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神の宿り木~再生 3~
二つの魔法石
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グオルクのヒイロの元に、元素の魔法石が届いていた。
人魚の湖、水中都市のフールシアから『水の魔法石』
翼有族のアレクから『風の魔法石』
ソフィアはそれを知って、次の満月にと、言ったのだろうか…。
ヒイロは書類が積まれている机を前に、椅子に座って、机の横に置かれている二つの魔法石を横目にリーンと向き合っていた。
「…『始まりの宿り木』のある山小屋オメガの様子はどう?」
「…かなり侵食が進んでいる」
やはりそうなのか…。
「山小屋オメガが使えるのも、しばらくの間だ…」
ヒイロは顔を歪めてそう答える。
やはりソフィアは侵食が早まっていることに気が付いて、連絡してきたのだ。
難しそうな顔をして魔法石を見るリーンに、ヒイロは苦笑いする。
「リーン。あそこに行くときは声を掛けろ」
「…。」
リーンはヒイロを見る。
「前にも言った筈だ。ルークを置いて行くな」
リーンはじっと考えるようにヒイロを見る。
「…ヒイロは…ヒイロも…チイを置いていくでしょ…」
「…。」
「私たちは…似た兄弟なんだよ…」
リーンはそう言って微笑む。
ヒイロがもし、自分の全ての魔力を使って、侵食を止めることが出来るのならば、彼は行く。
たとえチイやルナ、獣人の町グオルクの後継ぎだとしても…。
「…私は…森の聖域に…帰ってくるから…」
「…でも、それは…『リーン』ではない…」
『森の聖域』と『私』の在り方を、代々知っている一族のヒイロは真剣な眼差しで言う。
「…そうかもしれない…」
一度深い眠りにつくと、それまでの記憶を無くしてしまう。
まるで新しく産まれ変わるかのように…。
そしてそれは、次の『私』の『記憶の図書館』で見るもの…だけになる…。
「それでも、あれが『始まりの宿り木』ならば、私がしなくてはいけない事…」
「…いつだ…」
ヒイロは諦めに似た表情で聞いてくる。
「…次の満月に…ソフィアが連絡してきた…」
ヒイロには素直に真実を話す。
長年の付き合いだから嘘は簡単に見抜かれてしまうから、嘘はつけない…。
「…森の魔女か…」
ヒイロは少し考え込んで言う。
「…早まるな…どれだけの者が悲しむか分かっているのだろう」
「…うん。でもその人達の、生きる場所を守りたい…」
侵食は徐々に広がって、この地域だけでなく大陸全体に広がっていく…。
今なら…止められる…。
…遅ければ…誰にも止められなくなってしまうから…。
「…私は…歴代の中でも…一番長く生きたよ…」
リーンはそう微笑んで、右手をかざした。
「『物質保管庫』」
リーンがそう言うと、ドーナツ状態の魔方陣が現れる。
そして引き出しの中に、二つの魔法石を別々に収納する。
「…どうするんだ」
「…王都に…ジーンとユーリの所に行く。学校生活を楽しんでいるか見に行ってくる」
リーンはそう微笑んでグオルクのヒイロの家の玄関に繋がる魔法陣をくぐった。
***
リーンを止めることは出来ない…。
『始まりの宿り木』の侵食を止めれるのはリーンしかいないだろうからだ…。
全ての元素の魔法が使え、膨大な魔力を操ることが出来る者は、リーン以外知らない…。
…リーンは多分一人で行ってしまう…。
ルークを連れていく方が、リーンの生存率は上がる。
だが、ルークが巻き込まれる可能性をリーンは懸念しているのだろう…。
何か方法は無いか…。
…魔女王ソフィアは、リーンの事を知っていて、協力してくれている。
何か対策を考えているのか…?
彼女はリーンを気に入ってた…。
みすみす『リーン』の存在が消えてしまうことに協力するのか…?
