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神の宿り木~再生 3~
寝ぼけ眼のルナ
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リーンがカザナの小屋からグオルクの部屋への魔法陣を潜り抜け、自分の部屋にやってくると、そっと部屋の扉を開けて、玄関の外に有るヒイロの執務室への魔法陣に向かった。
ヒイロの執務室からは、山小屋『アルファ』へ繋がる魔法陣が有る。
そして『アルファ』からは順番に魔法陣を潜って行けば、山小屋『オメガ』へと、たどり着く。
夜明け前で、まだ眠っているだろうヒイロとチイ、ルナを起こさないように廊下を進んだ。
が、玄関のドアを開ける前に、後ろに気配を感じ振り向くと、声をかけられた。
「…リーン…どこ…行くの…」
寝ぼけたルナが、眠そうに目を擦りながら近付いてきた。
起こしてしまったか…?
「…ちょっと、山小屋へ行くんだ…。ルナこそどうしたの?」
「んっ…お手洗い…」
それで目が覚めてしまったのか…。
リーンはそっとルナに近付いて、微笑んでルナに言う。
「…まだ少し早いから、ベッドに入ってもう少し寝ようね…」
「…うん…。…行って…らっしゃい…」
ルナが眠そうにそう言う。
「…行ってきます」
リーンは少し戸惑ったが、微笑んで返事して、ルナが部屋に入るのを確認すると玄関の扉を開き、ヒイロの執務室への魔法陣を潜った。
ヒイロの執務室へたどり着いても、まだ薄暗く、人の動く気配はない。
リーンは、山小屋『アルファ』への魔法陣を潜った。
山小屋『アルファ』には常駐者が常に二人いる。
異変を感じ取ったり、周辺の調査をしたり、誰か知らない者が迷い込んで来た時用に、交代で寝泊まりしている者達がいる。
リーンが山小屋『アルファ』にたどり着くと、朝の早い有翼族の青年が、ちょうど朝食の準備をしているところだった。
青年はビックリして、そして微笑んできた。
「リーンさん。どうしたんですか、朝早くから…」
「…山小屋『オメガ』の様子が気になって、見に行こうと思って来たんだ」
「そうでしたか。…ああ…朝食、食べて行きます?」
青年がそう言ってきたので、リーンは朝食を一緒に食べることになった。
そしてリーンは、青年に『アルファ』の近状を話してもらった。
この周辺に危険な獣は生息していないみたいなので、保養地、観光地として、人数制限しながら、この風景を保持していこうと、言う話しになっているみたいだ。
いずれ人口が増えてくれば、この地も移住先の候補地になるだろうが、ソレまでは、グオルクの管轄として管理し、カザンナ王国や獣人族、有翼族などと協力して運営していこうと計画を立てているそうだ。
…ヒイロが忙しいはずだ…。
いずれ、誰かに任せるだろうが、実際に『アルファ』の現状を把握して、動かしているのはヒイロなのだから…。
…その為にも…。
リーンは朝食のお礼を言って、次の魔法陣を潜った。
そこからは、いくつかの魔法陣を経由して、山小屋『オメガ』へと向かう…。
…朝日が登り、辺りを明るく照らし始めた。
鳥のさえずりと、水の流れる音が時々響いてくる…。
魔法陣は山小屋の中に有るが、自然の中にいる、優しい音が聞こえてくる…。
この辺はまだ、影響を受けていない…。
リーンは魔法陣を潜りながら、外の様子を確認していった。
…山小屋『オメガ』に、たどり着いたとき、今まであった優しい音は消え、枯れた木々の乾いた音が響いてきた…。
…この山小屋『オメガ』も限界だ…。
山小屋の中から外を見ると、今までの景色とは一変し、暗い寒々とした風景があった。
この『転移移動』の魔法陣も、もう使えない…。
リーンは消えてしまった、魔法陣のあった壁に手を触れさせる。
…後戻りは出来ない…。
山小屋『オメガ』は、もうしばらく結界が保護してくれるから、ここにいれば何とか魔力を保てるだろう…。
リーンはいくつもの複合した魔法の段取りを再確認する。
…宿り木の場所…湖の位置…村の跡地…。
魔法石を置く場所の確認をして、段取りを頭の中で反芻する。
…実際はどれだけの重圧がかかるかわからない…。
…あとは、夜になるのを待つだけ…。
リーンは窓辺から外を眺める。
日中だが、少し薄暗くどんよりとした空を見上げ、風も止まっていることに気が付く。
…ソフィアの言う通り、もう、時間が無かったのだ…。
リーンは寝室のベットに横になって目を閉じた。
夜までにはもう少し時間がある…。
…少しでも、身体を休ませよう…。
ソレに、ここから『始まりの宿り木』に行くのには、少し時間がかかる…。
夜中に山小屋『オメガ』を出て行けば、あの跡地にたどり着けるだろう…。
…明日、朝日が昇ると同時に、魔法を発動する…。
…ソフィアが言っていた、約束の満月の日なのだから…。
ヒイロの執務室からは、山小屋『アルファ』へ繋がる魔法陣が有る。
そして『アルファ』からは順番に魔法陣を潜って行けば、山小屋『オメガ』へと、たどり着く。
夜明け前で、まだ眠っているだろうヒイロとチイ、ルナを起こさないように廊下を進んだ。
が、玄関のドアを開ける前に、後ろに気配を感じ振り向くと、声をかけられた。
「…リーン…どこ…行くの…」
寝ぼけたルナが、眠そうに目を擦りながら近付いてきた。
起こしてしまったか…?
