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神の宿り木~再生 3~
子供達の住むお屋敷
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王都までの時間は長いと思っていたが、ルークの子供の頃の話を聞いている内に、辿り着いてしまった。
魔法が使えなくても昔から活発的で『だったら剣を使えるようになってやる』と、息巻いて練習していたのを影からこっそり見守っていたと言う。
ルークの回りの子供たちもルークが何処からか連れてきて、練習相手をしていたのが、今の側近で友人の者達なのだと教えてもらった。
私の知らないルークの事を聞けて、とても楽しかった。
王城が見えてくると、一軒一軒が大きい屋敷ばかりになり、人気もまばらにになり始めた。
約束通り、お屋敷の近くで下ろしてくれて、リーンはジーンとユーリとキリトが住むお屋敷に向かって歩き出した。
そして思い出す。
キリトはまだ、ワイトデ自治区からの帰り道だ。
私一人がお屋敷に行っても、分からないのではないかと不安になる。
ここに滞在していたのは、ほんの一日…。
そんな事を考えている内に、お屋敷の門の前まで来てしまった。
どうしよう…。
ふと、こちらに気がついた屋敷内の者が近づいて来た。
「何かご用でしょうか」
男は軽装でズボンや服に土が付いているので、多分庭師なのだろう…。
「…ジーンとユーリはまだ、学校から帰ってきていませんか?」
何を聞いているんだ!
不審者に思われるだろう…?!
思わず、一番気になっていることを聞いてしまった。
男も怪訝な顔をしてこちらをじっと見る。
取りあえず名乗って、不審者では無いことを伝えなくては…。
「リーンと申します。二人の…」
なんて言えば良い…。
二人を産んだ者だと伝えても分かるだろうか…。
「…ルーク様の…番の…リーン様でしょうか…」
男は驚きの表情でこちらを見る。
「はい。ルークの番で、ジーンとユーリの親です」
リーンがそう言うと、少し待ってください。と、言って、お屋敷の中へ駆け込んでいった。
何も連絡をせずに来てしまったから、戸惑いも有るのだろう。
しばらく待っていると、中から見覚えのある執事が慌ててやって来た。
「リーン様!」
「急に来てすみません」
「いえいえ、どうぞ中へ」
お屋敷の門が開かれ、リーンは敷地の中に入った。
「遠方に行かれていると、おっしゃってましたが、戻られておられたのですね」
「私とルークだけ、『転移』で先に戻ってきたんです」
執事とリーンは屋敷に向かいながら簡単に話した。
「キリトとカズキは馬車で帰ってくるから、もう数日かかると思います」
「そうでしたか。ジーン様とユーリ様はもう少しすれば、お帰りになると思います。それまで中でおくつろぎ下さい」
「ありがとう」
屋敷の中に入り、ちょっと聞いてみた。
「ジーンとユーリの、ここでの生活の話を聞かせてもらえないかな…。普段側にいれないから、どんな感じなのかな…って気になって…」
リーンは苦笑いした。
子供達の事を他人に任せっきりにして、親気取りではないが、二人の様子が知りたかった。
「よろしいですよ。お部屋でしばらくお待ち下さい」
リーンは案内された部屋に入り、外を眺めた。
この部屋の窓から見える庭園が、カザナのルークのお屋敷とよく似ていたからだ。
庭園なので、どこも似た感じなのかも知れないが、さっきまでいた筈なのに、懐かしく思えてしまったからだ。
「お待たせしました。リーン様」
そう言って、軽食と飲み物を準備してくれて、リーンが椅子に座ると、執事は子供達の事を色々と話してくれた。
ジーンはおとなしく本ばかり読んでいて、ユーリは活発で最近では剣を習いたいと言い出して、週一で家庭教師が教えに来て、素振りと体力作りをしているそうだ。
ユーリは女の子だが、ルークに似ているのだろう。
そして、ジーンは私に似て、たくさんの知識を欲するのだろう…。
…将来が楽しみだ。
リーンは話を聞きながら微笑んでいた。
一時間もしない内に玄関の方が騒がしくなり、子供達が帰ってきたみたいだ。
執事は出迎えに部屋を出ていき、リーンは部屋の中で様子を伺っていた。
「ただいま!」
元気なユーリの声が聞こえてきて、リーンは微笑んだ。
バタバタと廊下を走る音がして、部屋に荷物を置きに行っただろう扉が開閉した音がして、再びバタバタと音がしてリーンのいる部屋に近づいて来た。
「お腹空いた」
ユーリがそう言って部屋の扉を開き、目を丸くして、立ち止まっている。
「どうしたのユーリ?」
その後に続いて入ってきたジーンが、こちらを見て驚いている。
「「リーン!」」
二人は嬉しそうにリーンに駆け寄ってきた。
まだ見ていない、二人の驚いた顔が見たかった。
「おかえり」
リーンはそう言って微笑んだ。
魔法が使えなくても昔から活発的で『だったら剣を使えるようになってやる』と、息巻いて練習していたのを影からこっそり見守っていたと言う。
ルークの回りの子供たちもルークが何処からか連れてきて、練習相手をしていたのが、今の側近で友人の者達なのだと教えてもらった。
私の知らないルークの事を聞けて、とても楽しかった。
王城が見えてくると、一軒一軒が大きい屋敷ばかりになり、人気もまばらにになり始めた。
約束通り、お屋敷の近くで下ろしてくれて、リーンはジーンとユーリとキリトが住むお屋敷に向かって歩き出した。
そして思い出す。
キリトはまだ、ワイトデ自治区からの帰り道だ。
私一人がお屋敷に行っても、分からないのではないかと不安になる。
ここに滞在していたのは、ほんの一日…。
そんな事を考えている内に、お屋敷の門の前まで来てしまった。
どうしよう…。
ふと、こちらに気がついた屋敷内の者が近づいて来た。
「何かご用でしょうか」
男は軽装でズボンや服に土が付いているので、多分庭師なのだろう…。
「…ジーンとユーリはまだ、学校から帰ってきていませんか?」
何を聞いているんだ!
