神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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神の宿り木

集う人々

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 ルークが職務に復帰して、リオナスの町が動き出した。
 反抗的だった獣人達も、今では協力的に率先して、新しい事業に参加してくれるようになった。
 リーンの事も有るだろうし、かつてリーンに助けられたと言う獣人や人族も集まってきたからだ。
 リーンが眠ったまま、目覚めないことをヒイロが伝えたことが、町から町へ伝わって、自分達に協力出きることはないかと、来てくれたのだ。
 その内の一人、金髪チーターの獣人マークが、虎の獣人カムイと共に、リオナスへやって来た。
 マークはキリトとも顔見知りで、上から下まで眺めて、
「…大人になったね…」
 と、感嘆されていた。
「…あのチビが大きくなったな…」
 と、キリトもカムイを見て、驚いていた。
 二人とも、昔、リーンに助けられ、今は一緒に暮らしているらしい。
 マークはキレイ好きで、ハウスキーパーをやっているから、リーンの眠る部屋を掃除したり、役所の隣にある寮部屋の掃除をしたりと、やりがいがあるみたいで、いそいそと掃除をしていた。
 カムイはそんなマークの助手になって、テーブルを退かしたり、掃除道具を運んだりして、良いコンビだなぁと眺めていた。
 そんな助っ人二人に、生活の助けをしてもらいながら、役所が正常に機能し始めた。
 それと、もう一つの助っ人。
 土日になると、ジーンとユーリ、ルナが役所の手伝いに来るようになった。
 小等科に通う、リーンに似た優しげな金髪の男の子ジーンと、ルークに似た黒髪の女の子ユーリ、チイにそっくりの金髪の獣人の女の子ルナが、『飲み物どうぞ』とか『こっちだよ』と、役所内を案内してくれたり、両親と一緒に来て、待っている子供達の話し相手になったりなどなど…。
 率先して動いてくれるのだ。
 一生懸命な子供達に感化され、大人達がグダグダ言っている場合ではないと、考えを改めてくれたのもある。
 …可愛い子達が話し相手になってくれ、メロメロになって、こっそりとお菓子を持ってくる獣人達もいたくらいだ。
 ルークは、はじめは反対した。
 が、お手伝い。と、押しきられてしまった。
 学校で家の手伝いをする話しになったとき、自分達は何もしていないことに気が付いたみたいだった。
 …まあ、だいたいはキリトが、そつなくやってしまうので、手伝いなどすることは無いだろう。
 それでも、何かしたかったらしく、子供達が考えたのが、土日に人手不足になってしまうため、案内が滞っているのを見て、コレなら僕たちにも出きると、やり出したのだ。
 …何か手伝いたい…。
 子供達の気持ちも分からないでは無かったから…その手伝いを許した。
 …楽しそうなら…良いか…。
 三人の様子見て、ルークは微笑んだ。
 そんなふうに思えるくらい、少し心の余裕も出来てきた。

 リーンをリオナスに連れてきて、一月ひとつきが過ぎようとしていた。
 子供達の目的は、お手伝いの他に、リーンと一緒に寝ることだった。
 学校の休みの時しか来れないので、眠るときはぴったりとくっついて、リーンを温めていた。
 きっと寂しいのもある…。
 側にいるのに、話しかけたり笑いかけたりしてくれない…そんな寂しさ…。
 それでも、前向きな子供達を見て、ルークは癒されていた。
 なあ、リーン。
 早く目を覚ませ…。
 皆、目覚めるのを待ってるぞ…。

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