「…ちょっと、山小屋へ行くんだ…。ルナこそどうしたの?」
「んっ…お手洗い…」
それで目が覚めてしまったのか…。
リーンはそっとルナに近付いて、微笑んでルナに言う。
「…まだ少し早いから、ベッドに入ってもう少し寝ようね…」
「…うん…。…行って…らっしゃい…」
ルナが眠そうにそう言う。
「…行ってきます」
リーンは少し戸惑ったが、微笑んで返事して、ルナが部屋に入るのを確認すると玄関の扉を開き、ヒイロの執務室への魔法陣を潜った。
ヒイロの執務室へたどり着いても、まだ薄暗く、人の動く気配はない。
リーンは、山小屋『アルファ』への魔法陣を潜った。
山小屋『アルファ』には常駐者が常に二人いる。
異変を感じ取ったり、周辺の調査をしたり、誰か知らない者が迷い込んで来た時用に、交代で寝泊まりしている者達がいる。
リーンが山小屋『アルファ』にたどり着くと、朝の早い有翼族の青年が、ちょうど朝食の準備をしているところだった。
青年はビックリして、そして微笑んできた。
「リーンさん。どうしたんですか、朝早くから…」
「…山小屋『オメガ』の様子が気になって、見に行こうと思って来たんだ」
「そうでしたか。…ああ…朝食、食べて行きます?」
青年がそう言ってきたので、リーンは朝食を一緒に食べることになった。
そしてリーンは、青年に『アルファ』の近状を話してもらった。
この周辺に危険な獣は生息していないみたいなので、保養地、観光地として、人数制限しながら、この風景を保持していこうと、言う話しになっているみたいだ。
いずれ人口が増えてくれば、この地も移住先の候補地になるだろうが、ソレまでは、グオルクの管轄として管理し、カザンナ王国や獣人族、有翼族などと協力して運営していこうと計画を立てているそうだ。
…ヒイロが忙しいはずだ…。
いずれ、誰かに任せるだろうが、実際に『アルファ』の現状を把握して、動かしているのはヒイロなのだから…。
…その為にも…。
リーンは朝食のお礼を言って、次の魔法陣を潜った。
そこからは、いくつかの魔法陣を経由して、山小屋『オメガ』へと向かう…。
…朝日が登り、辺りを明るく照らし始めた。
鳥のさえずりと、水の流れる音が時々響いてくる…。
魔法陣は山小屋の中に有るが、自然の中にいる、優しい音が聞こえてくる…。
この辺はまだ、影響を受けていない…。
リーンは魔法陣を潜りながら、外の様子を確認していった。
…山小屋『オメガ』に、たどり着いたとき、今まであった優しい音は消え、枯れた木々の乾いた音が響いてきた…。
…この山小屋『オメガ』も限界だ…。
山小屋の中から外を見ると、今までの景色とは一変し、暗い寒々とした風景があった。
この『転移移動』の魔法陣も、もう使えない…。
リーンは消えてしまった、魔法陣のあった壁に手を触れさせる。
…後戻りは出来ない…。
山小屋『オメガ』は、もうしばらく結界が保護してくれるから、ここにいれば何とか魔力を保てるだろう…。
リーンはいくつもの複合した魔法の段取りを再確認する。
…宿り木の場所…湖の位置…村の跡地…。
魔法石を置く場所の確認をして、段取りを頭の中で反芻する。
…実際はどれだけの重圧がかかるかわからない…。
…あとは、夜になるのを待つだけ…。
リーンは窓辺から外を眺める。
日中だが、少し薄暗くどんよりとした空を見上げ、風も止まっていることに気が付く。
…ソフィアの言う通り、もう、時間が無かったのだ…。
リーンは寝室のベットに横になって目を閉じた。
夜までにはもう少し時間がある…。
…少しでも、身体を休ませよう…。
ソレに、ここから『始まりの宿り木』に行くのには、少し時間がかかる…。
夜中に山小屋『オメガ』を出て行けば、あの跡地にたどり着けるだろう…。
…明日、朝日が昇ると同時に、魔法を発動する…。
…ソフィアが言っていた、約束の満月の日なのだから…。
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