ヒイロは頭を抱えた。
…リーンを何処へも行かない様に閉じ込めるわけにもいかないし、かといって、このままでは山小屋オメガへの魔法陣も消えて、たどり着くのに時間がかかるようになってしまう…。
…あの魔法石が最大限に機能して、リーンの全てを奪っていかないように願うしかなかった。
人魚の湖、水中都市のフールシアから『水の魔法石』
翼有族のアレクから『風の魔法石』
ソフィアはそれを知って、次の満月にと、言ったのだろうか…。
ヒイロは書類が積まれている机を前に、椅子に座って、机の横に置かれている二つの魔法石を横目にリーンと向き合っていた。
「…『始まりの宿り木』のある山小屋オメガの様子はどう?」
「…かなり侵食が進んでいる」
やはりそうなのか…。
「山小屋オメガが使えるのも、しばらくの間だ…」
ヒイロは顔を歪めてそう答える。
やはりソフィアは侵食が早まっていることに気が付いて、連絡してきたのだ。
難しそうな顔をして魔法石を見るリーンに、ヒイロは苦笑いする。
「リーン。あそこに行くときは声を掛けろ」
「…。」
リーンはヒイロを見る。
「前にも言った筈だ。ルークを置いて行くな」
リーンはじっと考えるようにヒイロを見る。
「…ヒイロは…ヒイロも…チイを置いていくでしょ…」
「…。」
「私たちは…似た兄弟なんだよ…」
リーンはそう言って微笑む。
ヒイロがもし、自分の全ての魔力を使って、侵食を止めることが出来るのならば、彼は行く。
たとえチイやルナ、獣人の町グオルクの後継ぎだとしても…。
「…私は…森の聖域に…帰ってくるから…」
「…でも、それは…『リーン』ではない…」
『森の聖域』と『私』の在り方を、代々知っている一族のヒイロは真剣な眼差しで言う。
「…そうかもしれない…」
一度深い眠りにつくと、それまでの記憶を無くしてしまう。
まるで新しく産まれ変わるかのように…。
そしてそれは、次の『私』の『記憶の図書館』で見るもの…だけになる…。
「それでも、あれが『始まりの宿り木』ならば、私がしなくてはいけない事…」
「…いつだ…」
ヒイロは諦めに似た表情で聞いてくる。
「…次の満月に…ソフィアが連絡してきた…」
ヒイロには素直に真実を話す。
長年の付き合いだから嘘は簡単に見抜かれてしまうから、嘘はつけない…。
「…森の魔女か…」
ヒイロは少し考え込んで言う。
「…早まるな…どれだけの者が悲しむか分かっているのだろう」
「…うん。でもその人達の、生きる場所を守りたい…」
侵食は徐々に広がって、この地域だけでなく大陸全体に広がっていく…。
今なら…止められる…。
…遅ければ…誰にも止められなくなってしまうから…。
「…私は…歴代の中でも…一番長く生きたよ…」
リーンはそう微笑んで、右手をかざした。
「『物質保管庫』」
リーンがそう言うと、ドーナツ状態の魔方陣が現れる。
そして引き出しの中に、二つの魔法石を別々に収納する。
「…どうするんだ」
「…王都に…ジーンとユーリの所に行く。学校生活を楽しんでいるか見に行ってくる」
リーンはそう微笑んでグオルクのヒイロの家の玄関に繋がる魔法陣をくぐった。
***
リーンを止めることは出来ない…。
『始まりの宿り木』の侵食を止めれるのはリーンしかいないだろうからだ…。
全ての元素の魔法が使え、膨大な魔力を操ることが出来る者は、リーン以外知らない…。
…リーンは多分一人で行ってしまう…。
ルークを連れていく方が、リーンの生存率は上がる。
だが、ルークが巻き込まれる可能性をリーンは懸念しているのだろう…。
何か方法は無いか…。
…魔女王ソフィアは、リーンの事を知っていて、協力してくれている。
何か対策を考えているのか…?
彼女はリーンを気に入ってた…。
みすみす『リーン』の存在が消えてしまうことに協力するのか…?
ヒイロは頭を抱えた。
…リーンを何処へも行かない様に閉じ込めるわけにもいかないし、かといって、このままでは山小屋オメガへの魔法陣も消えて、たどり着くのに時間がかかるようになってしまう…。
…あの魔法石が最大限に機能して、リーンの全てを奪っていかないように願うしかなかった。
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