261 / 462
神の宿り木~再生 3~
子供達の住むお屋敷
しおりを挟む
王都までの時間は長いと思っていたが、ルークの子供の頃の話を聞いている内に、辿り着いてしまった。
魔法が使えなくても昔から活発的で『だったら剣を使えるようになってやる』と、息巻いて練習していたのを影からこっそり見守っていたと言う。
ルークの回りの子供たちもルークが何処からか連れてきて、練習相手をしていたのが、今の側近で友人の者達なのだと教えてもらった。
私の知らないルークの事を聞けて、とても楽しかった。
王城が見えてくると、一軒一軒が大きい屋敷ばかりになり、人気もまばらにになり始めた。
約束通り、お屋敷の近くで下ろしてくれて、リーンはジーンとユーリとキリトが住むお屋敷に向かって歩き出した。
そして思い出す。
キリトはまだ、ワイトデ自治区からの帰り道だ。
私一人がお屋敷に行っても、分からないのではないかと不安になる。
ここに滞在していたのは、ほんの一日…。
そんな事を考えている内に、お屋敷の門の前まで来てしまった。
どうしよう…。
ふと、こちらに気がついた屋敷内の者が近づいて来た。
「何かご用でしょうか」
男は軽装でズボンや服に土が付いているので、多分庭師なのだろう…。
「…ジーンとユーリはまだ、学校から帰ってきていませんか?」
何を聞いているんだ!
不審者に思われるだろう…?!
思わず、一番気になっていることを聞いてしまった。
男も怪訝な顔をしてこちらをじっと見る。
取りあえず名乗って、不審者では無いことを伝えなくては…。
「リーンと申します。二人の…」
なんて言えば良い…。
二人を産んだ者だと伝えても分かるだろうか…。
「…ルーク様の…番の…リーン様でしょうか…」
男は驚きの表情でこちらを見る。
「はい。ルークの番で、ジーンとユーリの親です」
リーンがそう言うと、少し待ってください。と、言って、お屋敷の中へ駆け込んでいった。
何も連絡をせずに来てしまったから、戸惑いも有るのだろう。
しばらく待っていると、中から見覚えのある執事が慌ててやって来た。
「リーン様!」
「急に来てすみません」
「いえいえ、どうぞ中へ」
お屋敷の門が開かれ、リーンは敷地の中に入った。
「遠方に行かれていると、おっしゃってましたが、戻られておられたのですね」
「私とルークだけ、『転移』で先に戻ってきたんです」
執事とリーンは屋敷に向かいながら簡単に話した。
「キリトとカズキは馬車で帰ってくるから、もう数日かかると思います」
「そうでしたか。ジーン様とユーリ様はもう少しすれば、お帰りになると思います。それまで中でおくつろぎ下さい」
「ありがとう」
屋敷の中に入り、ちょっと聞いてみた。
「ジーンとユーリの、ここでの生活の話を聞かせてもらえないかな…。普段側にいれないから、どんな感じなのかな…って気になって…」
リーンは苦笑いした。
子供達の事を他人に任せっきりにして、親気取りではないが、二人の様子が知りたかった。
「よろしいですよ。お部屋でしばらくお待ち下さい」
リーンは案内された部屋に入り、外を眺めた。
この部屋の窓から見える庭園が、カザナのルークのお屋敷とよく似ていたからだ。
庭園なので、どこも似た感じなのかも知れないが、さっきまでいた筈なのに、懐かしく思えてしまったからだ。
「お待たせしました。リーン様」
そう言って、軽食と飲み物を準備してくれて、リーンが椅子に座ると、執事は子供達の事を色々と話してくれた。
ジーンはおとなしく本ばかり読んでいて、ユーリは活発で最近では剣を習いたいと言い出して、週一で家庭教師が教えに来て、素振りと体力作りをしているそうだ。
ユーリは女の子だが、ルークに似ているのだろう。
そして、ジーンは私に似て、たくさんの知識を欲するのだろう…。
…将来が楽しみだ。
リーンは話を聞きながら微笑んでいた。
一時間もしない内に玄関の方が騒がしくなり、子供達が帰ってきたみたいだ。
執事は出迎えに部屋を出ていき、リーンは部屋の中で様子を伺っていた。
「ただいま!」
元気なユーリの声が聞こえてきて、リーンは微笑んだ。
バタバタと廊下を走る音がして、部屋に荷物を置きに行っただろう扉が開閉した音がして、再びバタバタと音がしてリーンのいる部屋に近づいて来た。
「お腹空いた」
ユーリがそう言って部屋の扉を開き、目を丸くして、立ち止まっている。
「どうしたのユーリ?」
その後に続いて入ってきたジーンが、こちらを見て驚いている。
「「リーン!」」
二人は嬉しそうにリーンに駆け寄ってきた。
まだ見ていない、二人の驚いた顔が見たかった。
「おかえり」
リーンはそう言って微笑んだ。
魔法が使えなくても昔から活発的で『だったら剣を使えるようになってやる』と、息巻いて練習していたのを影からこっそり見守っていたと言う。
ルークの回りの子供たちもルークが何処からか連れてきて、練習相手をしていたのが、今の側近で友人の者達なのだと教えてもらった。
私の知らないルークの事を聞けて、とても楽しかった。
王城が見えてくると、一軒一軒が大きい屋敷ばかりになり、人気もまばらにになり始めた。
約束通り、お屋敷の近くで下ろしてくれて、リーンはジーンとユーリとキリトが住むお屋敷に向かって歩き出した。
そして思い出す。
キリトはまだ、ワイトデ自治区からの帰り道だ。
私一人がお屋敷に行っても、分からないのではないかと不安になる。
ここに滞在していたのは、ほんの一日…。
そんな事を考えている内に、お屋敷の門の前まで来てしまった。
どうしよう…。
ふと、こちらに気がついた屋敷内の者が近づいて来た。
「何かご用でしょうか」
男は軽装でズボンや服に土が付いているので、多分庭師なのだろう…。
「…ジーンとユーリはまだ、学校から帰ってきていませんか?」
何を聞いているんだ!
