200 / 462
神の宿り木~再生~
ささやかな宴
しおりを挟む
リーンが水辺で、集落にいた住民に『天水球』を教えていると、貯水槽の管理掃除に行っていた住民達も帰ってきたので、『天水球』を教えた。
基本の『水球』が出来ているから、徐々に水量を増やしていって、『光のコーティング』を使える獣人に最後の仕上げを教えていった。
そして『天水球』からの『水球』の取り出し方、もしくはそのまま使う使い方を一通り教えた。
『天水球』が出来ても、使い方が分からなければ意味がない。
戻ってきて疲れているだろうが、住民達は真剣に取り組んでくれるから、教えがいがある。
気がつけば、ゆっくりと日が沈もうとしていた。
再び、あの衣装を着ることになってしまった。
フールシアが準備した、水人族風の正装。
もう着ることは無いだろうと思っていたのだが…。
夕食の宴の前に、ダレスが呼びに来て地上集落の一軒の家に連れていかれた。
家の中シンプルなダイニングは、ソファーと大きめのテーブル。カウンターキッチンになっていて、町中の住宅と変わらない内装になっている。
そして、ダレスがあの水人族風の正装を出して欲しいと…言い出した。
ソレを着て住民達に、竜人族の加護を受けた者が、ここにいるのだと、見せてやって欲しいと言われてしまったのだ。
…動きづらいし、落ち着かないのだが、『是非に!』と頭を下げられては断れない…。
あまり人前で『物質保管庫』を出したくないのだが、ダレスは知っているので、仕方なく衣装を出した。
そして、その家のシャワールームでシャワーを浴びて、出てきたら、ニコニコと魚人族の女性達が衣装を持って待っていて、思わずため息を付いてしまった。
深い藍色の袖の無い長い服を着て、腰を金の糸で細かい刺繍のされた太いベルトで絞められ、同じように刺繍のされた靴を履き、首や腕に黒真珠のネックレスやブレスレットを付けられ、透ける薄布を腕から肩にかけて羽織らされ、何度も梳かされた髪には、黒真珠の髪飾りを付けられた。
前回と同じように、集落の魚人の女性達は、はしゃぎながら、飾り付け?をしていて、今日だけだから…と自分に言い聞かせた。
宴は新しくなった集会所で行われた。
地上集落の連れていかれた家は、集会所の隣に有った。
住民達が集まった後、集会所へカズキに連れられて姿を表すと、し~んと静まりかえり、突き刺さる視線をどうにかして欲しかった。
「竜人族の加護を受けた、リーン様がおいでだ。若い者達が言っていたリオナスは、伴侶のルーク様が治めている。我らでも行くことが出きるように、考案してくださる。決してその恩義を忘れるでないぞ」
ダレスがそう言うと、再び拝めるように頭をひれ伏せた。
「まあ、ソレくらいで…」
カズキが苦笑いしながら声をかける。
「リーンさんは、堅苦しいのは苦手なので、もっと気楽にいきましょう。ね、ダレスさん」
ダレスは咳払いして言う。
「なかなかこのお姿のリーン様には会えないから、しっかりと目に焼き付けながら、宴を楽しんでくれ…」
「…。」
それじゃ楽しめないって…。
「私の事は気にしないで、食事をしましょう。『天水球』を作るのに魔力をたくさん使って、お腹が空いているし…ね」
「では、杯を持って、乾杯しましょう」
カズキがそう言って杯を持ち上げる。
集落の住民達が杯を手に取ったのを見て、カズキが言った。
「竜人族のフールシア様と加護を受けたリーン様に乾杯!」
「「乾杯!」」
そう言って杯のお酒を少し飲むと緊張が取れて、住民がザワザワと食事を始めた。
リーンはホッとため息をついて、目の前のお膳に手を伸ばす。
「リーンさんのその姿、ルーク様にもお見せいたいですね」
「…一度、見てるぞ。…だいぶん前だけど…」
ここに、一緒に来たときに見ている。
ルークの兄のローレンスと一緒に…。
「今の、リーンさんをですよ」
カズキはそう言って微笑む。
リーンは首を傾げた。
今も、昔も、変わらないと思うが…。
「ルーク様の伴侶になられてからは、その姿を見せていないのでしょう?…いつもより、何割か増しで色気が有りますよ」
リーンは頬を染めた。
あの時はまだ、ルークとそう言う関係では無かった。
ただ、側に居たい…離れたくない…そう思っていた頃…。
「ジェスでもいれば、通信魔法を使えるのですが…」
「いいって…」
今さら恥ずかしい…。
「今度、ルーク様に見せてあげてください」
カズキにそう言われて、ますます頬を染めた。
