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神の宿り木~再生 3~
イサキ 4 ~証明書~
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戸惑うイサキにリーンさんは微笑んだ。
「魔法石を拾った川の上流に街はある?」
突然、そう聞いてきた。
えっと…確か…昔、学校の授業で聞いた…。
「確か…カザナの街の近くを流れていたと思うけど…」
リーンさんは驚いて、そしてクスクスと笑い出した。
「イサキ。この間渡した魔法石、大事に取っといて。誰かに装飾品に付けた魔法石の事で何かいわれたら、それを証明書として見せれば良いよ『この魔法石の使用許可はもらってる』て…」
「えっ…?」
何を言っているのか良く分からない…。
魔法石の使用証明書…?
…リーンさんがメッセージを付けてくれたあの魔法石が…?
…て、事はこの魔法石の元の主は…リーンさん…?
「それって…これは…」
イサキが戸惑いを隠せないでいると、金髪の男の子が微笑んで言った。
「きっと水霊が運んでくれたんだよ。使ってって」
「リーンの知っている魔法石だったの?」
黒髪の女の子が聞いてくる。
「そうだよ。昔、水霊にあげた魔法石。だから私が保証する」
リーンさんは楽しそうに言う。
「水霊が私に伝えているんだ。今度はイサキに直接渡すようにってね」
二人の子供達は、リーンさんが言いたいことが分かるのか、ウンウンと頷いている。
チラリと三人の後ろにいる護衛の男人達を見ると、聞かなかった事にして、横を向いている。
イサキは余計に混乱してきた。
「意味が良く…分かってないんですが…」
「イサキ。カザナの街に来ないか?」
リーンさんが小声で耳打ちしてくる。
「えっ…!?」
カザナって、確か学問の街だって聞いたことがあるけど…えっ…!?
もう、次から次へとパニック状態だ!
「えっと…その…あの…」
イサキがしどろもどろて、どう答えて良いのか分からずにいると、リーンさんが急に表情を変えてイサキを見る。
「…イサキ…家族は…」
「えっ?…家に…母さんがいるけど…」
なっ、なに?
リーンさんの様子が真剣な表情に変わった…。
「一人?」
「仕事から帰ってきてれば、一人だと…」
「すぐに店を閉まって、家に!…イサキの周りの風霊が騒いでいる!」
…風霊!?
それより母さんに何かあったのか!?
イサキは慌てて商品を片付け出す。
その間にリーンさんは護衛の人と何か話しているが、耳には入ってこない…。
全て片付け終える頃にはリーンさんと、護衛の一人が残っているだけで、二人の子供達と護衛の一人はいなくなっていた。
「私達も行くよ」
イサキは頷いて荷物を抱え、足早に下町にある家に向かって歩き出した。
商店街と魔法道具街から歩く道はいつもと同じなのに、気が急いでいるのか、なかなかたどり着けない。
下町は人気が少なく、少し古い平屋の家が建ち並び、迷路のように複雑に要り組んでいる。
見慣れた家が見えてくると、イサキの足は駆け足になっていた。
…母さん!
イサキは家の玄関を開け、中に入って辺りを見回した。
…母親の姿は見えない。
「母さん!ただいま!…どこにいるの!?」
返事はない…。
イサキは奥の台所に向かい、床に倒れている母親を目にした。
「母さん!!」
イサキが母親をそっと抱き起こすと、荒い息をして、ぐったりとしていた。
そこへリーンさんがやって来て、首筋に触れ話しかけた。
「意識はありますか!」
「…。」
返事はないが、母親はゆっくりと間蓋を開けた。
リーンさんはポーチから小瓶を取り出し、母親の口許に向け、少しづつ飲むように促した。
「…飲んで…栄養剤だから安心して」
リーンさんにそう言われ、母親は一口づつ飲んだ。
飲み終わると、母親は目を閉じて意識を失った。
「母さん!」
「…大丈夫。眠っただけだから」
リーンさんは護衛の青年に、イサキに変わって抱き上げて運ぶように言い、イサキには家の戸締まりをするように言ってきた。
護衛の青年が母親を抱き上げて、イサキは戸締まりをして、真っ青な顔でリーンさんの元に向かうと、リーンさんは微笑んできた。
「大丈夫だから。お医者様に見てもらおうね」
そう言ってリーンさんが右手を掲げると、足元に魔法陣が浮かび上がる。
「『転移』」
眩い光りに包まれると、見たことのない豪華な屋敷の玄関ホールにいた。
「魔法石を拾った川の上流に街はある?」
突然、そう聞いてきた。
えっと…確か…昔、学校の授業で聞いた…。
「確か…カザナの街の近くを流れていたと思うけど…」
リーンさんは驚いて、そしてクスクスと笑い出した。
「イサキ。この間渡した魔法石、大事に取っといて。誰かに装飾品に付けた魔法石の事で何かいわれたら、それを証明書として見せれば良いよ『この魔法石の使用許可はもらってる』て…」
「えっ…?」
何を言っているのか良く分からない…。
魔法石の使用証明書…?
