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神の宿り木
移動
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二人を見送ったヒイロは、リーン、セス、ジェスと一緒に、集落跡に足を踏み入れた。
「…かなり昔の建物のだよね…」
リーンが、なにげ無く歩く場所は、一本の道に見え、道の左右には、石が積み上げられ囲むような跡があり、ココに家が有ったのだろうと思える。
「ああ。それにしても、草で覆われていないのが不思議だ」
年数が経てば、手入れされない土地は、山に帰ると言われている。
草が生え、木の根が張り巡らされて、木が生えて…。
開拓されて作られた土地は、すぐに木々に覆われ、元の姿に戻ってしまう。
始まりの山小屋『アルファ』のように、その場所に魔法をかけて、山に帰らないようになっていれば別だが…ココにはその形跡もなく、家が有った跡だけが残っているのだ。
「…ココ…知っている…奧に…」
そう言って、先を行くリーンが、集落の外に向かって歩き出した。
「…。」
ヒイロとセス、ジェスは頷き、フラフラと歩き出したリーンを追いかけ始めた。
リーンは集落から少し離れ、丘を登り始め、しばらく進むと立ち止まった。
目の前に現れたのは、木だったモノ…。
雷にでも撃たれたのか、縦に幾つにも引き裂かれ、黒く焼け焦げていて、上部は原型を留めていない。
本来、かなり巨大な木で有っただろうモノの幹の太さは、見ただけでも両手を広げたくらいの大きさは、余裕である。
チラリとリーンを見ると、リーンは目を見開き、ソレを凝視している。
「…リーン…」
ヒイロが側で声をかけるが、聞こえていないようだ。
「…あぁ…始まりの…宿り…木…」
リーンはそう言うと、その場に崩れ落ち、慌ててヒイロは抱き止めた。
「…リーン!!」
ヒイロが声を掛けても返事をしない。
リーンは完全に意識を失っている。
そしてヤバイことに、魔力が奪われていくのを感じ始めた。
…リーンが、俺達にも守りの魔法を使っていて、意識を失うことによって消えたのだ。
「戻るぞ!」
ヒイロが叫び、セスとジェスを呼び寄せる。
「…急に…身体が…重く…」
ジェスが、ふらふらと近付いてくる。
「…『移動』しましょう…。このままだと、山小屋までたどり着けるか…不安です」
青ざめた、セスがそう言う。
山小屋『オメガ』までなら、マーキングしてあるので、移動できないことはない。
セスが言うなら、その方が安全なのだろう。
「…リーンは動けないぞ!」
「…三人で四人を『移動』だったら、ギリギリ出来ると思います」
この重圧の中、自分一人の『移動』なら、なんとかなるだろう。
一番、魔力を持つリーンが動けないのだ。
三分の一の負担でも、かなりの負荷がかかる。
「たどり着いたら、しばらく動けないのを覚悟の上で…」
ヒイロが、そう言うと、ジェスが苦笑いして言う。
「ココで力尽きるよりは…」
「戻るぞ!!」
三人は頷き合い、動けなくなったリーンを中心にヒイロが抱き抱え、セスとジェスが、手を握りあってリーンの腕を掴み、三人でリーンを抱き抱えるように身体を寄せ合う。
「「「移動!!」」」
四人の姿はその場から消え去った。
「…かなり昔の建物のだよね…」
リーンが、なにげ無く歩く場所は、一本の道に見え、道の左右には、石が積み上げられ囲むような跡があり、ココに家が有ったのだろうと思える。
「ああ。それにしても、草で覆われていないのが不思議だ」
年数が経てば、手入れされない土地は、山に帰ると言われている。
草が生え、木の根が張り巡らされて、木が生えて…。
開拓されて作られた土地は、すぐに木々に覆われ、元の姿に戻ってしまう。
始まりの山小屋『アルファ』のように、その場所に魔法をかけて、山に帰らないようになっていれば別だが…ココにはその形跡もなく、家が有った跡だけが残っているのだ。
「…ココ…知っている…奧に…」
そう言って、先を行くリーンが、集落の外に向かって歩き出した。
「…。」
ヒイロとセス、ジェスは頷き、フラフラと歩き出したリーンを追いかけ始めた。
リーンは集落から少し離れ、丘を登り始め、しばらく進むと立ち止まった。
目の前に現れたのは、木だったモノ…。
雷にでも撃たれたのか、縦に幾つにも引き裂かれ、黒く焼け焦げていて、上部は原型を留めていない。
本来、かなり巨大な木で有っただろうモノの幹の太さは、見ただけでも両手を広げたくらいの大きさは、余裕である。
チラリとリーンを見ると、リーンは目を見開き、ソレを凝視している。
「…リーン…」
ヒイロが側で声をかけるが、聞こえていないようだ。
「…あぁ…始まりの…宿り…木…」
リーンはそう言うと、その場に崩れ落ち、慌ててヒイロは抱き止めた。
「…リーン!!」
ヒイロが声を掛けても返事をしない。
リーンは完全に意識を失っている。
そしてヤバイことに、魔力が奪われていくのを感じ始めた。
…リーンが、俺達にも守りの魔法を使っていて、意識を失うことによって消えたのだ。
「戻るぞ!」
ヒイロが叫び、セスとジェスを呼び寄せる。
「…急に…身体が…重く…」
ジェスが、ふらふらと近付いてくる。
「…『移動』しましょう…。このままだと、山小屋までたどり着けるか…不安です」
青ざめた、セスがそう言う。
山小屋『オメガ』までなら、マーキングしてあるので、移動できないことはない。
セスが言うなら、その方が安全なのだろう。
「…リーンは動けないぞ!」
「…三人で四人を『移動』だったら、ギリギリ出来ると思います」
この重圧の中、自分一人の『移動』なら、なんとかなるだろう。
一番、魔力を持つリーンが動けないのだ。
三分の一の負担でも、かなりの負荷がかかる。
「たどり着いたら、しばらく動けないのを覚悟の上で…」
ヒイロが、そう言うと、ジェスが苦笑いして言う。
「ココで力尽きるよりは…」
「戻るぞ!!」
三人は頷き合い、動けなくなったリーンを中心にヒイロが抱き抱え、セスとジェスが、手を握りあってリーンの腕を掴み、三人でリーンを抱き抱えるように身体を寄せ合う。
「「「移動!!」」」
四人の姿はその場から消え去った。
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