不審者に思われるだろう…?!
思わず、一番気になっていることを聞いてしまった。
男も怪訝な顔をしてこちらをじっと見る。
取りあえず名乗って、不審者では無いことを伝えなくては…。
「リーンと申します。二人の…」
なんて言えば良い…。
二人を産んだ者だと伝えても分かるだろうか…。
「…ルーク様の…番の…リーン様でしょうか…」
男は驚きの表情でこちらを見る。
「はい。ルークの番で、ジーンとユーリの親です」
リーンがそう言うと、少し待ってください。と、言って、お屋敷の中へ駆け込んでいった。
何も連絡をせずに来てしまったから、戸惑いも有るのだろう。
しばらく待っていると、中から見覚えのある執事が慌ててやって来た。
「リーン様!」
「急に来てすみません」
「いえいえ、どうぞ中へ」
お屋敷の門が開かれ、リーンは敷地の中に入った。
「遠方に行かれていると、おっしゃってましたが、戻られておられたのですね」
「私とルークだけ、『転移』で先に戻ってきたんです」
執事とリーンは屋敷に向かいながら簡単に話した。
「キリトとカズキは馬車で帰ってくるから、もう数日かかると思います」
「そうでしたか。ジーン様とユーリ様はもう少しすれば、お帰りになると思います。それまで中でおくつろぎ下さい」
「ありがとう」
屋敷の中に入り、ちょっと聞いてみた。
「ジーンとユーリの、ここでの生活の話を聞かせてもらえないかな…。普段側にいれないから、どんな感じなのかな…って気になって…」
リーンは苦笑いした。
子供達の事を他人に任せっきりにして、親気取りではないが、二人の様子が知りたかった。
「よろしいですよ。お部屋でしばらくお待ち下さい」
リーンは案内された部屋に入り、外を眺めた。
この部屋の窓から見える庭園が、カザナのルークのお屋敷とよく似ていたからだ。
庭園なので、どこも似た感じなのかも知れないが、さっきまでいた筈なのに、懐かしく思えてしまったからだ。
「お待たせしました。リーン様」
そう言って、軽食と飲み物を準備してくれて、リーンが椅子に座ると、執事は子供達の事を色々と話してくれた。
ジーンはおとなしく本ばかり読んでいて、ユーリは活発で最近では剣を習いたいと言い出して、週一で家庭教師が教えに来て、素振りと体力作りをしているそうだ。
ユーリは女の子だが、ルークに似ているのだろう。
そして、ジーンは私に似て、たくさんの知識を欲するのだろう…。
…将来が楽しみだ。
リーンは話を聞きながら微笑んでいた。
一時間もしない内に玄関の方が騒がしくなり、子供達が帰ってきたみたいだ。
執事は出迎えに部屋を出ていき、リーンは部屋の中で様子を伺っていた。
「ただいま!」
元気なユーリの声が聞こえてきて、リーンは微笑んだ。
バタバタと廊下を走る音がして、部屋に荷物を置きに行っただろう扉が開閉した音がして、再びバタバタと音がしてリーンのいる部屋に近づいて来た。
「お腹空いた」
ユーリがそう言って部屋の扉を開き、目を丸くして、立ち止まっている。
「どうしたのユーリ?」
その後に続いて入ってきたジーンが、こちらを見て驚いている。
「「リーン!」」
二人は嬉しそうにリーンに駆け寄ってきた。
まだ見ていない、二人の驚いた顔が見たかった。
「おかえり」
リーンはそう言って微笑んだ。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――
天海みつき
BL
族の総長と副総長の恋の話。
アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。
その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。
「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」
学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。
族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。
何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い


転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
迷える子羊少年と自称王様少年
ユー
BL
「その素晴らしい力オレの側にふさわしい、オレの家来になれ!」
「いや絶対嫌だから!」
的なやり取りから始まる
超能力が存在するSF(すこしふしぎ)な世界で普通になりたいと願う平凡志望の卑屈少年と
自分大好き唯我独尊王様気質の美少年との
出会いから始まるボーイミーツボーイ的な青春BL小説になってればいいなって思って書きました。
この作品は後々そういう関係になっていくのを前提として書いてはいますが、なんというかブロマンス?的な少年達の青春ものみたいなノリで読んで頂けるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる