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神の宿り木~再生 3~
魔法道具街
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リーンは驚いているジーンとユーリの様子を見て微笑んだ。
「いつ帰ってきたの!」
「さっきだよ」
「お父様は!」
「リオナスでお仕事。お休みしていた分、たくさん仕事が有るみたいだから、一緒には来てないよ」
ジーンとユーリの質問に答えていると、使用人が、おやつを持ってきてくれた。
そして執事が声をかけてくる。
「ジーン様、ユーリ様。おやつを食べたら宿題をしてしまいましょうね」
「でも、リーンともっと話したい」
「今、お話されていると、夜に宿題が終わらなければ、のんびりお話出来ませんよ」
「…。」
「夕食までに宿題が終われば、こちらで好きなだけお話をされてください。…キリトさんも同じことを言うと思いますよ」
「「はあ~い」」
二人は席に座り、おやつの焼き菓子を食べ出し、リーンはその様子を見て微笑んだ。
「二人の部屋も見たいな…」
「うっっ…」
「えっ…」
ジーンとユーリは食べている手を止めて、顔を見合わせる。
「…呼びに来るまで待ってて…」
「ちょっとだけ、待ってて…」
二人は慌てておやつを食べると、『ごちそうさま』と、言って、部屋へ戻っていった。
「…部屋を片付けに行ったのかな…」
リーンが苦笑いすると、執事が答えてくれる。
「そうだと思いますよ。…ルーク様に言われて、掃除はしますが、部屋の片付けは自分で出来るようにさせていますから」
「ふふっ。慌ててるのも可愛いな」
側にいる時間が短いから、二人のいろんな表情や行動を見ているのが楽しい。
学校に行き出して、楽しいことも嫌なことも、これからいっぱい経験して、成長していくのだろう…。
リーンは二人がどんな表情をして呼びに来るのを、楽しみに待っていた。
夕食後、早めにお風呂に入って、リーンに用意された大きめのベッドの上で、三人は座ったり寝転んだりしながら話をしていた。
リーンを真ん中にして、左右にジーンとユーリが座り、学校の事や、ユーリが習い出した剣の事、ジーンが読んでいる魔法石の本の事…など、話はつきなかった。
それでも明日は学校があるので、そこそこに三人は体を横たえた。
「へへっ…」
ジーンが嬉しそうに笑う。
「リーンと三人で寝るのは初めてかも…」
「ホントだ!」
ユーリも嬉しそうに笑う。
「いつまでいてくれるの…?」
「そうだな…週末ぐらいまで…。学校が休みになったら一緒に買い物に出掛けよう。それくらいまではいるよ」
「やった!」
「楽しみ!」
ジーンとユーリはクスクスと笑いながらリーンに引っ付いてくる。
触れてくる体温が温かく、眠りを誘う…。
「お休み」
リーンは微笑んで二人の頭を撫でて目を閉じた。
翌日、二人が学校に行ってしまうと、リーンは時間をもてあまし、街に出ることにした。
魔法道具類を売っている場所を教えてもらい、昼も街で食べるからと言って出た。
二人が帰ってくる夕方には戻ることを前提に、魔法道具街に向かった。
屋敷がある周辺はとても静かだが、城下街と言われる商店街は人で溢れていた。
日用品や野菜、軽食などを売る店が多く、リーンも軽食を買い、食べながら人の流れを見ていた。
ほとんどが人族で、たまに人変化した獣人族が紛れている。
キリトも狼の獣人だが、人変化して買い物をしたりしているから、誰も気がつかないのだろう…。
食べ終わるとリーンは魔法道具街に向かった。
少し街外れの、人のまばらな通りに入ると、いくつもの魔法道具屋が並んでいた。
リーンはゆっくりとガラス越しに店内を眺めて歩いた。
ジーンとユーリに何かプレゼントをしようと思ったからだ。
二人が産まれてから、リーン自身で何かを二人に贈った事が無かったことを思い出したからだ。
せっかくだから普段身に付けられて、あまり目立たなくて、でも魔法を込めて二人を守ってくれる、お守りみたいなものを贈りたかった。
リーンはふと、左耳に付いた金色の耳飾りに触れる。
…これは昔、アオの兄アキにもらって一度手放して、戻ってきたのをソフィアがリーンに付けてから、外せなくなってしまった耳飾り…。