不審者に思われるだろう…?!
思わず、一番気になっていることを聞いてしまった。
男も怪訝な顔をしてこちらをじっと見る。
取りあえず名乗って、不審者では無いことを伝えなくては…。
「リーンと申します。二人の…」
なんて言えば良い…。
二人を産んだ者だと伝えても分かるだろうか…。
「…ルーク様の…番の…リーン様でしょうか…」
男は驚きの表情でこちらを見る。
「はい。ルークの番で、ジーンとユーリの親です」
リーンがそう言うと、少し待ってください。と、言って、お屋敷の中へ駆け込んでいった。
何も連絡をせずに来てしまったから、戸惑いも有るのだろう。
しばらく待っていると、中から見覚えのある執事が慌ててやって来た。
「リーン様!」
「急に来てすみません」
「いえいえ、どうぞ中へ」
お屋敷の門が開かれ、リーンは敷地の中に入った。
「遠方に行かれていると、おっしゃってましたが、戻られておられたのですね」
「私とルークだけ、『転移』で先に戻ってきたんです」
執事とリーンは屋敷に向かいながら簡単に話した。
「キリトとカズキは馬車で帰ってくるから、もう数日かかると思います」
「そうでしたか。ジーン様とユーリ様はもう少しすれば、お帰りになると思います。それまで中でおくつろぎ下さい」
「ありがとう」
屋敷の中に入り、ちょっと聞いてみた。
「ジーンとユーリの、ここでの生活の話を聞かせてもらえないかな…。普段側にいれないから、どんな感じなのかな…って気になって…」
リーンは苦笑いした。
子供達の事を他人に任せっきりにして、親気取りではないが、二人の様子が知りたかった。
「よろしいですよ。お部屋でしばらくお待ち下さい」
リーンは案内された部屋に入り、外を眺めた。
この部屋の窓から見える庭園が、カザナのルークのお屋敷とよく似ていたからだ。
庭園なので、どこも似た感じなのかも知れないが、さっきまでいた筈なのに、懐かしく思えてしまったからだ。
「お待たせしました。リーン様」
そう言って、軽食と飲み物を準備してくれて、リーンが椅子に座ると、執事は子供達の事を色々と話してくれた。
ジーンはおとなしく本ばかり読んでいて、ユーリは活発で最近では剣を習いたいと言い出して、週一で家庭教師が教えに来て、素振りと体力作りをしているそうだ。
ユーリは女の子だが、ルークに似ているのだろう。
そして、ジーンは私に似て、たくさんの知識を欲するのだろう…。
…将来が楽しみだ。
リーンは話を聞きながら微笑んでいた。
一時間もしない内に玄関の方が騒がしくなり、子供達が帰ってきたみたいだ。
執事は出迎えに部屋を出ていき、リーンは部屋の中で様子を伺っていた。
「ただいま!」
元気なユーリの声が聞こえてきて、リーンは微笑んだ。
バタバタと廊下を走る音がして、部屋に荷物を置きに行っただろう扉が開閉した音がして、再びバタバタと音がしてリーンのいる部屋に近づいて来た。
「お腹空いた」
ユーリがそう言って部屋の扉を開き、目を丸くして、立ち止まっている。
「どうしたのユーリ?」
その後に続いて入ってきたジーンが、こちらを見て驚いている。
「「リーン!」」
二人は嬉しそうにリーンに駆け寄ってきた。
まだ見ていない、二人の驚いた顔が見たかった。
「おかえり」
リーンはそう言って微笑んだ。
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