266 / 462
神の宿り木~再生 3~
ユーリの欲しいもの
しおりを挟む
「…えっと…魔法の使える剣が欲しい…」
ユーリはこちらを覗き込むように、見てくる。
「…。」
…予想外の事を言ってくる。
剣を習い出したから、いずれ必要になるだろうが、子供用の魔法剣を売っているところは有るのだろうか?
「今、練習に使っているのは?」
「まだ、木刀…。早くお父様みたいに使えるようになりたい!」
気持ちは分かるけど…。
チラリと護衛の青年の方を見ると、また、冷や汗をかいている。
学校に通い出したばかりの子供が、欲しがる物では無いよな…。
「…剣の事は分からないから、ルークに相談してみて」
リーンがそう言うと、ユーリはしょんぼりとする。
「魔法剣は魔力の制御が出来ないと、ただの剣の形をしたものだよ」
「…うん…」
…ユーリの目標はわかった。
だけど、魔力の制御は年々難しくなってくる。
何かの拍子に暴走しかねないからだ。
だったら、その目標に向かえる魔法道具があったはず…。
「ユーリ。そしたら、魔力制御を練習する魔法道具の、剣の形をしたものだったらどうだ?」
この間、見かけた魔法道具だ。
「…剣の形をした、魔法道具?」
「そうだよ。剣としては使えない。けれど、剣の形をしているからカッコいいだろ?」
リーンがそう言うと、ユーリの機嫌は少し浮上して、興味を持ったみたいだ。
「…見てみたい…」
「次は魔法道具街に向かおう」
リーンがそう言うとユーリは頷いた。
昼食を食べ終える頃には、昼が近くなり、人も増えてきた。
食べた後のゴミをまとめて袋に入れると、護衛の青年が『片付けて来ます』と、言ってゴミを持っていってくれた。
三人はテーブルから離れ、護衛の青年と共に魔法道具街に向かった。
この間見た魔法道具屋に入ると、ジーンとユーリは目を輝かせ、驚いているようだ。
「魔法道具屋には来たことはない?」
「うん。無いよ」
「…不思議な物がいっぱい有る…」
二人は店内をゆっくりと見て回り、興味を持ったもの『これ何?』と聞いてくると、魔法道具屋の店主が出てきて、子供達の質問に根気よく説明してくれている。
見ただけでは分からないから、店主に説明してもらった方が、子供達も納得するだろう。
リーンは店内を見渡し、この間見た剣を見つけ手にした。
けれどユーリには大きすぎて、重たいかもしれない…。
子供用…小さい短剣が有ると良いのだが…。
二人が気になった物を聞き終わり、リーンは店主に声をかけた。
「これの小さいモノは有りますか?」
「小さいと練習にならないと思うが」
店主は首を傾げた。
普通、子供が使うとは思わないだろう…。
「この子が使うんです」
そう言って、リーンが持っていた剣の長さと同じくらいの身長の、ユーリの頭を撫でた。
「…子供さんが…そりゃ重たいだろうな…」
まだ、店主は不思議そうにこちらを見ている。
「ユーリ、剣先は下に付いたままで良いから、持って魔力を剣に流してみて」
リーンはそう言って、地面に剣先を付けたまま縦にして、ユーリが持ちやすいように少し支えてあげ、ユーリは剣を手に取りふらつきながら一人で支え、リーンは手を離した。
「普通に魔力を流してみて」
リーンがそう言うと、ユーリは魔力を込めた。
剣が淡く光り、店主は剣の鞘に空いた穴から剣の色を見て驚く。
「…こりゃ…この歳で、制御の練習用が欲しいわけだ」
剣の鞘から見える剣の色で、魔力の強さが分かるのだ。
これで魔力の出力の流れの調整し、一定の色を保つ事によって、自由に魔力調整が出きるようになるのだ。
リーンが剣を手に取り、ユーリが剣から手を離す。
「…高等科位の魔力を持っている…。身体に魔力がたまって辛いことは無いのか?」
店主は心配そうにユーリにそう聞いてくると、ユーリはコクンと頷いた。
「家で、魔力の放出の練習はしていて、どうしても滞る時は周りの者達が補助してくれるので、身体に影響は無いんです。ただ、魔力の出力の加減が分からないみたいで…」
リーンがそう説明すると、店主は悩んで言った。
「今は無いが、制作者に頼んでみてあげよう。…そうか、子供の時から魔力が強いと、こう言うモノがあった方が良いのか…」