…リーンさんがメッセージを付けてくれたあの魔法石が…?
…て、事はこの魔法石の元の主は…リーンさん…?
「それって…これは…」
イサキが戸惑いを隠せないでいると、金髪の男の子が微笑んで言った。
「きっと水霊が運んでくれたんだよ。使ってって」
「リーンの知っている魔法石だったの?」
黒髪の女の子が聞いてくる。
「そうだよ。昔、水霊にあげた魔法石。だから私が保証する」
リーンさんは楽しそうに言う。
「水霊が私に伝えているんだ。今度はイサキに直接渡すようにってね」
二人の子供達は、リーンさんが言いたいことが分かるのか、ウンウンと頷いている。
チラリと三人の後ろにいる護衛の男人達を見ると、聞かなかった事にして、横を向いている。
イサキは余計に混乱してきた。
「意味が良く…分かってないんですが…」
「イサキ。カザナの街に来ないか?」
リーンさんが小声で耳打ちしてくる。
「えっ…!?」
カザナって、確か学問の街だって聞いたことがあるけど…えっ…!?
もう、次から次へとパニック状態だ!
「えっと…その…あの…」
イサキがしどろもどろて、どう答えて良いのか分からずにいると、リーンさんが急に表情を変えてイサキを見る。
「…イサキ…家族は…」
「えっ?…家に…母さんがいるけど…」
なっ、なに?
リーンさんの様子が真剣な表情に変わった…。
「一人?」
「仕事から帰ってきてれば、一人だと…」
「すぐに店を閉まって、家に!…イサキの周りの風霊が騒いでいる!」
…風霊!?
それより母さんに何かあったのか!?
イサキは慌てて商品を片付け出す。
その間にリーンさんは護衛の人と何か話しているが、耳には入ってこない…。
全て片付け終える頃にはリーンさんと、護衛の一人が残っているだけで、二人の子供達と護衛の一人はいなくなっていた。
「私達も行くよ」
イサキは頷いて荷物を抱え、足早に下町にある家に向かって歩き出した。
商店街と魔法道具街から歩く道はいつもと同じなのに、気が急いでいるのか、なかなかたどり着けない。
下町は人気が少なく、少し古い平屋の家が建ち並び、迷路のように複雑に要り組んでいる。
見慣れた家が見えてくると、イサキの足は駆け足になっていた。
…母さん!
イサキは家の玄関を開け、中に入って辺りを見回した。
…母親の姿は見えない。
「母さん!ただいま!…どこにいるの!?」
返事はない…。
イサキは奥の台所に向かい、床に倒れている母親を目にした。
「母さん!!」
イサキが母親をそっと抱き起こすと、荒い息をして、ぐったりとしていた。
そこへリーンさんがやって来て、首筋に触れ話しかけた。
「意識はありますか!」
「…。」
返事はないが、母親はゆっくりと間蓋を開けた。
リーンさんはポーチから小瓶を取り出し、母親の口許に向け、少しづつ飲むように促した。
「…飲んで…栄養剤だから安心して」
リーンさんにそう言われ、母親は一口づつ飲んだ。
飲み終わると、母親は目を閉じて意識を失った。
「母さん!」
「…大丈夫。眠っただけだから」
リーンさんは護衛の青年に、イサキに変わって抱き上げて運ぶように言い、イサキには家の戸締まりをするように言ってきた。
護衛の青年が母親を抱き上げて、イサキは戸締まりをして、真っ青な顔でリーンさんの元に向かうと、リーンさんは微笑んできた。
「大丈夫だから。お医者様に見てもらおうね」
そう言ってリーンさんが右手を掲げると、足元に魔法陣が浮かび上がる。
「『転移』」
眩い光りに包まれると、見たことのない豪華な屋敷の玄関ホールにいた。
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