186 / 462
神の宿り木~遡る時間~
リーンの始まり 2
しおりを挟む
幾度も目覚めては眠って…。
記憶をほとんど失ってしまう少年の名前は、目覚める度に変わった。
別人なのだと思えるくらい、性格も変わったからだ。
そして十八回目に目覚めた、その子の名前はリーンと呼ばれた。
そこからの記憶はリーンのモノだった。
魔素が濃い森の奥に住み、時々訪ねてくる獣人達と色んな町や村に出掛けたり、森で風霊や水霊、木霊達と遊んだりして、少しずつ成長していった。
そんなある日、豹族の長が少年獣のヒイロを連れてきた。
リーンよりほんの少し背の高い金髪の少年と、兄弟のように一緒に勉強して遊んだ。
色んな魔法を考え、実験してみて、上手くいったり失敗したり…。
ヒイロは昔からある、グオルクの町長の子供で、魔力も強かったがコントロールが出来ず、リーンの所に連れてこられたのだった。
リーンと遊びなから、ヒイロは魔力をコントロール出来るようになり、ヒイロはグオルクに帰っていった。
その代わり、時々遊びに来るようになった。
ヒイロが番を見つけたと、嬉しそうに連れてきた。
ヒイロの番は珍しい獣人の女性で、チイと言った。
チイは獣変化が出来ていなかったため、グオルクの長に、正式な番とは認められていなかった。
チイは人族の町で生まれ、人族の中で生活していた為、必要なかったから、獣変化のコツがわからないままでいたからだ。
リーンが少しずつ森を出て、獣人の町に行くようになると、グオルクのヒイロの家に、リーンの部屋を作ってくれた。
森でなく、町での生活を覚えるために…。
風霊に呼ばれて、浅瀬の川が激流に変わり、子獣人達を助けたり、山で土砂崩れが起きて家が流されるのを止めたり…。
森の中にいるより町の方が危険だと知ったリーンは、森の奥にはあまり帰らず、町の近くの森を転々としていた。
この魔力が森に住む人の役に立てるなら…。
代々、森に住む獣人族の長達が望んできたことをリーンは実現していた。
そんな時、獣人族ではなく、人族に出会った。
深い森に迷い込んで、帰り道が分からなくなっていた。
リーンが近くの人族の町まで案内する道中、その人は、町のいろんな話をしてくれ、リーンは人族の町に興味を持った。
その人に付いていって、初めて人族の町に降りた。
獣人族の町とよく似ているが、少し違った。
そして人族では獣人族とは違う、魔法の使い方をするのだと知った。
迷い込んだ人族は、リマ商会という町の便利屋の息子だった。
それからリーンが町に降りてくると、リマ商会に寄り、彼らと共に、子獣人を見せ物にしたり、必要以上に森を荒らす者達を協力して征伐していった。
その中、一度リーンの魔力が暴走し、人族の屋敷を破壊した。
それ以来、リーンは密かにリマ商会に出入りして、お互いに有益な情報を交換していった。
そして、それも代々言い伝えられていった。
リーンは獣人族と人族の間に立って、森を守ってきた。
魔女王と出会い、水中都市の龍人と出会い、多くの種族がいることを知って、出会って別れて…。
それを繰り返してきた。
そして、魔力の番である、ルークと出会った。
リーンは、ぼんやりと映し出される映像を見ていた。
…『記憶の図書館』…。
そう呼んでいた、あの場所は、過去の名前の違う、自分の記憶の眠っている場所だったのだと気が付く。
…なぜ、私はココにいるのだろう…。
…私は、何をしているのだろう…。
不意に、暖かいもので包まれた。
…暖かい…。
今まで温度を感じなかったのに、急に暖かいモノに包まれた。
…これは何なのだろう…。
リーンは、ぼんやりとその温もりを味わっていた。
時々包まれる暖かさに、リーンは寄り添っていた。
…暖かい…お日様の匂い…。
匂いを感じられるようになっていた。
…声が聞こえた。
私を呼ぶ声…。
「…リーン。早く目を覚ませ…」
…目を…覚ます…?
