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神の宿り木~再生 2~
おやすみ
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夕方になっても止みそうにない雨のため、今夜は炎の竜の小屋に泊まることにした。
夕食は『物質転移』を使って少しの食材とパンを送ってもらい、キリトとリーンで準備し始めた。
ルークとカズキは書類とにらめっこしながら、書き込んだり寝室に有る『通信網』を使って、リオナスにいるアオと連絡し会って仕事をしている。
キラはキリトとリーンが簡単な料理を作るのを、邪魔にならないように、少し離れてじっと見ている。
珍しいのだろうか…。
今晩のメニューは、ここ数日間、キリトが泊まっていたときに使って、残っている食材を使いきるために、野菜と肉を煮込んだスープ。
生野菜のサラダ。
焼いたベーコンと卵焼き。
残った肉も食べやすいようにカットして焼いてしまい、皿に山盛りにする。
五人分だからかなりの量がいる。
食事はルーク達がテーブルで仕事をしているので、ソファーの側に有る低めのテーブルの上に置いていった。
キリトはキラに皿を出してきて、とか、これを置いてきてと、お手伝いさせている。
それを素直に手伝うキラを見て、子供達の事を思い出し、微笑ましく思った。
こうやって手伝いをさせてきたのだろう。
低めのテーブルいっぱいになると、ルークとカズキも手を止めて、一緒に夕食を食べることにした。
キラはずっと楽しそうに笑いながら食事をしている。
こんな風に一緒に食事をする事も、あまり無いのかもしれない…。
辺りが暗くなり、雨足が緩んで雨が止み始めた。
明日には雨は上がっているだろう…。
ルークは残りの書類を処理し終え、カズキがリオナスのアオの元に送っていた。
順番にシャワーを浴び、さあ、寝るぞと思ったら、キラが一緒に寝たいと言い出した。
キリトによれば、昨日まで一緒に添い寝していたらしい。
炎の結晶石が無くなって、竜体でも寝れる広いベッドは二人ぐらい余裕で横になれる。
…仕方ないな…。
当分来れないのだからと、リーンは承諾したが、キリトも一緒にと言い出してキリトは慌てた。
「…ダメだ」
キリトがそう言うとキラは、
「だったら…チハヤ…ではなくて…カズキ」
「申し訳ないが、無理です」
二人は断った。
それは仕方ない。
…私はルーク王子の魔力の番…。
ルークがそれを許さないだろう。
「ええっ…ダメなの?」
「私だけではダメなのか?」
リーンがそう聞くと、
「…川の字になって…寝たい…」
そう言ってキラはしょんぼりとうつ向く。
「…。」
…憧れ…と、言うやつか?
家族で川の字になって眠ると言う…。
リーンはルークを見た。
「ルークと一緒ではダメなのか?」
「…それ…でも…良い…」
キラにとって、ルークは全く接点のない者だから、妥協して…と、言う感じだ。
「ほら、もう寝るぞ!」
キリトがそう言ってキラを寝室に押しやると、キラはモゾモゾっとベッドに潜り込み、じっとこちらを見ている。
「ルーク様。今日だけ我慢してください」
カズキに言われてルークは苦笑いしている。
「明日は早いですし、もう休みましょう」
リーンは肩をすくめて寝室に入り、ベッドに潜り込む。
「ルーク」
リーンが呼ぶと、ルークはしぶしぶベッドに近付き、キラを挟んでリーンの反対側に潜り込む。
「…いつもはここに二人居るのだがな…」
ルークがそうぼやくと、キラは興味をもって聞いてくる。
「…二人?」
「リーンと俺の子供。ジーンとユーリだ」
「…リーンに似てる?」
「そうだな…。ジーンはリーンに似ているが金髪だし、ユーリは俺に似ているが黒髪だ」
「…会ってみたいな…」
ボソリとキラが呟く。
「…『転移移動』を使えば、会えるようになるよ。ただ、あの子達は今、学校にいっているから、長期の休みの時でないと、遊びに来れないけれどね」
リーンがそう言うとキラは微笑んで目を閉じた。
「…楽しみだな…」
その後何も言わなくなったキラは、寝息をたてて眠っていた。
リーンはルークと目を見合わせ、微笑んだ。
「おやすみ」
「おやすみ」
二人は軽く口付けを交わし、キラの希望通り、川の字になって三人で眠った。
***
その頃リビングでは、キリトとカズキ、どちらがソファーで寝るかを話していた。
「明日の『転移移動』の魔法を完成させるのにはカズキさんが必要ですし、帰りの馬車の運転もカズキさんがしていくので、ソファーで寝てください」
「今まで楽をさせてもらったよ」
