
ヒイロにそう言われて、しぶしぶルークはシャワールームに入った。
…落ち着け…落ち着け…。
焦っては、正しい判断が出来なくなると、いつも言っていただろうが!!
…落ち着け…落ち着け…まだ、間に合う…。
…時間を逆算しろ!
夜明けと共にしか使えない魔法なら…ここから半日かかるなら…まだ、間に合う…。
…落ち着け…。
ルークは必死に冷静さを取り戻していった。
出た先は、グオルクのリーンのシンプルな部屋。
ルークは部屋の扉を開き、リビングを抜けようとして、チイとルナに出会った。
ルナがカバンを肩からかつぎ、今から出掛けるような姿だ。
「…おはよう。朝早くからどうしたの?」
チイがそう聞いてきた。
「…リーンは?」
ルークが青ざめて聞くと、チイはキョトンとして答えた。
「カザナにいないの?」
「…。」
チイも何かを察したのか、表情がこわばる。
チイも『始まりの宿り木』の話しは聞いているはず…。
「…リーンなら、朝、お出掛けしたよ。『行ってらっしゃい』『行ってきます』て、見送ったから…」
今から学校に行くのか、カバンがずり落ちないように手でしっかりと持ったルナが不思議そうにそう言って、二人を見てくる。
「…それはいつ頃?」
チイが膝を付いて、ルナの視線に合わせて聞いてくれる。
「朝、お手洗いに起きたとき…リーンは玄関から出るとこだったよ」
ルークとチイは顔を見合せ、頷き合う。
リーンは一人で向かったのか…?
「…グオルクのヒイロの執務室から、『山小屋』アルファに行けたよな…」
「ええ。」
ルークはリビングを抜け、玄関の外にあるグオルクへの魔法陣を潜った。
ルークが魔法陣を抜けると、グオルクのヒイロの執務室に出た。
ヒイロは机に向かって、書類を読んでいるところだった。
ヒイロの手が止まり、何事だとばかりにこちらを怪訝そうに見てくる。
「…リーンは」
ルークがそう聞くと、ヒイロは青ざめて書類を置いて立ち上がった。
「…居ないのか?…満月は明日なのに…」
「…満月?」
なんだ、その話しは…?
「…『次の満月に』そう言ったんだ。…明日だからと油断した…」
ヒイロは苦笑いしてルークを見る。
「どう言うことだ?」
俺は何も聞いていない…。
「…『再生』の魔法を使って、朽ちるのを止める。全ての『魔法石』は揃ったんだよ…」
ヒイロは苦しげにそう言う。
「『森の管理者』としての仕事だと…『始まりの宿り木』は自分が片付けなくてはいけない問題だと…」
ヒイロは知っていたんだ…。
リーンが『再生』をしに行くことを…。
「一緒に付いていくつもりだったのに…」
ヒイロは悔しげに言う。
なぜ俺に言ってくれない!
「だったら俺も一緒に行った!」
「ダメだ…。ルークは共倒れになる…。リーンと番だから…」
ヒイロが冷静にそう言った。
「…俺は追いかけるぞ!」
ルークが山小屋『アルファ』の魔法陣の前に立つと、ヒイロが「後から行く」と言って、ルークが出てきたヒイロの家の魔法陣を潜って行った。
ルークは山小屋『アルファ』向かった。
ルークが山小屋『アルファ』に出ると、有翼族の青年が驚いて微笑んだ。
「ルーク様。…今日は来客がある日ですね」
「リーンは?」
「今朝方、来られて奥の『山小屋』へ向かいましたよ」
青年がそう言うとルークは次の魔法陣へと、迷わず飛び込んだ。
彼らは知らないのだ…。
ここにとどまり、この地域を調査管理する人員だから…。
リーンが何をしに、『山小屋』へ向かったのかを…。
ルークはいくつもの魔法陣を潜り抜け、山小屋『プサイ』にたどり着いた。
そして、最後の山小屋『オメガ』への魔法陣を潜ろうとして、移動用の魔法陣が消えかかっている事に気がついた。
「…なぜだ…!?」
まだ、ほんのりと魔力の痕跡は有るが、原型をとどめていない…。
…魔力の吸収が山小屋『オメガ』をのみ込んでしまったのか!?
ここから山小屋『オメガ』まではどれくらい時間がかかる!
ルークは山小屋『プサイ』から飛び出そうと入り口に向かい、背後からヒイロに腕を捕まれた。
「落ち着け」
「落ち着いていられるか!?」
ルークはヒイロを睨み付ける。
「…『再生』の魔法は明け方にしか使えない。まだ、時間は有る」
「…。」
落ち着いて冷静なヒイロの様子に、ルークは一呼吸する。
まだ、時間はあるとは言え、山小屋『オメガ』への魔法陣が消えてしまっているのだ。
「…魔法陣が消えた…」
「…想定内だ。今、長距離用の馬獣が来る」
「…。」
ルークは少しづつ、落ち着きを取り戻していた。
「…その服装。それにここから半日はかかるから、食料や水もいるだろう」
「…。」
…そうだった。
寝起きのままミーネのもとへ行き、カザナを飛び出して来たのだ…。
今の寝巻きの姿では、長距離移動するような姿ではない…。
「…そこにシャワールームが有るから、少し頭を冷やせ」
ヒイロにそう言われて、しぶしぶルークはシャワールームに入った。
…落ち着け…落ち着け…。
焦っては、正しい判断が出来なくなると、いつも言っていただろうが!!
…落ち着け…落ち着け…まだ、間に合う…。
…時間を逆算しろ!
夜明けと共にしか使えない魔法なら…ここから半日かかるなら…まだ、間に合う…。
…落ち着け…。
ルークは必死に冷静さを取り戻していった。
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