…そうか、私は眠っているのか…。
そして思い出す。
始まりの『宿り木』が枯れてしまい、大地を支えられなくなり、何かの衝撃で、魔力の反転が起こってしまい、生命力全てを枯らし初めてしまったのだと…。
元に戻す方法は…。
リーンは自分がすべき事を思い出して、再び『記憶の図書館』…過去の自分の記憶を遡ることにした。
このまま放置すれば、いずれ獣人の町にも人族の町にも広がってしまう。
何処かに、ヒントが有るはず…。
大地を元に戻す方法が…。
反転してしまった魔力の枯渇を止める方法…。
だから、もう少し待っていて…。
必ず戻るから…。
記憶をほとんど失ってしまう少年の名前は、目覚める度に変わった。
別人なのだと思えるくらい、性格も変わったからだ。
そして十八回目に目覚めた、その子の名前はリーンと呼ばれた。
そこからの記憶はリーンのモノだった。
魔素が濃い森の奥に住み、時々訪ねてくる獣人達と色んな町や村に出掛けたり、森で風霊や水霊、木霊達と遊んだりして、少しずつ成長していった。
そんなある日、豹族の長が少年獣のヒイロを連れてきた。
リーンよりほんの少し背の高い金髪の少年と、兄弟のように一緒に勉強して遊んだ。
色んな魔法を考え、実験してみて、上手くいったり失敗したり…。
ヒイロは昔からある、グオルクの町長の子供で、魔力も強かったがコントロールが出来ず、リーンの所に連れてこられたのだった。
リーンと遊びなから、ヒイロは魔力をコントロール出来るようになり、ヒイロはグオルクに帰っていった。
その代わり、時々遊びに来るようになった。
ヒイロが番を見つけたと、嬉しそうに連れてきた。
ヒイロの番は珍しい獣人の女性で、チイと言った。
チイは獣変化が出来ていなかったため、グオルクの長に、正式な番とは認められていなかった。
チイは人族の町で生まれ、人族の中で生活していた為、必要なかったから、獣変化のコツがわからないままでいたからだ。
リーンが少しずつ森を出て、獣人の町に行くようになると、グオルクのヒイロの家に、リーンの部屋を作ってくれた。
森でなく、町での生活を覚えるために…。
風霊に呼ばれて、浅瀬の川が激流に変わり、子獣人達を助けたり、山で土砂崩れが起きて家が流されるのを止めたり…。
森の中にいるより町の方が危険だと知ったリーンは、森の奥にはあまり帰らず、町の近くの森を転々としていた。
この魔力が森に住む人の役に立てるなら…。
代々、森に住む獣人族の長達が望んできたことをリーンは実現していた。
そんな時、獣人族ではなく、人族に出会った。
深い森に迷い込んで、帰り道が分からなくなっていた。
リーンが近くの人族の町まで案内する道中、その人は、町のいろんな話をしてくれ、リーンは人族の町に興味を持った。
その人に付いていって、初めて人族の町に降りた。
獣人族の町とよく似ているが、少し違った。
そして人族では獣人族とは違う、魔法の使い方をするのだと知った。
迷い込んだ人族は、リマ商会という町の便利屋の息子だった。
それからリーンが町に降りてくると、リマ商会に寄り、彼らと共に、子獣人を見せ物にしたり、必要以上に森を荒らす者達を協力して征伐していった。
その中、一度リーンの魔力が暴走し、人族の屋敷を破壊した。
それ以来、リーンは密かにリマ商会に出入りして、お互いに有益な情報を交換していった。
そして、それも代々言い伝えられていった。
リーンは獣人族と人族の間に立って、森を守ってきた。
魔女王と出会い、水中都市の龍人と出会い、多くの種族がいることを知って、出会って別れて…。
それを繰り返してきた。
そして、魔力の番である、ルークと出会った。
リーンは、ぼんやりと映し出される映像を見ていた。
…『記憶の図書館』…。
そう呼んでいた、あの場所は、過去の名前の違う、自分の記憶の眠っている場所だったのだと気が付く。
…なぜ、私はココにいるのだろう…。
…私は、何をしているのだろう…。
不意に、暖かいもので包まれた。
…暖かい…。
今まで温度を感じなかったのに、急に暖かいモノに包まれた。
…これは何なのだろう…。
リーンは、ぼんやりとその温もりを味わっていた。
時々包まれる暖かさに、リーンは寄り添っていた。
…暖かい…お日様の匂い…。
匂いを感じられるようになっていた。
…声が聞こえた。
私を呼ぶ声…。
「…リーン。早く目を覚ませ…」
…目を…覚ます…?
…そうか、私は眠っているのか…。
そして思い出す。
始まりの『宿り木』が枯れてしまい、大地を支えられなくなり、何かの衝撃で、魔力の反転が起こってしまい、生命力全てを枯らし初めてしまったのだと…。
元に戻す方法は…。
リーンは自分がすべき事を思い出して、再び『記憶の図書館』…過去の自分の記憶を遡ることにした。
このまま放置すれば、いずれ獣人の町にも人族の町にも広がってしまう。
何処かに、ヒントが有るはず…。
大地を元に戻す方法が…。
反転してしまった魔力の枯渇を止める方法…。
だから、もう少し待っていて…。
必ず戻るから…。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

けものとこいにおちまして
ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる