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神の宿り木~再生~
準備
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食事を終え、人心地落ち着くと、側使えの者達が後片付けをはじめた。
「ヒイロ。山小屋アルファに居るメンバーで、水中に三十分以上潜る事の出来るものは居る?」
「『水泡』なら確か、オーガストとベジョルカが得意だったから聞いてくる」
そう言って、ヒイロが山小屋アルファに向かって歩き出すと、ルークが側によってきた。
「水中に潜るのか?」
「うん。思い出した事が有るんだ。…アオは潜れるよね」
「はい」
「…子供達にも見せてあげたいけれど…」
『水泡』で潜るのには限界がある。
ひとつの『水泡』に大人一人、子供一人が限界だ。
ルークとアオがジーンとユーリを連れて…。
「チイは水中、潜れるよね」
「大丈夫よ。…ヒイロは苦手だから私がルナを連れて行くわ」
後、ロベルトを…。
「護衛の方で、水中に長時間潜れる人はいる?」
「…俺が。ヒュートンと申します。…水人族の血を引いていて、『水泡』も使えます」
そう言って、護衛の中でも華奢な青年が名乗りを上げた。
「ロベルトを連れて、長時間潜れる?」
「おっ俺がですか…」
青年は慌てているようだ。
突然、第一王子の王子を連れて水中に潜るとなると、危険度も増すし重大責任になる。
「ヒュートンなら大丈夫だって」
同僚から後押しされて、緊張気味に答える。
「必ず王子をお守りいたします!」
「お願いね」
サラが微笑んでヒュートンを見る。
「はい!」
あとは、調査隊の方…。
しばらくするとヒイロが、犬族のオーガストを連れてやって来た。
「二人とも、潜れるって」
「どこまで潜るんですか?」
不安そうにオーガストが聞いてくる。
「最深まで」
「真っ暗で何も見えなかった場所ですか…」
彼らも一度は潜っているのだろう。
湖の中にある裂け目の中の、ほとんど光の届かない深い場所…。
「…見せたいものが有るんだ」
リーンはそう言って苦笑いする。
「…分かりました。準備をしてきます」
そう言って、オーガストは山小屋に戻っていった。
安全を確保するため、水の魔法石や魔法道具を装備するのだろう。
初めて潜る水中は、日が当たらないから、子供達にとって寒いかもしれない…。
「水中は冷えるから、上着を着た方がいいね。何かある?」
リーンがそう言うと、キリトが子供達の上着を鞄から出し始めた。
「天候が分からなかったので、予備に持ってきています」
そう言って、取り出した服をジーンとユーリに着せ出すと、ジーンがもじもじし始めた。
「…寒いのなら、御手洗いも行ってくる」
「ああ、その方がいいかも」
「私も!」
子供達はキリトと一緒に山小屋に向かって、水中に潜る準備をしに行った。
その間に、リーンは水中に潜るため、邪魔になる服を脱ぎ出して、ルークに止められていた。
「泳ぐのに邪魔になる」
「良いから、脱ぐな!」
リーンは『水泡』ではなく、直接泳いで行くつもりだった。
そうでなければ、アレには触れることが出来ない。
「…だったらせめて、上だけでも着てろ…ああ、丈が短いな…。丈が長めのシャツ…俺の有るか?」
ルークは狼狽えながらカズキに聞くと、持ってきていた箱の中から丈が長めのシャツを取り出す。
「こんな使い方になるとは…」
そう言ってルークに手渡していた。
ルークはそれをリーンに渡してきて、着るように言う。
「せめて、これを着てくれ。リーンの素肌をあまり人に見せたくない…」
ルークに言われて、リーンはキョトンとしてしまった。
水中に潜るときは邪魔な服を脱いで…。
「…悪い。それ、俺達のせいだ…」
そう言って、苦笑いしてヒイロが近づいてくる。
「俺達…獣人が獣変化するとき、服を脱いで変化するから…。昔から、そのまま水中を潜って遊んでいいて、服を脱ぐのが当たり前になってるから躊躇しないんだと思う…」
「…。」
ルークは少し考え、リーンの耳元に囁いてくる。
「…身体に付けたキスマークを見せたくないから、シャツを着てくれ」
そう言われてリーンは狼狽えて頬を染めた。
昨夜も子供達が眠った後、風呂場でルークといちゃついていたから、身体中にまだ後が残っているのだろう…。
リーンは素直にシャツを受け取り、着替えた。
ズボンを脱いで膝上丈のシャツピース状態になり、袖は邪魔なので袖をくるくると捲り上げ、動きやすいようにすると、ルークがじっと見てきた。
「う~ん。それはそれで…」
と、複雑そうな顔をしていると、子供達が戻ってきてリーンに抱きつく。
「リーンは泳ぐの?」
「そうだよ」
リーンは微笑んで右手を空に掲げ、小さな魔方陣を作り出す。
「『空の石』」
空気がぐるぐるとうねり、リーンの手のひらに集まって収縮すると、透明な小さな石が四つ現れた。
リーンはそれを子供達に渡し、口の中にいれるように言う。
「これは、空気の塊。慣れない『水泡』の中にいても、息苦しくならないからね」
子供達がソレを口の中に入れると、リーンは再び右手を空に掲げ、もう一度『空の石』を作る。
自分用だ。
リーンも『空の石』を口に入れると、準備が出来たとばかりに、各自に『水泡』を作り出し、中に入った。
リーンも『水泡』を作り出し、ルークとジーンが中に入る。
ルークは『水泡』を作れないが、リーンの作った魔法を操ることは出来る。
リーンは地上に残るヒイロやサラ、カズキとジェス達の方を向いて微笑む。
「行ってきます」
「気を付けて行ってこいよ」
ヒイロがそう言って微笑み、リーン達は湖へと入っていった。
「ヒイロ。山小屋アルファに居るメンバーで、水中に三十分以上潜る事の出来るものは居る?」
「『水泡』なら確か、オーガストとベジョルカが得意だったから聞いてくる」
そう言って、ヒイロが山小屋アルファに向かって歩き出すと、ルークが側によってきた。
「水中に潜るのか?」
「うん。思い出した事が有るんだ。…アオは潜れるよね」
「はい」
「…子供達にも見せてあげたいけれど…」
『水泡』で潜るのには限界がある。
ひとつの『水泡』に大人一人、子供一人が限界だ。
ルークとアオがジーンとユーリを連れて…。
「チイは水中、潜れるよね」
「大丈夫よ。…ヒイロは苦手だから私がルナを連れて行くわ」
後、ロベルトを…。
「護衛の方で、水中に長時間潜れる人はいる?」
「…俺が。ヒュートンと申します。…水人族の血を引いていて、『水泡』も使えます」
そう言って、護衛の中でも華奢な青年が名乗りを上げた。
「ロベルトを連れて、長時間潜れる?」
「おっ俺がですか…」
青年は慌てているようだ。
突然、第一王子の王子を連れて水中に潜るとなると、危険度も増すし重大責任になる。
「ヒュートンなら大丈夫だって」
同僚から後押しされて、緊張気味に答える。
「必ず王子をお守りいたします!」
「お願いね」
サラが微笑んでヒュートンを見る。
「はい!」
あとは、調査隊の方…。
しばらくするとヒイロが、犬族のオーガストを連れてやって来た。
「二人とも、潜れるって」
「どこまで潜るんですか?」
不安そうにオーガストが聞いてくる。
「最深まで」
「真っ暗で何も見えなかった場所ですか…」
彼らも一度は潜っているのだろう。
湖の中にある裂け目の中の、ほとんど光の届かない深い場所…。
「…見せたいものが有るんだ」
リーンはそう言って苦笑いする。
「…分かりました。準備をしてきます」
そう言って、オーガストは山小屋に戻っていった。
安全を確保するため、水の魔法石や魔法道具を装備するのだろう。
初めて潜る水中は、日が当たらないから、子供達にとって寒いかもしれない…。
「水中は冷えるから、上着を着た方がいいね。何かある?」
リーンがそう言うと、キリトが子供達の上着を鞄から出し始めた。
「天候が分からなかったので、予備に持ってきています」
そう言って、取り出した服をジーンとユーリに着せ出すと、ジーンがもじもじし始めた。
「…寒いのなら、御手洗いも行ってくる」
「ああ、その方がいいかも」
「私も!」
子供達はキリトと一緒に山小屋に向かって、水中に潜る準備をしに行った。
その間に、リーンは水中に潜るため、邪魔になる服を脱ぎ出して、ルークに止められていた。
「泳ぐのに邪魔になる」
「良いから、脱ぐな!」
リーンは『水泡』ではなく、直接泳いで行くつもりだった。
そうでなければ、アレには触れることが出来ない。
「…だったらせめて、上だけでも着てろ…ああ、丈が短いな…。丈が長めのシャツ…俺の有るか?」
ルークは狼狽えながらカズキに聞くと、持ってきていた箱の中から丈が長めのシャツを取り出す。
「こんな使い方になるとは…」
そう言ってルークに手渡していた。
ルークはそれをリーンに渡してきて、着るように言う。
「せめて、これを着てくれ。リーンの素肌をあまり人に見せたくない…」
ルークに言われて、リーンはキョトンとしてしまった。
水中に潜るときは邪魔な服を脱いで…。
「…悪い。それ、俺達のせいだ…」
そう言って、苦笑いしてヒイロが近づいてくる。
「俺達…獣人が獣変化するとき、服を脱いで変化するから…。昔から、そのまま水中を潜って遊んでいいて、服を脱ぐのが当たり前になってるから躊躇しないんだと思う…」
「…。」
ルークは少し考え、リーンの耳元に囁いてくる。
「…身体に付けたキスマークを見せたくないから、シャツを着てくれ」
そう言われてリーンは狼狽えて頬を染めた。
昨夜も子供達が眠った後、風呂場でルークといちゃついていたから、身体中にまだ後が残っているのだろう…。
リーンは素直にシャツを受け取り、着替えた。
ズボンを脱いで膝上丈のシャツピース状態になり、袖は邪魔なので袖をくるくると捲り上げ、動きやすいようにすると、ルークがじっと見てきた。
「う~ん。それはそれで…」
と、複雑そうな顔をしていると、子供達が戻ってきてリーンに抱きつく。
「リーンは泳ぐの?」
「そうだよ」
リーンは微笑んで右手を空に掲げ、小さな魔方陣を作り出す。
「『空の石』」
空気がぐるぐるとうねり、リーンの手のひらに集まって収縮すると、透明な小さな石が四つ現れた。
リーンはそれを子供達に渡し、口の中にいれるように言う。
「これは、空気の塊。慣れない『水泡』の中にいても、息苦しくならないからね」
子供達がソレを口の中に入れると、リーンは再び右手を空に掲げ、もう一度『空の石』を作る。
自分用だ。
リーンも『空の石』を口に入れると、準備が出来たとばかりに、各自に『水泡』を作り出し、中に入った。
リーンも『水泡』を作り出し、ルークとジーンが中に入る。
ルークは『水泡』を作れないが、リーンの作った魔法を操ることは出来る。
リーンは地上に残るヒイロやサラ、カズキとジェス達の方を向いて微笑む。
「行ってきます」
「気を付けて行ってこいよ」
ヒイロがそう言って微笑み、リーン達は湖へと入っていった。
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