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アリミネ火山~追憶のキース~
キースの髪の毛
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アリミネ火山の中腹に『移動』してくると、相変わらず熱く、近くに炎の竜がいるのを感じた。
そして、朝に来たときよりも、灰の降ってくる量が減っていた。
少しは噴火が落ち着いてきているのか?
「『風霊』」
キースが呼び掛けると、キースの回りをくるくると回る。
再び白狼のシロが、風のシールドで包み込み、イオの魔法がその外側を覆う。
するとすぐに『風霊』が囁いた。
「…すぐ側に居る。『足りない』?『もっと』?」
キースは『風霊』が伝えてきたことを言葉にして首を傾げた。
「何が足りなくて、もっと?」
イオやシロも首を傾げると、ギュルルルルっと変な音がした。
「なんの音だ?」
三人は慎重に音の鳴る方に近付く。
再びギュルルルルっと音がして、そっと見ると、そこには炎の竜がいて、口をパクパクさせていた。
もしかして、お腹が空いているのか?
「…腹の音…」
イオがボソリと呟く。
「シバが言う文献には炎の竜は、炎や熱を食べているのではなかったのか?」
「…摂取する量が足りないのでは…?」
「…食べ方が、分からないとか…」
三人は炎の竜の様子を見ながら、そう囁き有った。
食べ方をどう説明すれば…。
…そうだ。
「イオがさっき作った水の球、空気中の水分を集めただけでは出来ないよね」
「ああ、光のコーティングを施して、固めて有る」
「…人体に影響の無いものであれば、そのまま体内に入れても大丈夫…と」
キースはその説明から、新しい魔法の組み立てを施す。
ぶっつけ本番だが、なんとかなるだろう…。
「私が水の球を作って、それを食べる。を、炎の竜に見せる。『足りない』は、食べれる量が少なくて『もっと』は、もっと欲しい、と、言うことではないか?」
「そんな気がする…」
イオは苦笑いした。
食べているけど、大量に食べれないから、炎の竜のエネルギーが足りなくて、お腹が鳴っていたのだ。
「一旦、風のシールドの外に出る。『保冷石』があれば、身体を守れるし、水も集めやすい」
「…時間は三十秒だ。それ以上は、負担が大きすぎる」
「ああ。」
まずは、炎の竜にこちらの存在に気が付いてもらってからだ。
キースは再び右手をかざし、『送風』で辺りの蒸気を吹き飛ばした。
すると炎の竜はこちらに気が付き、ヨタヨタと近付いてくる。
お腹が空いてフラフラなのだろう…。
「止まって!」
キースがそう言うと、『風霊』が『止まる』と囁き、炎の竜が足を止めた。
キースは『保冷石』を一つシロに渡して、顔を見合わせて頷き、炎の竜に向かって一歩を踏み出し、風のシールドの外に出た。
キースは風のシールドを『保冷石』の効果で保っているが、かなりの熱風が吹き荒れている。
じんわりと熱い…。
炎の竜を見ると、目があったような気がして微笑んだ。
そして右手を空に掲げ、風で空気中の水分を集めて手元に水の球を作る。
そしてそれを口の中に入れて見せた。
…分かっただろうか…。
キースは炎の竜の方を見ると、首を傾げこちらをじっと見ている。
キースは再び水の球を作り、炎の竜に見えるようにしゃがんで口の中に入れて見せる。
今度はどうだ?
そう思った瞬間、風が巻き上がり竜巻になって炎の竜の元に集まって真っ赤な結晶を作り出す。
…綺麗な…。
そう思った瞬間、キースの髪の毛を纏めて止めてあった紐が切れ、長い髪の毛が舞い炎が付いた。
キースは慌て、髪の毛の燃えていな場所を風で切り捨て、地面に落ちた髪の毛は、燃えきって変な匂いを漂わせた。
そしてイオとシロによって、風のシールド内に引っ張り込まれた。
「危ないぞ!」
イオが真っ青になってキースを見る。
「火傷はしていないですか?!」
シロがキースに触って、燃えていないかを確認してくる。
「…大丈夫だよ。びっくりしたけれど…。炎の竜は…」
三人が振り向くと、真っ赤な結晶がどんどんと大きくなり、それをパクりと食べた。
「…。」
じっとそれを見ていると、再び竜巻が起こって、赤い結晶を作り出していた。
…食べ方はわかったみたいだ。
そのまま、この辺り一帯の熱を食べてくれると良いのだが…。
「…そろそろ限界です」
シロがそう言って、キースを見る。
「うん。戻ろう…」
シロが『移動』の魔法で包み出すと、炎の竜がこちらを見て、風霊が囁いた。
「『どこ行くの?』『置いていかないで』…」
キースは炎の竜を見た。
…置いて行かれて寂しいのか…?
「シロ、ちょっと待って!」
キースは風のシールド内で、炎の竜に近付けるだけ近付くと、シロとイオが目を見開き、驚いてキースを見る。
「また来るから。この熱と炎、噴火を押さえてくれれば、近付けるから…」
キースはそう言ってイオとシロの元に戻り、シロの魔法によって『移動』し、その場から消えた。
そして、朝に来たときよりも、灰の降ってくる量が減っていた。
少しは噴火が落ち着いてきているのか?
