270 / 462
神の宿り木~再生 3~
イサキ 4 ~証明書~
しおりを挟む
戸惑うイサキにリーンさんは微笑んだ。
「魔法石を拾った川の上流に街はある?」
突然、そう聞いてきた。
えっと…確か…昔、学校の授業で聞いた…。
「確か…カザナの街の近くを流れていたと思うけど…」
リーンさんは驚いて、そしてクスクスと笑い出した。
「イサキ。この間渡した魔法石、大事に取っといて。誰かに装飾品に付けた魔法石の事で何かいわれたら、それを証明書として見せれば良いよ『この魔法石の使用許可はもらってる』て…」
「えっ…?」
何を言っているのか良く分からない…。
魔法石の使用証明書…?
…リーンさんがメッセージを付けてくれたあの魔法石が…?
…て、事はこの魔法石の元の主は…リーンさん…?
「それって…これは…」
イサキが戸惑いを隠せないでいると、金髪の男の子が微笑んで言った。
「きっと水霊が運んでくれたんだよ。使ってって」
「リーンの知っている魔法石だったの?」
黒髪の女の子が聞いてくる。
「そうだよ。昔、水霊にあげた魔法石。だから私が保証する」
リーンさんは楽しそうに言う。
「水霊が私に伝えているんだ。今度はイサキに直接渡すようにってね」
二人の子供達は、リーンさんが言いたいことが分かるのか、ウンウンと頷いている。
チラリと三人の後ろにいる護衛の男人達を見ると、聞かなかった事にして、横を向いている。
イサキは余計に混乱してきた。
「意味が良く…分かってないんですが…」
「イサキ。カザナの街に来ないか?」
リーンさんが小声で耳打ちしてくる。
「えっ…!?」
カザナって、確か学問の街だって聞いたことがあるけど…えっ…!?
もう、次から次へとパニック状態だ!
「えっと…その…あの…」
イサキがしどろもどろて、どう答えて良いのか分からずにいると、リーンさんが急に表情を変えてイサキを見る。
「…イサキ…家族は…」
「えっ?…家に…母さんがいるけど…」
なっ、なに?
リーンさんの様子が真剣な表情に変わった…。
「一人?」
「仕事から帰ってきてれば、一人だと…」
「すぐに店を閉まって、家に!…イサキの周りの風霊が騒いでいる!」
…風霊!?
それより母さんに何かあったのか!?
イサキは慌てて商品を片付け出す。
その間にリーンさんは護衛の人と何か話しているが、耳には入ってこない…。
全て片付け終える頃にはリーンさんと、護衛の一人が残っているだけで、二人の子供達と護衛の一人はいなくなっていた。
「私達も行くよ」
イサキは頷いて荷物を抱え、足早に下町にある家に向かって歩き出した。
商店街と魔法道具街から歩く道はいつもと同じなのに、気が急いでいるのか、なかなかたどり着けない。
下町は人気が少なく、少し古い平屋の家が建ち並び、迷路のように複雑に要り組んでいる。
見慣れた家が見えてくると、イサキの足は駆け足になっていた。
…母さん!
イサキは家の玄関を開け、中に入って辺りを見回した。
…母親の姿は見えない。
「母さん!ただいま!…どこにいるの!?」
返事はない…。
イサキは奥の台所に向かい、床に倒れている母親を目にした。
「母さん!!」
イサキが母親をそっと抱き起こすと、荒い息をして、ぐったりとしていた。
そこへリーンさんがやって来て、首筋に触れ話しかけた。
「意識はありますか!」
「…。」
返事はないが、母親はゆっくりと間蓋を開けた。
リーンさんはポーチから小瓶を取り出し、母親の口許に向け、少しづつ飲むように促した。
「…飲んで…栄養剤だから安心して」
リーンさんにそう言われ、母親は一口づつ飲んだ。
飲み終わると、母親は目を閉じて意識を失った。
「母さん!」
「…大丈夫。眠っただけだから」
リーンさんは護衛の青年に、イサキに変わって抱き上げて運ぶように言い、イサキには家の戸締まりをするように言ってきた。
護衛の青年が母親を抱き上げて、イサキは戸締まりをして、真っ青な顔でリーンさんの元に向かうと、リーンさんは微笑んできた。
「大丈夫だから。お医者様に見てもらおうね」
そう言ってリーンさんが右手を掲げると、足元に魔法陣が浮かび上がる。
「『転移』」
眩い光りに包まれると、見たことのない豪華な屋敷の玄関ホールにいた。
「魔法石を拾った川の上流に街はある?」
突然、そう聞いてきた。
えっと…確か…昔、学校の授業で聞いた…。
「確か…カザナの街の近くを流れていたと思うけど…」
リーンさんは驚いて、そしてクスクスと笑い出した。
「イサキ。この間渡した魔法石、大事に取っといて。誰かに装飾品に付けた魔法石の事で何かいわれたら、それを証明書として見せれば良いよ『この魔法石の使用許可はもらってる』て…」
「えっ…?」
何を言っているのか良く分からない…。
魔法石の使用証明書…?
