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神の宿り木~再生~

ささやかな宴

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 リーンが水辺で、集落にいた住民に『天水球』を教えていると、貯水槽の管理掃除に行っていた住民達も帰ってきたので、『天水球』を教えた。
 基本の『水球』が出来ているから、徐々に水量を増やしていって、『光のコーティング』を使える獣人に最後の仕上げを教えていった。
 そして『天水球』からの『水球』の取り出し方、もしくはそのまま使う使い方を一通り教えた。
 『天水球』が出来ても、使い方が分からなければ意味がない。
 戻ってきて疲れているだろうが、住民達は真剣に取り組んでくれるから、教えがいがある。
 気がつけば、ゆっくりと日が沈もうとしていた。


 再び、あの衣装を着ることになってしまった。
 フールシアが準備した、水人族風の正装。
 もう着ることは無いだろうと思っていたのだが…。

 夕食の宴の前に、ダレスが呼びに来て地上集落の一軒の家に連れていかれた。
 家の中シンプルなダイニングは、ソファーと大きめのテーブル。カウンターキッチンになっていて、町中の住宅と変わらない内装になっている。
 そして、ダレスがあの水人族風の正装を出して欲しいと…言い出した。
 ソレを着て住民達に、竜人族の加護を受けた者が、ここにいるのだと、見せてやって欲しいと言われてしまったのだ。
 …動きづらいし、落ち着かないのだが、『是非に!』と頭を下げられては断れない…。
 あまり人前で『物質保管庫』を出したくないのだが、ダレスは知っているので、仕方なく衣装を出した。
 そして、その家のシャワールームでシャワーを浴びて、出てきたら、ニコニコと魚人族の女性達が衣装を持って待っていて、思わずため息を付いてしまった。

 深い藍色の袖の無い長い服を着て、腰を金の糸で細かい刺繍のされた太いベルトで絞められ、同じように刺繍のされた靴を履き、首や腕に黒真珠のネックレスやブレスレットを付けられ、透ける薄布を腕から肩にかけて羽織らされ、何度も梳かされた髪には、黒真珠の髪飾りを付けられた。
 前回と同じように、集落の魚人の女性達は、はしゃぎながら、飾り付け?をしていて、今日だけだから…と自分に言い聞かせた。
 
 宴は新しくなった集会所で行われた。
 地上集落の連れていかれた家は、集会所の隣に有った。
 住民達が集まった後、集会所へカズキに連れられて姿を表すと、し~んと静まりかえり、突き刺さる視線をどうにかして欲しかった。
「竜人族の加護を受けた、リーン様がおいでだ。若い者達が言っていたリオナスは、伴侶のルーク様が治めている。我らでも行くことが出きるように、考案してくださる。決してその恩義を忘れるでないぞ」
 ダレスがそう言うと、再び拝めるように頭をひれ伏せた。
「まあ、ソレくらいで…」
 カズキが苦笑いしながら声をかける。
「リーンさんは、堅苦しいのは苦手なので、もっと気楽にいきましょう。ね、ダレスさん」
 ダレスは咳払いして言う。
「なかなかこのお姿のリーン様には会えないから、しっかりと目に焼き付けながら、宴を楽しんでくれ…」
「…。」
 それじゃ楽しめないって…。
「私の事は気にしないで、食事をしましょう。『天水球』を作るのに魔力をたくさん使って、お腹が空いているし…ね」
「では、杯を持って、乾杯しましょう」
 カズキがそう言って杯を持ち上げる。
 集落の住民達が杯を手に取ったのを見て、カズキが言った。
「竜人族のフールシア様と加護を受けたリーン様に乾杯!」
「「乾杯!」」
 そう言って杯のお酒を少し飲むと緊張が取れて、住民がザワザワと食事を始めた。
 リーンはホッとため息をついて、目の前のお膳に手を伸ばす。
「リーンさんのその姿、ルーク様にもお見せいたいですね」
「…一度、見てるぞ。…だいぶん前だけど…」
 ここに、一緒に来たときに見ている。
 ルークの兄のローレンスと一緒に…。
「今の、リーンさんをですよ」
 カズキはそう言って微笑む。
 リーンは首を傾げた。
 今も、昔も、変わらないと思うが…。
「ルーク様の伴侶になられてからは、その姿を見せていないのでしょう?…いつもより、何割か増しで色気が有りますよ」
 リーンは頬を染めた。
 あの時はまだ、ルークとそう言う関係では無かった。
 ただ、側に居たい…離れたくない…そう思っていた頃…。
「ジェスでもいれば、通信魔法を使えるのですが…」
「いいって…」
 今さら恥ずかしい…。
「今度、ルーク様に見せてあげてください」
 カズキにそう言われて、ますます頬を染めた。

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