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神の宿り木
リムナード山
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気が付けば、山間部の調査を開始して三年…、実質六年の歳月が流れていた。
獣人の町グオルクとカザンナ王国を繋ぐ一本の道は繋がり、境目に小さな町リオナスが出来ていた。
そこは、国境を超えるための手続きや、乗り合い馬車、食料の補給や休憩所として、人族や獣人族が集まっていた。
休憩所として、ルークの側近、カズキの親族が協力してくれ、最初は戸惑いもあったようだが、今では宿も併設して、旅人をもてなしてくれている。
少しずつで良いから、共に協力して生活していって欲しい。
グオルクにまで、道が繋がった事で、ルークも仲間達を連れて、水源調査隊に加わった。
ソレまでに、調査用の山小屋は三十棟を超え、それぞれの山小屋を繋ぐ魔方陣の地図も作られた。
なので、この三年間で調べた場所に、たどり着くのは簡単にはなった。
そして、分かったこと…。
この大陸の、中心に近いところに有る、一番標高が高い、リムナード山の様子が変化していると言うこと…。
最近、風霊達が近付けないと、風使いが連絡をしてきた。
風使いも、近付きたく無いと、言っていた。
…リムナード山は、この大陸全体を支えている、大陸の始まりだとも言われている山だ。
ソレが、変化していると言うことが、どう言うことなのか、まだ、この時は誰も理解していなかった。
リーン達はリムナード山に向かっていた。
調査隊チームは、一番最初のメンバー、リーダーに豹族のヒイロ。
森の管理者としてリーン。
上空から偵察してもらう、有翼族の金髪の少年アレク。
…あれから三年が過ぎ、もう、立派な青年だ。
一番最初に調査隊に参加したときは、学校が休みだった為、来てもらったが、学生だったアレクは、その後、学校優先にしてもらい、その代わり、長期休暇の時は、調査隊に参加出来るようにした。
学業を疎かにしたら、調査隊に加われない。
ソレが、アレクの父親であり、族長との約束だった。
後はいつものメンバー。
道を切り開き、転送用の平地を確保する、熊族の黒髪のダグラス。
通信用や転送用の魔方陣を扱う、有翼族と獣人族のハーフ、茶髪セス。
大地と水の様子を探る、魚人族と獣人族のハーフの、深い紺色の髪のスーサー。
最小限の六人チームだ。
本当はこれにルークも加わりたいと、言っていたが、獣人族の町ダグラスとカザンナ王国を繋ぐ、小さな町リオナスで、揉め事があり、その対応に追われていて、参加出来なかった。
…あの町にとって、今、一番大事な時期だ。
少しずつ違う獣人族と、人族のちょうど良い、折り合いを手探りで探しているところでもある。
いつものように、アレクが上空から偵察して、道無き道を進んで行く。
そんなアレクが気になることを言ってきた。
「リムナードの山頂より少ししたの方…山が茶色くなってる…。以前は、気にならなかったのに…」
五人は顔を見合わせた。
「…木々が枯れてきていると言うことか?」
「まだ遠すぎて…、近くまでは行けないから、分からないけど、ココからでは見えない場所だよ」
リーンは空を見上げ、声をかけた。
「『風使い』近くにいる?」
しばらくすると、ふわりとリーンの回りを風が包み、ふわふわとした空色の髪の『風使い』が姿を現す。
「アレク。案内して…」
リーンは『風使い』にふわりと浮き上がらせてもらい、アレクの後を追ってもらった。
上空のこの場所からでは、何も変化した感じはしない。
だが、アレクに案内されて、ギザ王国側に回り込むと、ちょうど、山の影になって分かりにくいが、色が変色している場所があった。
この辺の木は落葉樹だが、季節的に今の時期ではない。
「…前に…半年ほど前に来たときは、気が付かなかった。…アレって…やっぱり変だよね…」
半年前なら、新緑が芽吹き始める頃。
今みたいに、緑の葉っぱに覆われる少し前だから気が付かないのも、仕方ない。
『近寄れない』
『風使い』が、ぽそりとそう呟く。
言葉数の少ない『風使い』がそう言うのだ、風霊達が言っていた場所なのかもしれない。
「アレク。方向は分かるよね」
「バッチリ!!」
「地上から、あそこに向かおう」
リーンとアレクは仲間のもとに戻り、行き先の変更をすることになった。
もともと、カザンナ王国側の山頂を目指していたので、少し戻り、昨日寝泊まりした、洞窟まで戻った。
ココにはマーキングしてあり、調査隊本部との連絡も取れるからだ。
「ギザ王国側の山頂を目指す」
「…今まで、目に見えなかったモノが、表だって現れるくらい、変わって来ているのかも…」
「まだ、間に合うかもしれない」
「表に変化が現れてから、行動しているわけでは無いのだから」
六人は頷き有った。
この三年間に、各地に貯水槽が作られ、川も整備され、荒れていた山も、各地区にて管理されるようになった。
整備されない山が、土砂崩れや水害をもたらすのだと、理解してくれる者達が増えてくれたからだ。
カザンナ王国のルークの一番上の兄、ローレンス王子。
彼が、各地の災害地を回り、リーンと話し合い、ソレを理解してくれたからというのも強みだ。
