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アリミネ火山~追憶のキース~
願う
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日が沈みかけた頃、キース達はイオの屋敷に戻ってきた。
そしてその場にいたもの達に、炎の竜が熱を結晶にして食べてくれたことを話した。
「…キースが言ったことが伝わっていれば、この熱風と噴火は押さえられるかもしれないな…」
「そう願うよ…」
それが炎の竜の食事となるのなら、お腹いっぱい食べてもらいたい。
「でも、どうしてキースだったんだろ?」
チハヤがそう言って首を傾げる。
…そう言えば、見つけたのはイオだった。
イオでも良かったはずなのに…。
「…初めて見た者を、親だと思う動物がいただろ…。あれと同じような気がするが…」
有翼族のシバがそう言ってキースを見る。
…そう言えば目があったような気がした。
「…初めて炎の竜を見つけたときに、目があったかもしれない…」
キースはボソリと言う。
気のせいだと思っていたが…。
「それに魔力量が関係してくるだろう」
この中で一番、魔力を持っているシバ。
「キースは魔力を押さえているだろうが、炎の竜には分かっているのかもしれない。本能的に強い魔力持っている。と、気付いたから、炎の竜と目があったのかもしれないな」
…魔力を、押さえていることに気が付くと言うくらい、やはりシバは強い魔力を持っている。
私が居なかったらシバが、炎の竜に教えることになったのだろうか…。
だがその前に、シバと炎の竜が出会うことすら困難だ。
「…頑張って炎の竜を教育してくれ…」
イオがそう言うと、回りの集まっていたメンバーも頷く。
…教育って…。
「…炎の竜が本当にキースに慣れたのなら、連れて各町を歩いて、アリミネ火山の麓にはこうやって生活している者達がいるので、守って欲しいと見せるのも手かもしれない」
シバがそう言って、アリミネ火山の信仰を促すようにと薦めてくる。
実際、アリミネ火山周辺はアリミネ火山のおかげで生活が豊かなのも事実だ。
「町の者達にも、炎の竜が守ってくれたんだと、実感してもらうためにも良いかもな…」
イオがそう言ってキースを見る。
「…それって、私が炎の竜を連れて歩くと言うことか?」
キースは苦笑いした。
私は風霊に呼ばれて来ただけで、長期間ここにいるつもりはない。
…炎の竜が、私が町を離れるときに、私に付いてこないかの方が心配だ。
「…どこにも所属してないキースだからだ、出来ることだよ」
…それは言えている。
どこかの種族が独占しているように見えても困るからだ。
…とは言え、他種族のものから見れば、私は人族に見えてしまうかもしれないが…。
この地域の者でないのは確かだ。
「…炎の竜が、本当に私に懐いていたらだよ…」
声が届いていたのは確か。
風霊が通訳してくれたから、何を言っているのかを聞くことができた。
『置いていかないで』
炎の竜はそう言っていた。
お腹が空いていてのと、不安に刈られて寂くてそう言ったのだろう…。
触れても火傷しなければ、たくさんの者達と交流するれば寂しくは無くなるはず…。
…明日の朝には分かるだろう。
私が言ったことが伝わって、熱量を食べてくれれば、炎の竜に近付く事が出来る…。
それに…炎の竜とばかり読んでいるが、名前…有った方が良いよな…。
…それも、この熱風が治まってからだ…。
「それより!その髪の毛!あの長くてサラサラの髪の毛が!!」
チハヤが一人呻いている。
…そうだった。
髪の毛に炎が移ったので、切り捨てたから、長さがバラバラのボサボサの状態だ。
切りたく無いって思っていたのに、バッサリと切ったからな…。
「…この頭なんとかなる?」
「なんとかするから、お風呂に入って洗ってきて…」
涙目のチハヤに言われて、キースは苦笑いし、風呂場に向かった。
そしてその場にいたもの達に、炎の竜が熱を結晶にして食べてくれたことを話した。
「…キースが言ったことが伝わっていれば、この熱風と噴火は押さえられるかもしれないな…」
「そう願うよ…」
それが炎の竜の食事となるのなら、お腹いっぱい食べてもらいたい。
「でも、どうしてキースだったんだろ?」
チハヤがそう言って首を傾げる。
…そう言えば、見つけたのはイオだった。
イオでも良かったはずなのに…。
「…初めて見た者を、親だと思う動物がいただろ…。あれと同じような気がするが…」
有翼族のシバがそう言ってキースを見る。
…そう言えば目があったような気がした。
「…初めて炎の竜を見つけたときに、目があったかもしれない…」
キースはボソリと言う。
気のせいだと思っていたが…。
「それに魔力量が関係してくるだろう」
この中で一番、魔力を持っているシバ。
「キースは魔力を押さえているだろうが、炎の竜には分かっているのかもしれない。本能的に強い魔力持っている。と、気付いたから、炎の竜と目があったのかもしれないな」
…魔力を、押さえていることに気が付くと言うくらい、やはりシバは強い魔力を持っている。
私が居なかったらシバが、炎の竜に教えることになったのだろうか…。
だがその前に、シバと炎の竜が出会うことすら困難だ。
「…頑張って炎の竜を教育してくれ…」
イオがそう言うと、回りの集まっていたメンバーも頷く。
…教育って…。
「…炎の竜が本当にキースに慣れたのなら、連れて各町を歩いて、アリミネ火山の麓にはこうやって生活している者達がいるので、守って欲しいと見せるのも手かもしれない」
シバがそう言って、アリミネ火山の信仰を促すようにと薦めてくる。
実際、アリミネ火山周辺はアリミネ火山のおかげで生活が豊かなのも事実だ。
「町の者達にも、炎の竜が守ってくれたんだと、実感してもらうためにも良いかもな…」
イオがそう言ってキースを見る。
「…それって、私が炎の竜を連れて歩くと言うことか?」
キースは苦笑いした。
私は風霊に呼ばれて来ただけで、長期間ここにいるつもりはない。
…炎の竜が、私が町を離れるときに、私に付いてこないかの方が心配だ。
「…どこにも所属してないキースだからだ、出来ることだよ」
…それは言えている。
どこかの種族が独占しているように見えても困るからだ。
…とは言え、他種族のものから見れば、私は人族に見えてしまうかもしれないが…。
この地域の者でないのは確かだ。
「…炎の竜が、本当に私に懐いていたらだよ…」
声が届いていたのは確か。
風霊が通訳してくれたから、何を言っているのかを聞くことができた。
『置いていかないで』
炎の竜はそう言っていた。
お腹が空いていてのと、不安に刈られて寂くてそう言ったのだろう…。
触れても火傷しなければ、たくさんの者達と交流するれば寂しくは無くなるはず…。
…明日の朝には分かるだろう。
私が言ったことが伝わって、熱量を食べてくれれば、炎の竜に近付く事が出来る…。
それに…炎の竜とばかり読んでいるが、名前…有った方が良いよな…。
…それも、この熱風が治まってからだ…。
「それより!その髪の毛!あの長くてサラサラの髪の毛が!!」
チハヤが一人呻いている。
…そうだった。
髪の毛に炎が移ったので、切り捨てたから、長さがバラバラのボサボサの状態だ。
切りたく無いって思っていたのに、バッサリと切ったからな…。
「…この頭なんとかなる?」
「なんとかするから、お風呂に入って洗ってきて…」
涙目のチハヤに言われて、キースは苦笑いし、風呂場に向かった。
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