店主はぶつぶつと呟きながら、壁にかけてある短剣を幾つか手にとって持ってきた。
「どれが持ちやすい?柄の大きさが少し違うから持ってみてくれ」
ユーリは一つ一つ持ってみて、持ちやすいものを選んだ。
「よし、これで頼んで見よう」
店主はそう言って微笑んだ。
「よろしくお願いします」
リーンがそう言うと、ユーリも小さい声で言った。
「…お願いします」
よく言えた。
リーンがユーリの頭を撫でてあげると、ユーリは嬉しそうに笑った。
後の手続きがあるので、ジーンとユーリには、もう少し店内を見てもらっている間に、リーンは店主とカウンターで話をして、多めの前金を払った。
本当は代金を払ってしまいたかったが、今から作ってもらうので分からないそうだ。
仕方ない…。
さっき護衛の青年に教えてもらった『メジノの館。カザンナ王国の第三王子のご令嬢ユーリ』宛に、ジーンと同じタイミングで誕生日に届くようにお願いした。
その話を聞いて、店主は驚き子供達を見る。
「…ルーク様の…それで魔力が…」
店主は納得したように頷いていた。
「受け賜りました。必ず、お誕生日までに制作するよう、制作者にはお願いしておきます」
「よろしくお願いたします」
リーンはそう言って、ジーンとユーリ、護衛の二人と共に魔法道具屋にを後にした。
そろそろイサキは来ているだろうか…。
ユーリの欲しいものを、何も買ってあげれなかったが、イサキに頼んだペンダントは気に入ってもらえるだろうか…。
リーンはそんな事を思いながら、イサキと出会った魔法道具街から商店街へと向かった。
ユーリはこちらを覗き込むように、見てくる。
「…。」
…予想外の事を言ってくる。
剣を習い出したから、いずれ必要になるだろうが、子供用の魔法剣を売っているところは有るのだろうか?
「今、練習に使っているのは?」
「まだ、木刀…。早くお父様みたいに使えるようになりたい!」
気持ちは分かるけど…。
チラリと護衛の青年の方を見ると、また、冷や汗をかいている。
学校に通い出したばかりの子供が、欲しがる物では無いよな…。
「…剣の事は分からないから、ルークに相談してみて」
リーンがそう言うと、ユーリはしょんぼりとする。
「魔法剣は魔力の制御が出来ないと、ただの剣の形をしたものだよ」
「…うん…」
…ユーリの目標はわかった。
だけど、魔力の制御は年々難しくなってくる。
何かの拍子に暴走しかねないからだ。
だったら、その目標に向かえる魔法道具があったはず…。
「ユーリ。そしたら、魔力制御を練習する魔法道具の、剣の形をしたものだったらどうだ?」
この間、見かけた魔法道具だ。
「…剣の形をした、魔法道具?」
「そうだよ。剣としては使えない。けれど、剣の形をしているからカッコいいだろ?」
リーンがそう言うと、ユーリの機嫌は少し浮上して、興味を持ったみたいだ。
「…見てみたい…」
「次は魔法道具街に向かおう」
リーンがそう言うとユーリは頷いた。
昼食を食べ終える頃には、昼が近くなり、人も増えてきた。
食べた後のゴミをまとめて袋に入れると、護衛の青年が『片付けて来ます』と、言ってゴミを持っていってくれた。
三人はテーブルから離れ、護衛の青年と共に魔法道具街に向かった。
この間見た魔法道具屋に入ると、ジーンとユーリは目を輝かせ、驚いているようだ。
「魔法道具屋には来たことはない?」
「うん。無いよ」
「…不思議な物がいっぱい有る…」
二人は店内をゆっくりと見て回り、興味を持ったもの『これ何?』と聞いてくると、魔法道具屋の店主が出てきて、子供達の質問に根気よく説明してくれている。
見ただけでは分からないから、店主に説明してもらった方が、子供達も納得するだろう。
リーンは店内を見渡し、この間見た剣を見つけ手にした。
けれどユーリには大きすぎて、重たいかもしれない…。
子供用…小さい短剣が有ると良いのだが…。
二人が気になった物を聞き終わり、リーンは店主に声をかけた。
「これの小さいモノは有りますか?」
「小さいと練習にならないと思うが」
店主は首を傾げた。
普通、子供が使うとは思わないだろう…。
