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神の宿り木~再生 3~
屋台の昼食
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結局ジーンが選んだのは、一階に有る一般書籍の中の、火山の本だった。
夜、眠る前に、ルーク達と旅して、つい最近までいた、ワイトデ自治区のアリミネ火山の話をしたからだ。
興味を持ってくれたのは嬉しいが、私の影響を受けすぎていないか…。
リーンはポーチから財布を出して、ジーンの選んだ本を購入した。
ジーンは嬉しそうに本を抱えている。
…まあ、良いか。
喜んでくれるなら…。
本屋を出ると、少し早いが昼食にすることにした。
市場に行き、軽食を提供している店が集まった場所に行った。
「何にしようか…」
まだ昼には早いので、人は少なめだから、ぶらぶらと、取りあえず一周歩いて、気になったお店を子供達に聞いた。
「あれなに?」
ユーリが気になったのは、薄いパン生地に野菜やベーコンなどをくるくると巻いて包んだもの。
一般的に良く有る、食べ歩きの出来る食べ物だ。
お屋敷の食事には出てこないだろう。
「食べてみる?」
「うん」
リーンは屋台で五人分頼み、ジーンとユーリは邪魔にならないよう、横から屋台のおじさんが作っているのをじっと見ている。
「この辺にいるから、子供達の食べれそうなものとか、好きなもの買ってきて」
そう言って、護衛の青年達にお金を渡し、普段みんなが好んで食べる物を買いに行ってもらった。
何が美味しいとか、お勧めとか、何処にどんな店が有るのか分からないから、任せた方が良いと思ったからだ。
ジーンとユーリは真剣に見ている。
それを微笑ましく思いながら、どこで食べようか迷った。
所々にテーブルとイスが置いてあって、そこで食べても良いのだろうが、子供達をつれてだと躊躇する。
…一応、王族だ。
護衛の事も有るから、それも護衛の青年達が戻ってきたら聞いてみよう。
ふと見ると、隣の屋台で食べやすく縦長にカットされた芋の揚げ物を売っていた。
あれも買おう…。
野菜の巻物が出来上がると、一つづつ紙で巻いてまとめて袋に入れてくれた。
それをユーリが持って、隣の店で揚げたての芋の揚げ物を頼み、小さな紙袋いっぱいに入れてくれ、二人は目をキラキラと輝かせていた。
こういうの好きだよな…。
リオナスでも、おやつに出てきて『手が止まらない』と二人は競うように食べていた。
そうこうしている内に、護衛の青年達が食べ物を持って慌てて戻ってきて、三人の姿を見て、ホッとしている。
本来は買い出しが仕事ではないからね…。
「どこで食べれば良い?」
青年は『こちらへ』と市場の端のテーブルとイスが置いてある場所へ案内してくれた。
なるほど、ここなら人気は少ないし、落ち着いて食べれるかも…。
市場で待っている間、何故か視線が突き刺さって、落ち着かなかったからだ。
…以前に一人で来たときは、気にならなかったが、子供達二人を連れているからだろうか…。
三人が一緒のテーブルに付き、隣のテーブルに護衛の二人が座った。
買ってきたのもを広げ、ジーンとユーリが興味津々に『これは何』と、護衛の青年に聞いている。
串に刺した焼き肉が何種類か…お屋敷では皿に並べられていて出てくるから、串に刺したまま食べることはなかなか無いのだろう。
包み焼き…生地に野菜を混ぜて、鉄板で焼いて、甘辛ソースをかけたものは、食べやすくカットされている。
…お酒のおつまみみたいだ。
リーンはクスリと笑った。
たまにはこんな食事も良いだろう。
護衛の青年には、一緒のテーブルに来れば良いのにと、声をかけたが、そこは…と、断られてしまった。
まずは、ユーリが興味を示した、薄いパン生地に野菜やベーコンなどをくるくると巻いて包んだもの。
紙を少しめくり、がぶりと噛みつく。
ユーリの目がキラキラと輝く。
「美味しい…」
「食べやすいから、いくつも食べれそう…」
ジーンも、黙々と口に入れる。
その間に、芋の揚げ物を食べ、串に刺した肉を食べるのに苦戦して、包み焼きを食べる。
そこへ護衛の青年が、側に有るお茶の屋台で、飲み物を買ってきてくれ喉を潤した。
ザワザワとする街中で、こんなふうに楽しく食べられるのは、治安が良いからだ。
チラリと護衛の青年を見ると、もうほとんど食べ終わっている。
さすがに早い…。
子供達は吟味しながら食べているので、まだ食べ終わってはいない。
そうだ、ユーリが欲しいものを先に聞いておいた方が良いかもしれない。
「ユーリは何が欲しいの?」
