262 / 462
神の宿り木~再生 3~
魔法道具街
しおりを挟む
リーンは驚いているジーンとユーリの様子を見て微笑んだ。
「いつ帰ってきたの!」
「さっきだよ」
「お父様は!」
「リオナスでお仕事。お休みしていた分、たくさん仕事が有るみたいだから、一緒には来てないよ」
ジーンとユーリの質問に答えていると、使用人が、おやつを持ってきてくれた。
そして執事が声をかけてくる。
「ジーン様、ユーリ様。おやつを食べたら宿題をしてしまいましょうね」
「でも、リーンともっと話したい」
「今、お話されていると、夜に宿題が終わらなければ、のんびりお話出来ませんよ」
「…。」
「夕食までに宿題が終われば、こちらで好きなだけお話をされてください。…キリトさんも同じことを言うと思いますよ」
「「はあ~い」」
二人は席に座り、おやつの焼き菓子を食べ出し、リーンはその様子を見て微笑んだ。
「二人の部屋も見たいな…」
「うっっ…」
「えっ…」
ジーンとユーリは食べている手を止めて、顔を見合わせる。
「…呼びに来るまで待ってて…」
「ちょっとだけ、待ってて…」
二人は慌てておやつを食べると、『ごちそうさま』と、言って、部屋へ戻っていった。
「…部屋を片付けに行ったのかな…」
リーンが苦笑いすると、執事が答えてくれる。
「そうだと思いますよ。…ルーク様に言われて、掃除はしますが、部屋の片付けは自分で出来るようにさせていますから」
「ふふっ。慌ててるのも可愛いな」
側にいる時間が短いから、二人のいろんな表情や行動を見ているのが楽しい。
学校に行き出して、楽しいことも嫌なことも、これからいっぱい経験して、成長していくのだろう…。
リーンは二人がどんな表情をして呼びに来るのを、楽しみに待っていた。
夕食後、早めにお風呂に入って、リーンに用意された大きめのベッドの上で、三人は座ったり寝転んだりしながら話をしていた。
リーンを真ん中にして、左右にジーンとユーリが座り、学校の事や、ユーリが習い出した剣の事、ジーンが読んでいる魔法石の本の事…など、話はつきなかった。
それでも明日は学校があるので、そこそこに三人は体を横たえた。
「へへっ…」
ジーンが嬉しそうに笑う。
「リーンと三人で寝るのは初めてかも…」
「ホントだ!」
ユーリも嬉しそうに笑う。
「いつまでいてくれるの…?」
「そうだな…週末ぐらいまで…。学校が休みになったら一緒に買い物に出掛けよう。それくらいまではいるよ」
「やった!」
「楽しみ!」
ジーンとユーリはクスクスと笑いながらリーンに引っ付いてくる。
触れてくる体温が温かく、眠りを誘う…。
「お休み」
リーンは微笑んで二人の頭を撫でて目を閉じた。
翌日、二人が学校に行ってしまうと、リーンは時間をもてあまし、街に出ることにした。
魔法道具類を売っている場所を教えてもらい、昼も街で食べるからと言って出た。
二人が帰ってくる夕方には戻ることを前提に、魔法道具街に向かった。
屋敷がある周辺はとても静かだが、城下街と言われる商店街は人で溢れていた。
日用品や野菜、軽食などを売る店が多く、リーンも軽食を買い、食べながら人の流れを見ていた。
ほとんどが人族で、たまに人変化した獣人族が紛れている。
キリトも狼の獣人だが、人変化して買い物をしたりしているから、誰も気がつかないのだろう…。
食べ終わるとリーンは魔法道具街に向かった。
少し街外れの、人のまばらな通りに入ると、いくつもの魔法道具屋が並んでいた。
リーンはゆっくりとガラス越しに店内を眺めて歩いた。
ジーンとユーリに何かプレゼントをしようと思ったからだ。
二人が産まれてから、リーン自身で何かを二人に贈った事が無かったことを思い出したからだ。
せっかくだから普段身に付けられて、あまり目立たなくて、でも魔法を込めて二人を守ってくれる、お守りみたいなものを贈りたかった。
リーンはふと、左耳に付いた金色の耳飾りに触れる。
…これは昔、アオの兄アキにもらって一度手放して、戻ってきたのをソフィアがリーンに付けてから、外せなくなってしまった耳飾り…。
失くさないから良いのだが…これでは目立ってしまうか…。
リーンは何にしようか迷いながら、うろうろと魔法道具街を歩いた。
「いつ帰ってきたの!」
「さっきだよ」
「お父様は!」
「リオナスでお仕事。お休みしていた分、たくさん仕事が有るみたいだから、一緒には来てないよ」