基本の『水球』が出来ているから、徐々に水量を増やしていって、『光のコーティング』を使える獣人に最後の仕上げを教えていった。
そして『天水球』からの『水球』の取り出し方、もしくはそのまま使う使い方を一通り教えた。
『天水球』が出来ても、使い方が分からなければ意味がない。
戻ってきて疲れているだろうが、住民達は真剣に取り組んでくれるから、教えがいがある。
気がつけば、ゆっくりと日が沈もうとしていた。
再び、あの衣装を着ることになってしまった。
フールシアが準備した、水人族風の正装。
もう着ることは無いだろうと思っていたのだが…。
夕食の宴の前に、ダレスが呼びに来て地上集落の一軒の家に連れていかれた。
家の中シンプルなダイニングは、ソファーと大きめのテーブル。カウンターキッチンになっていて、町中の住宅と変わらない内装になっている。
そして、ダレスがあの水人族風の正装を出して欲しいと…言い出した。
ソレを着て住民達に、竜人族の加護を受けた者が、ここにいるのだと、見せてやって欲しいと言われてしまったのだ。
…動きづらいし、落ち着かないのだが、『是非に!』と頭を下げられては断れない…。
あまり人前で『物質保管庫』を出したくないのだが、ダレスは知っているので、仕方なく衣装を出した。
そして、その家のシャワールームでシャワーを浴びて、出てきたら、ニコニコと魚人族の女性達が衣装を持って待っていて、思わずため息を付いてしまった。
深い藍色の袖の無い長い服を着て、腰を金の糸で細かい刺繍のされた太いベルトで絞められ、同じように刺繍のされた靴を履き、首や腕に黒真珠のネックレスやブレスレットを付けられ、透ける薄布を腕から肩にかけて羽織らされ、何度も梳かされた髪には、黒真珠の髪飾りを付けられた。
前回と同じように、集落の魚人の女性達は、はしゃぎながら、飾り付け?をしていて、今日だけだから…と自分に言い聞かせた。
宴は新しくなった集会所で行われた。
地上集落の連れていかれた家は、集会所の隣に有った。
住民達が集まった後、集会所へカズキに連れられて姿を表すと、し~んと静まりかえり、突き刺さる視線をどうにかして欲しかった。
「竜人族の加護を受けた、リーン様がおいでだ。若い者達が言っていたリオナスは、伴侶のルーク様が治めている。我らでも行くことが出きるように、考案してくださる。決してその恩義を忘れるでないぞ」
ダレスがそう言うと、再び拝めるように頭をひれ伏せた。
「まあ、ソレくらいで…」
カズキが苦笑いしながら声をかける。
「リーンさんは、堅苦しいのは苦手なので、もっと気楽にいきましょう。ね、ダレスさん」
ダレスは咳払いして言う。
「なかなかこのお姿のリーン様には会えないから、しっかりと目に焼き付けながら、宴を楽しんでくれ…」
「…。」
それじゃ楽しめないって…。
「私の事は気にしないで、食事をしましょう。『天水球』を作るのに魔力をたくさん使って、お腹が空いているし…ね」
「では、杯を持って、乾杯しましょう」
カズキがそう言って杯を持ち上げる。
集落の住民達が杯を手に取ったのを見て、カズキが言った。
「竜人族のフールシア様と加護を受けたリーン様に乾杯!」
「「乾杯!」」
そう言って杯のお酒を少し飲むと緊張が取れて、住民がザワザワと食事を始めた。
リーンはホッとため息をついて、目の前のお膳に手を伸ばす。
「リーンさんのその姿、ルーク様にもお見せいたいですね」
「…一度、見てるぞ。…だいぶん前だけど…」
ここに、一緒に来たときに見ている。
ルークの兄のローレンスと一緒に…。
「今の、リーンさんをですよ」
カズキはそう言って微笑む。
リーンは首を傾げた。
今も、昔も、変わらないと思うが…。
「ルーク様の伴侶になられてからは、その姿を見せていないのでしょう?…いつもより、何割か増しで色気が有りますよ」
リーンは頬を染めた。
あの時はまだ、ルークとそう言う関係では無かった。
ただ、側に居たい…離れたくない…そう思っていた頃…。
「ジェスでもいれば、通信魔法を使えるのですが…」
「いいって…」
今さら恥ずかしい…。
「今度、ルーク様に見せてあげてください」
カズキにそう言われて、ますます頬を染めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
105
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる