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アリミネ火山~追憶のキース~
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翌朝。
辺りが明るくなってきても暑くなく、熱風も収まっていて、灰もほとんど降ってこなかった。
きっと…炎の竜が食べてくれたのだ…。
確認をして、大丈夫なら町に人々を戻せる。
…町は火山灰で灰色に染まってしまったが、人々が戻ってくれば少しずつ元の町並みに戻っていくだろう…。
キース達は再び、炎の竜と出会った場所に向かった。
昨日までの熱風も暑さもない。
それでも用心しながら、アリミネ火山の中腹を歩いた。
炎の竜と最後に会った場所近くまで来ると、今度はぐぐうっ…ぐぐうっ…と音が響いてきた。
…なんだ?
キースとイオ、シロにシバも一緒に顔を見合せ、音のする方にそっと近付いた。
そして、そこで見たものは、炎の竜が丸まってイビキを立てて眠っている姿…。
萎れた草が寝床となって、炎の竜は気持ち良さそうに眠っている。
「…。」
しばらくじっと見ていると、小さな手で顔をこすり、ムニムニと口許を動かし、再び大きなイビキをかきはじめた。
「…なんか可愛い…」
キースは口に出したつもりはなかったが、そう呟いていた。
「…やっぱりキースが適任だな…」
シバがそう言って、キースの頭を撫でる。
…可愛く見えると適任なのか?
「どこまで近付ける?」
キースはそっと眠る炎の竜に近付くが、手を伸ばして届くくらいまで行くと、急に熱量が増し、立ち止まって手を引っ込めた。
「ここまでだ。まだ、回りが熱くて触れることは出来ない」
キースはそう言って三人の元に戻ってくる。
シバはしばらく考えて言った。
「…ここにテントを張って、キースが炎の竜に触れられるようになるまで、熱量の押さえ方を教えるんだ。それまでは、町に連れていくことは出来ない」
「…そうなるよな…」
キースは苦笑いした。
熱量が多いままだと、敬遠して人々は怯えてしまう。
親しみを持って、炎の竜の事を大切にして欲しいのだから、制御出きるようにならなくてはいけない。
「交代で、食事や睡眠確保は保証するから、頼むぞ」
シバがそう言うと、イオが場所を提供してきた。
「…それなら、ここから少し下山した所に、山小屋がある。そこを使うと良い…」
ここはワイトデ自治区の領域だから、どこに何が有るのかイオは把握している。
…まぁ、屋根が有るのはありがたいが…。
「…でも本当に、私で大丈夫なのか不安なんだけど…」
まだ、憶測でしかない状態なのだから…。
そんなやり取りをしていると、炎の竜のイビキが止まり、目を開けて顔をこちらに向けた。
「…。」
目が覚めたようだ。
綺麗な金色の瞳…。
炎の竜は身体をお越し、こっちをじっと見ている。
誰を見ているのか分からないので、一人づつキースから離れてみるが、炎の竜は動かない。
…やっぱり私なのか?
キースがゆっくりと動くと、炎の竜は、その動きを目で追ってきた。
「…決まりだな」
シバがそう言って、キースはため息を付いた。
「わかった。なんとかするから…」
キースと炎の竜の訓練の生活が始まった。
辺りが明るくなってきても暑くなく、熱風も収まっていて、灰もほとんど降ってこなかった。
きっと…炎の竜が食べてくれたのだ…。
確認をして、大丈夫なら町に人々を戻せる。
…町は火山灰で灰色に染まってしまったが、人々が戻ってくれば少しずつ元の町並みに戻っていくだろう…。
キース達は再び、炎の竜と出会った場所に向かった。
昨日までの熱風も暑さもない。
それでも用心しながら、アリミネ火山の中腹を歩いた。
炎の竜と最後に会った場所近くまで来ると、今度はぐぐうっ…ぐぐうっ…と音が響いてきた。
…なんだ?
キースとイオ、シロにシバも一緒に顔を見合せ、音のする方にそっと近付いた。
そして、そこで見たものは、炎の竜が丸まってイビキを立てて眠っている姿…。
萎れた草が寝床となって、炎の竜は気持ち良さそうに眠っている。
「…。」
しばらくじっと見ていると、小さな手で顔をこすり、ムニムニと口許を動かし、再び大きなイビキをかきはじめた。
「…なんか可愛い…」
キースは口に出したつもりはなかったが、そう呟いていた。
「…やっぱりキースが適任だな…」
シバがそう言って、キースの頭を撫でる。
…可愛く見えると適任なのか?
「どこまで近付ける?」
キースはそっと眠る炎の竜に近付くが、手を伸ばして届くくらいまで行くと、急に熱量が増し、立ち止まって手を引っ込めた。
「ここまでだ。まだ、回りが熱くて触れることは出来ない」
キースはそう言って三人の元に戻ってくる。
シバはしばらく考えて言った。
「…ここにテントを張って、キースが炎の竜に触れられるようになるまで、熱量の押さえ方を教えるんだ。それまでは、町に連れていくことは出来ない」
「…そうなるよな…」
キースは苦笑いした。
熱量が多いままだと、敬遠して人々は怯えてしまう。
親しみを持って、炎の竜の事を大切にして欲しいのだから、制御出きるようにならなくてはいけない。
「交代で、食事や睡眠確保は保証するから、頼むぞ」
シバがそう言うと、イオが場所を提供してきた。
「…それなら、ここから少し下山した所に、山小屋がある。そこを使うと良い…」
ここはワイトデ自治区の領域だから、どこに何が有るのかイオは把握している。
…まぁ、屋根が有るのはありがたいが…。
「…でも本当に、私で大丈夫なのか不安なんだけど…」
まだ、憶測でしかない状態なのだから…。
そんなやり取りをしていると、炎の竜のイビキが止まり、目を開けて顔をこちらに向けた。
「…。」
目が覚めたようだ。
綺麗な金色の瞳…。
炎の竜は身体をお越し、こっちをじっと見ている。
誰を見ているのか分からないので、一人づつキースから離れてみるが、炎の竜は動かない。
…やっぱり私なのか?
キースがゆっくりと動くと、炎の竜は、その動きを目で追ってきた。
「…決まりだな」
シバがそう言って、キースはため息を付いた。
「わかった。なんとかするから…」
キースと炎の竜の訓練の生活が始まった。
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