神の宿り木～旅の途中～ルーク～ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

神の宿り木

仲間達

　ルークが久しぶりに部屋から出ていくと、執務室にヒイロとチイ、ヒイロの膝に座るルナ、ガーディにアオ、カズキがいた。
　ルナ以外が一斉にこっちに視線を向ける。
「少し落ち着いた？」
　チイが微笑んで質問してくる。
「…ああ。…すまなかった…」
「ルーク様…」
　ガーディが涙目でグスッと鼻をすする。
　カズキはその場に座り込み、ため息をつく。
「…良かった…子供達でも、ダメだったら、どうしようかと…」　　
　アオは紙に『お帰りなさい。ルーク様』と、書いて付き出す。
　…そうだった。
　アオは魔力の使いすぎと魔法石を使った反動、体力の限界を超えてしまって、声が出なくなっていたのだ…。
　しばらく休暇…と、言っていたが、来てくれていた…。
「心配かけたな…」
　ルークがそう言うと、アオは微笑んでくる。
「…休んだ分、働けよ…」
　ヒイロはそんな軽口を言って微笑む。
「ああ。申し訳ない…」
「良いって、謝らなくても…。番つがいを得たらそうなるのは分かっていたから…」
　獣人はよく、番つがいと言う言葉を使う。
　人族とは少し感じ方が違うのだ…。
「獣人でなくとも、番つがいと出会ってしまえば、自分を制御出来なくなってしまうのか…」
「さぁ…。俺が知っているのはお前達くらいだからな…。それも、魔力の番つがい。ルークの封じられていた魔力が解放されたら、リーンの魔力と重なりあうんだもんな…。こっちは驚いたよ…」
「…そうだな…」
　それには俺も驚いた。
　互いに惹かれ合っているときは、魔力の波長が合うくらいの感じだった。
『魔力の交合』をして、身体の相性も良くって…一緒に居るのが嬉しくて、予想外の事から子供が出来て、家族になって…リーンの帰ってくる場所の一つになる頃には、ルークの封じられていた魔力も戻ってきていて、『魔力の番』だと言われた。
　…ただ一人の人…俺の半身…。
　何故かそう言われて、納得していた。
　…互いに惹かれ合ったのも、無意識のうちに、半身を見つけたからなのだと…。
　あの時、出ていくリーン追いかけて正解だったのだと…。
「取りあえず、休んでいた分に処理した書類に目を通してくれ。俺の独断と、話し合いである程度は片付けたが、確認しておいてもらいたい」
「ああ、わかった」
　ルークは執務室の椅子に座り、机に山積みにされている書類を眺める。
　…考えたくはないが、何日分だ…。
「…ルーク様。先にこちらの書類から確認をお願いします」
　そう言って、ガーディが横から書類を渡して来るのを受けとる。
「それと…」
　ヒイロが思い出したかのように言ってきた。
「…獣人達に、ルークとリーンの話をした。…獣人達は人族がこの町の上に立っているのが、気に入らなかったらしい」
「…。」
「…リーンの魔力の番つがいだと言ったら、おとなしくなった…」
「…それは、あまり使いたくなかったんだが…仕方ないな…」
　ルークは苦笑いした。
　本当は、それ無しに獣人達に認めてもらいたかったのだが…。
「使えるものは使っとけ！獣人は認めたら結束は固いから、力になってくれる」
「ああ。そうだな…」
　ルークはそう答えて微笑んだ。
　何せ、ヒイロやチイ、キリトがそうだ。
　認められて、自分達も仕事を抱えているのに、手伝ってくれている…。
　リーンが目覚めたとき、恥じないような、番つがいでなければ…。
　ルークは差し出された書類に目を通し始めた。