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神の宿り木~再生 3~
ユーリの欲しいもの
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「…えっと…魔法の使える剣が欲しい…」
ユーリはこちらを覗き込むように、見てくる。
「…。」
…予想外の事を言ってくる。
剣を習い出したから、いずれ必要になるだろうが、子供用の魔法剣を売っているところは有るのだろうか?
「今、練習に使っているのは?」
「まだ、木刀…。早くお父様みたいに使えるようになりたい!」
気持ちは分かるけど…。
チラリと護衛の青年の方を見ると、また、冷や汗をかいている。
学校に通い出したばかりの子供が、欲しがる物では無いよな…。
「…剣の事は分からないから、ルークに相談してみて」
リーンがそう言うと、ユーリはしょんぼりとする。
「魔法剣は魔力の制御が出来ないと、ただの剣の形をしたものだよ」
「…うん…」
…ユーリの目標はわかった。
だけど、魔力の制御は年々難しくなってくる。
何かの拍子に暴走しかねないからだ。
だったら、その目標に向かえる魔法道具があったはず…。
「ユーリ。そしたら、魔力制御を練習する魔法道具の、剣の形をしたものだったらどうだ?」
この間、見かけた魔法道具だ。
「…剣の形をした、魔法道具?」
「そうだよ。剣としては使えない。けれど、剣の形をしているからカッコいいだろ?」
リーンがそう言うと、ユーリの機嫌は少し浮上して、興味を持ったみたいだ。
「…見てみたい…」
「次は魔法道具街に向かおう」
リーンがそう言うとユーリは頷いた。
昼食を食べ終える頃には、昼が近くなり、人も増えてきた。
食べた後のゴミをまとめて袋に入れると、護衛の青年が『片付けて来ます』と、言ってゴミを持っていってくれた。
三人はテーブルから離れ、護衛の青年と共に魔法道具街に向かった。
この間見た魔法道具屋に入ると、ジーンとユーリは目を輝かせ、驚いているようだ。
「魔法道具屋には来たことはない?」
「うん。無いよ」
「…不思議な物がいっぱい有る…」
二人は店内をゆっくりと見て回り、興味を持ったもの『これ何?』と聞いてくると、魔法道具屋の店主が出てきて、子供達の質問に根気よく説明してくれている。
見ただけでは分からないから、店主に説明してもらった方が、子供達も納得するだろう。
リーンは店内を見渡し、この間見た剣を見つけ手にした。
けれどユーリには大きすぎて、重たいかもしれない…。
子供用…小さい短剣が有ると良いのだが…。
二人が気になった物を聞き終わり、リーンは店主に声をかけた。
「これの小さいモノは有りますか?」
「小さいと練習にならないと思うが」
店主は首を傾げた。
普通、子供が使うとは思わないだろう…。
「この子が使うんです」
そう言って、リーンが持っていた剣の長さと同じくらいの身長の、ユーリの頭を撫でた。
「…子供さんが…そりゃ重たいだろうな…」
まだ、店主は不思議そうにこちらを見ている。
「ユーリ、剣先は下に付いたままで良いから、持って魔力を剣に流してみて」
リーンはそう言って、地面に剣先を付けたまま縦にして、ユーリが持ちやすいように少し支えてあげ、ユーリは剣を手に取りふらつきながら一人で支え、リーンは手を離した。
「普通に魔力を流してみて」
リーンがそう言うと、ユーリは魔力を込めた。
剣が淡く光り、店主は剣の鞘に空いた穴から剣の色を見て驚く。
「…こりゃ…この歳で、制御の練習用が欲しいわけだ」
剣の鞘から見える剣の色で、魔力の強さが分かるのだ。
これで魔力の出力の流れの調整し、一定の色を保つ事によって、自由に魔力調整が出きるようになるのだ。
リーンが剣を手に取り、ユーリが剣から手を離す。
「…高等科位の魔力を持っている…。身体に魔力がたまって辛いことは無いのか?」