失くさないから良いのだが…これでは目立ってしまうか…。
リーンは何にしようか迷いながら、うろうろと魔法道具街を歩いた。
「いつ帰ってきたの!」
「さっきだよ」
「お父様は!」
「リオナスでお仕事。お休みしていた分、たくさん仕事が有るみたいだから、一緒には来てないよ」
ジーンとユーリの質問に答えていると、使用人が、おやつを持ってきてくれた。
そして執事が声をかけてくる。
「ジーン様、ユーリ様。おやつを食べたら宿題をしてしまいましょうね」
「でも、リーンともっと話したい」
「今、お話されていると、夜に宿題が終わらなければ、のんびりお話出来ませんよ」
「…。」
「夕食までに宿題が終われば、こちらで好きなだけお話をされてください。…キリトさんも同じことを言うと思いますよ」
「「はあ~い」」
二人は席に座り、おやつの焼き菓子を食べ出し、リーンはその様子を見て微笑んだ。
「二人の部屋も見たいな…」
「うっっ…」
「えっ…」
ジーンとユーリは食べている手を止めて、顔を見合わせる。
「…呼びに来るまで待ってて…」
「ちょっとだけ、待ってて…」
二人は慌てておやつを食べると、『ごちそうさま』と、言って、部屋へ戻っていった。
「…部屋を片付けに行ったのかな…」
リーンが苦笑いすると、執事が答えてくれる。
「そうだと思いますよ。…ルーク様に言われて、掃除はしますが、部屋の片付けは自分で出来るようにさせていますから」
「ふふっ。慌ててるのも可愛いな」
側にいる時間が短いから、二人のいろんな表情や行動を見ているのが楽しい。
学校に行き出して、楽しいことも嫌なことも、これからいっぱい経験して、成長していくのだろう…。
リーンは二人がどんな表情をして呼びに来るのを、楽しみに待っていた。
夕食後、早めにお風呂に入って、リーンに用意された大きめのベッドの上で、三人は座ったり寝転んだりしながら話をしていた。
リーンを真ん中にして、左右にジーンとユーリが座り、学校の事や、ユーリが習い出した剣の事、ジーンが読んでいる魔法石の本の事…など、話はつきなかった。
それでも明日は学校があるので、そこそこに三人は体を横たえた。
「へへっ…」
ジーンが嬉しそうに笑う。
「リーンと三人で寝るのは初めてかも…」
「ホントだ!」
ユーリも嬉しそうに笑う。
「いつまでいてくれるの…?」
「そうだな…週末ぐらいまで…。学校が休みになったら一緒に買い物に出掛けよう。それくらいまではいるよ」
「やった!」
「楽しみ!」
ジーンとユーリはクスクスと笑いながらリーンに引っ付いてくる。
触れてくる体温が温かく、眠りを誘う…。
「お休み」
リーンは微笑んで二人の頭を撫でて目を閉じた。
翌日、二人が学校に行ってしまうと、リーンは時間をもてあまし、街に出ることにした。
魔法道具類を売っている場所を教えてもらい、昼も街で食べるからと言って出た。
二人が帰ってくる夕方には戻ることを前提に、魔法道具街に向かった。
屋敷がある周辺はとても静かだが、城下街と言われる商店街は人で溢れていた。
日用品や野菜、軽食などを売る店が多く、リーンも軽食を買い、食べながら人の流れを見ていた。
ほとんどが人族で、たまに人変化した獣人族が紛れている。
キリトも狼の獣人だが、人変化して買い物をしたりしているから、誰も気がつかないのだろう…。
食べ終わるとリーンは魔法道具街に向かった。
少し街外れの、人のまばらな通りに入ると、いくつもの魔法道具屋が並んでいた。
リーンはゆっくりとガラス越しに店内を眺めて歩いた。
ジーンとユーリに何かプレゼントをしようと思ったからだ。
二人が産まれてから、リーン自身で何かを二人に贈った事が無かったことを思い出したからだ。
せっかくだから普段身に付けられて、あまり目立たなくて、でも魔法を込めて二人を守ってくれる、お守りみたいなものを贈りたかった。
リーンはふと、左耳に付いた金色の耳飾りに触れる。
…これは昔、アオの兄アキにもらって一度手放して、戻ってきたのをソフィアがリーンに付けてから、外せなくなってしまった耳飾り…。
失くさないから良いのだが…これでは目立ってしまうか…。
リーンは何にしようか迷いながら、うろうろと魔法道具街を歩いた。
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