馬車の運転は慣れているし、ここ数日は、大きいベッドでゆっくりと眠らせてもらっている。
だから、別に床で寝ても構わないのだが…。
それにキリトの方が、キラの添い寝をしていて、ゆっくりと眠れなかったのではないかと心配なのだ…。
「俺はどこでも寝れますし、ソファーは柔らかいですが、足が伸ばせないので…」
…キリトの方が身長は少し高いから、床は固いが足が伸ばせる…。
「キリトが良いのなら、ソファーで寝させてもらうよ」
カズキは馬車の中から取り寄せた毛布を手に、ソファーに座った。
そして気になった事をキリトに聞く。
「…炎の竜がずいぶん懐いていたみたいだけど…」
キリトは苦笑いして言う。
「…注意されたり、反論された事があまり無いのかも…。泣いて部屋にとじ込もって、翌日、恐る恐る顔を覗かせてたから…」
「…まあ、守護竜だからなぁ…」
甘えさせているだろう…。
「挨拶も習っているが、使い慣れていないから小声で言うし、下手すれば返事もしない。…根気よく説明して教えたら、ついて回るようになった」
「…。」
…子育てが板についてきたな…。
「あま、あれだけ有った炎の結晶石をほとんど使わせてくれるとは思わなかったけれど…」
「…あれは…」
キリトは苦笑いして言う。
「あれでは寝にくそうだったので、強制的に使いきった」
「…。」
でも、それを許してくれたのだから、だいぶ信用されているんだな…。
「何はともあれ、明日から帰路に向かえそうだ」
「そうですね。…帰りにジーンやユーリのお土産を買ってきても良いですか。ずっとここにいたので…」
そうだ。
キリトはここで炎の竜と一緒にいて、町に下りていない。
「ああ。少し寄り道をしていこう」
キリトは微笑んだ。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
カズキはソファーに横になって、明日の段取りを考えた。
『転移移動』の魔法を完成させて、ルーク様を見送って、ワイトデ自治区の町にちょっとよって、買い物をして、再び来た時と同じ道を帰っていこう…。
そのときに…ワイトデ自治区に…向かっているとき、気になったモノを…購入…しながら…。
そんな事を考えている内に眠りについていた。
夕食は『物質転移』を使って少しの食材とパンを送ってもらい、キリトとリーンで準備し始めた。
ルークとカズキは書類とにらめっこしながら、書き込んだり寝室に有る『通信網』を使って、リオナスにいるアオと連絡し会って仕事をしている。
キラはキリトとリーンが簡単な料理を作るのを、邪魔にならないように、少し離れてじっと見ている。
珍しいのだろうか…。
今晩のメニューは、ここ数日間、キリトが泊まっていたときに使って、残っている食材を使いきるために、野菜と肉を煮込んだスープ。
生野菜のサラダ。
焼いたベーコンと卵焼き。
残った肉も食べやすいようにカットして焼いてしまい、皿に山盛りにする。
五人分だからかなりの量がいる。
食事はルーク達がテーブルで仕事をしているので、ソファーの側に有る低めのテーブルの上に置いていった。
キリトはキラに皿を出してきて、とか、これを置いてきてと、お手伝いさせている。
それを素直に手伝うキラを見て、子供達の事を思い出し、微笑ましく思った。
こうやって手伝いをさせてきたのだろう。
低めのテーブルいっぱいになると、ルークとカズキも手を止めて、一緒に夕食を食べることにした。
キラはずっと楽しそうに笑いながら食事をしている。
こんな風に一緒に食事をする事も、あまり無いのかもしれない…。
辺りが暗くなり、雨足が緩んで雨が止み始めた。
明日には雨は上がっているだろう…。
ルークは残りの書類を処理し終え、カズキがリオナスのアオの元に送っていた。
順番にシャワーを浴び、さあ、寝るぞと思ったら、キラが一緒に寝たいと言い出した。
キリトによれば、昨日まで一緒に添い寝していたらしい。
炎の結晶石が無くなって、竜体でも寝れる広いベッドは二人ぐらい余裕で横になれる。
…仕方ないな…。
当分来れないのだからと、リーンは承諾したが、キリトも一緒にと言い出してキリトは慌てた。
「…ダメだ」
キリトがそう言うとキラは、
「だったら…チハヤ…ではなくて…カズキ」
「申し訳ないが、無理です」
二人は断った。
それは仕方ない。
…私はルーク王子の魔力の番…。
ルークがそれを許さないだろう。
「ええっ…ダメなの?」
「私だけではダメなのか?」
リーンがそう聞くと、
「…川の字になって…寝たい…」
そう言ってキラはしょんぼりとうつ向く。
「…。」
…憧れ…と、言うやつか?
家族で川の字になって眠ると言う…。
リーンはルークを見た。
「ルークと一緒ではダメなのか?」
「…それ…でも…良い…」
キラにとって、ルークは全く接点のない者だから、妥協して…と、言う感じだ。
「ほら、もう寝るぞ!」
キリトがそう言ってキラを寝室に押しやると、キラはモゾモゾっとベッドに潜り込み、じっとこちらを見ている。
「ルーク様。今日だけ我慢してください」
カズキに言われてルークは苦笑いしている。
「明日は早いですし、もう休みましょう」
リーンは肩をすくめて寝室に入り、ベッドに潜り込む。
「ルーク」
リーンが呼ぶと、ルークはしぶしぶベッドに近付き、キラを挟んでリーンの反対側に潜り込む。
「…いつもはここに二人居るのだがな…」
ルークがそうぼやくと、キラは興味をもって聞いてくる。
「…二人?」
「リーンと俺の子供。ジーンとユーリだ」
「…リーンに似てる?」
「そうだな…。ジーンはリーンに似ているが金髪だし、ユーリは俺に似ているが黒髪だ」
「…会ってみたいな…」
ボソリとキラが呟く。
「…『転移移動』を使えば、会えるようになるよ。ただ、あの子達は今、学校にいっているから、長期の休みの時でないと、遊びに来れないけれどね」
リーンがそう言うとキラは微笑んで目を閉じた。
「…楽しみだな…」
その後何も言わなくなったキラは、寝息をたてて眠っていた。
リーンはルークと目を見合わせ、微笑んだ。
「おやすみ」
「おやすみ」
二人は軽く口付けを交わし、キラの希望通り、川の字になって三人で眠った。
***
その頃リビングでは、キリトとカズキ、どちらがソファーで寝るかを話していた。
「明日の『転移移動』の魔法を完成させるのにはカズキさんが必要ですし、帰りの馬車の運転もカズキさんがしていくので、ソファーで寝てください」
「今まで楽をさせてもらったよ」
馬車の運転は慣れているし、ここ数日は、大きいベッドでゆっくりと眠らせてもらっている。
だから、別に床で寝ても構わないのだが…。
それにキリトの方が、キラの添い寝をしていて、ゆっくりと眠れなかったのではないかと心配なのだ…。
「俺はどこでも寝れますし、ソファーは柔らかいですが、足が伸ばせないので…」
…キリトの方が身長は少し高いから、床は固いが足が伸ばせる…。
「キリトが良いのなら、ソファーで寝させてもらうよ」
カズキは馬車の中から取り寄せた毛布を手に、ソファーに座った。
そして気になった事をキリトに聞く。
「…炎の竜がずいぶん懐いていたみたいだけど…」
キリトは苦笑いして言う。
「…注意されたり、反論された事があまり無いのかも…。泣いて部屋にとじ込もって、翌日、恐る恐る顔を覗かせてたから…」
「…まあ、守護竜だからなぁ…」
甘えさせているだろう…。
「挨拶も習っているが、使い慣れていないから小声で言うし、下手すれば返事もしない。…根気よく説明して教えたら、ついて回るようになった」
「…。」
…子育てが板についてきたな…。
「あま、あれだけ有った炎の結晶石をほとんど使わせてくれるとは思わなかったけれど…」
「…あれは…」
キリトは苦笑いして言う。
「あれでは寝にくそうだったので、強制的に使いきった」
「…。」
でも、それを許してくれたのだから、だいぶ信用されているんだな…。
「何はともあれ、明日から帰路に向かえそうだ」
「そうですね。…帰りにジーンやユーリのお土産を買ってきても良いですか。ずっとここにいたので…」
そうだ。
キリトはここで炎の竜と一緒にいて、町に下りていない。
「ああ。少し寄り道をしていこう」
キリトは微笑んだ。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
カズキはソファーに横になって、明日の段取りを考えた。
『転移移動』の魔法を完成させて、ルーク様を見送って、ワイトデ自治区の町にちょっとよって、買い物をして、再び来た時と同じ道を帰っていこう…。
そのときに…ワイトデ自治区に…向かっているとき、気になったモノを…購入…しながら…。
そんな事を考えている内に眠りについていた。
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