店主は心配そうにユーリにそう聞いてくると、ユーリはコクンと頷いた。
「家で、魔力の放出の練習はしていて、どうしても滞る時は周りの者達が補助してくれるので、身体に影響は無いんです。ただ、魔力の出力の加減が分からないみたいで…」
リーンがそう説明すると、店主は悩んで言った。
「今は無いが、制作者に頼んでみてあげよう。…そうか、子供の時から魔力が強いと、こう言うモノがあった方が良いのか…」
店主はぶつぶつと呟きながら、壁にかけてある短剣を幾つか手にとって持ってきた。
「どれが持ちやすい?柄の大きさが少し違うから持ってみてくれ」
ユーリは一つ一つ持ってみて、持ちやすいものを選んだ。
「よし、これで頼んで見よう」
店主はそう言って微笑んだ。
「よろしくお願いします」
リーンがそう言うと、ユーリも小さい声で言った。
「…お願いします」
よく言えた。
リーンがユーリの頭を撫でてあげると、ユーリは嬉しそうに笑った。
後の手続きがあるので、ジーンとユーリには、もう少し店内を見てもらっている間に、リーンは店主とカウンターで話をして、多めの前金を払った。
本当は代金を払ってしまいたかったが、今から作ってもらうので分からないそうだ。
仕方ない…。
さっき護衛の青年に教えてもらった『メジノの館。カザンナ王国の第三王子のご令嬢ユーリ』宛に、ジーンと同じタイミングで誕生日に届くようにお願いした。
その話を聞いて、店主は驚き子供達を見る。
「…ルーク様の…それで魔力が…」
店主は納得したように頷いていた。
「受け賜りました。必ず、お誕生日までに制作するよう、制作者にはお願いしておきます」
「よろしくお願いたします」
リーンはそう言って、ジーンとユーリ、護衛の二人と共に魔法道具屋にを後にした。
そろそろイサキは来ているだろうか…。
ユーリの欲しいものを、何も買ってあげれなかったが、イサキに頼んだペンダントは気に入ってもらえるだろうか…。
リーンはそんな事を思いながら、イサキと出会った魔法道具街から商店街へと向かった。
ユーリはこちらを覗き込むように、見てくる。
「…。」
…予想外の事を言ってくる。
剣を習い出したから、いずれ必要になるだろうが、子供用の魔法剣を売っているところは有るのだろうか?
「今、練習に使っているのは?」
「まだ、木刀…。早くお父様みたいに使えるようになりたい!」
気持ちは分かるけど…。
チラリと護衛の青年の方を見ると、また、冷や汗をかいている。
学校に通い出したばかりの子供が、欲しがる物では無いよな…。
「…剣の事は分からないから、ルークに相談してみて」
リーンがそう言うと、ユーリはしょんぼりとする。
「魔法剣は魔力の制御が出来ないと、ただの剣の形をしたものだよ」
「…うん…」
…ユーリの目標はわかった。
だけど、魔力の制御は年々難しくなってくる。
何かの拍子に暴走しかねないからだ。
だったら、その目標に向かえる魔法道具があったはず…。
「ユーリ。そしたら、魔力制御を練習する魔法道具の、剣の形をしたものだったらどうだ?」
この間、見かけた魔法道具だ。
「…剣の形をした、魔法道具?」
「そうだよ。剣としては使えない。けれど、剣の形をしているからカッコいいだろ?」
リーンがそう言うと、ユーリの機嫌は少し浮上して、興味を持ったみたいだ。
「…見てみたい…」
「次は魔法道具街に向かおう」
リーンがそう言うとユーリは頷いた。
昼食を食べ終える頃には、昼が近くなり、人も増えてきた。
食べた後のゴミをまとめて袋に入れると、護衛の青年が『片付けて来ます』と、言ってゴミを持っていってくれた。
三人はテーブルから離れ、護衛の青年と共に魔法道具街に向かった。
この間見た魔法道具屋に入ると、ジーンとユーリは目を輝かせ、驚いているようだ。
「魔法道具屋には来たことはない?」
「うん。無いよ」
「…不思議な物がいっぱい有る…」