リーンがユーリに聞くと、口に入れていた食べ物を飲み込み、恐る恐る言った。
「…えっと…魔法の使える剣が欲しい…」
夜、眠る前に、ルーク達と旅して、つい最近までいた、ワイトデ自治区のアリミネ火山の話をしたからだ。
興味を持ってくれたのは嬉しいが、私の影響を受けすぎていないか…。
リーンはポーチから財布を出して、ジーンの選んだ本を購入した。
ジーンは嬉しそうに本を抱えている。
…まあ、良いか。
喜んでくれるなら…。
本屋を出ると、少し早いが昼食にすることにした。
市場に行き、軽食を提供している店が集まった場所に行った。
「何にしようか…」
まだ昼には早いので、人は少なめだから、ぶらぶらと、取りあえず一周歩いて、気になったお店を子供達に聞いた。
「あれなに?」
ユーリが気になったのは、薄いパン生地に野菜やベーコンなどをくるくると巻いて包んだもの。
一般的に良く有る、食べ歩きの出来る食べ物だ。
お屋敷の食事には出てこないだろう。
「食べてみる?」
「うん」
リーンは屋台で五人分頼み、ジーンとユーリは邪魔にならないよう、横から屋台のおじさんが作っているのをじっと見ている。
「この辺にいるから、子供達の食べれそうなものとか、好きなもの買ってきて」
そう言って、護衛の青年達にお金を渡し、普段みんなが好んで食べる物を買いに行ってもらった。
何が美味しいとか、お勧めとか、何処にどんな店が有るのか分からないから、任せた方が良いと思ったからだ。
ジーンとユーリは真剣に見ている。
それを微笑ましく思いながら、どこで食べようか迷った。
所々にテーブルとイスが置いてあって、そこで食べても良いのだろうが、子供達をつれてだと躊躇する。
…一応、王族だ。
護衛の事も有るから、それも護衛の青年達が戻ってきたら聞いてみよう。
ふと見ると、隣の屋台で食べやすく縦長にカットされた芋の揚げ物を売っていた。
あれも買おう…。
野菜の巻物が出来上がると、一つづつ紙で巻いてまとめて袋に入れてくれた。
それをユーリが持って、隣の店で揚げたての芋の揚げ物を頼み、小さな紙袋いっぱいに入れてくれ、二人は目をキラキラと輝かせていた。
こういうの好きだよな…。
リオナスでも、おやつに出てきて『手が止まらない』と二人は競うように食べていた。
そうこうしている内に、護衛の青年達が食べ物を持って慌てて戻ってきて、三人の姿を見て、ホッとしている。
本来は買い出しが仕事ではないからね…。
「どこで食べれば良い?」
青年は『こちらへ』と市場の端のテーブルとイスが置いてある場所へ案内してくれた。
なるほど、ここなら人気は少ないし、落ち着いて食べれるかも…。
市場で待っている間、何故か視線が突き刺さって、落ち着かなかったからだ。
…以前に一人で来たときは、気にならなかったが、子供達二人を連れているからだろうか…。
三人が一緒のテーブルに付き、隣のテーブルに護衛の二人が座った。
買ってきたのもを広げ、ジーンとユーリが興味津々に『これは何』と、護衛の青年に聞いている。
串に刺した焼き肉が何種類か…お屋敷では皿に並べられていて出てくるから、串に刺したまま食べることはなかなか無いのだろう。
包み焼き…生地に野菜を混ぜて、鉄板で焼いて、甘辛ソースをかけたものは、食べやすくカットされている。
…お酒のおつまみみたいだ。
リーンはクスリと笑った。
たまにはこんな食事も良いだろう。
護衛の青年には、一緒のテーブルに来れば良いのにと、声をかけたが、そこは…と、断られてしまった。
まずは、ユーリが興味を示した、薄いパン生地に野菜やベーコンなどをくるくると巻いて包んだもの。
紙を少しめくり、がぶりと噛みつく。
ユーリの目がキラキラと輝く。
「美味しい…」
「食べやすいから、いくつも食べれそう…」
ジーンも、黙々と口に入れる。
その間に、芋の揚げ物を食べ、串に刺した肉を食べるのに苦戦して、包み焼きを食べる。
そこへ護衛の青年が、側に有るお茶の屋台で、飲み物を買ってきてくれ喉を潤した。
ザワザワとする街中で、こんなふうに楽しく食べられるのは、治安が良いからだ。
チラリと護衛の青年を見ると、もうほとんど食べ終わっている。
さすがに早い…。
子供達は吟味しながら食べているので、まだ食べ終わってはいない。
そうだ、ユーリが欲しいものを先に聞いておいた方が良いかもしれない。
「ユーリは何が欲しいの?」
リーンがユーリに聞くと、口に入れていた食べ物を飲み込み、恐る恐る言った。
「…えっと…魔法の使える剣が欲しい…」
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