ジーンとユーリの質問に答えていると、使用人が、おやつを持ってきてくれた。
そして執事が声をかけてくる。
「ジーン様、ユーリ様。おやつを食べたら宿題をしてしまいましょうね」
「でも、リーンともっと話したい」
「今、お話されていると、夜に宿題が終わらなければ、のんびりお話出来ませんよ」
「…。」
「夕食までに宿題が終われば、こちらで好きなだけお話をされてください。…キリトさんも同じことを言うと思いますよ」
「「はあ~い」」
二人は席に座り、おやつの焼き菓子を食べ出し、リーンはその様子を見て微笑んだ。
「二人の部屋も見たいな…」
「うっっ…」
「えっ…」
ジーンとユーリは食べている手を止めて、顔を見合わせる。
「…呼びに来るまで待ってて…」
「ちょっとだけ、待ってて…」
二人は慌てておやつを食べると、『ごちそうさま』と、言って、部屋へ戻っていった。
「…部屋を片付けに行ったのかな…」
リーンが苦笑いすると、執事が答えてくれる。
「そうだと思いますよ。…ルーク様に言われて、掃除はしますが、部屋の片付けは自分で出来るようにさせていますから」
「ふふっ。慌ててるのも可愛いな」
側にいる時間が短いから、二人のいろんな表情や行動を見ているのが楽しい。
学校に行き出して、楽しいことも嫌なことも、これからいっぱい経験して、成長していくのだろう…。
リーンは二人がどんな表情をして呼びに来るのを、楽しみに待っていた。
夕食後、早めにお風呂に入って、リーンに用意された大きめのベッドの上で、三人は座ったり寝転んだりしながら話をしていた。
リーンを真ん中にして、左右にジーンとユーリが座り、学校の事や、ユーリが習い出した剣の事、ジーンが読んでいる魔法石の本の事…など、話はつきなかった。
それでも明日は学校があるので、そこそこに三人は体を横たえた。
「へへっ…」
ジーンが嬉しそうに笑う。
「リーンと三人で寝るのは初めてかも…」
「ホントだ!」
ユーリも嬉しそうに笑う。
「いつまでいてくれるの…?」
「そうだな…週末ぐらいまで…。学校が休みになったら一緒に買い物に出掛けよう。それくらいまではいるよ」
「やった!」
「楽しみ!」
ジーンとユーリはクスクスと笑いながらリーンに引っ付いてくる。
触れてくる体温が温かく、眠りを誘う…。
「お休み」
リーンは微笑んで二人の頭を撫でて目を閉じた。
翌日、二人が学校に行ってしまうと、リーンは時間をもてあまし、街に出ることにした。
魔法道具類を売っている場所を教えてもらい、昼も街で食べるからと言って出た。
二人が帰ってくる夕方には戻ることを前提に、魔法道具街に向かった。
屋敷がある周辺はとても静かだが、城下街と言われる商店街は人で溢れていた。
日用品や野菜、軽食などを売る店が多く、リーンも軽食を買い、食べながら人の流れを見ていた。
ほとんどが人族で、たまに人変化した獣人族が紛れている。
キリトも狼の獣人だが、人変化して買い物をしたりしているから、誰も気がつかないのだろう…。
食べ終わるとリーンは魔法道具街に向かった。
少し街外れの、人のまばらな通りに入ると、いくつもの魔法道具屋が並んでいた。
リーンはゆっくりとガラス越しに店内を眺めて歩いた。
ジーンとユーリに何かプレゼントをしようと思ったからだ。
二人が産まれてから、リーン自身で何かを二人に贈った事が無かったことを思い出したからだ。
せっかくだから普段身に付けられて、あまり目立たなくて、でも魔法を込めて二人を守ってくれる、お守りみたいなものを贈りたかった。
リーンはふと、左耳に付いた金色の耳飾りに触れる。
…これは昔、アオの兄アキにもらって一度手放して、戻ってきたのをソフィアがリーンに付けてから、外せなくなってしまった耳飾り…。
失くさないから良いのだが…これでは目立ってしまうか…。
リーンは何にしようか迷いながら、うろうろと魔法道具街を歩いた。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…


【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

けものとこいにおちまして
ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる