神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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神の宿り木~再生 2~

有翼族のシバ

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 リーンは自分の目を疑った。
 あれからかなりの年月が過ぎているはず…。
 なのにシバは…自分もそうだが、変わらない姿で出迎えてくれた。
「今は、リーンです。…シバ…なのですね…」
 シバは微笑んで答えてくれた。
「私の種族は長寿なのだよ。純血種だけだがね…」
 そうだったんだ。
 有翼族の中でも長寿だからこそ、この町を守り領主として君臨しているのかもしれない。
「では、私はこれで…」
 案内してくれた熊族の青年は一礼して、再び山を降りていった。
「どうぞ中へ」
 シバに促されて三人は屋敷の中へと入っていった。

 
 ここの敷地内だけは町とは違って、時間が止まったかのような神聖な静寂をかもし出している。
 結界が張ってあるのか、狼族のお屋敷とはまた違った静寂さだ。
 お屋敷の中に入ると玄関ホールがあり、ワイトデ自治区の領主のお屋敷みたいだが、強いて言うなら階段が無かった。
 …飛んで移動するからなのか…。
 そのまま奥の部屋に案内され、部屋の中に入って思わずリーンは足を止めた。
「…何で…こんなものが…」
 それは、ワイトデ自治区でも見た、キースと炎の竜の絵画…。
 キースと炎の竜が一緒に昼寝をしている姿…。
 炎の竜が、キースの足にしがみついて、笑っている様子…。
 キースと熊族の幼いアヤメが手を繋いでいる姿…。
 夢で見た、あの時の情景が写し出されている…。
 何でこんなものがココに有る…?
「一族の中に変わった能力を持っている者がいてね」
 そう言ってシバは話し出した。
「見たものをそのまま描き写せる…あの時同行した護衛の中にそんな者がいて、これらを書き残したんだ」
 そんな事が出きるなんて…。
 でも、そうでないと、アヤメの事は知らないはず…。
「それに、キースの事がまるで夢だったかのように思えて、描き残してもらった」
「…。」
「…確かにリーンに似てるけど…笑い方とか…少し違う…」
 じっと絵を見ていたルークがボソリと言い出し、リーンは頬を染めて驚いた。
 それは違うだろ!
 あれから何十年…何百年も経っているんたぞ!
 …少しは、変わるよ…。
 そしてリーンは、気になったアヤメ地区の事を聞いた。
「昔は、アヤメ地区なんて無かった…。アヤメって…熊族の…」
 シバは微笑んで答えてくれた。
「アヤメの日記はまだ読んでいないのか?…私の孫…キラが初めてここへ来て、飛ぶ練習をしたことを覚えているだろうか。…あの子と、イオリとつがってしまって、いろいろ有って、この町のふもとに住むことになったんだ」
「…。」
 …まて、あの時の子供…が、孫?!
 一体、幾つなんだシバは?!
 それに、熊族のアヤメが有翼族のイオリとつがいになった?!
 …いきさつは、アヤメの日記を読むしかないか…。
「イオリは私の後継者候補の一人だったから、揉めてね…」
 シバは苦笑いしながら言う。
「あの子達の粘り勝ち…かな。今ではアヤメ地区が他種族との交流の場になって栄えているがね」
 …いろいろと…あったんだ…。
 …シバの後継者候補なら、魔力も能力も産まれもって高いはず…。
 その子が…アヤメと…。
「少し早いが、昼食の準備をしてある。ここはアリミネ火山と違って火山の影響をあまり受けていない場所だから、収穫される作物も違う。それに翼が有るので、他の地区から色々なものを購入しているから、また、ひと味違うと思いますよ」
 シバはそう言って、隣の部屋へ向かった。 
 …情報量が多すぎて、頭が付いていかない…。
 ルークとカズキを見ると、苦笑いしながら後を付いてくる。
 二人にはわからない会話だからな…。
 ふと隣の部屋に入る前、シバが振り向いてこちらを…カズキを見て微笑んだ。
「…貴方も、約束を…守ったんですね」
「…?」
 何の事だか分からず三人は顔を見合わせる。
 …後で聞こう。
 そのまま三人は昼食を頂くことになった。

 
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