「『風霊』」
キースが呼び掛けると、キースの回りをくるくると回る。
再び白狼のシロが、風のシールドで包み込み、イオの魔法がその外側を覆う。
するとすぐに『風霊』が囁いた。
「…すぐ側に居る。『足りない』?『もっと』?」
キースは『風霊』が伝えてきたことを言葉にして首を傾げた。
「何が足りなくて、もっと?」
イオやシロも首を傾げると、ギュルルルルっと変な音がした。
「なんの音だ?」
三人は慎重に音の鳴る方に近付く。
再びギュルルルルっと音がして、そっと見ると、そこには炎の竜がいて、口をパクパクさせていた。
もしかして、お腹が空いているのか?
「…腹の音…」
イオがボソリと呟く。
「シバが言う文献には炎の竜は、炎や熱を食べているのではなかったのか?」
「…摂取する量が足りないのでは…?」
「…食べ方が、分からないとか…」
三人は炎の竜の様子を見ながら、そう囁き有った。
食べ方をどう説明すれば…。
…そうだ。
「イオがさっき作った水の球、空気中の水分を集めただけでは出来ないよね」
「ああ、光のコーティングを施して、固めて有る」
「…人体に影響の無いものであれば、そのまま体内に入れても大丈夫…と」
キースはその説明から、新しい魔法の組み立てを施す。
ぶっつけ本番だが、なんとかなるだろう…。
「私が水の球を作って、それを食べる。を、炎の竜に見せる。『足りない』は、食べれる量が少なくて『もっと』は、もっと欲しい、と、言うことではないか?」
「そんな気がする…」
イオは苦笑いした。
食べているけど、大量に食べれないから、炎の竜のエネルギーが足りなくて、お腹が鳴っていたのだ。
「一旦、風のシールドの外に出る。『保冷石』があれば、身体を守れるし、水も集めやすい」
「…時間は三十秒だ。それ以上は、負担が大きすぎる」
「ああ。」
まずは、炎の竜にこちらの存在に気が付いてもらってからだ。
キースは再び右手をかざし、『送風』で辺りの蒸気を吹き飛ばした。
すると炎の竜はこちらに気が付き、ヨタヨタと近付いてくる。
お腹が空いてフラフラなのだろう…。
「止まって!」
キースがそう言うと、『風霊』が『止まる』と囁き、炎の竜が足を止めた。
キースは『保冷石』を一つシロに渡して、顔を見合わせて頷き、炎の竜に向かって一歩を踏み出し、風のシールドの外に出た。
キースは風のシールドを『保冷石』の効果で保っているが、かなりの熱風が吹き荒れている。
じんわりと熱い…。
炎の竜を見ると、目があったような気がして微笑んだ。
そして右手を空に掲げ、風で空気中の水分を集めて手元に水の球を作る。
そしてそれを口の中に入れて見せた。
…分かっただろうか…。
キースは炎の竜の方を見ると、首を傾げこちらをじっと見ている。
キースは再び水の球を作り、炎の竜に見えるようにしゃがんで口の中に入れて見せる。
今度はどうだ?
そう思った瞬間、風が巻き上がり竜巻になって炎の竜の元に集まって真っ赤な結晶を作り出す。
…綺麗な…。
そう思った瞬間、キースの髪の毛を纏めて止めてあった紐が切れ、長い髪の毛が舞い炎が付いた。
キースは慌て、髪の毛の燃えていな場所を風で切り捨て、地面に落ちた髪の毛は、燃えきって変な匂いを漂わせた。
そしてイオとシロによって、風のシールド内に引っ張り込まれた。
「危ないぞ!」
イオが真っ青になってキースを見る。
「火傷はしていないですか?!」
シロがキースに触って、燃えていないかを確認してくる。
「…大丈夫だよ。びっくりしたけれど…。炎の竜は…」
三人が振り向くと、真っ赤な結晶がどんどんと大きくなり、それをパクりと食べた。
「…。」
じっとそれを見ていると、再び竜巻が起こって、赤い結晶を作り出していた。
…食べ方はわかったみたいだ。
そのまま、この辺り一帯の熱を食べてくれると良いのだが…。
「…そろそろ限界です」
シロがそう言って、キースを見る。
「うん。戻ろう…」
シロが『移動』の魔法で包み出すと、炎の竜がこちらを見て、風霊が囁いた。
「『どこ行くの?』『置いていかないで』…」
キースは炎の竜を見た。
…置いて行かれて寂しいのか…?
「シロ、ちょっと待って!」
キースは風のシールド内で、炎の竜に近付けるだけ近付くと、シロとイオが目を見開き、驚いてキースを見る。
「また来るから。この熱と炎、噴火を押さえてくれれば、近付けるから…」
キースはそう言ってイオとシロの元に戻り、シロの魔法によって『移動』し、その場から消えた。
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