だが、ソレだけで、全てを回避することは出来ないので、日々、対策に追われていると、言っていた。
「行こう!!」
獣人の町グオルクとカザンナ王国を繋ぐ一本の道は繋がり、境目に小さな町リオナスが出来ていた。
そこは、国境を超えるための手続きや、乗り合い馬車、食料の補給や休憩所として、人族や獣人族が集まっていた。
休憩所として、ルークの側近、カズキの親族が協力してくれ、最初は戸惑いもあったようだが、今では宿も併設して、旅人をもてなしてくれている。
少しずつで良いから、共に協力して生活していって欲しい。
グオルクにまで、道が繋がった事で、ルークも仲間達を連れて、水源調査隊に加わった。
ソレまでに、調査用の山小屋は三十棟を超え、それぞれの山小屋を繋ぐ魔方陣の地図も作られた。
なので、この三年間で調べた場所に、たどり着くのは簡単にはなった。
そして、分かったこと…。
この大陸の、中心に近いところに有る、一番標高が高い、リムナード山の様子が変化していると言うこと…。
最近、風霊達が近付けないと、風使いが連絡をしてきた。
風使いも、近付きたく無いと、言っていた。
…リムナード山は、この大陸全体を支えている、大陸の始まりだとも言われている山だ。
ソレが、変化していると言うことが、どう言うことなのか、まだ、この時は誰も理解していなかった。
リーン達はリムナード山に向かっていた。
調査隊チームは、一番最初のメンバー、リーダーに豹族のヒイロ。
森の管理者としてリーン。
上空から偵察してもらう、有翼族の金髪の少年アレク。
…あれから三年が過ぎ、もう、立派な青年だ。
一番最初に調査隊に参加したときは、学校が休みだった為、来てもらったが、学生だったアレクは、その後、学校優先にしてもらい、その代わり、長期休暇の時は、調査隊に参加出来るようにした。
学業を疎かにしたら、調査隊に加われない。
ソレが、アレクの父親であり、族長との約束だった。
後はいつものメンバー。
道を切り開き、転送用の平地を確保する、熊族の黒髪のダグラス。
通信用や転送用の魔方陣を扱う、有翼族と獣人族のハーフ、茶髪セス。
大地と水の様子を探る、魚人族と獣人族のハーフの、深い紺色の髪のスーサー。
最小限の六人チームだ。
本当はこれにルークも加わりたいと、言っていたが、獣人族の町ダグラスとカザンナ王国を繋ぐ、小さな町リオナスで、揉め事があり、その対応に追われていて、参加出来なかった。
…あの町にとって、今、一番大事な時期だ。
少しずつ違う獣人族と、人族のちょうど良い、折り合いを手探りで探しているところでもある。
いつものように、アレクが上空から偵察して、道無き道を進んで行く。
そんなアレクが気になることを言ってきた。
「リムナードの山頂より少ししたの方…山が茶色くなってる…。以前は、気にならなかったのに…」
五人は顔を見合わせた。
「…木々が枯れてきていると言うことか?」
「まだ遠すぎて…、近くまでは行けないから、分からないけど、ココからでは見えない場所だよ」
リーンは空を見上げ、声をかけた。
「『風使い』近くにいる?」
しばらくすると、ふわりとリーンの回りを風が包み、ふわふわとした空色の髪の『風使い』が姿を現す。
「アレク。案内して…」
リーンは『風使い』にふわりと浮き上がらせてもらい、アレクの後を追ってもらった。
上空のこの場所からでは、何も変化した感じはしない。
だが、アレクに案内されて、ギザ王国側に回り込むと、ちょうど、山の影になって分かりにくいが、色が変色している場所があった。
この辺の木は落葉樹だが、季節的に今の時期ではない。
「…前に…半年ほど前に来たときは、気が付かなかった。…アレって…やっぱり変だよね…」
半年前なら、新緑が芽吹き始める頃。
今みたいに、緑の葉っぱに覆われる少し前だから気が付かないのも、仕方ない。
『近寄れない』
『風使い』が、ぽそりとそう呟く。
言葉数の少ない『風使い』がそう言うのだ、風霊達が言っていた場所なのかもしれない。
「アレク。方向は分かるよね」
「バッチリ!!」
「地上から、あそこに向かおう」
リーンとアレクは仲間のもとに戻り、行き先の変更をすることになった。
もともと、カザンナ王国側の山頂を目指していたので、少し戻り、昨日寝泊まりした、洞窟まで戻った。
ココにはマーキングしてあり、調査隊本部との連絡も取れるからだ。
「ギザ王国側の山頂を目指す」
「…今まで、目に見えなかったモノが、表だって現れるくらい、変わって来ているのかも…」
「まだ、間に合うかもしれない」
「表に変化が現れてから、行動しているわけでは無いのだから」
六人は頷き有った。
この三年間に、各地に貯水槽が作られ、川も整備され、荒れていた山も、各地区にて管理されるようになった。
整備されない山が、土砂崩れや水害をもたらすのだと、理解してくれる者達が増えてくれたからだ。
カザンナ王国のルークの一番上の兄、ローレンス王子。
彼が、各地の災害地を回り、リーンと話し合い、ソレを理解してくれたからというのも強みだ。
だが、ソレだけで、全てを回避することは出来ないので、日々、対策に追われていると、言っていた。
「行こう!!」
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