二人は店内をゆっくりと見て回り、興味を持ったもの『これ何?』と聞いてくると、魔法道具屋の店主が出てきて、子供達の質問に根気よく説明してくれている。
見ただけでは分からないから、店主に説明してもらった方が、子供達も納得するだろう。
リーンは店内を見渡し、この間見た剣を見つけ手にした。
けれどユーリには大きすぎて、重たいかもしれない…。
子供用…小さい短剣が有ると良いのだが…。
二人が気になった物を聞き終わり、リーンは店主に声をかけた。
「これの小さいモノは有りますか?」
「小さいと練習にならないと思うが」
店主は首を傾げた。
普通、子供が使うとは思わないだろう…。
「この子が使うんです」
そう言って、リーンが持っていた剣の長さと同じくらいの身長の、ユーリの頭を撫でた。
「…子供さんが…そりゃ重たいだろうな…」
まだ、店主は不思議そうにこちらを見ている。
「ユーリ、剣先は下に付いたままで良いから、持って魔力を剣に流してみて」
リーンはそう言って、地面に剣先を付けたまま縦にして、ユーリが持ちやすいように少し支えてあげ、ユーリは剣を手に取りふらつきながら一人で支え、リーンは手を離した。
「普通に魔力を流してみて」
リーンがそう言うと、ユーリは魔力を込めた。
剣が淡く光り、店主は剣の鞘に空いた穴から剣の色を見て驚く。
「…こりゃ…この歳で、制御の練習用が欲しいわけだ」
剣の鞘から見える剣の色で、魔力の強さが分かるのだ。
これで魔力の出力の流れの調整し、一定の色を保つ事によって、自由に魔力調整が出きるようになるのだ。
リーンが剣を手に取り、ユーリが剣から手を離す。
「…高等科位の魔力を持っている…。身体に魔力がたまって辛いことは無いのか?」
店主は心配そうにユーリにそう聞いてくると、ユーリはコクンと頷いた。
「家で、魔力の放出の練習はしていて、どうしても滞る時は周りの者達が補助してくれるので、身体に影響は無いんです。ただ、魔力の出力の加減が分からないみたいで…」
リーンがそう説明すると、店主は悩んで言った。
「今は無いが、制作者に頼んでみてあげよう。…そうか、子供の時から魔力が強いと、こう言うモノがあった方が良いのか…」
店主はぶつぶつと呟きながら、壁にかけてある短剣を幾つか手にとって持ってきた。
「どれが持ちやすい?柄の大きさが少し違うから持ってみてくれ」
ユーリは一つ一つ持ってみて、持ちやすいものを選んだ。
「よし、これで頼んで見よう」
店主はそう言って微笑んだ。
「よろしくお願いします」
リーンがそう言うと、ユーリも小さい声で言った。
「…お願いします」
よく言えた。
リーンがユーリの頭を撫でてあげると、ユーリは嬉しそうに笑った。
後の手続きがあるので、ジーンとユーリには、もう少し店内を見てもらっている間に、リーンは店主とカウンターで話をして、多めの前金を払った。
本当は代金を払ってしまいたかったが、今から作ってもらうので分からないそうだ。
仕方ない…。
さっき護衛の青年に教えてもらった『メジノの館。カザンナ王国の第三王子のご令嬢ユーリ』宛に、ジーンと同じタイミングで誕生日に届くようにお願いした。
その話を聞いて、店主は驚き子供達を見る。
「…ルーク様の…それで魔力が…」
店主は納得したように頷いていた。
「受け賜りました。必ず、お誕生日までに制作するよう、制作者にはお願いしておきます」
「よろしくお願いたします」
リーンはそう言って、ジーンとユーリ、護衛の二人と共に魔法道具屋にを後にした。
そろそろイサキは来ているだろうか…。
ユーリの欲しいものを、何も買ってあげれなかったが、イサキに頼んだペンダントは気に入ってもらえるだろうか…。
リーンはそんな事を思いながら、イサキと出会った魔法道具街から商店街へと向かった。
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