…リーンさんがメッセージを付けてくれたあの魔法石が…?
…て、事はこの魔法石の元の主は…リーンさん…?
「それって…これは…」
イサキが戸惑いを隠せないでいると、金髪の男の子が微笑んで言った。
「きっと水霊が運んでくれたんだよ。使ってって」
「リーンの知っている魔法石だったの?」
黒髪の女の子が聞いてくる。
「そうだよ。昔、水霊にあげた魔法石。だから私が保証する」
リーンさんは楽しそうに言う。
「水霊が私に伝えているんだ。今度はイサキに直接渡すようにってね」
二人の子供達は、リーンさんが言いたいことが分かるのか、ウンウンと頷いている。
チラリと三人の後ろにいる護衛の男人達を見ると、聞かなかった事にして、横を向いている。
イサキは余計に混乱してきた。
「意味が良く…分かってないんですが…」
「イサキ。カザナの街に来ないか?」
リーンさんが小声で耳打ちしてくる。
「えっ…!?」
カザナって、確か学問の街だって聞いたことがあるけど…えっ…!?
もう、次から次へとパニック状態だ!
「えっと…その…あの…」
イサキがしどろもどろて、どう答えて良いのか分からずにいると、リーンさんが急に表情を変えてイサキを見る。
「…イサキ…家族は…」
「えっ?…家に…母さんがいるけど…」
なっ、なに?
リーンさんの様子が真剣な表情に変わった…。
「一人?」
「仕事から帰ってきてれば、一人だと…」
「すぐに店を閉まって、家に!…イサキの周りの風霊が騒いでいる!」
…風霊!?
それより母さんに何かあったのか!?
イサキは慌てて商品を片付け出す。
その間にリーンさんは護衛の人と何か話しているが、耳には入ってこない…。
全て片付け終える頃にはリーンさんと、護衛の一人が残っているだけで、二人の子供達と護衛の一人はいなくなっていた。
「私達も行くよ」
イサキは頷いて荷物を抱え、足早に下町にある家に向かって歩き出した。
商店街と魔法道具街から歩く道はいつもと同じなのに、気が急いでいるのか、なかなかたどり着けない。
下町は人気が少なく、少し古い平屋の家が建ち並び、迷路のように複雑に要り組んでいる。
見慣れた家が見えてくると、イサキの足は駆け足になっていた。
…母さん!
イサキは家の玄関を開け、中に入って辺りを見回した。
…母親の姿は見えない。
「母さん!ただいま!…どこにいるの!?」
返事はない…。
イサキは奥の台所に向かい、床に倒れている母親を目にした。
「母さん!!」
イサキが母親をそっと抱き起こすと、荒い息をして、ぐったりとしていた。
そこへリーンさんがやって来て、首筋に触れ話しかけた。
「意識はありますか!」
「…。」
返事はないが、母親はゆっくりと間蓋を開けた。
リーンさんはポーチから小瓶を取り出し、母親の口許に向け、少しづつ飲むように促した。
「…飲んで…栄養剤だから安心して」
リーンさんにそう言われ、母親は一口づつ飲んだ。
飲み終わると、母親は目を閉じて意識を失った。
「母さん!」
「…大丈夫。眠っただけだから」
リーンさんは護衛の青年に、イサキに変わって抱き上げて運ぶように言い、イサキには家の戸締まりをするように言ってきた。
護衛の青年が母親を抱き上げて、イサキは戸締まりをして、真っ青な顔でリーンさんの元に向かうと、リーンさんは微笑んできた。
「大丈夫だから。お医者様に見てもらおうね」
そう言ってリーンさんが右手を掲げると、足元に魔法陣が浮かび上がる。
「『転移』」
眩い光りに包まれると、見たことのない豪華な屋敷の玄関ホールにいた。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…


淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる