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神の宿り木~再生~
馬車の旅
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翌日、早朝にリーンとカズキはリオナスに向かって出発した。
朝食を食べて、お昼のお弁当までもらって、「また来てください」と、ダレスに言われて…。
お土産に塩や干しものなどを乗せて、明るくなり始めた街道を馬車で走っていた。
「…この集落の塩を、リオナスでも販売出きるようになると良いね…」
「そうですね。ローレンス様に聞いてみましょう。塩の販売ルートはローレンス様の管轄になりますから…」
「…いろいろ大変だね」
部所が別れているので、それぞれの部所を通さなくてはいけないな。
「後で揉め事を起こさないためにも、必要な事ですから…」
その辺は、カズキの方がよく知っているのだろう。
「そこは、任せた」
「はい」
カズキは微笑んでリーンをチラリと見る。
「眠っていてください。昨日、たくさん飲まされて、気をはって疲れているでしょうし、着いたら着いたで、休まる間もなく、騒がしくなりますから…」
…確かに。
いつ頃着くかにもよるが、ジーンとユーリが先に着いていたら、休憩どころでは無くなるだろう。
「…そうだな。少し横になるよ」
そう言って、リーンは馬車の中に毛布を敷いて、身体を横たえた。
ガタガタ揺れているが、疲れきっている身体には心地よく眠気を誘う揺れ…。
リーンは仮眠程度の眠りについていた。
ほんの少し…昼前くらいまで眠って、身体がスッキリとして、…思った以上に眠ってしまい、疲れていたのだと改めて思ってしまった。
早めにお昼の休憩を取るため、馬車の停留所に入った。
リオナスに向かう街道には、いくつかの停留所が作られていた。
馬車の馬を休めたり、歩きの旅人が休憩を出きるように、屋根付きの休憩所も作ったのだ。
カザン王国からリオナスまでは、ずっと森の中を歩くことになり、小さな村も集落もない。
道幅を馬車がすれ違えるだけの最小限にしたため、途中で馬車を停車させて休憩などをすれば、通行の妨げになってしまう。
街道を作るとき、動物達が木から木へ渡れるだけの距離を取り、元々あった獣道を歩道として整備して、なるべく森の生態系を壊さないように配慮した。
そのため、なるべく平地で開けた場所に休憩所を作ったのだ。
休憩所は小さな小川が流れていて、暑い日には足を入れても気持ちいいだろう。
停留所に馬車を止めると、カズキは馬達に水をやり馬の面倒を見ていた。
リーンは馬車から降りて、辺りを見回る。
馬車は二台止まっており、屋根付きの休憩所では何人もの旅達が食事をしている。
リオナスに行くのか帰るのかは分からないが、それだけの者達が動いている…。
ふと視界に、小川に足を浸している者達が目に入った。
時期的に暖かいが、まだ川の水は冷たいからだ。
…もしかして…魚人族の人達?
リーンが近づいてみると、二人はまだ若い青年で、会話からして兄弟のようだ。
「兄さん、もう帰ろうよ…」
少し幼い青年は疲れた顔をして、隣に座る青年に弱々しくすがっている。
「せっかくここまで来たんだ。リオナスへ行くぞ!」
元気だけはあるが顔色があまり良くない…。
姿は人族だが、擬態しているのかもしれない。
…水が足りていないのかも…。
水人族のほとんどは、水の側で暮らしている。
人族や獣人族よりも水分を多く必要とし、水場からなかなか離れられない。
水人族の種族にもよるが、陸地で見ることは少ないのだ。
それでも、リオナスに向かおうとしているのなら、水の対策を取ってきているだろうが、そんな魔法の気配もない…。
この先は川も少なく、ずっと緩やかな上り坂になる。
歩きなれていれば良いが、持ち物や長めのマントを羽織っただけの姿に、そんな様子もなかった。
リーンは思わす声をかけてしまった。
「顔色が悪いけど大丈夫?」
朝食を食べて、お昼のお弁当までもらって、「また来てください」と、ダレスに言われて…。
お土産に塩や干しものなどを乗せて、明るくなり始めた街道を馬車で走っていた。
「…この集落の塩を、リオナスでも販売出きるようになると良いね…」
「そうですね。ローレンス様に聞いてみましょう。塩の販売ルートはローレンス様の管轄になりますから…」
「…いろいろ大変だね」
部所が別れているので、それぞれの部所を通さなくてはいけないな。
「後で揉め事を起こさないためにも、必要な事ですから…」
その辺は、カズキの方がよく知っているのだろう。
「そこは、任せた」
「はい」
カズキは微笑んでリーンをチラリと見る。
「眠っていてください。昨日、たくさん飲まされて、気をはって疲れているでしょうし、着いたら着いたで、休まる間もなく、騒がしくなりますから…」
…確かに。
いつ頃着くかにもよるが、ジーンとユーリが先に着いていたら、休憩どころでは無くなるだろう。
「…そうだな。少し横になるよ」
そう言って、リーンは馬車の中に毛布を敷いて、身体を横たえた。
ガタガタ揺れているが、疲れきっている身体には心地よく眠気を誘う揺れ…。
リーンは仮眠程度の眠りについていた。
ほんの少し…昼前くらいまで眠って、身体がスッキリとして、…思った以上に眠ってしまい、疲れていたのだと改めて思ってしまった。
早めにお昼の休憩を取るため、馬車の停留所に入った。
リオナスに向かう街道には、いくつかの停留所が作られていた。
馬車の馬を休めたり、歩きの旅人が休憩を出きるように、屋根付きの休憩所も作ったのだ。
カザン王国からリオナスまでは、ずっと森の中を歩くことになり、小さな村も集落もない。
道幅を馬車がすれ違えるだけの最小限にしたため、途中で馬車を停車させて休憩などをすれば、通行の妨げになってしまう。
街道を作るとき、動物達が木から木へ渡れるだけの距離を取り、元々あった獣道を歩道として整備して、なるべく森の生態系を壊さないように配慮した。
そのため、なるべく平地で開けた場所に休憩所を作ったのだ。
休憩所は小さな小川が流れていて、暑い日には足を入れても気持ちいいだろう。
停留所に馬車を止めると、カズキは馬達に水をやり馬の面倒を見ていた。
リーンは馬車から降りて、辺りを見回る。
馬車は二台止まっており、屋根付きの休憩所では何人もの旅達が食事をしている。
リオナスに行くのか帰るのかは分からないが、それだけの者達が動いている…。
ふと視界に、小川に足を浸している者達が目に入った。
時期的に暖かいが、まだ川の水は冷たいからだ。
…もしかして…魚人族の人達?
リーンが近づいてみると、二人はまだ若い青年で、会話からして兄弟のようだ。
「兄さん、もう帰ろうよ…」
少し幼い青年は疲れた顔をして、隣に座る青年に弱々しくすがっている。
「せっかくここまで来たんだ。リオナスへ行くぞ!」
元気だけはあるが顔色があまり良くない…。
姿は人族だが、擬態しているのかもしれない。
…水が足りていないのかも…。
水人族のほとんどは、水の側で暮らしている。
人族や獣人族よりも水分を多く必要とし、水場からなかなか離れられない。
水人族の種族にもよるが、陸地で見ることは少ないのだ。
それでも、リオナスに向かおうとしているのなら、水の対策を取ってきているだろうが、そんな魔法の気配もない…。
この先は川も少なく、ずっと緩やかな上り坂になる。
歩きなれていれば良いが、持ち物や長めのマントを羽織っただけの姿に、そんな様子もなかった。
リーンは思わす声をかけてしまった。
「顔色が悪いけど大丈夫?」
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