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アリミネ火山~追憶のキース~
髪の毛
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火山の様子を上空から偵察に行っていた者が戻ってきて、使っていた石を差し出され、再びジュンタに『冷却』をしてもらった。
そして、一つだけ偵察用に使ってもらい、もう一つは部屋の石と交換し、部屋に使っていた石二つを炎の竜対策に使うことにした。
ジュンタはさすがに疲れたのか、ソファーにドンと座り、もたれ掛かっていた。
『冷却』6つを一度にするのは流石だ。
ジュンタにはしばらく休んでもらって、これからの話を始めた。
キースが眠っている間に、大体の構図だけは出来ていたみたいだ。
有翼族のシバが、アリミネ火山の近付ける場所まで『移動』で連れていき、風を扱うシロが風のシールドで全員を全体で包み込み、イオがその外側の熱風や炎を避けさせて、キースがシールド内の温度を下げて進んで行くと言うものだった。
実際にやってみないとどれ位効果があるのかはわからないが、少数精鋭で進んでいくことに決めていた。
チハヤは屋敷に残ってもらって、対策本部となった玄関ホールにいるジュンタの様子を見ながら、偵察に行っているルドやレクトス達の食事や飲み物の用意など、身の回りの事をしてもらう事になった。
この屋敷の使用人だと言っていたから、どこに何が有るのか把握していると言うのも有るだろう。
「そろそろ行こうか」
イオがそう声を掛けると、チハヤがストップをかけた。
…なんだろう?
「その前にキース。ここの椅子に座ってください」
そう言われて、キースがチハヤの側に有る椅子に座ると、どこからか櫛を取り出して髪の毛を梳かし始めた。
「チハヤ?」
キースが首をかしげると、動かないでと前を向かされた。
「サラサラの漆黒の髪…無造作に手入れしないなんて、あり得ない…」
チハヤは嘆かわしくブツブツ言いながら、キースの髪の毛を梳かしていた。
「風のシールドで全体を包むんでしょ。髪の毛を結んでおかないと、ぐじゃぐじゃになるよ」
そう言って、器用に頭の後ろの上の方で結び、さらに何かごそごそとやって紐で縛り、チハヤは満足そうにキースを見る。
「うん。かわいい」
「…。」
キースが手で頭を触ると、頭の後ろにお団子の様なものが出来ていて、髪の毛が纏まっている。
…まあ…良いか…。
キースはあまり気にせず、チハヤにお礼を言った。
確かに風のシールド内は、風が舞っている…。
「シロさんも結びましょう」
「…私は…」
マントを着ていて気が付かなかったが、白狼のシロの髪の毛は腰まで有った。
「結ぶのが嫌だったら、軽く束ねておきましょう」
チハヤはそう言ってシロの背後に回り、ピクピクと動く耳の後ろから、髪の毛を緩く三つ編みにして紐で端を結んだ。
「これなら多少は風が強くても、邪魔にはならないと思いますよ」
「手慣れてるな…」
キースがそう呟くと、
「妹の髪を良く結んでいるので、慣れているんですよ」
そう言ってチハヤは微笑んだ。
そんな器用なところも、この屋敷でドンと構えてもてなす為に、必要な事なのかもしれない。
準備が整ったところで、四人は集まり顔を見合わせ、無言で頷いた。
さぁ、炎の竜の元へ…。
そして、一つだけ偵察用に使ってもらい、もう一つは部屋の石と交換し、部屋に使っていた石二つを炎の竜対策に使うことにした。
ジュンタはさすがに疲れたのか、ソファーにドンと座り、もたれ掛かっていた。
『冷却』6つを一度にするのは流石だ。
ジュンタにはしばらく休んでもらって、これからの話を始めた。
キースが眠っている間に、大体の構図だけは出来ていたみたいだ。
有翼族のシバが、アリミネ火山の近付ける場所まで『移動』で連れていき、風を扱うシロが風のシールドで全員を全体で包み込み、イオがその外側の熱風や炎を避けさせて、キースがシールド内の温度を下げて進んで行くと言うものだった。
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この屋敷の使用人だと言っていたから、どこに何が有るのか把握していると言うのも有るだろう。
「そろそろ行こうか」
イオがそう声を掛けると、チハヤがストップをかけた。
…なんだろう?
「その前にキース。ここの椅子に座ってください」
そう言われて、キースがチハヤの側に有る椅子に座ると、どこからか櫛を取り出して髪の毛を梳かし始めた。
「チハヤ?」
キースが首をかしげると、動かないでと前を向かされた。
「サラサラの漆黒の髪…無造作に手入れしないなんて、あり得ない…」
チハヤは嘆かわしくブツブツ言いながら、キースの髪の毛を梳かしていた。
「風のシールドで全体を包むんでしょ。髪の毛を結んでおかないと、ぐじゃぐじゃになるよ」
そう言って、器用に頭の後ろの上の方で結び、さらに何かごそごそとやって紐で縛り、チハヤは満足そうにキースを見る。
「うん。かわいい」
「…。」
キースが手で頭を触ると、頭の後ろにお団子の様なものが出来ていて、髪の毛が纏まっている。
…まあ…良いか…。
キースはあまり気にせず、チハヤにお礼を言った。
確かに風のシールド内は、風が舞っている…。
「シロさんも結びましょう」
「…私は…」
マントを着ていて気が付かなかったが、白狼のシロの髪の毛は腰まで有った。
「結ぶのが嫌だったら、軽く束ねておきましょう」
チハヤはそう言ってシロの背後に回り、ピクピクと動く耳の後ろから、髪の毛を緩く三つ編みにして紐で端を結んだ。
「これなら多少は風が強くても、邪魔にはならないと思いますよ」
「手慣れてるな…」
キースがそう呟くと、
「妹の髪を良く結んでいるので、慣れているんですよ」
そう言ってチハヤは微笑んだ。
そんな器用なところも、この屋敷でドンと構えてもてなす為に、必要な事なのかもしれない。
準備が整ったところで、四人は集まり顔を見合わせ、無言で頷いた。
さぁ、炎の竜の元へ…。
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