「この子が使うんです」
そう言って、リーンが持っていた剣の長さと同じくらいの身長の、ユーリの頭を撫でた。
「…子供さんが…そりゃ重たいだろうな…」
まだ、店主は不思議そうにこちらを見ている。
「ユーリ、剣先は下に付いたままで良いから、持って魔力を剣に流してみて」
リーンはそう言って、地面に剣先を付けたまま縦にして、ユーリが持ちやすいように少し支えてあげ、ユーリは剣を手に取りふらつきながら一人で支え、リーンは手を離した。
「普通に魔力を流してみて」
リーンがそう言うと、ユーリは魔力を込めた。
剣が淡く光り、店主は剣の鞘に空いた穴から剣の色を見て驚く。
「…こりゃ…この歳で、制御の練習用が欲しいわけだ」
剣の鞘から見える剣の色で、魔力の強さが分かるのだ。
これで魔力の出力の流れの調整し、一定の色を保つ事によって、自由に魔力調整が出きるようになるのだ。
リーンが剣を手に取り、ユーリが剣から手を離す。
「…高等科位の魔力を持っている…。身体に魔力がたまって辛いことは無いのか?」
店主は心配そうにユーリにそう聞いてくると、ユーリはコクンと頷いた。
「家で、魔力の放出の練習はしていて、どうしても滞る時は周りの者達が補助してくれるので、身体に影響は無いんです。ただ、魔力の出力の加減が分からないみたいで…」
リーンがそう説明すると、店主は悩んで言った。
「今は無いが、制作者に頼んでみてあげよう。…そうか、子供の時から魔力が強いと、こう言うモノがあった方が良いのか…」
店主はぶつぶつと呟きながら、壁にかけてある短剣を幾つか手にとって持ってきた。
「どれが持ちやすい?柄の大きさが少し違うから持ってみてくれ」
ユーリは一つ一つ持ってみて、持ちやすいものを選んだ。
「よし、これで頼んで見よう」
店主はそう言って微笑んだ。
「よろしくお願いします」
リーンがそう言うと、ユーリも小さい声で言った。
「…お願いします」
よく言えた。
リーンがユーリの頭を撫でてあげると、ユーリは嬉しそうに笑った。
後の手続きがあるので、ジーンとユーリには、もう少し店内を見てもらっている間に、リーンは店主とカウンターで話をして、多めの前金を払った。
本当は代金を払ってしまいたかったが、今から作ってもらうので分からないそうだ。
仕方ない…。
さっき護衛の青年に教えてもらった『メジノの館。カザンナ王国の第三王子のご令嬢ユーリ』宛に、ジーンと同じタイミングで誕生日に届くようにお願いした。
その話を聞いて、店主は驚き子供達を見る。
「…ルーク様の…それで魔力が…」
店主は納得したように頷いていた。
「受け賜りました。必ず、お誕生日までに制作するよう、制作者にはお願いしておきます」
「よろしくお願いたします」
リーンはそう言って、ジーンとユーリ、護衛の二人と共に魔法道具屋にを後にした。
そろそろイサキは来ているだろうか…。
ユーリの欲しいものを、何も買ってあげれなかったが、イサキに頼んだペンダントは気に入ってもらえるだろうか…。
リーンはそんな事を思いながら、イサキと出会った魔法道具街から商店街へと向かった。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

けものとこいにおちまして
ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。
市川先生の大人の補習授業
夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。
ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。
「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。
◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC)
※「*」がついている回は性描写が含まれております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる