神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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神の宿り木~再生~

アリミネ火山 1

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 朝、リーンが目覚めると、身体も魔力も満たされていた。
 ルークと抱き合うようになってから、『魔力の交合』を意識しなくても朝には魔力が充電されるようになっていた。
 これは、魔力のつがいだからだろうか。
 だからではないが、常に満たされている感じがする。
 腕の中に子供達がいて、背後にぴったりとルークが抱きついているのも、満たされると感じる一つかもしれない。
 こんな風に四人で、のんびりとベッドで微睡むのは久しぶりだ。
 いつもルークが先に起きているか、子供達が起きているかだ。
 リーンはこの幸せを堪能していた。
「ん…っ…」
 リーンが目覚めたのに気が付いたのか、ルークが目を覚ました。
「おはよう」
 そう言って身体を起こしたルークが口付けてくる。
「おはよう…」
 リーンは頬を染めて挨拶する。
「…子供達は寝かせておいて、朝食にしよう」
 ルークはそう言って寝室を出ていった。
 リーンは身体を起こし、子供達の髪を撫でる。
 …いつまで、この幸せな時間は続くのだろうか…。


 リーンはしばらく帰っていない、森に戻っていた。
 でも、なるべく週末にはリオナスのルークの元に戻ってきて、子供達と触れあうことにした。
 ルークは、いつもの仕事以外に水人族の宿の事について、調査をしてもらう段取りを付けるため、忙しくなってしまった。
 段取りが終わったら、調査結果が出るまでは休みを取れると言うことで、その時にアリミネ火山に向かうことにした。
 ヒイロ達は山小屋『オメガ』の魔法陣を、定期的に補強しに行っている。
 やはり侵食が進んでいて、魔力や魔法が奪われて行ってしまうのだ。
 時間はあまりない…。
 なるべく早く、大きな影響が出る前に止めなくては…。
 
 そんなことを思っているうちに、『始まりの宿り木』にたどり着いてから半年が過ぎていた。


 リーンはルークとキリト、カズキと一緒にアリミネ火山に向かっていた。
 カザンナ王国から馬車で三日はかかるが、随所の村の宿で宿泊しながら進むからしかたない。 
 それでも一日中馬車に揺られているから、ベッドで横になれるのはありがたい。
 部屋は二人部屋で、リーンとルーク、カズキとキリトと別れたが、触ってこようとするルークには自粛させていた。
 休暇中だが、壁の薄い隣の部屋に丸聞こえだし、さすがに恥ずかしかった。
 アリミネ火山に向かう道中は、キリトに子供達の話をしてもらった。
 リーンもルークもほとんど側にいず、キリトに任せっきりなっているので、キリトの方がお母さんみたいだ。
 王都で暮らし始め、ジーンもユーリも始めは寂しくて、キリトのベッドに潜り込んでいたみたいだ。
 部屋では甘えてもいいが、部屋の外ではキリトは使用人になるので、そのけじめを付けること。
 外と中での区別を付けること。
 二人に根気よく伝え続け、ようやく最近、外では甘えないようになったとか…。
 遊びに行って、ジーンの宿題が終わらず、うとうと眠たそうに宿題をしていて、字が読めなかったりとか…。
 キリトは楽しそうに、子供達の事を話してくれる。
 だから、キリトに任せて良かった…つくづくリーンはそう思った。
 この分、ジーンとユーリは今、キリトがいなくて寂しがっているのかもしれなかったが。
 
 
 
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